RAIL WARS ! ~車掌になりたい少年の話~ 北長野総合車両所   作:元町湊

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 またも廃回シリーズの投稿です。
 本編は……着々と廃回用の話が増えてます。意図的に作っているわけではないのですが……。


22両目

「車掌さーん、居ますかー?」

 

 

 11号車の車掌室の扉をノックすると、上野発車時にお世話になった車掌さんが出てきてくれた。

 

 

「どうかされましたか……ああ、公安隊の方ですか」

 

「上野発車時には突然すみませんでした。……ところで、少々お伺いしたい事があるのですが、宜しいでしょうか」

 

「ええ、いいですよ」

 

「検札されたときに、外国人の方を見ませんでしたか?」

 

「外国人の方……ですか?」

 

「はい。男性でも女性でも」

 

「そうですねー……」

 

 

 山田さん(名札にそう書いてあった)は少し考えると、「ああ」と何か思い出したようだった。

 

 

「ベルニナ王子以外ですと、9号車のロイヤルに1人乗っていました」

 

「9号車……ですか?」

 

「はい。グレーのスーツで背が高くて。どうやらお仕事で乗られているらしく、そのような方は珍しいので覚えています」

 

 

 という事は、あの男は嘘を言っている?

 いや、でも確かに5号車の切符を持ってたし……。

 という事は少なくとも3人は外国人が居るってこと?

 

 

「5号車には居ませんでしたか?」

 

「すみません。私が確認したのは6号車までで、5号車より先は石巻が確認しておりますので、そちらに確認していただけますでしょうか」

 

「分かりました。ちなみに、ロイヤルの外国人の方は何号室でしたか?」

 

「確か1号室でした」

 

「分かりました。ご協力ありがとうございました」

 

 

 最後にお礼を言って、今度は5号車にある車掌室に向かった。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「石巻さん、居ますか?」

 

 

 ノックして呼びかけると、中から石巻さんが出てきた。

 

 

「どうかされましたか……ああ、外国人の乗客の件ですね。話は伺っております。

 私が確認しました限りでは、5号車の2人用B寝台個室6号室に2人いらっしゃいました」

 

「この後乗ってくる人はいますか?」

 

「いえ。5号車より先は宇都宮で一杯になりました。もう居ないと思います」

 

「そうですか。ありがとうございました」

 

「いえいえ、お仕事頑張ってください」

 

 

 車掌さんに礼をして車掌室を出た。

 とりあえずあの男の言っていた事は正しいらしい。

 じゃあ、5号車の犯人の取り押さえは後で連絡して福島の公安隊に任せるとして……。

 

 

「あと1人……どうしようかなぁ……」

 

 

 憂いは断っておくに越したことはない。

 とりあえず行ってみるか。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 5号車の1号室の前に着き、俺は扉をノックした。

 

 

「おくつろぎ中にすみません。少々宜しいでしょうか」

 

 

 と中に呼びかけると、扉が開き、中から山田さんの言ったとおりのスーツの男が出てきた。

 

 

「おくつろぎ中に申し訳ありません。私、公安隊のものなのですが、先程この付近にて不審者が居たとの連絡を受けまして、この付近を捜索してあります。

 何か心当たりやそのような不審な人物を見かけたりはしませんでしたか?」

 

「いや、ないな」

 

「そうですか、ありがとうございました。何かありましたら、私はこの辺りを巡回しておりますので、お気軽にお知らせください。それでは失礼します」

 

 

 そう言って礼をすると、男は扉を閉めた。

 ……東京駅で顔を覚えられていなかったのは良かったな。

 

 ふむ、これであの男が嘘を言っていない事は確認できた。

 あとはこれをどうやってベルニナに伝えるかだが……。

 

 

「どうしようかなぁ」

 

 

 とりあえずは飯田さんに報告しよう。ベルニナに話すのはそれからかな。

 

 10号車に入り、一旦拘束した犯人がまだ居るのを確かめてから小海さんを寝かせている俺の部屋に戻った。

 部屋に戻ると小海さんは既に目覚めていて外の景色を見ていたが、俺が入ってきたのが分かると顔をこちらに向けた。

 

 

「あ、臼井君」

 

「小海さん、気分はどう?」

 

「大丈夫ですよ、助けてくれてありがとうございます」

 

「どういたしまして」

 

 

 その後、小海さんと少し話をした後、俺は飯田さんに電話を掛けた。

 

 

『もしもしー?何か分かった?』

 

「ええ。犯人のもう1人の場所と、依頼主の場所が分かりました。

 1人は10号車4号室で拘束中、もう1人は5号車の6号室に居て、依頼主のブルアーさんは9号車のロイヤルの1号室に居ます」

 

『了解―。お疲れ様』

 

「2人目の実行犯はまだ捕獲してませんが、これは仙台の公安隊に任せたいと思います。

 ブルアーさんですが、この人はどうしましょう」

 

『外国の大臣って扱いが大変なのよねぇ。……王子と協力して何とか確保できない?』

 

「まあ、こちらの言う事を一発で信じてくれれば可能でしょうが……」

 

『そのときは小海さんにも協力してもらいなさいな。そうすれば大丈夫だと思うよ』

 

「分かりました。そうします」

 

『あ、あと、仙台から桜井さんが乗るから』

 

「はーい」

 

『じゃあ、手配とかはこっちでやっとくけど、ブルアーさんの確保はそっちでお願い。拘束できたら仙台の公安隊に引き渡しといて』

 

「はーい」

 

『じゃね。Have a nice trip』

 

 

 ……何で英語……まあいいや。

 

 ポッケにスマホを入れて小海さんに向き直る。

 

 

「小海さん。さっき説明した通りだから、ベルニナに一緒に説明して欲しいんだけど」

 

「分かりました」

 

 

 小海さんは立ち上がり、俺に続いてベルニナの部屋に向かう。

 入る前にノックして、

 

 

「高山―いる?」

 

 

 と声をかけると、中から

 

 

「あ、ああ。ちょっと待ってくれ」

 

 

 と、慌てた様子の高山。

 暫く待つと扉の鍵が解錠される音が聞こえ、中から高山が出てきた。

 

 

「お待たせ」

 

「時間がないから手短にいく。小海さん。先に中に入って」

 

「う、うん」

 

 

 小海さんを先に入れ、続いて俺も中に入り、扉を閉めて鍵も閉めた。

 

 

「どうしたんだよ」

 

「まあ、まずは聞いてくれ。 ベルニナ。お前を誘拐しようとした犯人を捕まえる為に協力してくれ」

 

「…………え?」

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