凶悪犯罪者専属調教師のタクヤと申します。
今回の東京編は如何でしたでしょうか?
漸く大詰めのクライマックスを迎えて次のステップに向かえます。(ボロカス精神)
色々継ぎ足してたら、内容が著しくおかしくなった感が否めませんが、次からが本番なのでもう問題ありません!(半ギレ)
と言うわけで、東京最後、ホラいくどー。
暗がりに敵は潜むもの、夜の闇は全てを覆い隠してしまう。
「ハイ・ドゥ、運用に支障無し。このまま警戒を続行...」
タンデム・ローター式の大型武装ヘリに乗り込み、漆黒の全身装備に身を包んだ男は東京の街を見下ろす。
いつ訪れるとも分からない、怪物との戦いに備えて...
・・・・・・・・・
「ん? これは...」
その時は、訪れたのだ...
「あの辺りか...」
ゆっくりと針路を変えていくヘリの中で、彼は本能的に異変を感じ取っていた。
ランドマークタワー屋上、事態は急展開の様相を呈している。
これまで、峰 理子主導によるお宝と称した目標の奪取を行っていた遠山 キンジと神崎・H・アリアは見事作戦を成功させ、目的の物を手にした。
この場所にてその受け渡しを行い、次は神崎の提示した要求を... という時に理子がまさかの裏切りでどうなるか、となっていたその時だった...
「がぁっ!!」
「・・・っ!!」
「小夜鳴先生!?」
予想外の人物が現れた、遠山達が潜入していた屋敷にていた筈の小夜鳴 徹だったのだ。
「動かないでください。お2人が妙な動きを見せたら、襲うように仕込んでありますので...」
彼は、倒れ伏して動かない理子に近づきながら空を見る。
「さて... ふふっ、どうやら彼も来たようですね。」
「?」
彼らも思わず視線の先を見る。
上空に浮かぶ大型のヘリの姿、そこから何かが飛び出してくるのが見えた。
宙を舞う影は、徐々に大きくなりながらこの場所へと近づいてくる。
ムササビスーツのようなウィングを開き滑空して来たそいつは、最上段のヘリポートへ足から火花を散らして降り立った。
「これで、役者は揃いました。彼にはどうしても接触する機会が欲しかったので、少し細工をさせてもらいましたよ。」
「何?」
「テメェか、小夜鳴。俺の秘匿回線に発信信号を流したのは、あからさま過ぎて逆に来ちまったぜ。」
全身を重武装で覆っている見るからに怪しい奴が上から顔を出したが、その聞き覚えのある声に遠山はすぐに感づいた。
「ジェイ、お前か。」
「よう、遠山。横浜の方に行って以来、久方ぶりじゃねえか。ま、この状況じゃ、そんなこと言ってる余裕もねぇみたいだが。」
「ジェイッ!?」
フルフェイスマスクを外して素顔を見せたのは、J・マックス。小夜鳴が呼び寄せたのは、他でもないJ・マックスだったのだ。
「何が目的なんだ? その狼がいるってことは、お前が"あいつ"の手駒だってことは分かるが。」
「彼女達から聞きましたか... まあ、いいでしょう。ふふっ、何... 彼らのお遊戯会に少し付き合っていただけのことです。彼女の様子では、10年前に私と会っていることも忘れてるようですが...」
「お、まえか、ブラドに余計なことを吹きこんだのは...」
「ええ。そうだ! この際、貴方達にもお教えしましょう。検査の結果、リュパン家の血を引きながら彼女には...」
「や、やめろぉ...!」
「優秀な能力が遺伝していなかったんですよ。つまり、遺伝学的には全くの"無能"。」
こいつ... 本能的に分かる、こいつは本当に
「それに比べて、J・マックス! 超能力者にも勝るとも劣らない、その優秀な遺伝子!! そう、君こそ私が求めていた存在だ!!! 本来ならそれも既に手に入っていた筈でしたが、いやはや貴方の力には驚かされました。」
遺伝子? そう言われて、1番最初に思い浮かぶのと言ったら爺神に与えられた、この"万能で高身体能力の肉体"だ。
だが、遺伝子を得た所で一体何になる? クローンでも作る気か?
