貴方が隣にいる世界 -Cthulhu Mythos-   作:柳野 守利

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第110話 不穏な夢

 朝目が覚めて、すぐに朝ご飯が食べれて、それらの準備や片付けも全てやってくれる上に、洗濯も何もかもしてくれる人がいたとしたら、それを『嫁』以外の何といえばいいだろうか。俺とアイツは、まだ出会って一年も経っていない仲だが、それにしては仲が良くなり過ぎた。自分でも不思議なくらいに。

 

「ぐっうーーっ」

 

 身体を伸ばして、ベッドから起き上がる。反対側の壁側にあるベッドの上にはやはり誰もいない。アイツはもう起きているようだ。毎日毎日、よくもまぁ寝坊せずに早起きができるものだ。それに、飯も作ってくれるし、それが美味いときた。朝飯を食うことが日常的な幸せとして痛感できる。だから、こうして起きた時に朝飯は何かと想像するんだが……どうにも変だ。何故か飯の香りがしない。いつもは何かしら匂いがするはずなのに。

 

「ふぁー……氷兎、おはようさー……ん?」

 

 気にもとめずに、欠伸をしながら食卓のある部屋へと行ってみるが……そこには誰もいなかった。食卓にはご飯すら置かれていない。これは何か変だ。

 

「ははーん……さては菜沙ちゃんに連れていかれたかな?」

 

 まったく仕方のない野郎だな。今日ばっかりは適当に自分で作ってみるか。目玉焼き程度なら俺でも作れるだろう。そう思い立ち、冷蔵庫へと向かおうとしたところで、コンコンッと扉がノックされた。いつものように西条が飯をたかりに来たか。けど残念、今日は氷兎がいないんだな。

 

「入っていいぞー」

 

「邪魔するぞ」

 

 相変わらず、西条の奴は朝からオールバックの髪型でキマってるな。とりあえず、飯を作るために適当に食材を取り出していく。こうなりゃ、西条にも飯作ってもらおうか。そうだ、それがいい。

 

「西条ー、今日なんか氷兎がいねぇから飯作んの手伝ってくれ」

 

「……氷兎? 誰だ、それは」

 

「……へ?」

 

 背後から聞こえてきたその言葉に、流石に振り向かずにはいられない。西条の奴、冗談を言うようなキャラじゃないんだけど。なんだ、一体どうしたっていうんだ?

 

「おいおい、冗談キツイぜ。いっつも一緒にいんだろ?」

 

「……寝ぼけているのか? さっさと目を覚まさないと、怪我をするぞ。今日の飯担当はお前なんだからな」

 

「いやいや、待って。今日エイプリルフールかなにか? えっ、なに、俺騙しても何も得ねぇよ?」

 

 椅子に座っている西条は、ため息しかつかない。寝ぼけているのは西条の方じゃないのか。そうやって問い詰めてみるけど、西条は氷兎なんて知らないの一点張りだった。そんな馬鹿なことがあるか。今まで一緒に頑張ってきた仲間なのに、忘れるなんてことがあるわけない。けれど、西条が嘘をついてる様子もなくて、そもそも嘘なんてつくような男じゃないし……。

 

「何度も言うが、氷兎なんて男は知らん。お前の妄想じゃないのか?」

 

「ばっ、バカ言うなよ!! 見てみろ、氷兎が使ってたベッドには小物とか置いてあるだろ!!」

 

 そう言って氷兎のベッドを指さす。確かに枕元には目覚まし時計やティッシュケースなどの小物が置いてあって、ベッドの下の収納スペースには氷兎のゲームカセットなんかも入っている。タンスの中には氷兎の服も入ってるし、ちゃんとここで氷兎は生活していたんだ。

 

「……お前、部屋に一人は寂しいからといって適当に設置したの忘れたのか? その服も、元々お前が持っていたものだろう」

 

「違うって!! この服は確かに氷兎ので、アイツはちゃんとこの部屋で一緒に……ッ!!」

 

