ここは『風巻市』。技術の進歩の最先端を行く市で、デュエルモンスターズが全国に普及しており、至る所でデュエリストたちは日々デュエルをしている。そのため、市もデュエリストに貢献するようモンスターのリアル化などの発展を進めていった。人々には必要不可欠となる機械とのデュエルマスターズのコラボレーションにより、デュエリストたちの世界は更に電子の世界へとリンクしていった……
「行ってきます」
午前7時半ほどに一人の少年が家から出てきた。玄関には少年の母親が手を振っていた。
「気を付けなさいよ『
「はいはい。分かってるよ母さん。だけど、あれはレディって言えるほどの……」
激痛と共に後ろを振り返ると、そこにはいつもどうり青のショートに翠色の瞳でこちらを睨んでくる幼馴染が立っていた。その手に持っていたのはデュエルディスクだ……どうりでいつもより痛い訳だ。
「誰がレディじゃないですって……?」
「ゲッ、『
「無性に腹が立つけど許してやるわ。ほら、行きましょ遊祐」
「……はいはい、ちょおい!」
遊祐は
遊祐は美果に連れられ風立街と呼ばれる街並みを歩いていく。
「ほら、遊祐!見て、新しいカードショップがオープンしてるのよ!」
「あー、本当だな。でも今の時代珍しくも何ともないぞ」
「新しいってのがいいのよ!」
「じゃあ、幼馴染の俺はいらんだろ」
「別に人は比べてないっつーの」
ぷくーっと不貞腐れたように頬を膨らませる美果。そのやり取りを店内で見ていた客の一人が外へ出て二人の元に近づく。
「もう遅っーい!遊祐!美果!」
「ごめんね『雅』。遊祐のやつが」
「いや、俺のことを除外しても遅れてたぞ」
「はぁ、『デュエル部部長』が遅れちゃだめでしょ!」
「面倒なんだよなぁ、デュエル部」
「遊祐副部長は黙ってなさい!」
デュエル部……その名の通り、デュエルモンスターズ同好会のようなものだ。この世界で全世界に普及しているのが、部員は部長の美果、副部長の遊祐。そして会計・書記の雅の三人しかいない。こんなんで大丈夫なのだろうかと遊祐は心配だが、美果がそういったことはなんとかするタイプなのでいつものように面倒臭がっていた。
「だりーな。パックを買う気にもならんぞ」
「でも、有名人が来るらしいわよ?」
「……行くわよ遊祐!」
「はいはい……」
余計にやる気に満ちたのは美果の方だった。暑苦しくなる美果に遊祐のやる気はどんどん下がっていった。
店内に入ると、巨大なスクリーンが存在していて二人のデュエリストが向かい合ってデュエルしていた。その二人がどこにいるのかと言われれば電子空間の中にいるのだ。VRヴィジョンシステム及び圧縮転移システムで物体を電子サイズまで小さくしてVR世界そのものに入ることが出来る。そのため、全世界に存在するデュエリストとカードショップなどこのシステムが投入されている場所ならどこでもデュエルできるのだ。運さえ良ければプロのデュエリストともデュエル出来る。
「このポスターに描かれている選手のことか?今日来るプロデュエリストって……」
遊祐が見つけた壁に貼っているポスターには、薄茶色の髪に紅いワインのような瞳の男デュエリスト。よく分かったね、と近くにいた店員が答える。
「これは……『
「最近、噂の高校生デュエリストね。超有名だけど、なんでこのカードショップに?」
「ああ、一風プロって風巻市からかなり遠くの市を活動範囲にしているんじゃなかったか?」
雅が一風プロの名前を出すと遊祐と美果の疑問は増えた。さっきの店員が「あぁ、それは……」と話を切り出した。
「店長が一風プロと同じ出身地でね。何度かご縁もあったようで、今回頼んだら来てくれたんだそうだ」
それを聞いた遊祐は「ふーん…」と半ば興味無さそうに両手を組み、頭の後ろに回してぶらぶらと歩いている。
「忙しいはずなのに随分と気前のいい奴だな」
「そうね」
「そうそう、電子空間の調整は既に済んでいるし、君たちも『ダイヴ』していくかい?何せ一風プロが来るまでかなり時間があるからね」
「そうね……遊祐」
「俺から入るのか……しゃーない。行くぞ、『リンクゲート、スタンバイ』……『GO、デュエルワールド!』」
そのカードショップから遊祐の姿は消える。電子空間に入ったのだ。
それに続けて美果と雅も入ろうとするが、突然……
『ビー!ビー!エラー発生!エラー発生!』
「何ですって!?遊祐!」
『おい、美果どうなってる!?ハッキングされてるぞ!』
美果のデュエルディスクからの映像に映っている遊祐が叫ぶ。目の前には黒のローブを被った男がデュエルディスクを構えていた。
「何者だ、お前……」
