突然ですが、僕は監禁されています。
え? 突然すぎる? 意味分からない? よろしい。それが当たり前だ。僕だって突然すぎて未だに夢じゃないかと思っている。
監禁されていると言っても、普通の部屋に監禁されていて、どうやらアパートのようだ。テレビもあるし、本も漫画もある。最初は縛られていたけど、最近は自由にしてくれている。外には出れないけど。
彼女はこの時間帯、19時過ぎには必ず帰ってくる。仕事はコックさんらしい。そろそろ帰ってくる。
ドアが開いた。
「ただいまぁー」
僕はすぐさまソファーに座り、テレビを観る。
「た・だ・い・ま♡」
「うん。おかえりアカリさん。」
「いい子にしてた? コタロー君」
「うん」
「うん。いい子~いい子~」
アカリさんは僕を撫でる。そうこの女に突然、気絶させられ誘拐され監禁された。
彼女の名前はアカリと言うらしい。成人しており、仕事もしている。僕の事を知ってるようで、僕は全然覚えてない。つうーか誰?
「すぐにご飯作ってあげるからねぇ~」
「はぁーい」
最初は当然暴れた。結果、両手両足縛られてトイレや食事が大変だった。中学三年にもなっておしめをさせられるとは思わなかった。
だから僕はアカリさんの物になる芝居を続けて、今でもアカリさんの奴隷のように演じている。その結果、4日で縛り付けがなくなった。
監禁されてからもう三週間が立つ。正直この生活は悪くないのだが、やっぱり実家に帰りたい。家族がいるし、何より恋人がいる。
会いたい。僕の恋人に会いたい。
「今、他の女の子考えてた?」
何故分かったんだ。
「え? 考えてないけど……どうして?」
自然と考えてない事を伝える。
「あ、そうなんだごめんね? 今、考え事をしている顔になっていたから」
「顔?」
「うん。いつもコタロー君は何かを考える時ね、目を少し細くして、顔は少し下に向く癖があるの。だから何か考えているのかなあーて」
だからって女の子考えているという結論はどうやって出たんだ?
「ご飯できたよぉー」
「やった! 腹ぺこ!」
アカリさんはコックさんだから、料理は美味い。ものすごく美味しい。
「ご飯美味しい?」
「ものすごく美味しいよ」
「そっかぁ~」
アカリさんはニコニコと笑顔だ。ずっとこちらを見ている。何が楽しいんだか。
「コタローくん。コタローく~ん。フフフ」
「?」
いつに増しても笑顔だな。何か良いことあったか?
「コタロー君。いつまでも一緒にいよぉーね。私が責任持って面倒を見てあげるからねぇ~」
「……」
いつまでも一緒……か。残念だけどそれはかなわないな。
この三週間でアカリさんを観察した。朝の7時には仕事に行き、夜の19時過ぎには帰ってくる。仕事に行ってる間に脱出……はできない。何故なら玄関は錠前だらけだからだ。窓も鉄格子がつけてある。しかも十階だし。
しかし、仕事に行くときは錠前を外さないといけない。その時はかなり隙だらけ。一度、錠前を外している時に後ろからゆっくりと近づき、抱きついてみた。アカリさんは全く気づかず、驚いていた。
錠前を外している時がチャンス。その時にアカリさんを物で気絶させるなり何とかする。そして脱出して警察に行く。これしかない。
アカリさんは食べ終わった皿を片付けて、一緒にお風呂へと入った。できれば恥ずかしいから一緒には入りたくないけど、アカリさんが強引に入ってくる。
そしてお風呂から上がったら、そのままベットである。三日ぶりである。ちなみに童貞卒業はアカリさんで誘拐されたその日に卒業しました。アカリさんが美人でよかった。監禁されたけど。
だけどアカリさんの性欲は強い。さすがに疲れる。だが明日には脱出できるかもしれないし、アカリさんに明日疲れが残せるかもしれない。今日は頑張るか。
そして次の日。
隣にはアカリさんはいなかった。しまった!!と、思いすぐに部屋から出た。そしたら朝ご飯が置いてあり、時間はとっくに十時だった。
失敗だ……だがまだチャンスはまだある。アカリさんが帰ってきて、ドアを開けた時。その時に逃げるしかない。
朝ご飯……超うまい。また眠くなってきた。19時前には起きないとな。
何……だ? めちゃくちゃ……ね……む……。
☆★☆☆★★☆☆
………ん。ぼんやり周りが見える。ここは………どこだ? たしか………そう。朝ご飯を食べたら急激に眠気が………ここはアカリさんの部屋だ。
ん? 両足と両腕が……っ!! 手錠!? 何で……いっ!!
何だ!? 両足が痛い! 何で……っ!?
僕のアキレス腱が……パックリと開いていた。
僕は痛みで声が出そうになったが、我慢した。
「お~きた?」
!! いつの間にかアカリさんがいた。ニコニコ笑っていたが、笑ってない。そう感じる。
「あ、アカリさん……どうして?」
「どうして? コタロー君が悪い子だから。」
「え?」
「だっておかしかったもん。最近。私の言うことを聞いてくれるのは嬉しいけど、今まで見てたから言えるんだけどコタロー君があんなに甘える訳ないもん」
「……ぼ、僕はアカリさんが好きだから……」
「嘘。私コタロー君を五年も見て来たんだよ? 嘘ついてるの分かるよ?」
五年!? 僕がまだ小学生の時からストーカーだったのか!?
「コタロー君さ…彼女いるよね? 幼なじみのゆかりっていう女。」
名前まで……。
「コタロー君はモテモテで何人の女から告白されてたよね? でもコタロー君は一筋だからゆかりを選んで付き合い続けてるよね? だから私なんか愛する訳ないしよねぇ!!!?」
急に大声を出して来たのでビクッとなった。どこまで知ってるんだ?