「……もういい、今日は休め。飯なら俺が作ってやる」

 

「聞いてくれよ、西条ッ!!」

 

 呼び止めても、西条は呆れたような顔をして朝飯の準備を始めていく。冗談だろう、何かの間違いだ。何度も何度も心の中で繰り返した。

 

 携帯の中のフォルダを見ても、氷兎の写真はひとつもない。天在村で撮った写真も写真立てに入れておいたはずなのになくなっている。いや、それどころか氷兎の黒いマグカップまで……。

 

「は、はは……なんだよ、これ……」

 

 今までのが、全部夢だったとでも? いや、俺には西条と二人でここまでやってきた記憶なんてない。どういうことだ? なんで氷兎がいないんだ?

 

「なんなんだよ、これ……」

 

 背筋に嫌なものが走っていく。呼吸がだんだんと浅くなって、息が苦しい。その場で崩れ落ちて、両手をついたまま何度も深く息を吸おうとする。

 

 けど……上手く、呼吸ができない。

 

「おい、おい鈴華ッ!! どうした!?」

 

 ………。

 

 

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

 

 

 

「─────ッ!!」

 

 寝ている身体が、咄嗟に跳ね起きた。俺がいるのは、自分のベッドの上。服装は寝巻きのまま。向かい側のベッドを見てみるが……やはり、そこには誰もいない。

 

 けど、漂ってくる匂いが鼻腔を擽った。それと同時に、お腹も収縮を始める。寝癖でボサボサな髪の毛を気にすることもなく、食卓のあるリビングへと歩みを進めた。

 

 扉を一枚挟んで向こう側に、確かに人の気配がある。それが西条なのか、それとも氷兎なのか。頼むから氷兎であってくれ。そう願いながら、ゆっくりと扉を開く。

 

「あっ、先輩。おはようございます」

 

 鍋を掻き回しながら、俺の後輩はいつものように挨拶してきた。俺とは違い、真っ直ぐな髪の毛。最近伸ばしているのか、耳がちょっと隠れて、襟足も長い。既に寝巻きから普段の服装に着替えている彼は……間違いなく、氷兎だった。

 

「……よかったぁ〜、夢だったかぁ」

 

「夢? なに見たんだか知らないですけど、そろそろ飯できますよ。あっ、珈琲飲みますか?」

 

「あぁ、うん。頼むわ」

 

 はいはいって返事をして、氷兎は食器棚に向かっていく。そして俺の青色のマグカッブを取り出して、珈琲を抽出していく。椅子に座って待っていると、漂ってくる香りが、鍋の中で煮えたぎる味噌汁と相まって複雑な匂いになる。けど……自然と落ち着いていくのがわかった。どうやら、俺も氷兎に毒されているらしい。

 

「……あれ、先輩俺のマグカップ知りません?」

 

 椅子に座って伸ばしていた身体が氷兎の放った一言で強ばるのがわかった。何もなかったのだと、油断していた。マグカップ。その言葉に心臓がキュッとなる。夢の中でも、氷兎のマグカップはなかった。いや、あれは夢だ。何をそんなに怯える必要がある。

 

「いや、知らないな。洗ったままとか?」

 

「洗い物はさっさと片付けるタチなんですがねぇ……本当、どこいっちゃったんだろ」

 

 まさか菜沙か……なんて氷兎は口にしていたけど、この部屋は俺と氷兎しか普段は使わない。いや、毎日のように人が出入りしているけど、食器棚を触るのは氷兎と菜沙ちゃんだけ。菜沙ちゃんが持っていく可能性は……なくもないが、低いだろう。

 

「んー、まぁいいや。しばらくは来客用のマグカップ使いますかね」

 

「……なぁ、氷兎」

 