しかも、その間にも小夜鳴は理子を足蹴に痛めつけている。嗜虐行動としては理解できるが、今それに一体何の意味が...?
「い、いい加減にしなさいっ!! 理子を虐めて、何の意味があるって言うの!?」
「絶望が必要なんですよ。彼は、絶望の歌を聞いてやってくる...」
「・・・ッ! これは!」
遠山の奴も何か感づいたようだ。そう、この感じは遠山の持つ"アレ"によく似ている...!
途端に辺りの空気が一気に変わった気がした、奴を中心にして大気が震えているのを感じ取った。
「さぁ... "彼"が、来たぞ?」
それは、まさに"化け物"と言うに相応しい姿だった。なるほど、確かにジャンヌのアレはあながち間違いじゃ無かった。
見た感じで言えば、月に照らされ正体を現した狼男みたいだが...
「ブラドッ!! ママの冤罪の99年分はアンタの罪よ!! 逮捕して証言台に引きずり出してやる!!!」
「・・・威勢がいいなホームズ家の娘、お前の血もいただいておくべきだったぜ。今からでもその喉首に牙立ててやる。」
「・・・! そうか、ブラド! アンタの正体は... 吸血鬼、ドラキュラ伯爵!!」
まさか、吸血鬼とはな... だが、それを踏まえればこれまでの事にも納得がいく。
進化した吸血鬼か... 弱点すら無いなんざ、俺らの手に負えるのか?
いや、いずれにしろこいつを倒さなきゃ意味が無い。
―無理を通して道理を通す― 吸血鬼だろうが狼男だろうが、殴り倒してやる...!!
完璧だった。何もかも、思い通りにいっていたと、そう思っていた。
だが、それも全て無駄だった? あの男がいれば、また違ったのか?
今更、全てが遅過ぎる... だが、どんなに傷だらけになろうと... 生き恥を晒そうと... 死にたくない、あの男のように足掻き続けたい...!
「助け、て... キンジ、アリア... ジェ、イ...」
その答えは...
「言うのが遅いっ!!!」
最早、言うまでもないだろう。
瞬間、アリアがブラドに向かって真っ先に動き出す。
同時に遠山が襲い掛かってくる2匹を撃ち... いや、無力化したようだ。
大したもんだ、この土壇場であそこまで器用なことが出来るなんてな。それでこそ、あいつというものだ。
素早い動きで一気に接近したアリアが、奴の両肩を思いっ切り斬りつけた。
遠山はブラドの手から離れた理子を抱えてヘリポートまで上がって来た。見るからにあいつの姿はボロボロだ。
別に同情する訳じゃない。俺も孤独を経験したが、あいつ程のものじゃない。
そう、これは... あいつの『友』に頼まれたからだ、救ってくれってな...!
「ジェイ!」
「あいよっ!!」
構えたXM109 ペイロードが火を噴く。腕に当たった榴弾は、その肉の半分を消し飛ばした!
が...
「なっ!? なんつう再生力だっ、もう傷が元通りになってやがる!」
肉が飛び散ったにも関わらず、その腕は何も無かったかのように再生してしまった。
これが奴の、吸血鬼としての力か...!
その一瞬だった。いきなり目の前が暗くなったかと思いきや、ブラドが投げつけてきたコンクリートの塊が目前にあった。
「ぬぅおぁっ!?」
間一髪、驚異的な反応速度でもってそれを避けて見せた俺にブラドは言う。
「ゲババババッ! やはり、お前も素晴らしい遺伝子の持ち主だ!! その血を手に入れれば、俺は更なる力を手にできるっ!!!」
「俺の血を? 止めとけ、この呪いの力を得た所で後悔するだけだ。」
「究極の生命力を持った優性遺伝子が目の前にあるのに、逃すと思うか?」
「・・・どうしても欲しんなら、1度死んでみるこった!!」
再び、ブラドがコンクリート塊を投げてくる、俺はそいつをペイロードで砕いていく。
俺の開発した特殊榴弾は、巡洋艦の榴弾砲と同威力。コンクリート位、容易に吹き飛ばす!
