機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~   作:Pledge

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大変お待たせしました。

本来ならもう少し早く更新できるはずだったんですが、昨日になって半分ほど消して書き直したことで遅くなりました。

ストーリー的には、ほとんど進んでないです。
恐らく、次は閑話になると思います。


Mission - 16 行うは戦争

低軌道で勃発した戦闘は、地球連合軍第八艦隊の全滅、ガモフの撃沈。そして、主要目標である【アークエンジェル】の逃亡により終了した。

 

ヴェサリウスには本国から帰還命令が出されたことにより、ツイーグラーと共に本国へと進路を取った。

 

そして、地球に単独降下したイザークとディアッカは、無事にジブラルタル基地に到着したことが通信で伝えられた。仲間の無事にニコルは喜び、それをアスランにも伝えた。

 

だが、帰って来たのは生返事のみ。ニコルはあまり突っ込んで聞くことはせず、アスランの様子が気になりながらもBLITZ(ブリッツ)の元に向かって行った。

 

アスランの頭にあるのはイザークのことでもディアッカのことでも無い。アスランの心配の種。それは仲間と同様、地球へと落下していった親友キラのことだった。

 

ラクス・クライン引き渡しの際、アスランとキラは次に対峙する時は本気で討つと宣言した。アスランに至っては、レオハルトにも宣言している。だが、そう簡単に割り切れるような関係では無い。

 

そしてレオハルトは、クルーゼの私室にいた。

 

「それは事実かね?」

「ああ。イザーク・ジュールが撃墜したあのシャトルには、民間人が乗っていた」

「だが、証拠は無い」

 

レオハルトはイザークが撃墜したシャトルには、民間人が乗っていたことを告げる。だが、クルーゼの言うとおり確かな証拠は無い。あるのは、レオハルトの言葉のみ。

 

「……俺たちは戦争をしているんだ。虐殺をしているんじゃない」

「理解は出来るが、議員連中はどうかな?強硬派は頷かんだろうな。特にジュール議員は」

「信賞必罰だ。軍紀違反を犯せば、罰を受けるのは当然だろう」

「真面目なことだ。イザークとディアッカはしばらく地球に残ることになるだろう。どうやらイザークは、【足つき】を。というより、【ストライク】を討ちたいようだからな」

「それは結構なことだ。だが、先の戦闘のように周りが見えなくならなければいいがな」

 

レオハルトはそう言い残し、クルーゼの部屋を後にする。部屋に戻ると、レオハルトは軍服の首の襟を緩める。小さく溜め息を吐くと、レオハルトは専用PCのロックを解除し電源を入れる。

 

レオハルトはPCを立ち上げると、立ち上がりコーヒーメーカーからカップにコーヒーを注ぐ。レオハルトは水も飲むが、基本的にはコーヒー愛飲者だ。このコーヒーメーカーも、実はレオハルトの私物である。

 

その時、起動したPCから機械の合成音が聞こえる。

 

〔メールが届きました。メールが届きました〕

「メール?……誰からだ」

 

送られてきたメールを開くと、レオハルトはメールの送信者の名前で目を止めた。送信者はロバート・A・ハインライン。【ZAFT】所属【ハインライン設計局】局長を務める男である。

 

「(……ハインライン局長からか。一体何の用だ。…………なるほど)」

 

レオハルトは内容をすべて読み終わると、コーヒーを一口飲み椅子の背もたれにもたれかかる。

 

ハインラインから送られてきたメールの内容には、現在新型MSを開発しておりその機体のOS開発に協力して欲しいというものだった。

 

レオハルト自身、OS開発に協力するのはやぶさかではない。気になるのは、開発を行っているという場所だ。マイウス市【特別開発区】。

 

通常のMS開発とは別に場所を設けるほどの技術を使用しているということか。レオハルトの疑問は尽きないが、レオハルトは了承する旨をハインラインに返信する。

 

メールを返信し、レオハルトは再びコーヒーを口にすると例の件について話し合うため本国に通信をつなげるのだった。

 

「特務隊、レオハルト・リベラントだ。クライン議長につなげてくれ」

 

 

 

 

 

永い航行の後、【プラント】本国に帰還したクルーゼ隊。レオハルトはJUPPITER(ユピテル)をアプリリウスの特別格納庫に移すと、シーゲルの元に向かった。

 

シーゲルには事前に用件を伝えていたため、レオハルトはすんなりとシーゲルの待つ議長執務室へと向かった。

 

「特務隊、レオハルト・リベラントです」

「入りたまえ」

「失礼します」

 

シーゲルの声でレオハルトは一声掛け中に入ると、部屋にはシーゲルだけでは無かった。パトリックに、イザークの母親のエザリアの姿もあった。

 

