TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
はい。真っ赤な大嘘でした。
いや、もっとブルーティアーズ・甲龍対シュヴァイツェア・レーゲン戦って間隔短いと思ったんですけど…。すみません…。
(それにしてもどうやって二人をくっつけるかだよなぁ…。)
既に日課となったのほほんさんへのお菓子による餌付けを終えた私は教室の中で頬杖をつきながら溜息を吐く。
(そういや、私が死んだあとって新刊出たのかな…。11巻のラストは完全に箒の負けフラグビンビンだったけど…。)
もはや、「彼女」が「彼」と呼ばれていた時のことは原作ISの知識しか思い出すことが出来なくなっていた。
「諸君。おはよう。」
しばらく考えていると教室には関羽のお出ましである。
先に入ってきた山田先生と話していた生徒たちをはじめ、クラス中がピシッとした空気になる。
「「「「おはようございます!」」」
「では山田君。ホームルームを。」
「はい。えっと今日はなんと二人!転校生を紹介しますッ!」
「「「ええええ!!!」」」
クラス中が驚きの声に包まれる。
(あ、え…今日だっけ?あの二人来るの…。あ、すっかり忘れてたなぁ…。)
みんながいろいろ話している中、私はそんなことを考えつつ千冬さんを見ていた。
いや千冬さんに意味はなく周りと話していないのでただ…いやこれ以上はやめよう。あぁ。なんか自分で言って悲しくなってきた。
「失礼します。」「……。」
教室のドアが開き二人が入ってくる。
綺麗な金髪にショートカット。それに相対するかのような銀髪のロング。
「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。色々と分からないことがありますがよろしくお願いします。」
「お、男?」
「あ、はい。僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国から…」
「きゃ、きゃぁぁぁぁぁ!」
甘い悲鳴。シャルルの言葉を遮り響く。
「男子!男子!二人目よ!」
「美形よ!超美形!守ってあげたい系!」
「私もう死んでもいいかも…。」
女子たちの声はとどまることを知らない。
「あー、静かにしろ。騒ぐな。」
千冬さんが一言。
「そうですよ。まだ自己紹介終わってませんからね!」
山田先生がそれに続く。
そしてクラスの注目はもう一人へと向けられる。
「…挨拶をしろ。ラウラ。」
「はい。教官。」
「教官はやめろ。ここではお前たちの教官ではない。織斑先生と呼べ。」
「了解しました。」
手を身体のラインに合わせ、彼女は言葉を発する。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
クラス中が次のいう言葉は何か。まだかまだかと待っているが一向に話す様子はない
「あ、あの以上ですか?」
「以上だ。」
山田先生撃沈。
「…!貴様か。」
そしてラウラはゆっくりと一夏のほうへ向かう。
「私は…私は認めんぞ。貴様があの人の弟など。」
パァンッと肌と肌のふれる音だけが響く。
「ッ!何しやがる!」
「ふん…。」
一夏はラウラのことを睨む…が、ラウラは何の反応もしない。
「あー、ではHRを終わる。一限は二組との合同でのIS模擬戦だ。急いで着替えて第二グラウンドへ集合しろ。」
みんな忙しく着替えを始める。
もちろん今日は黒薊は使用しない。あくまで今の私は一般生徒だからね…。
そういえば今日に合わせてみんなISスーツを注文していたようである。
私はいつも束さんお手製のやつを使っているのだが、入学前に千冬さんのおすすめとやらを購入しておいた。
どこ製なのかはよく聞いていないが『鷲の後ろに上向き矢印が入ったマーク』が腰の右側に小さめについている。
まぁ、千冬さんのおすすめというからには一級品なんだろう。ちなみにお金は国が払ってくれた。ありがたい。
さて、とりあえず私のとる行動は教室を出ることだ。
みんなは教室で着替えているが実は第二グラウンドから近くにあまり使用されていない更衣室があるのである。
(その前にトイレによって行くかな…。)
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~更衣室~
扉を開けると…人がいた。ここは一般の生徒にはあまり使われていない。
そして教員は指定の部屋で着替えることになっている。そこでもない。
ちなみに男子二人(男女一人ずつ)が着替えていたわけではない。
さて、そうなると残った選択肢は…?
ラ ウ ラ ・ ボ ー デ ヴ ィ ッ ヒ で あ る。
さて、もう扉は完全に開けた。今更閉めるのも何かあれである。いや別にラウラ自体は何も感じないと思うけどね…。
バックからISスーツを取り出し、着替えを始める。
「おい!」
「ひゃっ!へ?な、何ですか?」
いきなりすぎて何か変な声を出してしまった。
「なぜ一般生徒の貴様がそのスーツを持っている?」
ラウラはこちらを睨む。
「あ、ISスーツ?」
も、もしかしたら私のは市販されてないようなものなのだろうか?
