TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~   作:地味子好き

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政府から給付金が来たので初投稿です


秋の大運動会編

「それではこれより、織斑一夏争奪!代表候補生ヴァーサスマッチ改め秋の大運動会を開催します!」

 

 

 

楯無さんがマイクに向けて放った言葉に、ワァァァァァッと、その数倍の大きな歓声がグラウンドに響く。

 

 

急遽執り行われることとなったうえ、()()()()()()()()()と言う点は上級生に大きな不満を与えることになった。

 

 

最終的に楯無さんが取り仕切ってくれた『裏方ポイント制』のシステムで一応の落としどころは付いたわけである。

 

 

うん。この収束までが地獄だった。私の知らない上級生に言い寄られるし、面白そうって理由でイージスの炎のほうはめちゃくちゃ参加しようとしてくるし……。

 

 

一番困ったのは殆ど面識のないグリ姉ことグリフィン・レッドラムだった。

 

 

電話がかかってきたその時まで把握してなかったけど、この前のゴーレム騒動の時に愛機のテンカラット・ダイアモンドが本国修理レベルのダメージを負ったためまだブラジルにいるのだという。

 

 

何とか延期できないかと2時間おきくらいに電話がかかってきていた。流石に二日目からは無視していたけど。

 

 

 

 

「選手宣誓!織斑一夏!」

 

 

 

ビシッ!と楯無さんは一夏くんへ指を指す、と同時にまた歓声が沸く。

 

 

本来なら私もあの歓声を沸かせる、つまり参加側だったのだが楯無さんに頼む込んだ結果私と簪ちゃんは事前準備、事後撤収、その他諸々の裏方仕事に回してもらえた。

 

 

よって鉄組がなくなったので1チームの人数が原作より多くなっている。

 

 

 

「せ、選手宣誓!」

 

 

そう、一夏くんが言い出した。さて、私は一先ず休憩のはずだし、生徒会室に戻ってゆっくりとしようかな……。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

「お弁当、ですか?」

 

 

 

「そうなのよ!悪いけど虚ちゃんと一緒に作ってくれないかしら?」

 

 

 

休んでいられると思ったのもつかの間、生徒会室に戻ろうとしていた私は外で実況しているはずの楯無さんに呼び出された。

 

 

何でも、発注ミスで何人かのお昼御飯が用意できなかった。と言うことで暇していた私と虚さんに、と言う事らしい。

 

 

 

 

「まぁ、別にいいですけど」

 

 

 

「良かったわぁ!簪ちゃんじゃちょっと不安だったから……」

 

 

 

あーうん、まぁ簪は……うん。今朝もどっこらショットかけたヨーグルト食べてたし…。私も一口食べさせてもらったけど、さっきまで口の中から甘さが消えなかった。

 

 

 

「それで、だいたい何人分足りないんですか?」

 

 

 

「えっと、私たち生徒会役員用の五人分、それと薫子と……当直の織斑先生の分ね」

 

 

 

「千冬さん?」

 

 

 

「そうなのよ。今日の当直なの。それじゃあよろしくね!」

 

 

 

楯無さんはそう言って、私にエプロンを渡しグラウンドのほうへ戻っていった。

 

 

眼前のテーブル上には炊飯器に、寸動鍋。調理器具がずらりと並び、その横には食材が載っている。私はすぐにその中から三角巾を手に取り、頭にそれを巻く。

 

 

そうして既に準備を終えていた虚さんにエプロンの紐を縛ってもらう。

 

 

 

「それで、メニューは何を?」

 

 

 

「お嬢様が、運動会らしくってそれだけみたい」

 

 

 

「運動会らしく…ですか」

 

 

 

 

そう言われて思い出すのは、重箱に入ったおにぎり、から揚げ、玉子焼き。タコさんウィンナー。それとポテトサラダにウサギ型のリンゴとか。

 

 

うん。(天利冬香)の記憶から思い出されるのはそんなお弁当だった

 

 

 

「とりあえず書き出してみたわ」

 

 

 

 

虚さんがそう言ってメモ用紙を手渡す。私の思い浮かべてたのに加えてキュウリとチーズが入ったちくわにトマトと枝豆。それにリンゴ以外の果物があるくらいだ。

 

 

うんうん、やっぱり考えることは同じみたいだ。

 

 

 

「じゃあ、始めましょうか」

 

 

「はい!」

 

 

 

私たちは『運動会のお弁当』を作り始めた。

 

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「全くひどい目に合った…」

 

 

午前の部でくたくたになった俺は一人とぼとぼと歩いていた。

 

 

学園外縁部のリラクゼーション広場。綺麗な緑にまだ残暑感じる熱気と心地よい風が感じるここはみんなで弁当を食べるのにはピッタリだった。

 

 

あたりを見まわすとやはり多くの生徒がここでワイワイきゃあきゃあと各々のランチタイムを楽しんでいる。

 

 

 

「一夏ぁ!」「一夏く~ん!」「おりむ~!」

 

 

 

そう俺を呼ぶ声の方向へ身体を向けると、みんなが大きなレジャーシートの上に座り各々に弁当を広げていた。

 

 

 

(そう言えば俺の分の弁当は生徒会で用意してくれるんだったな)

 

 

 

「おりむ~はここ~」

 

 

 

