はちゃめちゃ赤龍帝   作:...

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旧魔王派と場外乱闘

 上空に待機していたそれぞれの陣営の悪魔、天使、堕天使たちがテロリストたちとの戦闘を開始した。

会談ということもあり、手練れを用意したわけではない、いわば雑兵。

しかし、それにしても数はかなりいるはずだが……戦況は禍の団が圧倒していた。このままでは、全滅は秒読みだろう。

 

「おいおいおい、随分一方的な状況じゃねぇか」

「ですが、護りを疎かにするわけにはいきませんよ」

 

 更に上空からは光槍と魔術砲が駒王学園の一室があった場所へ撃ち込まれ続ける。

隊列を分けているらしく、攻撃が途切れることはない。

その苛烈さは、魔王であるサーゼクスや殲滅女王と呼ばれるグレイフィアが守護に徹しなければ、とっくに死人が出ていただろうことを予感させるほどだ。

 

「………拙いですね」

「あぁ、非常に厄介だ」

「ひでぇなこりゃ。どいつもこいつも、オーフィスの力を感じやがる」

 

 敵の殆どの者に()が配られている。

無限の龍神の加護を、扱える尺度は各々違うが与えられている。

その威力は、リアス達で対処できる程度(レベル)を超えてしまっている。

 しかも最悪なことに、信仰者だったアーシア、ゼノヴィア、イリナの三人に至っては戦闘どころではない。

夕麻も戦闘ブランクは十年以上あり、ギャスパーに至っては神器を暴走させる危険性があるという。

……自衛もままならない程、戦えない者が多すぎるのだ。

 

「……フッ、面白い」

「おい、待てヴァーリ」

「なんだアザゼル。まさかとは思うが、こんな愉快な状況(戦場)でオレに出るなとは言わないだろ?」

「まぁお前が止まるような奴じゃねぇのは分かっちゃいるがなぁ」

 

 血生臭く、強者こそが生き残る戦場こそヴァーリが望む光景。

この戦闘狂が止まるとは思えないし、今止められそうな少女は頼りにするわけには行かなかった。

アザゼルには何も言えず、結局ヴァーリと共に外に出るメンバーを決めるしかなくなった。

 

「仕方ねぇ。ヴァーリに合わせて出る面子を決めるぞ。まず、そこの聖魔剣使いと聖銃剣(オネット)使いの小僧二人」

「僕と……」

「オレッちを扱うってんなら、後で代金頼みますよぉ~?」

 

 命懸けの戦場ともあって緊張した様子の木場と、相変わらずのフリード。

機動力があって攪乱に向いている。純粋な戦力としても十分なため、援護もあまり必要ない二人だ。

 

「命あっての物種だろうが。今はこの状況を乗り切ることを最優先にしろ……で、ミッテルトとドーナシーク、それとコカビエル」

「う、ウチぃ!?」

「……フンッ」

「おいおい、良いのか?」

「一緒に狙われてる時点で、お前はもう用済みなんだろーよ。中級程度まで緩んでやるから、死にたくなけりゃ手伝え」

「チッ……良いだろう」

「よし。お前らは三人一組(スリーマンセル)で行動しろ。雑魚だからって油断すんな、相手は龍神の加護を持ってるんだからな」

 

 敵の構成は魔法使いの次に悪魔が多い、光の攻撃が行えるこの三人が居れば、攪乱しながら掃討が可能だろう。

そして、問題は此処から。コカビエルの封印術を緩めつつ、他にも声をかける。

 

「で、敵のヤバそうなやつが視たところ四人は居やがるな。一人は結界の維持に力を割いてるみてぇだが……うち一人はオレが、一人はヴァーリが……で、残りの一人をアスタロトの坊主とその女王に任せた」

「ハァ?そこに居る天使ちょー様とか、魔王様たちのどっちかは戦わないんですか?」

「そこの三人が防御に割いてるから、あいつ等は近寄ってこねぇんだよ」

 

 サーゼクスは超越者と呼ばれる人種だ。こう言っては何だが、普通の魔王とは違う(・・)

グレイフィアとセラフォルーの二人も十二分に強いが、サーゼクスの存在があるからこそ、遠距離ばかりに攻撃に重きを置いているのだろう。

 仮に力ある者が接近してきた場合、サーゼクスに任せ残った二人に防御に集中してもらわなければならない。

 

「それと言っとくがな、ミカエルが死んだらそれこそ天使陣営は終わり(・・・)だ。その場合システムは崩壊、暴走するだろう……お前の首輪の主(赤龍帝の坊主)だって、只じゃすまねぇんだぞ」

 

 白龍皇はもしかしたら、持ち前のポテンシャルで神器の維持が可能かもしれない。

だが、赤龍帝はその力は神器が源泉と言ってもいい。

聞いた話だけでも親和性(・・・)が高いらしいのに、そんな危険人物が暴走でもしたら……。

 

「下手すりゃ、赤き龍(ウェルシュ・ドラゴン)の再来どころか、何もかもぶっ壊す破滅(・・)が起こるだろう」

「………選択肢がないじゃねぇか、クソがっ」

「一誠様の為でしたら、幾らでもこの身を粉にします」

「よし、以上だ」

「ま、待ってください!」

 

