はちゃめちゃ赤龍帝   作:...

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連投です…です……です(ガクリ


共闘開始!

 学園の校庭の真ん中で聖剣が統合されるのをただ見つめるフリード。

思えば、自分が此処(・・)に来るまで随分かかった気がする。

機関で非人道的な扱いを受け、抜けても自分には戦うことくらいしかなかった。教育も教会の狂った教えによって、自分で言うのもなんだが随分偏っていたりオカしくなっている。

 生きるために戦った。自分と言う存在を証明する行為が其れしかないから、戦い続けて……あのへんな堕天使たちと出会った。

 

(バカばっかだったよなぁ)

 

 神器を抜き取る相手となかよしこよしになるし、そもそもやる気が無い。

遊び歩いてはちゃめちゃな子供を連れ込んできて、ボコボコにされたり、おかしな悪魔に絡まれたと思ったら子供がボコボコにしたり。

その後は神器の計画なんて消滅した癖に、何故か一緒に暮らして……鍛錬を堕天使として、食を聖女に貰って、だらける時間を共にして。

 

 まるで、家族みたいだ、なんて。

 

(自分で自分に反吐が出るってもんだ)

 

 そう思っても心底嫌う事なんて出来なかった。堕天使なのに、裏切られ続けて魔女と呼ばれてる聖女なのに、バカみたいに情が移ってしまった。

で、気づけば力を求める理由がズレてズレて……このザマ(・・)だ。

 

「できたぞ、聖剣エクスカリバーだ……どうした?」

「いんや、別に」

 

 エクスカリバーを受け取り、軽く素振りをしてみる。

なるほど、さっきまで振るっていたのに比べれば随分と力強い『聖』を感じる。

 

「で?この術式は後どれくらいで解放されるんで?」

「ん?あぁあと20分もすればこの街は崩壊するだろう。止めるにはコカビエルを殺すほかない」

「そーかい――んじゃ、サイナラー」

「ハ?―ゴポ!?」

 

 正に一刀両断。バルパー・ガリレイと呼ばれる狂信者は、フリードの手によって呆気なくこの世から消えた。

そんなフリードに上空から押し殺されそうな殺気がぶつけられる。

バルパーの懐から零れ落ちた結晶を拾いつつ、見上げればコカビエルが上空で椅子にふんぞり返っていた。

 

「……なんのつもりだ?」

「アー?何のつもりも何も、オレッちははぐれ神父だぜぇ?いつまでも同じクサレ外道と一緒に居るわけないっしょ?」

「そうか……元々エクスカリバーが狙いだったのは予想していたが、こんな直ぐ裏切るとはな」

「うっせぇ。何時までも見下してんじゃねぇよ」

 

 グニャグニャとフリードの手にした聖剣が形を変えていく。

擬態の特性によって持ち主の思い通りの形へと変貌するそれは、聖剣と呼ぶには随分いびつな形へと変貌を遂げる。

 

「何だそれは、それ(・・)で聖剣のつもりか!?」

「は、死んでろクソ鴉!!」

 

 ジャキッ(・・・・)という音を鳴らすそれは、銀をベースにした、金の逆十字(・・・)装飾を設けたそれは銃。だが、先端部に剣が設けられている。

 

――撃放の聖銃剣(エクスカリバー・オネット)

 

 初撃、聖なる槍と聖なる弾丸がぶつかり合い、相殺した。

二撃、三撃、四撃、段々太くなっていく槍に対し、威力を高めていくことで対抗。

次は雨あられのように細かな槍を降らせるコカビエルに対し、エネルギーを溜め砲撃として横なぎに放射、薙ぎ払った。

その直後に放たれた巨大な槍に対し、冷静に慌てずフリードは弾丸の()を変える。

 

破壊の聖弾(デストラクション・バレット)

 

 一発の弾丸は槍を撃ち砕き、コカビエルの頬を掠めて天へ消えていった。

 

「……なるほど、聖剣を扱いこなしているな。それも、異例な形で」

「お褒めの言葉ドーモ」

 

 余裕そうな二人だが、フリードは若干冷や汗をかいていた。

簡単に聖なる力を撃っているように見えるが、その収束や光の弾丸の生成は人間のフリードにはキツイ面があった。

慣れるのに少し時間が必要だと思いつつ、今はそんな時間が無いということも理解している。

 

(実戦で慣らすしかねぇが、この実戦で慣れる前に死んだら話にならねえ……早くきやがれクソっタレが!)