そう言って隣をポンポンと叩いて主張する。他の皆が反対意見を言わないところを見ると何か事前に決められていたようだ。

 

 

 

「はいこれ。織斑君の分」

 

 

 

反対隣りの虚さんが紙皿におかずを取り分けてくれる。それにラップに包まれたおにぎりとお茶も一緒だった。

 

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

ウェット・ティッシュで手を拭き、俺はおにぎりのラップを開く。

 

 

 

「いただきます」

 

 

 

そう言って俵型に握られた海苔の巻いてある小さめのおにぎりをほおばる。

 

 

疲れた身体に中身の昆布の佃煮の塩気が染みる。

 

 

受け取った皿にはタコの形に焼かれたウィンナーと玉子焼きもあった。

 

 

 

「うん、美味い!」

 

 

 

卵焼きは甘く、他の塩気のあるおかずとのギャップがまたいい。

 

 

しかし、この弁当はどうみても既製品じゃないよなぁ。

 

 

 

「虚さん、このお弁当誰が作ったんです?」

 

 

 

「私と冬香ちゃんよ」

 

 

 

「冬香?」

 

 

 

そう言われてあたりを見回すが、今一緒に食べてる中には彼女の姿がなかった。

 

 

そんな俺を見て楯無さんはふふっと笑い、運動会の醍醐味と書かれた扇子を広げた。

 

 

 

「ちょっと待っててね。冬香ちゃんなら今……って来たみたいね」

 

 

 

「すみません!遅くなりましたぁ」

 

 

 

 

楯無さんが言い終わる前に、冬香が息を切らしながらやってきた。

 

 

 

彼女の右手には()()()()()()()()()()()が握られている。

 

 

 

 

 

「ほら!()()()()()()()()!みんなで一緒にご飯食べましょう?」

 

 

 

「いや、私は……」

 

 

 

冬香が連れてきたのは今日当直のはずの千冬姉だった。

 

 

 

「ほら、いいじゃないですか織斑先生」

 

 

 

楯無さんがそう言うと虚さんは察したかのように俺の隣を開ける。

 

 

千冬姉はしぶしぶという表情で俺の隣に座る。それを挟むように千冬姉の隣に冬香が座った。

 

 

 

「ほら、どうぞ」

 

 

そう言って冬香は千冬姉へおにぎりを手渡した。千冬姉は断ることはできず、いただきますと言って口に入れる。

 

 

美味しい、と千冬姉が言うと冬香はにっこりと笑顔を浮かべて自分もと食べ始める。

 

 

「一夏!」

 

 

そう呼ぶ声が聞こえた。

 

 

「鈴、どうした?」

 

 

鈴が酢豚で満杯になったタッパーをこっちによこしてきた。

 

 

「あたしの酢豚もあげるわ!」

 

 

「ずるいぞ!ほら一夏、西京焼きだ。食べるだろう?」

 

 

「そうですわ!一夏さん!わたくしのサンドイッチもぜひ食べてくださいませ!」

 

 

「ああっ!ほら一夏、僕とラウラで作ったミネストローネもたべて!」

 

 

鈴を皮切りに皆が我も我もと押しかける。

 

 

 

「おわっ、ちょちょっと待ってくれ一人一人で頼む!」

 

 

 

あわただしくて、楽しい運動会の時間は、刻一刻と過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

 

その後の運動会は、皆がISを出すし、機械を壊すしで更に渾沌を極めることになった。

 

 

そしてその日の夜、クタクタになった俺は無性にソーダが飲みたくなり近くの自動販売機まで足を進めていた。

 

 

 

「む、一夏か」

 

 

 

「千冬姉はまだ仕事?」

 

 

 

偶然出会った千冬姉の姿はもう8時半だというのにスーツのままだった。

 

 

カフェイン摂取のためか、自動販売機から吐き出されたのはブラックコーヒーだった。

 

 

 

「ああ。馬鹿共が今年導入したばかりの標的機を壊したおかげでな」

 

 

 

はははと笑いながら俺は小銭を自販機へ入れ、ソーダのボタンを押す。

 

 

 

「……なぁ千冬姉」

 

 

落ちてきたペットボトルを取り、キャップを開けて俺は言った。

 

 

 

「なんだ。改まって」

 

 

 

「……もし、もし俺たちの両親が俺たちを捨ててなかったら、あんなこともあったのかなって」

 

 

 

それを聞いた千冬姉は何かを言う様子もなく、口を閉じている。

 

 

 

「手作りの弁当持ってきてくれて、ああやってみんなで食べてさ。なんかわかんないけど、それが家族なのかなって」

 

 

 

そう言った俺もまた、口を閉じる。俺と千冬姉の間にはしばしの沈黙が流れお互いに飲み物が喉を通る音しか響かない。

 

 

 

 

「一夏。……私たちに両親なんかいない。だが、そうかもな。もしいたら、あんな感じだったのかもしれん」

 

 

 

コーヒーを飲み終えた千冬姉はゴミ箱に缶を捨て、最後はつぶやくようにそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お久しぶりです!クッソ久々な投稿になり、キャラの喋り方とかもろもろ忘れてました。秋の大運動会編はこれでおしまい!次々回あたりから修学旅行編へ入りたいと思います。ちなみに新作短編が公開されたとき飛び上がるくらいうれしかったです。
おう速く13巻書くんだよあくしろよ。

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