はちゃめちゃ赤龍帝   作:...

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迷子の美少女シスター

「……」

「ゆーまー?どったの、ぼーっとしちゃって」

「……最近、一誠の帰りが遅いのよ」

「ほー」

 

 昼食の時間だというのに箸が進まない夕麻。

理由は単純明快、何時もなら門限に余裕を持って帰ってくる弟一誠が、ここ最近ギリギリに帰る様になったからだ。

初日は何があったか心配で心配で……。

 

「なのにあの子、嬉しそうに友達が出来たーって」

「なるほど、女ね」

「……間違ってないけど、まだ小学生よ?」

「あっまーい!!」

 

 ビシッと箸を夕麻に向け、藍華はズバリはっきりと言った。

 

「いい?昨今は一年生だろうがそういう関係になる子もいるのよ?」

「いや、でもそう言うのって」

「そうもこうもないの!一誠君っていったっけ?夕麻の待ち受け見た感じ顔は悪くないし、破天荒らしいけどそこら辺は男らしいとも言えるわ」

「……言われなくても、あの子がモテることくらいわかってるわよー。だから心配なんじゃないのぉ」

 

 椅子にもたれ掛かり愚痴を溢す。

破天荒な一誠だが、女性には優しくしなさいと他ならない夕麻が教えたのだ。そりゃもうしっかり言い聞かせてきた。

だから何だかんだ破天荒ででたらめな癖に、ここぞという時に優しくする……もとい、優しく出来るのだ。

そんな一誠に今まで浮いた話が無かったのは至極簡単。一誠についてこれるような女子が居なかったから。

小学生の女の子が、大人だろうと殴り飛ばせる力と度胸があるような一誠に早々近寄れるものじゃない。

こう言っては何だが、高嶺の花というやつなのだ。

 

(一誠について行ける身体能力、か)

 

 夕麻には女性関係もそうだが、藍華にも言えない気になることがあった。

 

(厄介なことにならないといいんだけど……)

 

 

 

 

「っしゃー!俺の勝ちィぃぃ!!!」

「うみゃー!!何で勝てねぇんっすか!?つぅか途中から動きオカシしかったっすよね!?」

「アッハッハ、悪いなミッテ!俺は土壇場に成ればなるほど強いんだ!後半ばててたお前とは格が違うのさ!!」

「この調子に乗って……! もう一回っす!」

「おぉ、かかってこいや!」

 

 今日も今日とてゲームセンターでゲーム三昧な二人。

音ゲーを当然のように競い合っている二人。

点数差で悔しがっているのだが、二人がやっているのは裏難易度と呼ばれる、あり得ない動きをしなければクリアすることすらできないソレを、二人ともクリアしていた。

周りにはレギュラーが集い、ランドセル背負ったショタとゴスロリ美少女の足捌き手捌きを録画している者もいた。

 

「ゴスロリキタコレ」「ショタっこハァハァ」「……うっ。ふぅ」「人間業じゃないなぁ。あ、お巡りさんコイツらです」「「「ちょ、やめ」」」

 

 何人かが退場されたようだが、気づかずゲームに夢中になる二人。

この二人、朝からずっとゲーセンに入り浸っているのだが、気付けばもう昼過ぎていた。

 

「っと、流石に腹減ったなぁ」

「そうっすねぇ……」

「飯にしようぜー」

 

 トコトコと歩いていく一誠と、彼に歩幅を合わせて隣を歩くミッテルト。

向かう先は近所の定食屋だ。そこで働いている店主は気前がよく、子供だからと割引してくれるのだ。無論、一誠の両親の知り合いというのが一番大きな理由だが。

 

「ん?」

「……? どうしたんすか?」

「いや、ちょっと……―ミッテ、少し待っててくれ」

「?」

 

 小走りで一誠が向かったのは、公園だった。

一誠よりさらに幼い子供たちが遊び回っているそこで、なにやら目立つ存在が居た。

暖かくなってきたのに腕も足も覆う黒い衣服……修道服の少女が困ったように地図をみていた。

 

「お姉さん、迷子か?」

「!?」

 

 一誠が話しかけると、ぎょっとした様子でこちらを見た。

座っているためか、視線がちょうど合った。綺麗な翡翠の瞳をした、金髪美少女シスターがそこにいた。

 

「○、○○」

「おぉ、英語か……?全く分かんねぇけど、迷子だよな?」

 

 何を言っているのか分からないが、地図と睨めっこしていたし迷子っぽいのは確かだ。

 

「シスターさんっていうと、教会か?この辺って教会とかあったっけ……?」

 

 一誠はよく外に出て暴れ回る、もとい遊び歩くためそれなりに地理に詳しかった。

だが教会なんて興味無い場所を都合よく憶えているはずもない。

 

「イッセー、どうしたんすかーって、アンタ……」

「!」

「? ミッテ知り合いなのか?」

 

 置いてけぼりをくらっていたミッテルトが公園に入ってくると、シスターさんがびっくりしたような顔をした。

ミッテルトも知っているような口ぶりだ。

 

「あーまぁそうっすね。知り合いって言うか、同居予定の相手っす」

「どうきょ?」

「一緒に住むんすよ」

「えっと、つまり家族か!」

「ちょっと違うっすけど、まぁそんな感じっすね」

 

 ニカッと笑顔になった一誠は、そのままシスターへと話しかけた。

 

「良かったな、お姉さん!」

「?」

「よかったなって言ってるっすよ」

「!」

 

 シスターはコクコクと頷き、微笑んで一誠の頭を撫でた。

 

「お、おぉ?」

「心配してくれてサンキューって言ってるッす」

「なるほど……まぁこれくらい男なら当然だけどな!んじゃ、行こうぜ!」

「行くって?」

「このまま一人で行かせてまた迷子になったら大変だろ? ミッテ、道案内は任せた!」

「は?いや、任せたって」

「レッツゴー!」

「え、ちょ、……えぇ」

 

 シスターの腕を引っ張って公園から元気よく出ていく一誠。

どうしたものかと考えつつ、まぁいいかと半ば諦めるようにため息をつくと、ミッテルトも公園を出ていった。

 

「ウチより先に出てどこ行く気っすかー?」

「ミッテが遅いんだろ?あ、なんなら駆けっこでもいいぜ!道教えてくれれば多分大丈夫だろ!」

「多分とか迷子フラグっすよ? というか、そいつはウチ等みたいなこと出来ないっすよ。身体能力ドノーマルっす」

「ん?そうなのか?じゃぁ仕方ねぇな。歩いていくか……あ、そう言えば名前は何てんだ?」

「……名前はって訊いてるッス」

「! ぁ、アーシア・アルジェント」

「アーシアお姉さんな。俺イッセー、よろしく!」

 

 あぁ軽く自己紹介した一誠の笑顔につられるように、アーシアもにこやかにほほ笑んだ。

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