TS転生 地味子と行くインフィニットストラトス~ハーレムには入らない~ 作:地味子好き
「えっきべん~えっきべん~」
「本音、さっき何か食べてなかった…?」
東京駅の中にある、駅弁売り場。朝食を抜いてきた生徒たちがこぞって駅弁を買っていた。
もちろん私ものほほんさんと簪と一緒に買いに来ている。
「あれはぁ、フルーツサンドだから別腹~あ!ますのすしだぁ~」
「私は…じゃあこれ」
のほほんさんは富山のますのすし、簪は幕の内を選んでいた。
「カツサンド…いや地方で攻めるか…いかめし…牛タン…釜めし…」
ふむ、意外とこういうのは決めるに決めらない。
うん。ここはのほほんさんに選んでもらおう
「う~ん、じゃあふゆふゆにはこれ~」
「植木鉢…?」
渡された弁当は家庭栽培なんかで使うような植木鉢に新聞紙でふたをした異様なものだった。
「中身は普通のお弁当だからさ~」
私はそう言われるままに、この植木鉢をレジに持って行った。
―――――
「ついたぁ~」
ほぼ一週間ぶり二度目の京都。私は三人席の真ん中で、簪とのほほさんに挟まれながら京都までの約二時間を過ごしていた。
ちなみに例の植木鉢は何故かラディッシュの種が入っていた。帰って生徒会室で育てることにしよう。
「じゃあ冬香。また後でね」
「うん、また後で」
のほほんさん曰く、簪はシャルちゃんとラウラちゃんの二人と一緒に京都を巡るらしい。
この間の視察の件も合わせて、簪も皆との仲が少しづつ深まっている…のかな?
その辺りを上手く取り持つことができるのがのほほんさんの得意技、きっといろいろと良くしてくれたのだろう。
「ふゆふゆは、こっちぃ~」
「ちょ、引っ張らないでのほほんさん」
私は強引にのほほんさんに引っ張られて京都の町中へと足を進めてゆく。
「先ずは~ここ!」
「ここって…」
やってきたのは町中にある着物屋さん、のぼり旗には丁寧に学生向けレンタルありますと書いてある。
私達の他にも複数の生徒たちがレンタルの登録をしているところだった。
「ふゆふゆにはとっても似合うと思うから~いろいろ持ってくるね~」
私はそう言われるがまま、部屋へ押し込まれてしまった。
「これは…アリ、これは~?うーんアサガオの方がいいかな~」
「そうですね、きれいな黒髪ですから、ワンポイントで鮮やかな花がよろしいですね」
何種類かの浴衣をまわし、最終的に黒字に花柄の模様の入った物に決まった。
一番似合う、とまで言われた柄は薊の華。名実ともに私は黒薊と一心同体なんだと思う。
そして今のほほんさんと店員さんがやいのやいのと言っているのがアクセサリーの話らしい。
「ふゆふゆは何かつけたいものある~?」
「花…だったら赤いもの…かな?」
「赤ですか…そうですね、これはあまりお客様にお勧めはしていないのですが…」
そういって店員さんが取り出したのは真っ赤な花のかんざしだった。
「彼岸花…ですか?」
「ええ。最近はそうでもないのですが、やはり拒否感があるお客様が多いので…やめましょうか?」
「いいえ、これにします。髪型も変わるんですよね?」
「はい。合わせまして、あげた形に。ではもうしばらくお待ちください」
店員さんは手際よく髪をまとめてくれる。箒ほどのボリュームは無かったが、纏まったハイポニーにしてもらった。
「おぉ~、ふゆふゆよく似合ってるよ~」
他にも巾着だったりと小物を整え店先に出ると、先んじて着付けを終えていたのほほんさんが手をぶんぶんと振っていた。
「あんまりこういうのは着慣れてないから…変じゃないかな…?」
「おぉ~、ふゆふゆよく似合ってるよ!!特に髪がきれいだから!やっぱり私の見立てどーりだね!」
そう言われ私は照れる。なんだかのほほんさんもいつもより饒舌だった。
「じゃあ京都まわろう~!」
こうして珍しい二人だけのデートが始まった。
―――――
「ふんふっふふ~ん。ふゆふゆと~デート~」
抹茶のソフトクリームを片手にしたのほほんさんは、やはり、やけに上機嫌。
たしか本編だと…映画村で一夏くんと撮影して、その後に膝枕をしてあげる急接近があったような気がする。
私ものほほんさんとは仲が良い方だ。
彼女の親友である簪とも親密であるが…。
やはり、気になることは、早々に聞いておくべきか。
「そういえば、のほほんさんはなんで私と?」
「ん~?…ふゆふゆがさ、辛そうに見えたから」
彼女は振り向き私の目をみてそういった。
「ふゆふゆはさ、目を離すとすぐ一人で抱え込んじゃう。見てて分かるんだ。おりむ~やかんちゃんに手を差し伸べたときみたいに、誰かを助けることはあってもその逆は…少ないのかなって」
のほほんさんの言葉には、いつものおちゃらけた雰囲気はない。とても真っ直ぐだった。
「これでも私とお姉ちゃんは、暗部の更識家に仕える一族。人の心や苦しさ人より分かるつもり。かんちゃんの時だって…そうだった。楯無お嬢様や専用機のことで悩んでることは痛いほど分かった。でも、私はかんちゃんに…何もしてあげられなかった…。人の心が少し分かるだけで、どうすれば解決できるのか、私には分からなかった。下手に動けば余計に悪化させちゃうんじゃないかってね」
でもね―と彼女は続ける。
「そんな時、ふゆふゆはかんちゃんに手を差し伸べてた。私には怖くてできなかったこと。私はね、そんなふゆふゆに…憧れたんだ。だから今私はこうやって、ふゆふゆの苦しさを少しでも取ってあげたいって、頑張るの」
私は彼女のことを少し誤解していたらしい。
布仏本音は、いつもおっとりで少し気が抜けている、整備の腕は一流だか、掴みどころがない。
ずっとそう思っていた。しかし、彼女はその裏でしっかり人を見て、悩んでいた。
原作の織斑一夏に対するあの行動も、本当に彼女の表れだったのかもしれない。
「そっか―」
私は、ずっと負い目を感じていた。
簪を、千冬さんを、一夏くんを、箒を、皆が幸せになれば良いと思って動いて、そのせいで原作から離れてめちゃくちゃになって、皆を苦しめているんじゃないか―。
そんな考えがこの間の一件以来、心の中には嫌というほどにこびり付いていた。
確かに、簪は、私のことを見て受け入れてくれた。
あの柔らかくて、暖かい感触は、忘れたくない。
それでも、希望を塗りつぶすように私の心の不安は纏わりつく。
群咲―
私の意思ではコントロールできない存在。
彼女がいつまた出てくるのか、気が気でなかった。
「ふゆふゆ…?」
のほほんさんは考え込んだ私の顔を覗き込む。
「ううん、大丈夫―ッ!のほほんさん!危ない!」
ドォン―とビームの直撃で道路の破片が舞う。
とっさに私は黒薊を部分展開する。
上空に舞うは黒い
右手には丁寧に雪片まで握っている。
亡国機業ではない。
それはあの兎の差し金―。
タッグマッチで見た黒薊型のゴーレムだった。
アニメとか最近また見始めて活力が出てきました。
また少しずつ投稿再開していきたいですね。
お知らせ。
転生篇①より各話加筆修正を行いました。
(臨海学校篇からはそれほど変わっておりません)
接触篇④、⑤、⑤-裏を投稿しました。
臨海学校編の最後を⑦と⑧に分割しました。
?????を追加しました。