「私は信仰者だ。喜べ、神の復活に貴様の命が捧げられる」
「知ったことかよ……面倒だな。逃げるに越したことは」
「逃がさん。(カチ)」
ローブの男がディスクのスイッチを押すと遊祐のデュエルディスクが展開する。強制的にデュエルが始まったのだ。
「なんだと(ハッキングか……!)これだから面倒事は嫌いなんだ、とっと終わらせるに限る!」
「「デュエル!」」
YUU LP4000
UNKNOWN LP4000
先行は遊祐だ。デュエルディスクにセットされたデッキの上からカードを5枚ドローして、すぐさま手札の1枚を取った。
「先行は貰う!俺は手札から『オーバー・ウォリアー』の効果を発動!」
オーバー・ウォリアー
☆6 闇 サイバース族 ATK2000 DEF1600
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
①:自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこのカードを手札から墓地に送って発動できる。デッキからレベル3以下の通常モンスターを1体を特殊召喚する。②:自分フィールドに合計レベル6となるモンスター2体を対象に発動できる。選択したモンスターのデッキに戻してこのカードを特殊召喚する。
「俺のフィールドにモンスターがいない場合に手札のこのカードを墓地に送ることで、デッキからレベル3以下の通常モンスターを特殊召喚する!来い!『鋼鉄の羽ばたき』!」
『鋼鉄の羽ばたき』DEF2000
鋼鉄の羽ばたき
☆3 闇 サイバース族 ATK0 DEF2000
鋼鉄で出来た巨大な翼。誰かがこれで空を飛ぼうとしたようだ。
手札から背中にブースターを背負った戦士が飛び出し、ジェット機のように炎を噴射して勢い良く遊祐のデッキにアタックする。その衝撃でデッキから空に撃ちあがったのは鋼鉄製の巨大な翼。
「自分フィールドに通常モンスターが存在する場合、手札の『アラーム・ミュージシャン』は特殊召喚できる!」
『アラーム・ミュージシャン』DEF1000
アラーム・ミュージシャン
☆3 光 サイバース族 ATK600 DEF1000
このカード名は1ターンに1度しか特殊召喚できない。
①:自分フィールドに通常モンスターが存在する場合、手札・墓地からこのカードを特殊召喚できる。
「更に墓地の『オーバー・ウォリアー』の効果を発動!合計レベルが6になるようにモンスター2体を墓地に送ることで特殊召喚できる!」
『オーバー・ウォリアー』ATK2000
「そして『トーン・ストーン』を召喚!」
『トーン・ストーン』ATK1600
トーン・ストーン
☆4 地 サイバース族 ATK1600 DEF1500
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。
①:自分フィールドにレベル6以上の闇属性モンスターが存在する場合にこのカードの召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。②:このカードがリンク召喚の素材として墓地に送られた場合に発動する。墓地のこのカードを手札に戻す。この効果を発動したターン終了時に自分は手札を1枚捨てる。
「『トーン・ストーン』の効果!自分フィールドにレベル6以上の闇属性モンスター……『オーバー・ウォリアー』がいる時に召喚したので1枚ドロー!そして俺はサイバース族の『オーバー・ウォリアー』と『トーン・ストーン』の2体を墓地に送り、リンクマーク解放!」
遊祐の言葉に反応し、エクストラモンスタゾーンが扉のように開かれる。更に周りに色のない矢印が計8個ほど出現し、やがて左右の矢印マークが1つずつ赤く灯る。
「リンク召喚!面倒事、全部吹っ飛ばせ!起動せよ!リンク2『シグナル・ワット』!」
『シグナル・ワット』ATK2300
シグナル・ワット
炎 サイバース族 リンク LINK2 ATK2300 ← →
サイバース族×2
①:1ターンに1度、相手モンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの属性を炎属性にする。②:このカードが炎属性モンスターと戦闘を行うダメージ計算前に発動する。このターンの終了時までこのカードの攻撃力を500ポイントアップする。
オーバー・ウォリアーとトーン・ストーンの2体が地面へと消えていったかと思ったら鋼鉄製の蝶が羽ばたく。そっと地面に着くと、プシューっと音を立てて煙を吐き出す。
