TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~   作:地味子好き

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トーナメント編③

「ここは…?」

 

私が目を覚ますとそこは医務室のベッドの上だった。

 

「目が覚めたか?」

 

「きょ…いえ、織斑先生。」

 

私がそういうと教官は目をぱちくりさせる。よほど私が織斑先生と呼んだことが意外だったのだろう。

 

「全身に打撲と筋疲労がある。明日は動けんぞ。」

 

「私は…」

 

何をしてしまったのだろう。

 

「…ヴァルキリー・トレースシステムは知っているな?」

 

「はい…ですがあれは条約違反で…」

 

数年前、各国が躍起になって開発をしていたが、スペインでの実験中にいきなり機体システムがダウン。

 

パイロットは精神汚染に近い症状と半身麻痺で引退を余儀なくされた。

 

三年前のアラスカ条約改正で開発、仕様の一切の禁止が追記された。

 

「それがお前のISに積まれていた。」

 

「私が…望んだからですね。」

 

貴女になること。貴女の力を手に入れることを…

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

ビクッと体が震えた。

 

「お前は誰だ?」

 

教官はにこやかに私に問いかける。

 

「私は…。教官。私は私でありたい。今までの私は貴女になることをずっと望んできました…。それは目標でも手段でも何でもない…ただの悍ましい呪い。でもっ!」

 

若干言葉が詰まる。

 

「でも…私は、目標が出来ました。」

 

「ほう…?」

 

「私が…ラウラ・ボーデヴィッヒになること。そして…彼女と肩を並べることです。」

 

私は今から私になる。今までの私じゃない、私が求める「私」に…。そして「私」として角谷奈津美を超える…。

 

そして…私を助けてくれた一夏と…。

 

それを考えると急に胸がドキドキする。顔が熱くなる。

 

「まだ時間はある。たっぷり悩めよ。小娘。」

 

教官は私へ見たこともない笑顔を見せた。

 

「はいッ!教官!」

 

 

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~1年寮 冬香・簪の部屋~

 

「あ゛~づがれだ~」

 

腑に落ちない結末となったあのフェストゥム紛い。今はいったんそれを忘れベッドへダイブする。

 

なんだかこうするのも久しぶりな気がする。

 

幸い簪ちゃんは帰ってきていない為、気の抜けた声を存分に出せる。

 

「…そういやあれからのほほんさんに会ってないな。」

 

緊急事態とは言え変な別れ方をしてしまった。…と、言うかアレ絶対感づかれたでしょ。今更ながら。

 

「…どうしよ。」

 

流石にのほほんさんだから、むやみやたらに言いふらすことはない。

 

ああ見えてのほほんさんはとっても口が堅いのだ。というか天然キャラを装いつつすべて計算している……気さえする。

 

そうだ、スマホずっと充電したままだった。ベッドから降りて私は机のある部屋へ。

 

「…あれ?」

 

私の机の上を見るとネットショッピングサイト、AMAZANの包装が見えた。IS学園に入ってから利用はしていないはず…

 

「AMAZANだ…名前も私…。」

 

ピリピリと包装を外すと文庫本が出てきた。

 

「…へ?…え?」

 

『インフィニット・ストラトス ⑫ オーバーラップ文庫』

 

その本にはそう書いてあった。

 

「それに誰この娘…。」

 

表紙にはいかにもお姫様!というキャラが描かれている。

 

ビニールを取りページを捲ろうとすると何やら1枚の紙が落ちてきた。

 

「ん…?なにこれ。」

 

メモ書きであった。

 

冬香ちゃんへ!同じ神の僕の奥さんにいろいろ話したら、せめて死んだ後に出た小説を送ってあげろと言われたので送ります。

 

ちなみにアマゾンで買ったんですがよくわかんないパチモンサイトみたいな包装になっちゃいました。ごめんね!費用はこっち持ちです。

 

「あいつ結婚してたんだ…。」

 

送り主は愛すべき神(クソッタレ)である。とりあえず、時間があるときに読んじゃおう。今は鍵付きのロッカーにしまっておく。

 

 

 

ガチャリと扉が開く音がした。恐らく、簪ちゃんが帰ってきたのだろう。

 

 

 

…そういえば大会中簪ちゃん何やってたんだろう。

 

 

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~翌日 1年1組~

 

「えぇっと、それじゃあ、転校生?を紹介します…。」

 

山田先生がどういっていいのかわからないとわかる声色で話す。

 

(そういえば私、シャルに関してはほとんどノータッチだよな…)

 

「シャルロット・デュノアです。改めてよろしくお願いします。」

 

コルセットを外し、女子用制服を着たシャルは女になった私から見ても可愛らしい。

 

「デュノア君はデュノアさんでした…。」

 

「「「「「「ええええええ!?」」」」」

 

クラス中が驚きの声に包み込まれる中、女子の一人が神妙な顔つきをする。

 

 

 

「待って。昨日男子だけで大浴場入ったはずだよね…?」

 

 

 

…その一言が教室に渾沌をもたらしたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

「死ねぇぇ!一夏ぁぁぁぁ!」

 

 

けたたましい音と共に双天牙月を構えたチャイナ娘がドアを蹴り破って突っ込んでくる。

 

 

いきなりは心臓に悪いのでやめてほしい。

 

 

私を除くクラス中がこの後の展開を予想したが、それが当たることはなかった。

 

彼女-ラウラ・ボーデヴィッヒがAICで甲龍の動きを止めたのである。

 

「た、助かったぜ…。というかもうIS直ったのか。随分早いな。」

 

「ああ。予備パーツで最低限修復してもらった。」

 

「へぇ。そうなーむぐっ!?」

 

一夏の発言は最後まで行くことなく、終わった。

 

ラウラ・ボーデヴィッヒの口づけによって、である。

 

「お、お前は将来私の嫁になってもらう。決定事項だ!」

 

「よ、嫁…?婿じゃなくてか…?」

 

「む?日本では気に入った相手を嫁にするのだろう?」

 

毎度思うが一夏の対応に非も少なからずあるとは思う。…まぁキスされたことないから分からないけど。

 

「なっ…なっ!?」

 

「……コロス」

 

「…………」

 

箒がうろ耐え、鈴がつぶやきながら近づき、セシリアがスターライトMK.Ⅲを構える。

 

「ま、待て今のは違うだろ!?」

 

一夏が必死の釈明を続けるが、燃え盛る炎にコップ一杯の水をかけようとしてもそれは無駄なのである。

 

「しゃ、シャル…?」

 

一夏包囲網に新しくシャルも加わった。

 

「一夏ってこんなに女の子のいる前でキスするんだね。」

 

びっくりしちゃったと言いつつ右手にはグレースケール、パイルバンカーが展開されている。

 

 

「まっ…待ってくれぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

その声は虚しく響くのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




設定に角谷奈津美と黒薊の情報を追記しました

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