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そんなこんなでしばらくした日のこと、俺がいつものようにブラブラと家の近くを散歩している時だった。
「ん?」
人の少ない小さな公園で、今の俺と同じくらいの女の子が顔を俯かせ、ブランコに乗ってユラユラと揺れていた。
一体なにがあったのか、とにかくすごく暗い顔つきをしている。
見ろ、こんな砂場とブランコしかないような所に少なからず来てる子供も、なんか気まずそうにして公園を出て行っているぞ。
(なんだ、あの子。なんかすっげー近づき難いんだけど……)
そんな女の子が気になった俺は足を止めて、その子を見ていた。
すると、こちらに視線を向けていることに気がついたのか、女の子がゆっくりと顔を上げて、こちらを見る。
真顔で。
ジーーー。(・_・)
(ナズェミデルンディス!?)Σ(0w0;)
……いやまぁ、こっちから見てきてたからなんだけどさ。
「……何か用なの?」
不機嫌というわけではないのだろうが、暗い声で俺に尋ねる女の子。
そのまましばらく互いに黙って見つめ合う感じになる。
俺は一度ため息を吐くと、ポケットからいつも持ち歩いている「あるもの」を取り出して、女の子に話しかけた。
「あ~……一緒にゲームでもしない?」
「え?」
女の子がキョトンとして、俺が差し出したものに視線を向ける。
そこには、赤いボタンが付いたシンプルな形の白いゲーム機――なぜか追加オプションの中にあった、『仮面ライダーエグゼイド』に登場する、ゲンムコーポレーション製ゲーム機(わかりやすく言うと永夢のゲーム機か?)だった。
「なにこれ? 見たことないゲーム機だけど……」
女の子は、もの珍しそうにゲンムコーポレーション製ゲーム機――長いのでゲンム機と言おう――を見る。
「まぁ、一回やってみろぃ」
俺は女の子に簡単に使い方を教えて、とりあえずプレイしてみるよう勧めた。
女の子は戸惑いながらゲンム機を受け取って電源を入れると、ゲンムコーポレーションのロゴマークが出た後、軽快な音楽と共に『MICHTY ACTION X』と書かれたスタート画面が表示される。
「まいてぃーあくしょんえっくす?」
「そ。まぁ簡単に言うと、お菓子の国をしょっぱくしちゃおうとする塩伯爵を倒すゲームだな」
(マスター。それはざっくりしすぎでは……)
知らないゲームの名前に女の子が首を傾げるので、俺は簡単にどういうゲームか教えた。
ついでにランサーが何か言ってるけどスルーしよう。
俺は女の子がゲームを進め始めるのを見た後、隣のブランコに腰掛けると、耳にイヤホンを付けて、もう一台のゲンム機を使ってゲームを始める。
ちなみに俺のゲンム機に入っているのは『ドレミファビート』だ。
しかも、この『ドレミファビート』は神が作ったらしい特別製で、全仮面ライダーの主題歌やテーマソング、さらには色々なアニソン楽曲なんかが多数収録されている。
なお、同封してあったメッセージによると、譜面はあるスクールアイドルグループの名前の由来となった女神さん達が作ったという。
前世ではリズムゲームが趣味だったので、これはかなり嬉しいものがあった。
俺は早速、譜面を攻略するためにゲーム画面に意識を集中させる。
そうして、しばらく互いに黙々とゲームをしていると、隣の女の子が苦々しい声を上げた。
「う~、このボス、強いよ~」
それに気づいた俺はイヤホンを取ってゲーム画面から意識を外すと、覗き込むようにして女の子の持つゲンム機の画面を見てみる。
「お、一応ラスボスまではたどり着いたんだな」
そこには、残機が残り一つになった、右になびいた髪をしたまん丸ピンクの小さな主人公――マイティと、マイティより一回り大きな青い体に黒帽子とマントをつけた、マイティアクションXのラスボス――ソルティ伯爵がいた。
「うん。でも、ここまでたどり着くのも難しかったの」
女の子が俺の方を向いて、いくらか疲れたようにしながら話す。
まぁ俺も一回プレイして、なんとかクリアできたが、途中のステージも中々難しかったからな。
さすがは神社長! ってところだろうか。
「んじゃあ、俺からのアドバイスだ。塩投げつけてくるときのアクションに注意してみな」
このゲームに登場するソルティは動きがすばやく、さらに某赤帽子の配管工が炎の玉を出すみたいにして、スタン効果のある塩を投げつけてくることもある厄介な敵だ。
だが攻略法は割とわかりやすく、ソルティは塩を投げつけようとする時、一旦後ろに下がるので、それにさえ気をつけていれば、後は攻撃直後の隙を狙って攻撃したら勝てる。
「うん、わかったの! 塩伯爵、覚悟しろなの!」
「……ぷっ、ははははは!」
拳を握り締めて熱く叫ぶ女の子の姿を見て、俺は思わず笑ってしまう。
「? なんで笑ってるの?」
不思議そうに首を傾げながら尋ねてくる女の子に、俺は笑いを抑えながら答える。
「いや、だってさ。さっきまですっげー暗い顔してたやつが、そんな風に楽しんでる姿見たら普通におもしろいっての」
「あ……」
そんな俺の答えを聞いた女の子があっけにとられたような顔になる。
「そっか……それもそうかもなの……」
女の子はそう呟くと、ニッコリと楽しそうに笑う。
それを見た俺も自然と笑みがこぼれるのを抑えられず、二人で一緒になって笑った。
「っと、ヤベ。そろそろ帰らねーとな」
ふと公園の時計を見ると、母と約束した帰宅時間が迫っていたため、俺は女の子からゲンム機を返してもらうと、女の子と一緒に夕陽で赤く染まった公園から出る。
そして、そのまま別れて家に帰ろうとしたとき、女の子が慌てて俺を呼び止めた。
「あ、まって! 君の名前は?」
「俺? 初瀬。初瀬俊也だけど?」
俺が自分の名前を教えると、女の子が口を開く。
「そっか、私は……」
そして、続かれた言葉は俺には長く耳に残った。
「なのは! 高町なのはだよ!」
「…………は?」
「それじゃあ、またね~」
そう言って、ブンブンと手を振りながら、女の子――なのはが走り去っていく。
「マジか……」
だれもいなくなった公園の前で俺は一人突っ立ったまま、ポツリとそう呟く。
どうやら俺は原作主人公に出会ってしまったらしい。
あと一話投稿したら原作に突入しようと思います。(*´ω`*)
今話の『マイティアクションX』はライダーレボリューションに同梱されていたものではなく、本作オリジナルのものです。ソルティの能力も、あったら面白そうと思って追加しました。。
それにしても、あまり感想がこないなぁ……。(´・ω・`)ショボーン