――駒王町には子鬼が居る。
そんな噂が流れていた。
曰く、悪人を懲らしめる正義。
曰く、破壊の権化。
曰く、赤い修羅。
曰く――シスコン。
「って誰がシスコンだコラ!」
「プゲラァ?!」
高校生ほどの不良を足蹴にしているのは、ずっと年下の少年だった。
死屍累々と言っていいほどボロクソにした不良、その数7人。
こんなことになった理由は単純。ゲーセンで遊んでいた不良が台を占領していたので、どかすために
「はぁ。無駄に時間くったな……さーって改めて」
「どーこーに、行くのかしら?」
「!?」
路地裏から退散しようとした少年、兵藤一誠の背後に立ったのは艶の良い長い黒髪を靡かせた美少女だった。
駒王学園の制服を着た彼女は一誠の姉、兵藤夕麻という。
16歳の現役高校生であり、サボり魔で面倒事ばかり起こす一誠とは正反対、才色兼備の完璧超人だ。
家では両親や自分に甘えるような一面もあるが、そこも含めて完璧といえる。
「ね、ねぇちゃん何時の間に……というか学校は?」
「ふふふ、もう下校時間よ。で、何をしてるの?」
「マジか。いや、ちょっと掃除を」
「ふーん……一誠?」
「はい……」
「正座」
「いや、正座って下コンクリ」
「正座」
「……はい」
兵藤一誠12歳、小学6年生。不良、ヤクザ、果ては警察にまで喧嘩を売って勝利した経験を持つ彼は、一人の姉に膝を屈した。
*
「アッハハハハ!凄いね夕麻の弟君!」
「笑いごとじゃないわよ。全くもぅ」
夕麻の話に笑うのは友人兼クラスメイトの桐生藍華だ。
変わり者だが面白い人間として夕麻は接していた。
昼食をとりながら談笑していると、ふと外が騒がしいことに気付く。
みれば赤い長髪の女生徒と黒髪ポニーテールの女生徒の取り巻きの騒ぎのようだった。
「相変わらずね、二大お姉さま」
「そーね」
「そんなに興味ないの夕麻くらいよ」
そう言われるが、興味以上に彼女たちのことは警戒していた。
リアス・グレモリーに姫島朱乃、2年生ながら二大お姉さまと言われ学校中に親しまれている彼女たちは、堕天使である夕麻からすれば敵対派閥……悪魔なのだ。
(ハァ……入学してから気づくなんて、私なにしてるのやら)
それもこれも問題児な弟のせいだ。
月一で何かしら問題を起こすか、巻き込まれる弟は見守っていないと心配でしょうがない。
出来れば学園に連れてきて四六時中一緒に居たいほどだ。
「……ぁ」
「どうしたの?」
「
「あーはいはいブラコンブラコン」
その日の帰宅後、一誠が事件に巻き込まれ、拳を持って解決したという話を聞いて頭を抱える夕麻であった。