「『トーン・ストーン』がリンク召喚の素材として墓地に送られたので効果を発動!『トーン・ストーン』を手札に戻す!俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!エンドフェイズ時に『トーン・ストーン』の効果で手札の『シーン・エフェクター』を捨てる」
次に黒のローブの男のターンに回る。
「では私のターン、ドロー」
「この瞬間に手札から墓地へ送られた『シーン・エフェクター』の効果を発動!デッキからカードを1枚ドロー!」
シーン・エフェクター
☆2 風 サイバース族 ATK1300 DEF200
①:このカードが手札から墓地へ送られた次のスタンバイフェイズ時に発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。②:墓地のこのカードをゲームから除外して、フィールドの表側表示モンスター1体を選択し、属性を1つ宣言して発動できる。このターン終了時まで選択したモンスターの属性を宣言した属性として扱う。この効果は相手ターンにも発動できる。
「神の復活のための生贄よ、見るがいい!魔法カード『境界電視』を発動!」
ジジッ……ザザー
急にデュエルディスクからの映像とカードショップ内のスクリーンの映像が同時に消える。慌てて店員が再起動するが反応がない。美果と雅は遊祐の様子が見れないことにとても心配になった。
境界電視 通常魔法
①:自分のデッキからフィールド魔法を1枚選択して発動できる。以下の効果から一つを選び適用する。
●選択したカードを手札に加える。
●選択したカードを墓地に送る。
「このカードには二つの能力があり、その内一つだけを選ぶ。1つはデッキからフィールド魔法を手札に加える効果。もう1つはデッキからフィールド魔法を墓地に送る効果だ。私はデッキからフィールド魔法『電視再生』を墓地に送る。そして『電視再生』が墓地に送られた場合、デッキから別の『電視』フィールド魔法を手札に加える」
電視再生 フィールド魔法
①:『電視』が相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動できる。墓地の『電視』モンスターを特殊召喚できる。②:このカードが墓地に送られた場合に発動できる。デッキから『電視再生』以外の『電視』フィールド魔法を手札に加える。
「『電視転生』を手札に加え、発動する!神々は転生する!より強き体を得て!」
電視転生 フィールド魔法
①:『電視』モンスターの召喚に成功した時に発動する。そのモンスターを破壊し、デッキから破壊したモンスターと同じレベルで同名以外の『電視』モンスターを効果を無効にして特殊召喚する。②:このカードが墓地に送られた場合に発動できる。デッキから『電視転生』以外の『電視』フィールド魔法を手札に加える。
「そして私は『
『電視UMAオゴポゴ』ATK2800
電視UMAオゴポゴ
☆8 光 魚族 ATK2800 DEF2500
①:このカードはリリースなしで召喚できる。この方法で召喚に成功した時に攻撃力は0となる。②:このカードが召喚に成功した場合または破壊された場合に以下の効果から一つ選んで発動できる。
●デッキからカードを1枚ドローする。
●デッキからレベル1の『電視UMA』モンスターを手札に加える。
地面から這い出てきたのは不細工な巨大魚であった。しかも体の構造は魚というよりはモンスターであった。
「『オゴポゴ』はレベル8のモンスターだが、攻撃力を失うことでリリースなしで召喚できる!」
『電視UMAオゴポゴ』ATK2800→0
「悪趣味な……」
「この素晴らしい造形美を理解できんとは、やはり生贄は生贄だな!『オゴポゴ』の効果でデッキからカードを1枚ドロー!この瞬間、フィールド魔法『電視転生』の効果を起動する!『オゴポゴ』を破壊することで、『オゴポゴ』は別の『電視』モンスターへと生まれ変わる!出でよ!『
『電視UMAマニポゴ』ATK2800
電視UMAマニポゴ
☆8 光 魚族 ATK2800 DEF2500
①:このカードはリリースなしで召喚できる。この方法で召喚に成功した時、攻撃力は0となる。②:フィールドのこのカードを素材としてX召喚した『電視』モンスターは以下の効果を得る。
●このカードがX召喚に成功した時に発動できる。デッキから『電視』モンスター1体を選び、このカードの下に重ねてX素材とする。
次に現れた魚型のUMAも遊祐が知っている魚の種類のどれにも当てはまらないような気持ち悪い造形をしている。とてもこれが美しいとは思えないと、遊祐は吐き捨てる。