 揃って出ようとしたところで、一人の声が待ったをかけた。

真紅の髪の女性、リアス・グレモリーだ。

 

「あぁ、悪いな。お前んとこの騎士様を借りるぞ」

「そ、それは構わないけれど、彼だけに戦わせるわけには―」

「足手纏いだ」

「っ」

 

 はっきりと視線を合わせぶつけられた辛辣な言葉と威圧感に、リアスは押し黙った。

気楽そうな態度をとっているが、堕天使総督を伊達でやっているわけではない迫力が、そこにはあった。

 

「リアス・グレモリー、それにその眷属達……悪いがチィッとばかり調べさせてもらった。勿論、同期であるシトリーの方もな」

 

 ついでの様にも拘らず、裏腹に真剣な瞳で視られたソーナ・シトリー達も、思わず表情を強張らせた。

 

「さくっと結論だけ言おうか。才はある、それだけ(・・・・)だ」

「なっ!?」

「侮辱じゃねぇぞ、事実だ……木場祐斗だけが例外な理由は、誰よりもお前さんが分かってんだろ」

「それはッッ!!」

 

 そんなことはない、そういうだけなら簡単だ。

だが事実として、自分の可愛い眷属達が戦場に出たとして……無事に帰ってくると言い切るだけの自信が、リアスにはなかった。

彼女の眷属は強い、強くなれる(・・・)。だからこそ、今は。

 

「……恥じることじゃねぇ。そうやって黙っていられるだけ、お前さんは仲間のことをよく見てるさ」

 

 ここで強情を張るようなら、そこまでの器だ。

しかし、一時の心情を呑み込み、身を引くというのは大人でも中々できない。

それを己の意思で行える分、リアスや仲間たちはまだ成長できるとアザゼルは言外に告げた。

 

「そうだな、この神器馬鹿よりは、若いなりに周りが視えているだろう」

「んだとコカビエル!テメェやっぱ封印してやろうか!?」

「ハハッ言われたなアザゼル。だが事実だろ?……先に行くぞ」

「フンッ、最大限に振るえないとはいえ、久々の戦場だ……足を引っ張るなよ、貴様ら!」

「はっ尽力します」

「え、ドーナシークなんでそんな気持ち悪――あ、ま、待ってくださいッス!」

 

 二人の堕天使を率いて、コカビエルとヴァーリは先に外に出ていった。

後を続くようにフリードもさっさと駆け出していく。

 

「部長……」

「……待ってるわ、絶対帰ってきなさい」

「はいっ」

 

 木場も騎士特有の機動力を駆使し、戦場へ。

 

「さぁて、最悪だ。ホンット、あのクソガキにやられてからというもの、ついてない」

「仕方ないでしょう、ほら行きますよ」

「へいへい」

 

 丁寧な口調など保つ余裕が無いのだろう、ディオドラもリヴァリアに連れられるようにして出ていく。

最後にアザゼルが人口神器を手に、不敵な笑みを浮かべたまま飛翔していく。

道中の下っ端連中は陽動訳が上手く働いてくれているおかげで、全スルーでいい。

 

「さぁて、コイツの実験に付き合ってもらうぜ?」

「……あなたは、アザゼルっ」

「先代レヴィアタンの血を引く、カテレア・レヴィアタンか。まぁ想像通りだな」

「趣味が悪いですね、態と私のところに来ましたね?」

 

 チラッと他の連中、特にディオドラを見てカテレアは苦々しい表情になった。

それもそうだろう、ヴァーリはさっさと戦闘を開始している。

アザゼルはディオドラより速い飛翔でカテレアの前に陣取り、結果ディオドラの相手は……。

 

「シャルバ・ベルゼブブだったか。確かベルゼブブの血縁」

「そう、アスタロト家にベルゼブブの座を奪われた……死ぬわよ、あの坊や」

「どうだろーな」

 

 確かに蛇の力も相まって、とてつもない力を感じる。

若手悪魔には荷が重すぎるというのは、当たり前だろう。

だが、アザゼルの考えは違うらしい。

 

「なんだろうな……俺も会ったことが無いんだが、今代の赤龍帝ってのは不思議な奴でな」

「赤龍帝?」

 

 ここには白龍皇が居るが、未だ赤龍帝は見当たらない。

戦闘が始まってそこそこ経つというのに、あの少年はどこで何をしているのか分からない。

しかし、居ないからと言って全く影響がないわけではない。

 

「オーフィスみたいに蛇を使ってるわけでもねぇのに、アイツと深く関係を持った奴は、大体強くなってんだよ」

 

 過去の情報と言っても、古い物をアザゼルは持っていない。

そんなアザゼルからして、彼は同世代であるはずのリアス・グレモリーを大きく突き放していると感じていた。

 

「ドラゴンっていう連中は、良くも悪くも周りに影響を与えるもんだ」

 

 ディオドラ・アスタロトはその最たるものだと、アザゼルは告げた。

無論、本人が聴いたら「ふっざけんなボクがそんな強いわけあるかぁぁ!!」とぶちぎれるだろうが。

 