「グルァァッ...!」
「クソッ! 直撃してんのにてんで駄目だ! やっぱ、弱点を潰さないといかんのだが...」
腕を交差させながら防御の体勢を取っているブラドに何発も撃ち込んでいるが、やはり決定打にはならない。
あいつの言ってた通り、弱点なる紋様を同時攻撃する必要があるがもう1つの場所が分からない!
「おい、ジェイ! 今から俺とアリアでブラドを倒す、下がってくれ!!」
「何っ!? 弱点が分かったのか!!?」
「それを、今から試すのさっ!」
あいつ等は、ブラドの奴を正面に捉えると左右の肩と右脇腹の紋様、そして胸ド真ん中にほぼ同時に打ち込んだ!
やった、か...?
「グゥハハハ! オメデタイ奴らだな!! グゥルルアアアアァァァァァッッッ!!!!!」
ちっ!! 駄目か...! 行けたと思ったんだが...
「・・・な、に...?」
あ? 遠山の奴一体何して... って...!!!
「馬鹿野郎! 何やってる、遠山ァ!!」
俺も必死で奴の動きを止めようとするが、クソッ、間に合わねぇ!
あいつ! 物凄い吹っ飛んだが大丈夫かっ!? ちくしょう、確認する暇もねぇ!!!
「キンジッ!!」
「なっ! 理子!? 無茶しやがる...」
あいつ... いや、今はそれよりもこっちを...
「きゃあああ!!」
「か、神崎ぃ!? しまった、雷かっ!!」
迂闊っ!! あいつのことはそれなりに情報仕入れていた筈だろ!! なんてタイミングが悪いんだ!!!
ブラドの奴、アリアに止め刺す気かっ!! もうあんな近くに!!
「くっそ!! 止められねぇ!!!」
だが、そこに理子達が割って入る、理子がそのままアリアごと抱えて離脱していった。
・・・ったく、タイミング良過ぎだろ... おかげで、無駄に前に出過ぎちまった!
「ゲェバババババ!!」
「こっちもしつこいな!? 何度も何度も、もう見飽きたぜ!」
「ゲババババ... 何故あの無能を助ける? 優良種であるお前が、無能を助ける意味は無い筈だ。お前は俺によく似ていると思ってたんだがな。」
「違うな... 人の本質が能力や遺伝子で決定付けられるなら、当の昔に人には失望してるさ。重要なのは、そいつが"己の意志"を持っているかだ。人でもない、自らを偽り、他人の生き血を貪るしか能の無いお前に、理解できるわけないだろうがなっ!!」
「面白れぇ! なら、先ず貴様の血から貪り尽くしてやるぜっ!!!」
「やられっ放しはもう終わりだ、クソッタレ!!!」
「ジェイ! もう一度奴を狙う、引き寄せてくれ!!」
「・・・っ! 了解した...!」
「また、悪足掻きか。無駄なことを!!」
「いいや... こいつは、マジだぜ!!!」
・・・・・・・・・3
・・・・・・2
・・・1ッ!!!
3人の放った4つ弾丸、それは確実に奴の身体を捉えていた。
奴は油断しきっていたのだ... だから気づけなかった。
遠山の放った1発が、アリアの放った胸へと向かう弾丸を弾き、奴の舌へその軌道を変えたことを...!
