はちゃめちゃ赤龍帝   作:...

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|д゚)チラッ
|д゚)オヒサシブリデス



幕間 無限の少女

 彼女はただ、狭間の静寂を求めていた。

唯一の同格に後れを取り、棲みかから退くことになった龍神(少女)

 

 あの場所へと戻るには、自分(無限)を敗北へ追いやった龍神(夢幻)を追い払うための力が必要だ。

 

 だから彼女は力ある者を求めた。

一人、二人と彼女は自分の力を少し分け与えることを条件に増やしていっていた。

気付けばかなりの大所帯となっていたが、未だ足りない。

 

 そして、ある日僅かな龍の反応を感じ取った彼女はとある町へ訪れた。

龍神であるからこそ気付いた、本当に僅かな違和感の下へ赴くと……そこには、一人の少年が居た。

この形(少女)とあまり変わらない背丈の少年は、弱い者をつまらなそうにぶっ飛ばしている最中だった。

 

「……ドライグ?」

「ハ……?」

 

 目の前のことしか見えていなかった少年へかけたその名は、二天龍の片割れの名。

もし覚醒しているならば、少年が知らないはずは無かった。

だがまだ眠っている力の正体を知らない彼は、唐突に呼ばれたその名を理解できずにいた。

 

「えっと、今オレに話しかけた?なんかよう?てか、誰??」

「……我、無限の龍神。静寂を求めてる」

「………むげんの龍?せいじゃくって???」

 

 ポイっとボコボコにした弱者を地面へ放りつつ、少女へ当然の疑問を投げかけた。

しかし困ったことに、少女は口下手というか口数が少なすぎて全く伝わらなかった。

目の前の少年は見た目通りの年齢故に、そもそも意味が分かっていない単語もあるらしい。

 どう言葉にしようか。頭を悩ませていると、唐突に少年が近づき、先に言葉をかけてきた。。

 

「……なぁ、お前暇なら遊ぼうぜ!」

「……あそぶ?」

 

 遊ぶ、という概念は彼女にはあまりに馴染みないモノだ。

彼女が力を発揮すれば、大抵の事象は吹き飛んでしまう。

存在そのものが他の者と規格が違う。そして、その規格外を欲して周りが煩くなっていく。

それが嫌で、静寂の空間で揺蕩っていた少女にとって、少年との『遊び』は新鮮なモノだった。

 

 公園でルールを用いた『遊び』を行った。

彼の家でゲームという機械を使う『遊び』を行った。

 

 彼にとって、『遊び』とは比べあい、競い合い、その勝敗に一喜一憂することだと彼女は認識した。

そしてその『遊び』は難しく、険しい程彼は楽しいようだった。

 

「だぁぁ!また負けたぁ!!」

 

 彼女に負け、悔しがりながらも彼は。

 

「また明日も此処で待ち合わせな!次はぜってぇ勝ってみせっから!!」

 

 少年(人間)がそんなことを龍神(少女)に対し、本気で言って見せていた。

勿論、彼は彼女が龍神だなんて知らなかったが、どんな『遊び』でも彼女が勝利し続けたことから、彼女が自分より絶対的に格上だと分かっている筈なのに。

 

「………ん」

 

 勝敗なんてやる前からハッキリ分かっているのに、行う必要性なんて欠片も無いのに。

自然と彼女は、頷いていた。

 

「またな!」

「……また」

 

 その言葉を護って次の日も出会い、遊んだ。

彼が通っているという学校へ自分も入学し、彼以外とも遊んでみた。

でも、彼ほどの『楽しい』は湧き上がらなかったし、段々遊んでくれる人が少なくなっていって、何処となく詰まらなかった。

 

「フィー、これ観ようぜ!」

「これ?」

 

 

 必然的に遊ぶ相手は彼だけになったある日、彼の家に招待された少女はとある特撮を一緒に観た。

ヒーローが悪の組織と戦う、在り来たりながらも残酷で都合のいい物語。

そんなストーリーよりも、『ソレ』を楽しそうに見ている彼の姿ばかりが記憶に残っている。

 

「……イッセーは、ひーろーになりたい?」

「ん?まぁなるんなら、そっちの方がいいだろ。それに悪いことすると、姉ちゃんに怒られるしなぁ」

「そう……」

 

 ―彼はヒーローがいい。

 

「あーでも勿体ないよなぁ」

「なにが?」

「敵をぜーんぶやっつけるのはいいけどさ、コイツ等改心したらぜってぇ強いライバルになるじゃん!」

 

 ―彼は敵対しても嫌わない。

 

「強いのが、いい?」

「そりゃぁ相手が強い方が燃えるだろ?」

「もえる……?」

「テンション上がって、楽しいってこと!」

「そう」

 

 ―彼は、強いと楽しい。

 

「イッセー」

「なに?」

「我、強い」

「おう、何時か越してやるぜ!」

「ん、約束」

「約束って、そん時はちゃんと本気で相手してくれよな~?」

「もちろん」

 

 ――我は、彼と一緒に居ると……。

 

 気付けば、彼の心底楽しそうにしている姿ばかりが脳裏に焼き付いていた。

その出会いは、約束は、今も尚続いている。

 

 ■■

 

「ん……これ、似合って、る?」

「似合ってるけど……ドレスなんて着て、急にどうしたにゃ?」

 

 真っ黒なドレスを翻し、彼女、ウロボロス・オーフィスは笑顔で告げた。

 

 

約束を果たし(遊び)にいくね」

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