TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~   作:地味子好き

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ここでご報告。

修学旅行まではアニメ版準拠、つまりキャノンボール・ファスト編はカットになります。

一夏の誕生日回→専用機持ちタッグマッチ→ワールド・パージ→運動会→修学旅行と当面はこのような流れで行います。

…あと、前回の時点で一夏の誕生日のことを完全にすっぽかしていたので簪メインの専用機持ちタッグマッチ編は次回からになります。

申し訳ございません。



学園編⑬

「さぁて、改修終わりっ!うーん、束さんだいてんさ~い!」

 

篠ノ之束がいるのはいつものモニターに囲まれた部屋ではない。

 

この移動式のラボ、その中枢部にあるISの製造施設…の、さらに奥。

 

娘であるクロエですら入ることを許されない、禁断の部屋。

 

「う~ん、これでいつでも二次移行(セカンド・シフト)はできるけど…うーん、いつ頃かなぁ。」

 

ぺらぺらぺらと飾ってあったカレンダーを捲る。

 

「まぁ、アレまではきっとやってくれるよね!だってふゆちゃんだもん。」

 

う~ん、と声をあげ身体を伸ばす。

 

「えへへ。楽しみだなぁ、いったいどんな風にやってくれるんだろ!」

 

篠ノ之束の前には黒いISが鎮座している。

 

その機体はまごうことなき、『黒薊』である。…がしかし、()()()()()にはその黒き鋼を全身にまとったフルスキンのISが跪いていた。

 

その数は一機や二機、十機程度ではない。

 

 

縦に並ぶのは二十機。

 

 

そして…その列数は五十であった。

 

 

~~~~~

 

「一夏くんの誕生パーティーですか?」

 

文化祭から一週間ほどが経った今日、千冬さんからそんな相談を受けた。

 

「ああ。病み上がりで悪いが、少し付き合ってほしくてな。」

 

…文化祭の翌日、目覚めた私を待っていたのは事情聴取と長い検査。おかげでまたあのカエル顔の医者に世話になってしまった。

 

だが、若干の疲れと言うこと以外は体に異常はない、との結果だった。

 

事情を知ってる千冬さんと楯無さんにはたいそう心配されたが、こちらも体の不調は殆どないため、返し方に困ってしまう。

 

そして、昨日束さんから意訳すれば「結果として黒薊が再起動した。理由は分からなかった」という電話が入ったため、またあの更衣室で黒薊を渡してもらった。

 

巡り巡って今日、寮長室に呼ばれたので行ってみると相談をされたわけである。

 

「まぁ、私はいいですけど、何をすればいいんです?」

 

「…それがわからんのだ。」

 

「分からない…ですか?」

 

「ああ。どうすれば一夏に喜んでもらえるかと思ってな。」

 

多分、千冬さんがお祝いすれば普通に喜ぶと思いますけどね。

 

…と言うか原作だとヒロインズが自発的にやるはずだったのはなかったのか?

 

「えっと、一夏君の誕生日っていつでしたっけ?」

 

「ん、九月の二十七だな。」

 

「キャノンボール・ファストの翌日…ですよね?」

 

「…そうか、お前にはまだ伝わってなかったんだな。」

 

ん?伝わってなかった…って何が?

 

一応私は生徒会書記補佐なのでそれなりに情報は…

 

「今年のキャノンボール・ファストは…()()()()()()

 

「え…?」

 

「以前の謎の無人機と先日の襲撃者…国家の宝である生徒とISパイロットの安全性を第一に考え、中止になった。」

 

それのおかげで修学旅行も延期になったけどなと千冬さんは付け加える。

 

と、その時トントンと扉をノックした音がした。

 

「ん、ああ。入れ」

 

扉を開けて部屋に入ってきたのは、水色の髪を揺らし扇子を持つ我らが生徒会長だった。

 

「失礼しま~す」

 

「楯無さん…?」

 

「あ、冬香ちゃん、貴女もいたのね。」

 

「ああ。冬香にも手伝ってもらおうと思ってな。」

 

楯無は右手に抱えていたタブレット端末のパスを開き、プレゼンテーションファイルを開いた。

 

そしてそれを空間投影する。

 

「さて、織斑先生、妙案が浮かびました。」

 

バサッと扇子を開く。そこには『偽装』の二文字がかかれていた。

 

 

~~~~~

 

「えっと…ここを…右か、にしてもホントに広いなぁ。」

 

薄暗い廊下を歩く生徒が一人、この学園唯一の男子、織斑一夏だった。

 

日曜の夕方だというのに山田先生に資料運びを頼まれこうして地図を見ながら学園の奥深くまで歩いてきたのである。

 

学園の敷地面積はおそらく世界でトップレベルの広さだ。…流石に山や川を所有するような学校は除くが。

 

「えっと、この部屋か…」

 

少し迷ったが、無事山田先生からもらった地図に書かれた部屋の前までたどり着いた。

 

しかし、扉を開けても部屋の中は灯りがなく、暗闇だけが広がっている。

 

「山田先生…?」

 

声を出してもそれが跳ね返るばかり、人の気配は感じられなかった。

 

 

―ごめんね

 

 

「!?」

 

耳元でそんな声が聞こえた瞬間、一夏は頭に麻袋をかぶせられた。

 

「何…を…」

 

即効性の睡眠薬らしきものを袋の上から吹きかけられる。そして一夏は…意識を失った。

 

 

「寝た…よね?」

 

麻袋をかぶせた少女、それは今回様々な雑用を任された冬香だった。

 

「山田先生!一夏君運ぶの手伝ってください!」

 

「あ、天利さん、ちょっと待ってください」

 

姿を現したのは副担任の山田先生だった。

 

少し、着替えに手間取っていたらしい彼女に向ける視線は何やら呆れのようなものが含まれている。

 

それもそのはず、その手間取っていた『着替え』と言うものが少なくとも教育者が着る様な格好ではない。

 

(…なんで私こんなことしてるんだろ)

 

本来、冬香の仕事は事前準備だけで当日の手伝いはなかったはずだ。

 

しかし、いつの間にか楯無さんに言いくるめられこの場にいる。

 

とりあえず、眠らせた一夏を二人で椅子へ移動させると、まるで拷問器具のような椅子へ手を括り付ける。

 

(…本当にいいのかこれで)

 

少々、サプライズには手荒すぎる。

 

「…さて」

 

一夏を括り付けたら仕事はあと一つしか残っていない。

 

冬香はすぐさま舞台裏へ移動し、更衣室へ入る。

 

そこに立っていたのは…メイド服を着た千冬だった。

 

「と、冬香…その、どうだ?」

 

いつもと違い若干の羞恥を見せる千冬。しかし、羞恥の原因は冬香がメイド姿を見たからではない。

 

「…可愛いですよ。すごく」

 

「なっ…そ、そうか…」

 

冬香は知らないが、千冬の来ていたメイド服は()()()()()()()()()()()()()であった。

 

「じゃあ、早く一夏君に見せてきてください。ほら、パフェも」

 

モニターには外の様子が映し出されていた。

 

丁度、専用機持ちの『ご奉仕』が終わりこれがドッキリであったことが伝えられたようである。

 

「さて…私は帰りますか」

 

舞台へ上がる千冬を見送った冬香は、そう言って部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と、言う訳で完全に忘れていた一夏の誕生日編です。

これで次回からメインヒロイン簪の回が始まります。

意見、感想、評価、よろしくお願いします。

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