TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
「それにしてもすごい人だよね~」
最後までチョコたっぷり。
それをポリポリ口に入れながら
あれから何かあったといえば、束さんから空メール(これが本当に謎)が届いたことぐらいであった。
これなんですか?って追求しようとしても、コンタクトが取れない。電話にも出ないし、メッセージにも既読がつかない。
本当に自由な人だ。
まぁ、それはそれとしてペアのほうは厳正なる審査の結果のほほんさんとペアになった。
あいかわらず小動物みたいでかわいいものである。
「それにしたってふゆふゆと一緒になるとは思わなかったよぉ~」
「私もだよ。のほほんさんはとっくにペア決まってるのかと」
「私は生徒会のほうで準備とかやってたからね~。これが一番楽だったからさぁ~」
私が覚えている限りではこのトーナメントにくじで参加したのはラウラ・ボーデヴィッヒと篠ノ之箒の二名だけであったはず。
これも私が居る影響なのか。
「さて、私たちの席は…」
先日起きた突然な抽選システムの不調によって今朝対戦くじが引かれたばかりである。
そして対戦順の発表がついさっき。私たちは2試合目だった。
なんと運のよいことだろうか。一夏・シャルペアとラウラ・箒ペアの次である。
じゃあ待機室なり何なりにいればいいのではないか…と思ったのだが第1試合後には俗に「お偉いさんのスピーチ」というものが控えてある。
その為代表候補性同士の戦いが第1試合へ組まれていることが多い。
実際別のアリーナでは鈴とセシリアのペアが組み込まれていた。
他学年にしてもダリル・ケイシー、サラ・ウェルキン、グリフィン・レッドラム等の名前も第1試合に見える。
『では、Aブロック第1試合を開始します。両ペア指定座標へ機体を固定。以後30カウントダウンで開始となります』
放送担当の教諭の声だった。
アリーナにセットされた大型モニターとスピーカーがカウントダウンを知らせてゆく。
5…4…3…2…1…0
刹那。始まったのは短期決戦を前提にした織斑一夏の
一応、高等機動技術の扱いである本技を1年生の時点で扱えれば評定B+以上確定とまで言われるほどらしい。
私も彼と戦ったことのある一人、成長はひしひしと伝わってくる。
《でもふゆちゃんより弱いね》
「! ! ?」
身体が震えた。
急に耳元でささやかれたかのような感覚。
束さんの声が、聞こえた…気がした。
「どうしたの?」
のほほんさんが聞いてくる。周りを見渡しても束さんの姿は見えない。
「ん…いや。何でもない…かな?」
きっと空耳だ。多分空耳なのだ。
余談だが空耳には「聞いても聞かないふりをすること。」という意味もあるらしい。
その間にも戦闘は進んでいた。モニターには篠ノ之箒の名前がグレーアウトし、赤くバツがつけられている。
この戦いから脱落した。それを意味していた。
「あ、しののん負けちゃったね。」
「相手はデュノア君だからね…。近接型の篠ノ之さんとは相性悪い…かな。」
「…ふゆふゆってさぁ」
「ん?」
「やっぱり、しっかり皆のこと見てるんだね」
むむ、のほほんさんよ。私だってしっかりと授業受けてるんだぞ。
そしてそんな神妙な顔つきになる必要があるのだろうか。
「どうしたのいきなり?」
「何でもな~い!」
パッといつもののほほんさんに戻る。
ワァァァァァァァッ!
次の瞬間、会場中が歓声に包まれた。
アリーナ中央へ目を移すと、一夏が零落白夜を発動したようだった。
二対一ながらもラウラ・ボーデヴィッヒはまだこの戦いをコントロールしていた。
操縦技術に加えて技術と…あれは執念。
しかし、ほんの少しずつ試合の流れは一夏たちへ傾き始めていた。
今まで中距離からの支援や面での制圧を行っていたシャルも、瞬時加速を使いこなし一気に近接戦闘に参加している。
コンビネーションのよさ。二人がペアとして訓練をした時間は一般的に『即席』というレベルだがうまい具合にはまっている。
そして、シャルの「シールド・ピアース」。正式名称「灰色の鱗殻」が三発。シュヴァルツェア・レーゲンを貫いた…。
(話が動くのは、ここから…)
『アアアァァァァァッッッ!!!!!』
アリーナから響く、豪声。悲痛すぎる叫び。それはまるで…心を侵す声…。
何処からか、そんな声が聞こえる。何かにおびえるような、声だった。
負けたくない。見捨てられたくない。
嫌だ、嫌だ。
嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!
…私は、何のために。
…私は、あの人のために。
…私は、力が欲しい。
脳に直接響くような声、それは紛れもなくラウラ・ボーデヴィッヒの声だった。
(ISが、共鳴している…?)
本来であれば一夏君が解決する話。
だけれど、私に届くこの苦しみをただ黙って見過ごすことはできなかった。
「ごめん、のほほんさん!ちょっとだけ席外す!危なくなったらすぐ逃げて!」
私はそう言って、席を飛び出る。
さすがにあそこでISを展開させるのはまずい。
ひとまず、人のいないハンガーへたどり着いた。
「来て!黒薊!」
その黒き鎧は私を包み込むように展開する。
《機体のアップデートデータ確認…。インストール中…完了》
約二秒。ポップが現れた。
《追加パッケージ確認。アンチ・ヴァルキュリアシステム、起動》
「なに…これ…?」
今までこんなポップは見たことがなかった。しかも音声付きである。
《…操縦者の心理的、肉体的運用制限を確認。…ナノマシン接続…。強制開放プロセスを実行》
更に現れる無数のポップアップ。
同時に周りの風景が同化してゆく。
視覚も、聴覚も、何もかも。
繋がっていくような全能感
「システムが、変わっていく!?それに…これって!」
《コード・
『お姉ちゃんが助けに行くからね!白式!』