TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~   作:地味子好き

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学園編⑫

織斑一夏とゆかいな仲間たちがわちゃわちゃしていた頃。

 

私はとある計画を練っていた。クライアントからのご要望。名付けて

 

『他人の恋路に首を突っ込むことほど野暮なことはないがやらねばならぬ私が束さんに殺されないために作戦』

 

である。私の友達である優秀なスパイのおかげで今日、一夏くんはシャルとお出かけということがわかっている。

 

ありがとうスパイ。お礼のお菓子の詰め合わせは喜んでくれたかな?

 

「し、失礼する!」

 

おっと時間通りだ。時刻は午前10時。この部屋にいるのは私だけ。簪ちゃんは頑張って打鉄弐式を製作中である。

 

「いらっしゃい。()()()()()。」

 

そう篠ノ之箒。彼女を支援するために私は今日ペテン師となる。

 

「それで…話とは何なのだ?」

 

「まぁまぁ、先ずは座って。飲み物…何か飲みたいものある?」

 

「あ、ならアイスココアはあるか…?」

 

「ん、分かった。」

 

冷蔵庫からアイスココアを取り出しコップへつぐ。私はアイスコーヒーだ。

 

ちなみに私が使っているマグカップはリベンジ・オブ・イデの紋章が描いてある。

 

「今お茶菓子も出すから…えっとココアに合うお菓子は…っと」

 

たしか甘くないプレーンビスケットがあったはずだ。それにオレンジピールの酸味の効いたパウンドケーキが…

 

「これで良しっと」

 

「それで…私はなんで呼ばれたのだ…?」

 

「簡潔に言えば、貴女のことでね。」

 

「私の…?すまない。特に私はお前と何かあったとは…」

 

「うん。こうしてしっかり話したのは今日が初めてだと思うな。」

 

「だったらなおさら…」

 

「篠ノ之さん。わたしね、実は心理学かじってるんだ。」

 

ここからが私のターン!魅せろ!ペテン師冬香!

 

「心理学…?」

 

「うん。篠ノ之さんさ不安でしょ?織斑くんがとられないか。」

 

「なっ…!!」

 

うんうん。思った通りの表情。

 

「私ね、篠ノ之さんに協力しようかと思って。」

 

「い、いらん!私は実力で一夏を…」

 

「まぁ落ち着て。織斑君さ今日シャルロットちゃんと一緒に買い物してるんだよね。」

 

「なっ…き、貴様…」

 

何故私をここに引き留めさせる-まぁこのくらいはね。

 

「箒さん。織斑君がちょっとやそっと女子がアピールしたって全然そういう関係にならないのってなんでだと思う?」

 

「そ、それは…やつは鈍感だから…」

 

よし、しっかりこっちに食いついてきた。束さん。私頑張るよ!

 

「私、違うと思うな。」

 

「な、なに…?」

 

「織斑君にさ、皆()()()()()()()なんじゃないかな?」

 

マグカップを口につけコーヒーを飲み込む。

 

「アピール…し過ぎ…だと?」

 

「うん。織斑君って昔からちふ…織斑先生と二人きりだったんでしょ?」

 

「ああ…」

 

「ならさ、()()()()()()()()()って少ないんじゃない?」

 

「受け入れられる…?」

 

「ちょっと言葉が難しいけど…篠ノ之さん。織斑君のこと優しく受け止めたことってある?」

 

「受け止める…?」

 

「そう。例えばさ、裸を見られても竹刀で殴ったりしないで優しく注意する…むしろ抱きしめてみる…とかさ?」

 

「なっ…!?」

 

箒さんはなぜそれを知っているみたいな顔を浮かべる。

 

「やっぱり。見ててもみんな織斑君の事ひどく扱いすぎじゃない?」

 

「そ、それは…奴が…」

 

「それってさ、本当に一夏君が進んで触ったりしてたの?ボーデヴィッヒさんとのキスだってさ、ボーデヴィッヒさんからしたことじゃない?違うの?」

 

彼女は縮こまってゆく。

 

「篠ノ之さん。貴女が一夏君の幼馴染だったらさ?一夏君の事、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?好きな男が他の女とイチャイチャしてる?胸を触った?裸を見た?それが許せないから暴力に訴える?」

 

それは…それは…

 

彼女の声はどんどん小さくなってゆく。

 

そんなんじゃ好きなんて気持ちが伝わるわけないでしょ!ふざけんな!

 

よし!決まった!これで箒さんが一夏に対して優しくなると言えば勝ったも同然!

 

きっと箒さんは決意を新たにしたすがすがしい顔を…

 

 

「…へ?」

 

 

 

「ひっぐ…ひっぐ…わ、私だって素直になりたいんだ…でもつい手が出てしまうんだ…うわぁぁぁん!」

 

 

泣き出し…た?あれ…これ…私、束さんに妹を泣かせたなとか言われて死ぬ流れ…になっちゃわない!?

 

「ご、ごめんなさい篠ノ之さん。強く言い過ぎて…ほら!タオルあるから!」

 

泣き始めた彼女の背中をさすり私は何とか落ち着かせようとする。

 

 

その時であった。

 

 

「冬香、すまんお前に知らせたいことが…」

 

 

ノックせずいきなり入ってきたのは…千冬さんだった。

 

 

「冬香…お前…」

 

「ち、違います!いや、違くはないのか?とにかく篠ノ之さんを落ち着かせるの手伝ってください!」

 

 

この後箒さんを落ち着かせるのに30分かかった。

 

結局箒さんは泣き止むと同時に顔を赤らめ、これからの協力を頼むと言い残して帰っていった。

 

ちなみにその時千冬さんには外で待ってもらった。流石に今関係がばれたらそれはそれで面倒だったから。

 

 

-----

 

「なんで篠ノ之が泣いていたかは聞かないでおく。」

 

「ははは…そうしてもらえるとありがたいです…」

 

千冬さんには温かいコーヒーとクッキーを出している。

 

「それで、本題だ。冬香、今までお前の黒薊は国の研究機関所属という扱いになってた。」

 

黒薊は束さんが生み出したISである。一般的なISに必要な定期的なメンテナンスはいらず、日々データの蓄積と機体のアップデートが行われていた。

 

「それがどうしたんです?」

 

「7月1日付けで所属が倉持技研に変更…という形になった。まぁ、ほぼ今までと関係ないがデータの一部を提出する必要が出てきたのでな。」

 

「はぁ。じゃあまとめておきます。」

 

「そういうことだ…そうだ、近々臨海学校があるが…水着は買わなくていいのか?」

 

「あー、私海で着るような水着持ってないんですよね…」

 

「そうか…じゃあ今から買いに行くか?山田先生も一緒に。どうせ近場だ。」

 

「………いえ遠慮しておきます。」

 

「そう…か…」

 

千冬さんなんであからさまに残念そうな顔を…?そもそも生徒と一緒に教師が買い物ってそれはそれでアリなのか…?

 

「また今度誘ってください?」

 

「ああ。そうさせてもらう。」

 

千冬さんはにこやかに笑う。そうしてカップを置き椅子から立ち上がって部屋を出てゆく。

 

「……そういえば臨海学校原作だと簪ちゃん参加してないけど…どうなんだろう…?」

 

簪ちゃんは必死になって打鉄弐式の完成を目指している。

 

そもそも白式のバックアップに全員が駆り出させるってそれでいいのか倉持技研。

 

 

 

…そろそろお昼だ。簪ちゃんに何か持って行ってあげよう。

 

 

 

 




次回から臨海学校編に突入します。

ちなみに僕はかんざ新党員ですがモッピーも好きです(半ギレ)

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