 

 槍を銃剣で撃ち抜いていくが、段々押し込まれていく。

それならばと今度は力を擬態させる(・・・・・・・)。開いていた左手に聖光の剣が出現した。

 

「ハハハハハ!!凄いな、まるで聖人のようだぞ!翼があれば天使か、いやそこらの天使以上だな!」

「ハッ、オレッちが天使なんぞになったら即堕ち待ったなしだっつーの!!」

 

 どんな皮肉だ!と気合一閃で槍を叩きつぶしていく。

正直、今飛べるなら天使でも堕天使でもいいから、翼が欲しいと思うフリード。だがあいにく使っているのは聖剣であり、銃剣。流石に翼にはならない。

このままでは上空から嬲り殺しになってしまう、と少し焦るフリードだが、ようやく待っていた存在がやってきた。

 

「こ、これは一体……」

「どういうことですか?」

 

 合流したシトリー眷属とディオドラ、リヴァリア、そしてリアス一派。

 

「ってお前らかヨ……」

 

 脳裏に白いクソガキを思い浮かべつつ、それでも戦力が増えたと嗤うフリード。

 

「どういう事も何もこういうことだよっと!!」

「離反したというのですか?」

「あぁ!まぁ元々そう言うつもりだったしな!」

「なるほど。それで死者を出さなかったんですね?」

「そっちは保身のためだっていうか手伝いやがれ!」

「いや、そうは言われても僕らは元々聖剣を戴くか壊すつもりだったし、そのまま負けてくれても良いかなぁって」

 

 ディオドラの言葉に悪魔陣営含めた冷たい視線がディオドラ自身に突き刺さる。

こういう所があるから未だに仕事手伝ってもらえないんだよ、という無言の圧力を受けながらも、ディオドラは間違ったことは言ってないと堂々としていた。

 

「このままだと、あの術式の効果で後10分ちょいで街が崩壊すんぞ!!」

「え、本当ですか?」

「えぇ本当ですよ。僕の解析によると……凄いなアレ。あそこで死んでる人間が造ったのかな?正確には14分ちょっとですね」

「「そう言うのは早く言いなさい!!!」」

 

 事前に知っていた風のディオドラにソーナとリアスが文句を言いながら、水と滅びの魔力を槍にぶつけてフリードの援護を始めた。

二人に釣られるように、ディオドラ以外の悪魔が魔力をぶつけていく。

 

「ふむふむ……なるほど、膨大な聖なる力だからコカビエルが制御してるんですね」

「冷静に解析してる場合ですか?」

「いやー、でも術式の解析くらいしないと、ね?まぁ結果として聖なる力で出来てるから、僕たちは触れることも出来ないけど!アハハ!」

「今すぐあの陣に叩き込んであげましょうか?」

 

 苛立ちを槍にぶつけるリヴァリアに対し、やっぱり自分達だけじゃどうにもならないじゃんとお手上げになるディオドラ。

助力が増えても相手の猛攻を押しとどめる程度にしか至らない。

そんな彼らに、コカビエルはさらに厄介な存在を召喚した。

 

「餌の時間だ、ケルベロス」

「「「「「「GUGAAAAAAAA!!!!!」」」」」」

「うわ、また面倒なのが……それも二匹」

 

 三つ首の番犬、ケルベロス。

 

「ッリアス、そちらは頼みます!」

「そっちも気を付けなさい!」

 

 前方に召喚された方をリアスとその眷属が、背後に召喚された方をソーナ達が抑える。その代り、ディオドラが槍のカバーに入った。

元々攻撃力特化のリアスはケルベロスを抑えきるが、ソーナ陣営は攻撃力が足らず押し込まれそうになる。

 

「ちょ、何してるんです!?貴方の神器は黒き龍脈(アブソーブション・ライン)ですよね!?縛るだけじゃなく、とっとと力を吸い尽くしてくださいよ!」

「は?え、これそんなことできんの!?」

「ドラゴン系神器でも有名どころなんだから、それくらい勉強しやがれ!!!」

 

 思わず素で叫ぶディオドラだが、言っていることは間違っていない。

匙は驚きながらもケルベロスの力を吸い取り、弱体化を図る。だが、彼の吸い取る力では弱らせるまでに時間が掛かってしまう様だ。

ケルベロスの三つ首の炎を必死にソーナが防ぎ、眷属が果敢に襲い掛かるが中々斃せそうにない。

 