「まぁどういうわけかオーフィスはまだ動かねぇみたいだし、やろうぜ」

「……いいでしょう、新しい時代の礎となりなさいっ」

「ハッ、何時までも旧いことに拘ってるやつがよく言うぜ、()魔王派?」

 

 安い挑発と共に、派手なぶつかり合いが始まった。

 

 

 壮絶な戦いが学園で繰り広げる最中、一誠とミルたんはおかしな人間に絡まれていた。

その者は紺色の制服の上に、漢服と呼ばれる、中華系の衣服を身に纏っていた。

 

「やぁ、初めまして」

 

 にこやかだが、走るミルたんとその肩に乗る一誠は急いでいる。

さわやかな挨拶を返そうにも、こっちは超スピードで移動しているため、声が届く前に目の前を通り過ぎるだろう。

 

「悪い、急いでんだ!」

 

 言えたのはそれだけ。言った時には目の前を通り過ぎ――

 

「おっと、ちょっとくらい待ってもいいだろう?」

「っフンッ!」

「わっ」

 

 ミルたんの爆速走りに合わせるように、手に持っていた槍の穂先で脚を狙ってきた。

ぶつかれば転ぶだけでは済まない、そう感じる不思議な威圧感を覚えたミルたんは、全力で震脚。

その威力を持ってして後方へ大ジャンプした。

 

「ミルたん、大丈夫か!?」

「ん、大丈夫なにょ。でも、彼只者じゃない気がするにょ」

「だな……おい、どこのだれか分かんねぇけど、邪魔すんな!」

 

 一誠が拳を突き、拳圧を発生させた。

人間どころか、異能の存在にも効くその一撃は、彼の槍の一振りで掻き消えた。

 

「おっとっと。そう怖い顔をするなよ。ちょっと少しだけ、手合わせしてくれないか?」

「てあわせ……喧嘩か?」

 

 子供の解釈に思わず笑みを溢す青年。

隙だらけに視えて、その横を通り過ぎようものなら今度は刃を持って邪魔をしてくるであろう気概が感じられた。

 一誠とミルたんは、まるで研がれた刃(・・・・・)の様な印象を彼に感じていた。

そんな威圧感とは裏腹に、表情と声色は優しい好青年のモノというのが、これまた異常さを際立たせている。

 

「まぁ似た様なものだ。ウロボロス・オーフィスにあんな表情(かお)をさせた人間(・・)ってのが、どんな奴なのか気になったんだ」

「うろぼ……誰だよ、それ?」

「おや、名を明かしていないのか……まぁいい。兵藤一誠、俺と戦え」

「っ」

 

 同じ人間だというのに、感じる強さが桁違いに感じ、思わずファイティングポーズをとって。

その小さな肩を、ミルたんに掴まれ止められた。

 

「待つにょ」

「ミルたん……?」

「イッセーくんは急ぐにょ。ここは――」

「ん?―ッ!?」

 

 青年が一度瞬きをした瞬間、ミルたんのこぶs……魔法の一撃(腕っぷし)が、彼の眼前へ迫っていた。

それを槍で防ぐが、威力に推し負け盛大に吹っ飛び、学園前の校門にぶち当たって止まった。

 

「ミルたんに、任せるにょ!」

「これはこれは、驚いた……あの速度で走っていたことと言い、只おかしな格好をした変態というわけではないようだっ」

「ミルたんっありが……?」

 

 グイっと一誠の襟首を掴んだミルたん。

ふと、嫌な予感がした一誠は籠手を顕現させた。

 

「マァァジィカルぅぅぅううううう!!!!」

「え、ちょ、ミルたん?まさか――」

「フゥラァァアアアアアアアアアアイッ!!!!!!!!!」

「おォォォ!?!?!?」

 

 盛大にぶん投げられ(飛ばされ)た一誠は、少し経った後、そのまま結界の最上部へと辿り着くだろう。

それを確認したミルたんは、何処からか取り出したステッキを持つと、改めてポーズを決めた。

 

「魔法少女、ミルたんが相手をするにょ!」

「………全く、今代の赤龍帝の交流関係はどうなっているんだ?」

 

 しかしなるほど、流石とも言うべきだろう。

魔法なんて言っているが、感じる『氣』はかなりのモノ。

人間(・・)として、これは確かめなければいけないだろう。

 

「俺は曹操(・・)。アンタにも興味が湧いた、手合わせ願おうか」

 

 魔法少女(漢女)と槍使いの英雄、常識外の場外乱闘が始まった。

 

 




魔法『マジカル・フライ』
 とてつもない()力を持ってして、他人を飛ばす技。
飛距離はかなり遠くまで飛ばす自信があるが、一直線にしか飛ばせないし、きょりによって溜めが必要。
それと、基本的に着地はミルたんが受け止めるか、本人に受け身を取ってもらうしかない。
 自分が空を飛ぶのも重要だが、他人に空を飛ばせてあげるという、夢の様な出来事を体験させてあげたいという、ミルたんの(有難迷惑な)想いによって生まれた技、もとい魔法。
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