「破壊された『オゴポゴ』の効果でデッキから『電視UMAヒトガタ』を手札に加え、『ヒトガタ』の効果を発動!このカードを特殊召喚!」
『電視UMAヒトガタ』DEF1000
電視UMA《エルック・ユーマ》ヒトガタ
☆1 光 水 ATK0 DEF1000
①:このカードは通常召喚できず、自分フィールドに特殊召喚されたレベル8以上の『電視』モンスター1体が存在する場合のみ特殊召喚できる。②:このカードが①の効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。ターン終了時までこのカードのレベルを8にする。
次に現れたのは真っ白な名前の通り人型の化け物。指の間の水かきと鋭利すぎる犬歯が人でないことをはっきりさせている。
「更に『ヒトガタ』のレベルは8となる!」
『電視UMAヒトガタ』☆1→8
「レベル8モンスターが2体……まさか!」
遊祐はローブの男のフィールドからある召喚方法を想像する。だが、今の遊祐に止める術はない。
「私はレベル8の『電視UMAマニポゴ』と『ヒトガタ』でオーバーレイ!」
奇怪な魚と人型の妖怪はそれぞれ水色、黄色の光の玉となって、目の前に現れた銀河に身を投じる。二つのモンスターの魂が入った瞬間、爆発が起こり銀河の中……地面から何かが這い上がってきた。
「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!人の想像を超える絶対なる力よ、我らの神の代弁者としてその力、愚かな者たちに振るえ!エクシーズ召喚!ランク8、『電視UMAクラーケン』!」
『電視UMAクラーケン』ORU2 ATK2700
★8 光 水族 ATK2700 DEF2000
レベル8『電視』モンスター×2
①:X素材を2つ以上持ったこのカードは戦闘・効果では破壊されない。②:このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時にこのカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。自分フィールド・墓地に存在するフィールド魔法の効果を適用する。その後、お互いのフィールドからフィールド魔法を1枚選び、破壊する。
UMAの中でかなり有名な部類に入るモンスター……クラーケン。その登場に遊祐は身構えた。
「
『電視UMAクラーケン』ORU2→3
「バトルを行う!『電視UMAクラーケン』で『シグナル・ワット』を攻撃!『ダイバートルネード』!」
クラーケンが引き起こす海流が竜巻となり、シグナル・ワットの周りから追いつめてくる。だが、にやりと笑った遊祐はシグナル・ワットの力を解放させた。
「『シグナル・ワット』の効果!『クラーケン』の属性を炎にする!そして、『シグナル・ワット』の効果で炎属性モンスターとバトルする時、こいつの攻撃力は500ポイントアップするぜ!」
『シグナル・ワット』ATK2300→2800
シグナル・ワットの周りを取り囲んでいた水の竜巻はたちまち燃え上がり、シグナル・ワットはそれを吸収し、自らを発火させる。その燃えた体でクラーケンに体当たりをし、よろめかせる。
ローブの男 LP4000→3900
「何だと!?……だが、しかし!『電視UMAクラーケン』はORUを2つ以上持っている場合、破壊されない!更に『クラーケン』の効果を発動!ORUを1つ取り除き、私のフィールドか墓地に存在するフィールド魔法の効果を適用させる!」
『電視UMAクラーケン』ORU3→2
クラーケンの周りを衛星のように飛んでいた光の玉が一つクラーケンの体の中へと溶け込んでいく。すると、クラーケンの触手は地面深くにあった『電視再生』のカードを引っ張り出してくる。
「『電視再生』の効果を適用したことにより、墓地の『電視』モンスターを蘇らせる!出でよ『電視UMAオゴポゴ』!」
『電視UMAオゴポゴ』ATK2800
「更にORUととして墓地へ送られた『電視UMAセルマ』の効果を発動!相手のカードを破壊する!私は『シグナル・ワット』を破壊する!」
電視UMAセルマ
☆8 光 爬虫類族 ATK2300 DEF200
①:このカードはリリースなしで召喚できる。この方法で召喚に成功した時、攻撃力は0となる。②:このカードがXモンスターのX素材として墓地に送られた場合に発動できる。相手フィールドのカードを1枚を選んで破壊する。
トカゲのような巨大な化け物の怨念がシグナル・ワットに憑りつこうとする。