 いやまさか、自分がここまで怯えることになるとは思ってもいなかった。なんだか、さっき見た夢があまりにも現実味がありすぎて。そう、まるでこっちが夢なんじゃないかとすら思わせる。ゲームで、胡蝶の夢の話があったけど……なるほど、確かにそう思いたくなるのもわかる。でも、氷兎はちゃんと目の前にいるのだから、間違いなくここが現実のはずだ。

 

「お前、いなくならないよな?」

 

 氷兎はマグカップの中になみなみと珈琲を淹れて、俺に差し出した。見上げて彼の顔を見れば、呆れているのか。氷兎はちょっと意地悪そうに笑いながら返事を返してきた。

 

「なに馬鹿なこと言ってんですか。先輩、俺がいなくなったら食生活狂うでしょ。いなくなりませんよ、俺は」

 

「はっ、ハハ……そうだよな。お前がいなくなるわけねぇか」

 

「なんか嫌な夢でも見たんですか?」

 

「……そうだな。まぁ、気にすることでもないし、しょせんは夢だ。俺は気にしないことにした」

 

「そっすか」

 

 適当に相槌をうつ後輩。氷兎は俺のことを、いつも先輩先輩って慕ってくれる。最初はちょっと後ろを着いてきて、すぐに隣を歩くようになり、気がつけば俺を守るかのように前に立って戦っていた。俺たちは、色々なことを経験してきている。戦いも、人の生活も、そして誰かの死も。確かに積み上がってきている。それが氷兎を、成長させているのだと見ていて実感した。

 

 ……けど、俺は? 俺は一体、何か成長できたのだろうか。人として、肉体として、何か変わったのか?

 

「先輩」

 

 俺のことを呼ぶ声にハッとなる。心配そうに見つめている氷兎の頭を、グシャグシャと強く掻き乱した。手にはしっかりと質感がある。触った感触がある。氷兎は、ここにいる。

 

「……俺って、割とナイーブになりがちな性格かな」

 

 誰に尋ねるわけでもなく呟かれたその言葉に、氷兎は返してきた。

 

「先輩とは無縁のもののような気がしますがね。なにせ、ころっと次の日には忘れちまうんですから。先輩はいつだって、前を見て歩いてる。うじうじ悩むの、先輩らしくないですよ」

 

「……俺らしく、か」

 

 対面の椅子に座って微笑む氷兎を尻目に、珈琲を呷る。ちょうどいい温度と、ブラック特有の酸味。そして苦味。不安で震えそうな心を、それらが塗りつぶしていく。

 

 本当は、自分がどれだけ情けないのか知ってる。虚勢を張ることだってある。それでも……俺はここから逃げることはしない。逃げちゃいけない理由ってのが、なんとなくある気がするから。

 

 

 

 

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

 

 

 

 

 飯を食い終わって、氷兎の特訓の間は何も暇な時間ってわけじゃない。両手で一丁ずつ構えたコルト・ガバメントによる連続射撃。強風に煽られる状態を想定した高所での移動射撃。遠距離狙撃のための移動と、動くターゲットの狙撃。時には、物を投げるコントロールを鍛えるためにストラックアウトのようなものもやってみる。

 

 そしてあとは組手。素手での戦いを想定した近接格闘術……とは名ばかりの、喧嘩殺法。それと柔道を模した鎮圧術。VR装置でちょちょいと弄れば、なんだってできる。自分にできそうなものを探して、鍛えて、備える。最近は銃を使用した近接格闘術も編み出した。銃自体がそれなりに堅い代物だ。マガジンの底の部分で殴りつけるだけでかなりダメージは出る。暴発には気をつけなきゃいけないが。

 

「鈴華、終わったぞ」

 

 特訓を終えて休憩室で休んでいたら、西条が氷兎を肩に背負ってやってきた。最近はなかなか見なくなったが、前はこういったことはかなりあった。この二人の特訓内容はかなりハードだ。氷兎が必死にくらいついて、たまに西条に傷をつけられるらしいが……その場合、西条がヒートアップして氷兎がついていけなくなり、倒れる。メキメキと氷兎の近接戦闘の練度が上がっているのを見る限り、これはこれでいいんだろう。本人たちも、最近は楽しそうだ。