「おい、クソ悪魔ども何してやがる!!」

「うるせぇ!こっちはこっちで必死なんだよ!!リヴァリア、シトリーの方手伝ってやれ!!」

「分かったわ!しくじらないでよね!」

「そっちがしくじんなきゃ問題ねぇよ!!」

 

 リヴァリアがソーナの方に加勢に行き、フリードとディオドラが叫び合いながら二人だけでカバーし合う。

外道で何をしても勝てばいいが信条のディオドラと、何をしてでも勝ちに行くフリードは根っこが似ているのか、これが中々相性がいい。

いいのだが、やはり圧倒的なのは力の差だ。聖光に掠るだけで力が弱まる悪魔と、地力が劣る人間。

そして、力をつけ始めたばかりの悪魔たちでは……どうしても、勝てない。

拮抗は段々傾いていき、そして――

 

「会長ォ!?」

「キャ!?」

 

――崩れた。

 

 ケルベロスの猛攻をついに抑えきれなくなったソーナ達。

防護を破壊しその牙と爪、火焔がソーナとリヴァリアに向けられた。

 

「くっそがッ!」

「バカが、何してんだ!?」

 

 背後が崩れた瞬間、カバーしようとしてディオドラの腹部に細い槍が突き刺さった。

協力体制が崩れ、槍の乱雨が落とされようとした、その瞬間。

 

「お座りぃいいいいいい!!!!」

 

 赤い閃光がケルベロスの背中に突撃し。

 

「随分楽しそうだな」

「なッ!?」

「フン」

 

 白い閃光がコカビエルの頬を殴り飛ばした。

 

「ハハハ、たく」

 

 フリードとディオドラ、奇しくも神父と悪魔の言葉が被った。

 

「「おせぇよ、クソガキ」」

 

 紅い少年はパジャマ姿であり、白い少年は片腕に金髪のシスターを抱きかかえていた。

殺伐としていた空気がガランと変わるのを肌で感じる。

そう、安堵だ。

 

「フリード、随分変わった聖剣を――」

「怪我人がこんなに!?治さないと、ヴァーリ君、降ろしてください!」

「ちょ、わかったから暴れるな!」

「ふぁあ。ねみぃ……」

「一誠様、私の膝でよろしければどうぞ」

 

 締まらないな、とその場にいた全員が呆れていた。

 

「つーか遅ぇよ。大体、何でその聖女サマが居るんだ?」

「ん?あぁ、オレが抜け出そうとしたらバレてな。行きたい場所があるなら一緒に行くと聞かなくて」

 

 面倒だから連れてきた、と上空から降りながら遅れた理由をフリードに説明するヴァーリ。

子供に抱きかかえられて飛翔するとは思っていなかったのかびっくりしたらしいが、怪我人が居ると分かればあっさり切り替えその治療に当たるアーシア。

 悪魔たちはどう見てもシスターな彼女に警戒しながらも、アーシアの治します!という言葉と気概に気圧されて治療を受けていた。

リヴァリアに至っては一誠を膝枕出来てご満悦だし、なんだこれは?

 

「こ、の……ふざけるな、何だ、何故ヴァーリが此処にいる!!それと、なんだそのガキどもは!?」

 

 地面に減り込んでいたコカビエルが起き上がる。

ヴァーリの持つ膨大な魔力を込めた一撃だったのだが、流石聖書に記されるだけあって頑丈らしい。意外とピンピンしていた。

 

「あぁ、アザゼルに言われてお前を回収しに来た。で、フリードに聖剣渡したら面白そうだからこうなるまで放っておいただけだ。彼女はアーシア、飯が上手くて優しい。そっちは知らん」

「……んー、おれいっせー……なんか、よばれたからきた。ねみぃ」

「このお方は兵藤一誠様です。呼ばれたというのは、もしかして」

「あぁ、僕が呼んだ。治療が長引いてるらしいし、丁度良かったろ?」

 

 訳が分からないという顔をするコカビエル。

そりゃそうだろう、ヴァーリはともかくアーシアの説明は只の紹介だし、一誠に至ってはもはや意味不明だ。

どう見ても人間がなぜこんな場所に居る?これから魔王の妹達をボコボコにして、魔王を挑発し、ついでに街を破壊して戦争のきっかけにするつもりだったのに……。

 

「無事かい、皆?」

「これは……どういう状況で?」

「……」

「えっと?」

「私たちの聖剣は、どうなった?」

 

