TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
トーナメントまであと三日になった今日、1年1組近くの掲示板では専用機持ちを最前列に大きな人だかりができている。
その理由は簡単でやっと今日、待望のペア表が発表されるのだ。
1:織斑一夏-シャルロット・デュノア
2:セシリア・オルコット-ラウラ・ボーデヴィッヒ
3:更識楯無-篠ノ之箒
4:鳳鈴音-グリフィン・レッドラム
5:ダリル・ケイシー-フォルテ・サファイア
6:角谷奈津美-更識簪
掲示板のポップアップの表示が現れると声がより大きくなる。
「あ~、おりむ~はデュのっちとペアだぁ~」
完全ランダム、と言うことで一夏はシャルちゃんとペアになっていたようだ。
「おお、よろしくなシャル!」
「うん!よろしくね!一夏!」
そんな二人をよそに、残りの頭四つから殺気のオーラがビンビンと出ている。
「なによ!なによ!なんでアタシが一夏じゃないのよ!」
「ふっ、やはりフランスとは戦う運命か…。」
「あら、ラウラさん。奇遇ですわね。わたくしも同じことを考えていましたわ。」
「楯無さんとペアになったことに感謝だな。今度こそ…!」
そう言って各々ペア同士の顔合わせのために散ってゆく。
しかし私は身バレ防止のため当日まで『角谷奈津美』の姿で簪ちゃんに会うことは禁止らしい。
「さて…私は生徒会室に行かないと」
一旦教室に戻り私は生徒会室へ足を進める。
ここのところ簪につきっきりだったので一夏君へお願いしに行った時くらいしか生徒会へ顔を出してはいない。
《ピリリリリリ!》
と、ケータイの着信音なった。見たこともない番号だったが、080で始まっているあたり相手もケータイのようだ。
『もしもし?冬香ちゃん?』
「あ、虚さん」
その番号の主は虚さんだった。後で登録しておかねば。
『会長から、本戦まで簪ちゃんと一緒にいてあげてって伝言』
「分かりました。ではそっちはよろしくお願いします」
そう言って通話を切る。どうせ原作と同じように公認ギャンブルをするのだろう。
それじゃあ簪のところ、行くとしますか。
~~~~~
ペア発表から二日経ち、本番を明日に控えた放課後。もう時計は9時を回っていた。
「ふぅ…」
今日一日かいた汗をシャワーで洗い流す。
周りを見渡すが今はこの部屋に誰もいない。さっきまで練習に付き合ってくれていたルームメイトはもう部屋に戻っていた。
「ほんとに…ほんとなんだよね…」
私はそう呟いた。あの、あの角谷奈津美とペアを組めるなって想像もしていなかった。
憧れの人であり夢のヒーロー…。この心の高鳴りは二日経った今日もまだ続いている。
「私…ちゃんとできるかな…。」
冬香と一緒に練習したから、と言ってあの人に追いつけるわけがない。
選抜に全く姿を現さず、さらに独自の専用機まで持っているあの人…。
キュとシャワーを止める。体が火照っているのがわかる。
タオルで身体を拭きながら更衣室へ戻ると、既に時計は1時間も針を進めていた。
早くも戻らなくては冬香に心配をかけてしまう。
私は急いで着替え、自室への道をすすんだ…。
~~~~~
「じゃあ、私はそろそろお暇するわね。」
と、部屋の近くまで来た時何やら話し声が聞こえてきた。
(この声…お姉ちゃん…?)
私は見つからないように廊下の角にそっと隠れる。
「はい。早いけど私ももう寝ちゃいます。」
「あら、簪ちゃん待ってあげないの?」
相手は間違いなく、冬香だった。
「そろそろ戻ってくると思いますし。大丈夫ですよ。」
「そっか。じゃあ、明日はよろしくね。
(……!!)
その一言が聞こえた瞬間、時が止まったような気がした。
(どういう…こと…?)
ふと声が出そうになった口を押え、壁に身体を押し付ける。
心臓の鼓動は見る見るうちに早くなってゆく。
遠ざかる姉の足音と扉を閉める音を聞いた私は、少しずつその扉へと足を進めていった。
(…ッ!)
震える手を何とか押し切り、ドアノブを捻る。
ガチャという音と共に開いた扉の先にはパジャマを着た冬香がいた。
「ふぁあ…あ、簪、お帰り。」
あくびをしながら私へ笑顔を向けてくれる。
(………)
さっきあったことがまだ信じられない。
目の前にいる冬香が、あの角谷奈津美だなんて。
「ん?どうしたの?何かついてる…?」
「あ、ううん…なんでもない…」
やっぱり、私には無理だ。
あの会話が真実だったかなんて
目の前にいる冬香に問う事なんて
私には…、できっこない…。
数カ月かけてこれですか…?
どう足搔いても無理でした。(自問自答)
原作相違点まとめ
・打鉄弐式はマルチロックオン含め完成。冬香が一夏の助力でメンバー集めをしたため何とか出来上がった。
・ペアがランダムに。冬香(角谷奈津美)と簪をくっつける為、数合わせのためグリ姉追加。
・カップケーキどこいくね~ん!