 

「おっと、氷兎が撃沈してら」

 

「組手で足払いをくらってな……倒れる俺を歪んだ笑みで見てくるものだから、つい……」

 

「お前って負けず嫌いだよなぁ」

 

 まぁ、西条らしい。もうちょっと休ませてと頼み込む身体を無視して、西条から氷兎を受け取ると、今度は俺が背中に背負って部屋へと運んでいく。それなりに筋肉はついているはずだけど、見た目通りな軽さだ。氷兎の身体能力は筋肉が発達したとか、そういったものじゃない。多分魔術的なものとか、人智の及ばない類のものなんだろう。昼間の身体能力は、一般人よりも強いが一般兵と比べたら弱い。真骨頂は月のある夜だが、それよりもコイツは人と話すことを特に得意としている。

 

 本人に自覚はないんだろうけど、人間観察の能力はかなり高い。それこそ、顔や声音でその人の抱いている感情と、言っている言葉の真偽まで予測できる。多分どうやってって聞いても、本人には答えられない。人生を生き抜く上で、自然と身についた類のものだ。平凡だ、ポンコツだと自分を貶すけど……そりゃ、自分の価値に気がつけていないだけだ。

 

 自分にとっては無価値でも、人からすれば輝く宝石のように、氷兎は他人から必要とされやすい人物であり、人格であると言える。

 

「なぁ西条。氷兎のことでちっと話があんだけどさ」

 

「唯野がどうかしたのか?」

 

「んー、いやちっとな……。そんなに悩むことでもないのかもしれないけど、ちょいと不安でな」

 

「脳天気なお前が不安となると、明日の天気は雨でも降るか」

 

「いやわりと真剣な話なんだがなぁ……」

 

 うだうだと話すうちに、俺たちの部屋へとたどり着いた。最早西条との共同スペースと化してきた俺と氷兎の部屋だが、どうにも薄ら寒い感じがする。暖房はつけていないが、気温はそんなに低くない。

 

 ……やっぱ、心的要因か。氷兎をベッドに寝かしつけて、俺は両腕をさすった。どうしてか鳥肌までたっている。

 

「……やけに落ち着きがないな。何があった?」

 

「いや、それがさ……」

 

 今朝見た、あまりにも現実的な夢の内容を話し始めた。何を馬鹿なことを……って言われると思ってたけど、西条は真面目にその話を聞いて、椅子に座ったまま顎に指を当てて悩む仕草をする。どうにも西条は何か俺の話に引っかかることでもあるみたいだ。

 

「……夢の話で悩むなんて、馬鹿らしいと思うか?」

 

「いや……そうでもない。むしろ、何か起こる前触れかもしれんな」

 

「と、言うと?」

 

 俺も椅子に座って、西条の対面で身体を楽にする。背もたれに体重を乗せて、軽く傾けていきながら天井を見上げた。氷兎の丹念な掃除のおかげか、天井には染みひとつない。そんな状態のまま西条の言葉の続きを待っていたが……。

 

「───俺も、同じ夢を見た」

 

 ……危うく、そのまま後ろへ倒れていきそうになる。椅子を勢いよく元に戻して、西条の目を見た。鋭い眼光は、嘘を言っていないことを示している。

 

「いつも一緒にいるお前が、氷兎なんて知らないと言っていた。その時点ですぐに夢だと察したが……」

 

「……まったく同じ夢を、同じ日に?」

 

「ありえない、とは言えない。だが内容からして、変だと思わないか」

 

 西条は氷兎が眠っている部屋の方を見た。もしかしたら、今のこの瞬間にいなくなっているんじゃないか。そう思って、俺は咄嗟に寝室の扉を開けた。ベッドの上では、氷兎が横になったまま動いた形跡がない。

 