 ついにはサーゼクスとその女王が現れる。傍らには怪我人の悪魔もいた。

さらにその後ろにはゼノヴィアと、未だ動けないのか彼女に抱きかかえられているイリナも来た。

正真正銘、詰みである。

 

「まあ諦めろ。今なら永久凍結程度で済むだろうさ」

「ふっざけるな!!!」

 

 ヴァーリの言葉に激昂で返す。

此処まで来て、何故白龍皇に邪魔されなければいけない。これは悪魔と堕天使、そしてしいては天使すら巻き込む大戦争、そのきっかけなのだ。

ドラゴンにまたもや邪魔をされるなど、赦されていいはずがない。

 

「まだだ、未だ終わっていない!!」

 

 そうだ、怪我人と聖剣が無い人間が魔王の近くにいる。この状況下ならば、彼らは力を引き出せないだろう。

あの力(・・・)は余波で人間程度なら消し飛ばしかねない。

 

「戦争を、戦争を起こすのだ!!そのために、俺は――俺はぁあああああ!!!」

「? なんだ、まだ奥の手があるのか?」

「……?」

 

 白龍皇と赤龍帝の二人が、コカビエルの取り出したそれに反応した。

そう、これは――ドラゴン(・・・・)の波動だ。

ドラゴンに邪魔されたからこそ、その力を使うことはコカビエルにとっては屈辱でしかない。だが、この状況に至ってはそうも言ってられないのも事実。

 

「力を寄越せ、無限の龍よォ!!」

 

 握りつぶしたナニカから、黒い蛇のようなものがコカビエルに絡みつき、その力を増大させた。

 

「ほぉ。面白い、お姉さん達は下がってろ」

「なぁんかヤバそうだし、リヴァリアさんたちは下がっててよ」

 

 ニヤリと二人の子供が獰猛な笑みを浮かべる。

最近面白い事や興味深いことが増えた。神器や異種族の力に関しては涎物だ。

飢えた獣のように、二人の少年が叫んだ。

 

「「バランス・ブレイク!!」」

禁手(バランスブレイク)赤の龍鎧(ウェルシュ・ギア・メイル)!!』

禁手(バランスブレイク)白龍皇(ディバイン・ディバイディング)の鎧(・スケイルメイル)!!』

 

刺々しい赤の鎧と、煌びやかな白の鎧を纏った二人の少年。

思わず顔の鎧を収納して顔を見合わせてしまう。

 

「お前が……」

「それ……カッコいいな!」

「は?」

「あ、オレのもいいだろ?結構気に入ってるんだぜ?」

「……そうか。まぁお前は後だ。今はアイツをぶっとばすぞ、このままだとこの街が消し飛ぶらしい」

「うぇ?!マジか!?」

「聴いてなかったのか?」

「いやー、眠くて」

 

 タハハ、と嗤う赤龍帝を呆れた目で見るヴァーリ。

だが、なるほど。伝わってくる波動は中々のモノだった。

 

「姉ちゃんたちが居るんだ、住む場所が無くなるのは困るからな。アイツブッ飛ばせばいいんだろ?」

「あぁ……その後、オレともやり合おう」

「お前と?力比べ?」

「あぁ。お前なら、楽しめそうだ」

「んー、つまり喧嘩か?まぁいいけど、だったら早く済まそうぜ!眠くてしょうがねぇんだ!」

 

 呑気な会話をする二人に、遂にコカビエルがぶちぎれた。

 

「この俺を無視とはいい度胸だ……想定外だが仲良く消し飛ぶがいい、二天龍!!!」

「ハッやってみろ」

「アンタ面白そうだな。こんな時間じゃなかったら……『一対一デユックリヤリアイタカッタゼ!』」

 

 黒い龍によって力を上げた黒い堕天使と、獰猛な赤と鮮烈な白の龍がぶつかり合おうとしていた。

 

「サーゼクス様、よろしいので?」

「……まぁ、やる気になっている子供に水を差すのも悪いだろう。こっちには怪我人もいるし、守りに集中しようじゃないか」

「はぁ……そういうところ、貴方の悪い癖ね」

 

 そう言いながらも結界と防護を張る彼女。

それに微笑で返しながら、滅びの攻勢防護を張る魔王様。

そんな超安全地帯で治療を受ける彼らは……。

 

「おーおー、そんな睨むなよ」

「……」

「祐斗、落ち着きなさい。もぉ」

「あらあら」

「白も来るとか、僕しーらね」

「知らないで済むと思ってるんですか?本当に陣にぶち込みますよ?」

 

 意外に殺伐としていた。

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