「それはドイツ陸軍のKSK所属のIS猟兵専用の特殊スーツだぞ。貴様が持てるような代物じゃない。」
(千冬さんどこに注文したんですか!それ一歩間違えれば絶対ダメなやつでしょ!)
「こ、これは…れ、レプリカなんです。」
「レプリカ…。ふん。まぁいい。」
(あ、危なかった…。なんでこうも千冬さんが絡むと面倒くさくなるのかなぁ。)
時計を見るともう5分前である。急がなくてならない。
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~授業後・廊下~
授業は特段原作と変化はなかったような気がする。ちなみに私はセシリアのところに入れられた。
私だけ扱いが変…ということもなく。今回は基本動作や簡単な模擬戦。班も違うということでいちxほうへの道へは全く近づいていない。
相変わらずの鈍感一夏である。ちなみに映像は黒薊を起動していないのだが、束さんの謎技術は健在であり今回分も無事送信されたそうである。
この後の午後からはISの整備の授業だ。
(まぁこの辺はもうとっくに習ってるんだけどね…。)
食堂へ行くために廊下を歩いていると何やら声が聞こえる。
「教官!」
その声に反応した千冬さんはパシンと出席簿をラウラの頭へたたきつける。
「織斑先生と呼べ。それでなんだ?」
「…ドイツへお戻りください。」
「無理な話だな。」
「…ここはISをファッションかスポーツのように考えている人間が多すぎます。」
「ほう。」
「教官の腕ならばこんなところにいるべきではありません。」
「…その考え少しは改めたほうがいいな。ラウラ。明日の放課後第3アリーナへ来い。」
「アリーナですか…?」
「ああ。模擬戦をやってもらう。」
「まさか…ロシア代表と?」
「楯無…?まさか、アイツにお前が勝てると思っているのか?アイツじゃない。お前にもっとふさわしい相手だ。」
「ふさわしい…相手…」
「楽しみに待っていろよ。それと…」
バシンッとまた出席簿が振り下ろされる。
「織斑先生だ。三回も言わせるな。」
「は、はッ。失礼しました。」
そういうとラウラは反対方向へ戻っていく。
(…この流れ絶対そうだよね。絶対私明日第3アリーナ行くことになるよね…。)
そう考えていると何やら千冬さんのつぶやき声が聞こえる。
「…私はまた冬香を頼ってしまったのか。私は…アイツに頼りすぎだな…。今回も…アイツは受け入れてくれるだろうか…。」
その千冬さんはまるで鬱な顔をしていた。悲しいような…後悔のようなそんな感情が混ざった顔。
そんな顔を私は物陰から見て、そして言葉を聞いていた。
私は…私は別に構わない。過去の模擬戦や戦闘で慣れと経験は明らかにたまっている。
でも…負けるかもしれない…。今度の相手、ラウラ・ボーデヴィッヒは軍人なのだ。
錬度も経験もおそらくあっちのほうが上だろう。千冬さんは私に頼むつもりだけど…。いくら適正がS+だからと言って私が確実に勝てるという証拠はない。
もし負けてしまった…私はそのことを考えた。もし負けてしまったら私は千冬さんからどんな目で見られるのだろうか。
それが脳裏に浮かぶ。そうではない…と考えたいがもし負けてしまったら千冬さんは私に「失望」の目を向けてくるかもしれない。
今までにはなかった恐怖が今一瞬のうちに生まれた。
「冬香…聞いていたのか?」
「あ…千冬さん…。」
どうやら見つかってしまったようだ。
「すまない冬香…。お前にばかり苦労を掛けさせて。」
「い、いえ。いいんです。明日の放課後…第3アリーナでしたよね。」
「ああ。そうだ。その…頼んだぞ。」
「はい。頑張ります。」
私は少しぎこちなく微笑む。
千冬さんは「すまんな」と言って職員室へ歩き始めた。
「あ、あの。千冬さん。」
「ん?どうした?」
「あ…いえ。すみません。やっぱりなんでもないんです。」
「そうか…。何か質問があったら何でも聞いてくれ。」
「本当に何でもないですから…。それじゃあ、また授業で。」
「ああ。」
……聞けないじゃないですか。『もし負けても私を見捨てないでくれますか』なんて…。
珍しく少し長く書きました…。
冬香の感情にもいろいろ変化が出てきました。
正直言ってしまうと負けフラグではないのですが…。
まぁ、深くはあとがきでは言いません。
感想とか意見要望よろしくお願いします!