TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~   作:地味子好き

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臨海学校編②

「ほう…私の名を知っているのか。」

 

本来ならば現れるはずの無い存在。

 

それが目の前にいる。

 

「なんで…こんなところに…」

 

私が狼狽えているうちに、マドカのラファール・リヴァイブは高周波ナイフを展開、こちらへ突っ込んできた。

 

「お前を…殺す!」

 

「ッ!!」

 

腕のビームトンファーで受け止めると同時に掌に装備されたエネルギー波発生装置…それを腹部へと撃ち込む。

 

「私を…なめないで!」

 

一撃!しかしマドカにダメージを受けた様子はない。

 

「…遅い」

 

相手の脚部が私の腹を直撃した…ドッと重い衝撃が腹部を襲う。

 

「がッ…!!」

 

そのまま地面に私は吹き飛ばされるが、何とか地面すれすれで体制を立て直した。

 

「だったら!イケっ!フィンファンネル!」

 

背部バックパックを速やかに換装し六機のファンネルを展開する。

 

「ほう…お前も適性を…」

 

しかし四方八方から放たれるビームを流れるように避けていく。

 

 

…おかしい。見た目はラファール・リヴァイブだが機動性が明らかに違う。

 

 

「ならッ!」

 

ビームマシンガンを呼び出し、ファンネルで動きを誘導させ一気に押す…それが最善だった。

 

さらに左手には斬艦刀-アロンダイトを呼び出し、超高速で接近…

 

その瞬間ISの警告音が鳴り響く。

 

「きゃぁぁぁぁぁ!熱い!熱いよぉ!」

 

燃えるような熱さ…そして鋭い痛みが背部を襲った。

 

そしてその攻撃の主、新たに表れたISの尾ひれ-それが私を地面に打ち付けた。

 

「エム!遊び過ぎよ。今日は挨拶だけ…そうでしょう?」

 

炎を纏った黄金のIS-すなわち黄金の夜明け(ゴールデン・ドーン)

 

「初めまして…でも、互いに自己紹介は不要みたいね。」

 

「…スコール…ミューゼル…」

 

亡国の幹部にして実働部隊、モノクローム・アバターの隊長…

 

今の私では到底勝てぬ相手であった。

 

「また会いましょうイレギュラー。エム!撤収よ。」

 

「……」

 

彼女はそう言ってマドカを引き連れてどこかへ飛んで行く。

 

 

 

二人がが見えなくなると全身の力が抜けていくのが分かった。

 

 

あのまま戦っていたら-私は死んでいた。

 

その恐怖が今になって心へ訴えかけてくるのだ。

 

本来、ISが被弾したときその衝撃は来たとしても熱や寒さなどの感覚はその操縦者には来ない設計になっている。

 

しかし、それが幻肢痛のように私は感じた。熱くて…痛くて…怖かった。

 

自然と涙が零れ落ちる…ただ怖くて、それで泣いた。

 

痛みじゃない、悲しみじゃない涙は…初めてだった。

 

何とか立って歩けるようになるまで回復したのは3分後、…時計を見ると私が外に出てから30分もたっていなかった。

 

今帰っても消灯の時間には間に合う…。

 

 

千冬さんに…言ったほうがいいのだろうか。

 

でも、私がそれを言えば彼女はさらなる苦労を負うことになる。

 

私のために千冬さんが…傷つくかもしれない。

 

それだけは避けないといけない。唯でさえ私のせいで彼女に苦労を掛けている場面があるのだ。

 

これ以上彼女がオモニを背負う必要なんて-どこにもないんだ。

 

私のせいで。私が理由で。私が………。

 

 

 

 

 

お ま え の せ い だ 

 

 

 

 

「嫌…イヤ…違う…私は、違う…私じゃない、私じゃなくて…イヤ、イヤ、イヤぁ!」

 

 

ぷつり

 

 

何かが切れた。切れたのは何?なんで切れたの?

 

 

違うよ。私じゃない。

 

 

 

 

お前だよ 天利冬香 お前が全部悪いんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

「ありゃりゃりゃりゃ?うーんナノマシンの誤作動かなぁ?まぁ絶対死なないように黒薊が保護してるからいいけど。」

 

篠ノ之束はディスプレイに映し出された一人の少女を見つめながらつぶやく。

 

「しっかし可愛いなぁ。本当に可愛い。ちーちゃんの目の前で殺してあげたいなぁ……」

 

そういうと彼女はテーブルの上にあったロールケーキを一口で食べる。

 

「うーん……ほんと、どうしようね。最初は頭のイカレタ可哀そうな子なんても考えたけど、普通にいい子だしなァ…。」

 

彼女がキーボードを操作するとさらに無数のディスプレイが空に浮かび上がった。

 

「そういえばふゆちゃんってどこまで知ってるんだろ?まぁちーちゃんといっくんが人間じゃないってのは普通に知ってるとして………あ、ちーちゃん来た。じゃあ、ついさっきの戦闘みーんな記憶消して…うーん急に貧血っぽくなって倒れたでいいかなぁ…よぉし記憶の書き換えかんりょー!」

 

天利冬香、彼女は篠ノ之束から愛された数少ない………モノ

 

 

 

 

~~~~~

 

「……かッ!…かッ!とうかっ!冬香!」

 

呼び声が聞こえた。私をいつでも心配してくれる人。

 

嗚呼、そうじゃないか。何が違うだ。

 

私のせいで彼女は涙を流している。

 

…ち…ふゆ…さん…

 

「よかった…!冬香、目を覚まして…」

 

私の顔に涙が落ちる。

 

ごめん……なさい……

 

「冬香…?」

 

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

 

心配かけてごめんなさい。迷惑かけてごめんなさい。私が-私が()()()ごめんなさい。

 

 

だから、お願いします。

 

 

 

 

 

見 捨 て な い で く だ さ い

 

 

 

 

 

私は花。

 

 

アザミの花。

 

 

黒く黒く腐り落ちる前の……墜ちる前の花。

 

 

貴女にいつも笑顔でいてほしいから

 

 

 

私に触らないで

 

 

 

 

 

 

 

 


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