「ブア゛ァ゛ァ゛ァァァァァァァッッッ!!!?!?」
大量の血を噴き出しながら、進化を勝ち取った吸血鬼はとうとう倒れた。
今まさに、俺らは化け物すら打ち取ったという前代未聞の偉業を打ち立てたわけだ。
「感謝はしないよ、オルメス。今回は偶々利害が一致しただけ。」
「アタシも、アンタとなれ合うつもりはないわ。」
「私は、もうお前達を下に見ない。裁判での証言もしてあげる。私以外にやられたら許さないから!」
「・・・やられたな、また。」
「そうね。ま、そのうち戻ってくるでしょ。何も無かったようにね...」
屋上からパラシュートを開いて町中に消えて行った彼女を見ながら、彼ら
・・・・・・・・・・
「ねぇ、そう言えばジェイは?」
「? ・・・確かに、見当たらないな...」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「やれやれ... 弾代含めて、色々請求しないとな...」
当の俺はあいつ等が探していることなどつい知らず、一足先に屋上から降りていた。
まあ、あそこからそのまま滑空して来たんだけどな。エレベーターは面倒になりそうだったし...
後は、報酬を頂いて全ては終わり、これで教授も諦めてくれりゃあ万々歳なんだが...
「ジェーイーッ!!」
「はっ? うぉっ!?!?」
真上から声がしたかと思えば、次には今までに体感したことの無い何とも絶妙な感触の物体が重力と共に覆い被さって来た。
空から女の子がっ!? ・・・何て、ロマンティックシーンかと思ったか? この世界で女が降ってくるなんて普通だぞ?(感覚麻痺)
しかも、それが超絶ビッチ怪盗ともなれば、悪夢な事この上無い。
「馬鹿かテメェはぁ!! どけっオラァ!!!」
「うわっとと...」
さっさと投げ飛ばして起き上がる、するとそこには先程とは打って変わった雰囲気のあいつが立っていた。
「・・・・・・。」
「・・・何だよ... 戦いは終わっただろ... まだ何かあんのか?」
「その... 一応、お礼を言っておきたいと思ってさ...」
「あ? 何のこったよ。」
「そう... たとえ、それがジャンヌの頼みってだけの義理だったとしても、助けられた、わけだしさ... それに...」
知ってたのか。本当、変なところで耳がいいんだよな。
「だったら尚更、それを俺に言うんじゃねえよ。」
「・・・え?」
「俺は手を貸してやったに過ぎない、その言葉はお前の"友"に言ってやれ...」
格好つけてるわけでも無いし意地ってわけでも無い、これが俺の考え方だ。
信じられる人が居なかったからこそ、それを大事にしろよという、俺なりのメッセージさ。
「ふふっ、やっぱりジェイは優しいね。」
「柄にも無ぇこと言うんじゃねえよ。」
「ねぇ、ジェイ。」
「あ? なん......」
俺が次の言葉を発することは無かった。
不意にだった。予想外のことに、俺は意識が追いつかなかった。
生前では、女に触れることさえも無かったというのに...
まさか、まさかこいつと...
結構な体格差があった筈なのに... 顔が近過ぎるっ!!!
「ジェイは2番目だけど、今はこれが私に出来る、お・れ・いっ!」
「・・・・・・・・・ハッ!?」
「オルヴォワールッ!!」
気が付けば、あいつはもう豆粒位に見えるまで遠くに行っていた。
・・・なんつうことをしてくれたんだあいつは... 正真正銘の大怪盗だったんだな...
正直、これからの身の振りに困る礼だったが...
―――その感覚は、これまでに味わったことの無い程、甘美で、柔らかだった...
NKT...
これで、次からはやりたい放題できる、やったぜ。
多少強引な盛り込みもありますが、お兄さん許してぇ...
あっ、タグからも予想できるかと思いますが、他作品要素がいよいよもって多くなってくるので気をつけよう!
・ハイ・ドゥ
初代メタルスラッグの最終撃破目標。
戦闘ヘリであり、輸送ヘリとしても幅広く使われているタンデムローター機。
ヘリとは到底思えない装甲・爆撃性能を誇る。