「……夢を介して、天啓を授かるなんて話は昔からごまんとある。それに夢が記憶の整理だなんて話もあるが……まったく意味不明な夢を見ることすらある。夢というのは、とても曖昧なものだ。これが予知夢なのかもしれないし、俺とお前が普段から一緒にいるせいで夢がリンクした、なんて馬鹿げた話の可能性もある」

 

「でも、仮にこれが予知夢だったら……」

 

「それは判別がつかん。それに、仮に俺とお前が同じ夢を見たなら……夢を見た人間は、きっと他にもいるだろう。例えば、高海とかな」

 

 菜沙ちゃん、か。確かに氷兎と一緒にいることが多いし、可能性もなくはない。けどそんな夢を見たら、彼女は一目散にこの部屋に飛んできそうなものだけど……。

 

『コンッコンッ』

 

 部屋の扉がノックされる。西条と顔を見合わせてから、扉のところまで向かう。少しだけ、手が震えていた。それを我慢するようになんとか腕を伸ばし、ドアノブを回す。開かれた扉の先にいたのは……。

 

「あっ、おはようございます、鈴華さん。あの……ひーくん、いますか?」

 

 菜沙ちゃんだった。いや、彼女だけじゃない。その後ろには七草ちゃんと、藪雨もいる。皆表情が強ばってて、それだけでなんとなく察しがついてしまった。

 

「あぁ、いるよ」

 

 この子たちも、見たんだ。氷兎だけがいなくなる、あの夢を。

 

 全員を部屋へと上がらせて、氷兎の確認をさせる。菜沙ちゃんは泣きかけそうになりながらも、氷兎の手を何度も握っては笑っていた。

 

「薊さんも、鈴華せんぱいも同じ夢を見たんですよね」

 

「私も、変な夢だなーって思ってたけど……起きて菜沙ちゃんが、氷兎君がいなくなる夢を見たって泣きそうになってて……」

 

 菜沙ちゃんは氷兎の傍にいさせてあげて、七草ちゃんと藪雨は椅子に座らせる。生憎と氷兎が気を失ったままだし、珈琲も何もないが……いや、のんびりと飲んでいられるような雰囲気でもない。

 

「写真立てはあるけど……氷兎のマグカップは消えたままだ。夢でなくなったものが、現実でも消えたと仮定していいんだな?」

 

「現状は、な。何もわかってはいないが、これだけの人数、しかも唯野の関係者が同じ夢を見た。間違いなく、これから何かしら起こる前触れだろう」

 

「何かって……」

 

「氷兎君、いなくなっちゃうの……?」

 

 七草ちゃんの言葉を最後に、部屋は静まりかえる。為す術がないこの状況が、とてつもなく恐ろしかった。親しい友人が、相棒が、消えてしまうかもしれない。

 

 ……しれずと握りしめた両手を自分の足に叩きつけた。

 

「いなくならねぇ」

 

 全員が、俺のことを見てくる。この想いは、揺るぎはしない。大切な仲間だ。失ってなるものか。

 

「氷兎は、いなくなったりしねぇし、させねぇ」

 

 七草ちゃんが頷いて、同調するように藪雨も頷いて返した。西条だけはじっと顎に手を添えたまま、俺を見据えている。

 

「当たり前だろう。だが、今は何もできることがない。経過観察程度か……もしくは、寝ないというのも手かもしれん」

 

「なら、俺が起きて氷兎のことを見張ってる」

 

「一人じゃ何徹もできないだろう。俺と交代で見張りだ」

 

 互いに頷きあって、気持ちを新たにする。ベッドで眠っている氷兎の方を見ながら、また両手を握りしめた。

 

 氷兎は俺が守る。それが相棒としての努めだ。ここにいる皆も、氷兎のことを助けたいと思っている。心強い味方がいるのは、なんとも頼もしいことだった。

 

 

 結局その日は西条が見張りをしていたけど……夢の中で氷兎は、やっぱりいなくなっていた。

 

 

 

 

To be continued……


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