勇者やってたけど人類に絶望したので寝返って皆殺しにしようと思う。   作:ゔりこんどりふぁ

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人とは支配し、支配される生き物である

ザウスを殺し、シュビッツの実権を握ったシリウスは、ザウスの首を民衆に晒すことによって支持を得た。長きに渡り、自分達を支配していた巨悪が消え去り民衆は大いに沸き、シリウスに盛大な拍手と歓声を送り、そして忠誠を誓った。

 

そこからシリウスは改革を始める。所詮使い捨てる国であるため、経済関連は全て切り捨てた。さらに兵力の充実も兼ねて、食料の大量生産に乗り出す。厳しい労働は課せず、しかし迅速かつ着実に。

 

食事が安定してくると、いよいよ兵士の育成に手をつける。有志で入団者を募り、軽い試験を受けさせる。シリウスが素質アリと認めたものはそのまま兵団へ、厳しいと思ったものは武器防具の生産へ回し、それでもダメなものは切り捨てた。

 

有志にも関わらず、シリウスを英雄視する者達で試験場は溢れかえり、1人で捌くのは効率が悪いと考えたシリウスは、合格させた者達を試験官とした。そして2日かけ、兵士の選別が終わり訓練が始まった。

 

基礎魔法である、『赤魔法』『青魔法』『黄魔法』『緑魔法』『白魔法』『黒魔法』『無魔法』の鍛錬と、剣術、弓術、槍術の3つを3等分して受けさせ、基礎魔法で優秀な者はそれぞれの上位魔法である、『炎魔法』『氷魔法』『雷魔法』『風魔法』『光魔法』『闇魔法』『力魔法』の鍛錬を命じた。

 

シリウスの恩に報いる一心で兵士達は努力を惜しまず、半月経つ頃には奴隷時代とは程遠い引き締められた肉体と、魔法に対する膨大な知識を手に入れ、軍隊の練度はそこらの国とは比べ物にならない程にまで鍛えられた。

 

「案の定、雷魔法と力魔法は習得者が居なかったが問題ない。シュビッツの元奴隷で構成された軍隊、約10万。この数があれば赤魔法だけでも一国を滅ぼせるな」

 

かつてザウスが居座っていた玉座でシリウスは呟く。

 

「そろそろ頃合いか。さぁ、変革を始めよう」

 

この日シュビッツの隣国である、アリアン王国、カレル共和国、ヴァーヅ連邦が、一夜にして地図から消滅しシリウス率いる新生シュビッツ軍の軍門に下った。

 

彼らは口を揃えてこう言ったそうだ。

 

ーーーーシリウスは勇者ではなくなった、あれは魔王だーーーーと。

 

シリウスの人類に対する裏切りは最早事実としか言いようがなく、瞬く間に全世界へ情報が知れ渡った。

 

そしてそれは、嘗てはシリウスに師事していた少年少女達の耳にも届く。

 

「シリウスさんが?嘘だろ?」

 

明るい茶髪と親しみやすい性格が特徴の少年、ユーリ。

 

「でも、ここまで情報が細かいってことは……」

 

美しい黒髪が目を引く大人しめの少女、アイラ。

 

「それじゃあ……本当にシリウスさんは、人間を?」

 

短く切り揃えられた金髪と笑顔が素敵な少女、サリア。

 

「そうとしか、考えられないな」

 

よく整えられた黒髪と眼鏡により、少し大人びて見えるアイラの兄である少年、レイル。

 

彼らは勇者であった頃のシリウスに教えを乞うた者達だった。勇者としてのシリウスを間近で見ていたからこそ、到底シリウスが裏切ったという記事は信じられなかった。

 

「こうやって話してても、どうにもならないだろ。シュビッツに行ってシリウスさんに直接聞きに行けば済む話だ」

 

レイルがそう言い、ほかの3人も同意する。

 

「となれば、馬車が必要だな。借りてくるとするか」

 

変わり果てた師匠と出会った時、弟子達は何を思うのか。それはまだ誰にも分からない。

 

 

 

 

 




赤魔法:どれだけ魔力を注いでもサッカーボール程の火球しか作れない。一般人はマッチやライターの火ぐらいしか出力がない

炎魔法:個人の魔力によってどこまでも大きく出来る。炎で動物やゴーレムを造形することも可能。上位魔法で最も習得が簡単。

青魔法:精々、水を注ぐぐらいが限界。近くに水道がない場合に使ったりする程度。

氷魔法:氷とついてはいるが、水を操ることも可能。規模も大きくなり、扱いを間違えば川が氾濫する程の水量が出る。氷で武器の錬成なども出来る。上から4番目に習得が難しい。

黄魔法:相手を一瞬麻痺させるぐらいの電流が流せる。出力を弱めて肩こりの解消も出来、それを商売としている店もある。

雷魔法:雷の形が定まっていないため、発動自体に膨大な魔力が必要になる。しかし習得出来れば圧倒的な攻撃力と殲滅力を手に入れれる。上から2番目に習得が難しい。

緑魔法:涼しいと感じれる程度に風を吹かせられる。暑い時や、赤魔法と合わせて火力を高める時にも使われる。

風魔法:優秀な者であれば、家屋を吹き飛ばす程の暴風を操ることが出来る。炎魔法と合わせて使えば威力は絶大、雷魔法にも匹敵する。

白魔法:日常で最も重宝される魔法。人々に癒しを与えるもの全般がこれに属する。例えば吐き気の解消、傷、病の治療。基礎魔法の中では習得が1番難しい。

光魔法:白魔法で治しきれない怪我などを治療出来る。死んでさえいなければ、どんな状況でも治せる。白魔法と違い、相手を回復させ過ぎる事でボロボロにする攻撃魔法も備わっている。5番目に習得が難しい。

黒魔法:白魔法とは反対に、人々に害をなす魔法がここに分類される。呪いなどが主なもので、通常の魔法学校では黒魔法に関連するものは閲覧制限がかかっている。

闇魔法:悪魔の召喚、死者の使役、精神操作、ある意味では魔法の根源たる魔法。習得はおろか、存在を認知している者が少ない。習得が6番目に簡単ゆえに、存在を知れば習得したも同然である。そのため、厳重に秘匿されている。

無魔法:身体強化や、魔力の譲渡などサポートが主な魔法。基礎魔法ではまず最初に覚える魔法。

力魔法:世界の理そのものに近づいた魔法。質量を持っていようと持ってなかろうと、その動きを自在に操ることが出来る。基礎である無魔法とは真逆で最も習得が難しい魔法。現在はシリウスのみ習得している。
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