予想通りの人物ということでレオハルトは顔色一つ変えず、シーゲルの正面に立つと敬礼をする。

 

「さて、早速で悪いが」

「事前にお伝えした通りです。イザーク・ジュールは、民間人の乗るシャトルを撃墜しました。明らかな軍紀違反です」

「それが事実なら、看過出来んな」

「事実なら、です」

 

神妙な顔付きで頷くシーゲルに、エザリアは険しい顔でレオハルトを睨み付ける。だが、そんな睨みもレオハルトには全く通じていない。レオハルトはエザリアなど意に介さず、シーゲルを静かに見つめる。

 

「敵艦から射出されたシャトルに民間人が乗っているのを、私が確認しました。大人だけでなく、子どもの姿も確認しました」

「貴官の見間違いではないのか。そもそも、何故連合の艦に民間人がいるのだ」

「あくまで推測ですが、恐らく【ヘリオポリス】の民間人でしょう。【ヘリオポリス】が崩壊したことで、多数の救命ポッドが射出されたはずです。その救命ポッドを、【足つき】が保護していたとしてもおかしくありません」

「なるほど。確かに、その可能性はある」

「所詮は推測だ。確実ではない」

「救命ポッドを拾ったからこそ、ラクス・クライン嬢が人質になるということが起きたのです。このことを考えれば、別の救命ポッドを拾っていたことにも信憑性が増します」

 

レオハルトは反論を続けるエザリアに、純然たる事実を突き付けて行く。反論できないことに歯噛みし、エザリアは再びレオハルトを強く睨み付けた。

 

「さらに、イザーク・ジュールは私の命令を無視し、敵MSとの戦闘を強行しました。民間人の殺害に加え、命令無視。状況を冷静に判断出来ず、自身の思うままに行動した責任は重大かと」

「パトリック、どう思う」

「事実ならば罰則は致し方あるまい」

「私も同感だ。民間人の殺害など、以ての外だ」

「何を仰っているんですか!」

 

シーゲルとパトリックが頷くのを見るや、エザリアが二人に吼えた。

 

「戦闘中に射出した奴らが悪いのだ!もっと早く行動していれば、そんなことも無かったはずだ!そもそも、ナチュラルなど「ジュール議員!」……っ!」

 

感情のままに言葉を口にするエザリアが禁断の一言を口にしようとした瞬間、レオハルトがわずかに声を張り上げ割って入った。

 

「ナチュラルなら、民間人だろうと殺しても良いと仰るおつもりですか」

「それの何がいけないのだ!!我々を苦しめてきたナチュラルなど!」

「子が子なら、親も親ですか。【ブルーコスモス】は、コーディネイターだからと言って【ユニウスセブン】に核を撃ち込んだ。核を使ったかMSかの違いだけだ!それとも、核でなければ【ユニウスセブン】が崩壊したのを認めるとでも仰るつもりか!!」

「そ、それは……」

「我々がしているのは戦争だ!虐殺じゃない!!我々の敵は武器を持ち、戦う意思を持った人間だけだ!敵を間違えるな!」

 

普段は感情を表に出さないレオハルトが、烈火の如く怒り声を荒げる。初めて見るレオハルトに、シーゲルとパトリックは目を丸くして驚いていた。

 

だが、いち早く復活したシーゲルが口を開く。

 

「言い分は理解した。イザーク・ジュールには、罰を与える。君の言うとおり、敵はナチュラル全員では無い。連合、あるいは連合に与して【プラント】に害を与える者たちだ」

「この件は、明日の【最高評議会】で話し合うことにする。異存は無いな、エザリア」

「……」

 

パトリックの問いかけに、エザリアは顔をそらす。沈黙こそが答えだった。パトリックはレオハルトに視線を戻す。

 

「ご苦労だった、リベラント。下がって良いぞ」

「いえ。最後に一つよろしいでしょうか」

「何かね」

「イザーク・ジュールへの懲罰は、私の口から伝えさせて頂きたいのです。それが、ご報告した私の義務かと」

「……わかった。追って連絡する」

「ありがとうございます。では」

 

レオハルトは最後に敬礼をすると、速やかに部屋を退出。その後に続いて、エザリアも部屋を後にした。

 

「……意外だったな」

「リベラント君かね?」

 

二人が出て行った後、パトリックは扉を見つめながら小さく呟く。その呟きに、シーゲルは反応した。

 

シーゲルの問いにパトリックは小さく頷くと、普段のレオハルトと先程の様子を思い浮かべながら口を開いた。

 

「ああ。あれほど感情を露わにしたのは初めて見た。クルーゼからは、あまり感情を出さないタイプだと聞いていたのでな」

「私もだ。彼とは何度か会ったし話したこともあるが、あんな姿は初めてだよ」

「新たな一面だな」

「そうだな」

 