「いきなりね? 私の事、好きって言うからね? 最初はもちろん嬉しかったよ? でもね、その時からものすごく怪しかったの。ねぇ……私の事……好き?」
「好きだよ! ものすごくす…」
「嘘つき!!!」
僕は右足を掴まれ、引っ張られる。ミチミチとブチブチとアキレス腱が切れている音がハッキリと聞こえた。同時に激痛が凄まじく襲った。
「アァアアアぁぁぁぁーー!!」
「あれーー?とれないなぁーー。あ、そっか。骨が邪魔だね。たしか斧が……あった♡」
アカリさんは僕が止めて、と言う前にすぐに斧を振りかざして右足を切断した。
「ぁ!!」
「もう一本もね♡」
「い、嫌だ……た、たすけ、助けて!!」
「誰も来ないよ。この部屋は防音だしね。」
へ、部屋から出ないと。少しでも外に伝えるんだ! 助けを求めるんだ!
僕は這いずりながら、玄関の所まで行こうとするが上手く動けない。
「ハァーハァー」
「ウフフ。玄関まで行くの?頑張って! ウフフフフフ。可愛いなぁ必死なコタロー君は。」
チックショウ。なめやがって!
「速くしないともう一本の足を切断しちゃうよ? 両腕も……目も……舌も……ウフフフフフ。」
「ハァーハァーた、たすけて! だ、誰かぁ! く、くるな! イヤだくるな!」
「時間切れぇぇーー。足切るねぇ~」
「ハァァグゥ!!」
「いっそげいっそげ! 腕も切断しちゃうよ?
アハハ。アハハハハ。アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハコハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハロハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハスハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「アアァァ……助けて……嫌だ……もう痛いのは嫌だ。嫌だ嫌だ。」
「はぁーい時間切れぇぇ~~ぇぇえええええへへへへへへはははははぁーー!!」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!! 助けて下さい!!許して下さい!!ごめんなさい!!彼女とは別れます!!アカリさんだけを愛します!!アカリさんだけを見ます!!アカリさんと永遠に一緒にいます!!」
「我慢してねぇー!」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁーー!!」
アカリさんは斧を振りかざした。
あれ?腕がある。目の前には斧が刺さってある。その後に何か暖かい物に包み込まれる。いや、アカリさんが僕を抱いてくれてるんだ。
「……ごめんなさいコタロー君。痛い事しちゃって。私頭に血が登りすぎて、怒るのが我慢できなかったの。本当にごめんなさい」
「……」
「本当は切断とかしたくなかったけど、こうでもしないとコタロー君は逃げちゃうじゃないかと思って……ごめんなさい」
「……いいよ。僕もごめんなさい」
「うん……」
僕は気を失った。
目が覚めた時は、ベットに寝ていた。夢じゃないかと思ったけど両足はなかった。叫びたい気分だったが、我慢した。無気力で行くしかない。何も考えるな……何も……。
そこから二週間はアカリさんは僕の看病をしてくれた。
そして思い出してきた。アカリさんとの出会い。どこかで見たことあるなぁーと思ったら、小学生の時に家のお隣のお姉さんだ。よく遊んでくれてた。ご飯もよく作ってもらってた。
僕はその時こう言ったんだ。
『ぼくおねぇちゃんとずっととなりにいるぅ!!』
『それは結婚したい事?』
『うん!おねぇちゃん大好き!けっこんする!』
『ウフフ私も。コタロー君の事大好き!』
………あの時のか……。願いは違う形で叶ったみたいだな。最悪だけど。
「コタロー君起きたぁ?食事作ったわよ」
「ありがとう」
脱出はもう無理かもしれない。でも………それでもいいかも知れないなぁ。もう……。いや、でも……ゆかり……
「食事ね?ちょっと気合い入れてみたのよ」
「へぇ。」
アカリさんは食事を見せる。これは豪華。まるでバイキングみたいな食事。旨そうだ。
「いただきます」
「味わってね♡」
ヤッパリ美味い。食事には困らないな。
「美味いよ。この食事は何を使っているんですか?」
「ん? ん~そうだね。色々とやってるけど、多分一番いいのはゆかりじゃないか?」
「そっか」
「うんそう」
…………………………え?
「今何て……」
「え?何が?」
「今ゆかりって……」
「うんそうだよ。ゆかりを殺してゆかりの体を使って食事に入れたよ」
「……はぁ……はぁ!!」
僕は吐いた。いきなり吐き気がした。
「あ、大丈夫? 風邪?」
「さわるな!!」
「え?どうして?」
「お前…! ゆかりを……ゆかりを!」
「落ち着いてコタロー君。さ、食事でも食べて落ち着いて」
「やめろ! くうか!そんなもん!!」
「え?今更?」
「なに!?」
「今まで美味しく食べてたのに……アナタを監禁してからずっと……アナタの……彼女が入った食事を……」
そこからは僕はあまり覚えてない。少し覚えているのは食事を無理やり食べさせられた事だ。
あれから五年たった。やっと結婚できる年だ。
「アカリさん。愛してます。結婚しましょう」
「コタロー君……! 嬉しい!! 喜んで!!」
僕はアカリさんと結婚する。あれから帰る事はできなかった。ゆかりは僕の中にいる。永遠に。だから生きる。守る。いつの日か……お前の所に……。
僕は鉄格子の向こうにいるアカリさんに両腕はないけど何とか、紙の指輪風に作ってやつを渡せた。アカリさんは喜んでくれた。
いつか……いつか……必ず……ここから……。
「愛してるよアカリ」
「私もコタロー」