普段から冷静で、感情を表に出すことの無かったレオハルト。機械のようだと言われたこともあったし、思われている節もある。実際、二人もそう思っていた。

 

だが、今回の件でレオハルトも感情のある人間だと言うことが分かり、二人はどこか安堵感のような気持ちを感じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

議事堂を後にしたレオハルトは、マイウス市にあるハインラインに教えられた地区へと車を走らせる。

 

【特別開発区】というだけあり、入り口には侵入者を警戒する完全武装した保安要員が四名立ち、詰所にも二人ほどいるようだった。

 

「この先、関係者以外は立ち入り禁止です。身分証と許可証の提示をお願いします」

「認識番号041275。特務隊、レオハルト・リベラントだ。これが許可証だ」

「確認させて頂きます」

 

レオハルトが詰所の横に車を着けると、詰所から一人の男が顔を出し身分証と許可証の提示を求めてくる。

 

レオハルトは普段から使用している身分証と、議事堂で受け取った許可証を保安兵に提示する。保安兵は二つを機械で読み取り、データが登録されていることと許可が下りていることを確認すると、二つをレオハルトに返却する。

 

「失礼しました、リベラント隊長。中へどうぞ」

「構わない。それが諸君の仕事だ」

「ありがとうございます。ゲート開けろ!」

 

男がそう言うと、詰所にいたもう一人の男がゲートを開ける。ゲートが完全に開いたのを見計らい、レオハルトはアクセルを踏み込んだ。

 

レオハルトは適当な場所に車を停車させると、再び立っている完全武装した保安要員の横を通り過ぎさらに奥へと進んでいく。

 

「(徹底しているな。やはり、それほどのものを開発しているのか)」

 

レオハルトがそんなことを考えながら歩き続けると、先で立っている男に気付いた。

 

「ようこそ、リベラント隊長」

 

レオハルトに声をかけたのは、【ハインライン設計局】局長ロバート・A・ハインライン。レオハルトが乗機としているJUPPITER(ユピテル)の開発を主導したのもこの男である。

 

技術者らしからぬ鋭い眼光と、切り揃えられた顎鬚が印象的な男である。

 

「こっちだ。ついてきたまえ」

 

ハインラインはそう言うと、踵を返し奥へと歩いていく。レオハルトはハインラインの横に並ぶと、思っていた疑問をぶつける。

 

「警備に中々手が込んでいるな。何を開発しているんだ?」

「新型MS、としか言えんな。【ZAFT】のトップエースである君とはいえな」

「……それほどの機密を持つ機体か」

「ノーコメントだ。私にそれを言う権利は無い。知りたければ、ザラ委員長に直接聞きたまえ」

「時間があったらそうしよう」

「そうしてくれ。……ここだ」

 

ハインラインはそう言うと、横にある指紋・静脈・網膜認証。最後に専用のカードキーと暗証番号を入力することで、ようやく扉が開く。

 

「詳細なことを教えるなとは言われているが、機体を見せるなとは言われていない。見ろ。これが、クラーク・アジモフ・ハインラインが合同で開発している機体だ」

「名は?」

ドレッドノート(勇敢なる者)

 

ドレッドノート(勇敢なる者)という名を冠すこの機体。この機体は奪取した五機のデータを取り込み、【ZAFT】に所属するクラーク、アジモフ、ハインライン。これら三つの設計局が合同で開発している機体である。

 

二人の視線の先にあるのは、まだ頭部が無い灰色のMS。その周囲には多くの人間が走り回り、現在も開発中だということがハッキリと分かる。

 

ドレッドノート(勇敢なる者)か」

「フン、皮肉な名前だよ」

「どういう意味だ」

「言えん。だが、一つ言えるとしたら……。この機体は、諸刃の剣だということだ」

 

ハインラインは顔をしかめながらレオハルトの問いに答えると、ハインラインは再び歩き始める。

 

「リベラント隊長、君の仕事場はこっちだ」

「言い忘れていたが、恐らく私は数日中に任務が入ることになる」

 

ハインラインはレオハルトをドレッドノート(勇敢なる者)がある隣の部屋に案内すると、部屋から出て行こうとしていたハインラインにそう言葉を投げかける。

 

「構わんよ。別に、今日明日中に造れと言うつもりも無い。まあ、早いに越したことはないがな」

「なら結構」

「だが、君なら二日か三日で可能だろう。期待しているよ」

 

振り返ったハインラインの言葉にレオハルトは安堵し腰を下ろして始めようとした瞬間、去り際に呟いたハインラインの言葉にレオハルトは溜め息を吐くのだった。

 




今回の話に、SEED本編ではなく番外編に出てきた機体を出しました。

と言っても、あとは話の中で少し出てくる程度だと思います。
なかなか複雑なところですね。

では、また次回の更新で。
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