機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~   作:Pledge

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大変お待たせ致しました。
本編です。

今回、一万五千近くという長めになりました。
区切ると、中途半端になりそうなので止めました。

イザークの処罰も盛り込んでいます。
もしかしたら、軽くね?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

それ以外にも、変なところがあったら申し訳ないです。


Mission - 18 紅金の瞳

レオハルトがイザークの件のことを報告してから二日後。早朝、レオハルトはシーゲルに呼び出され議事堂に来ていた。

 

ちなみに、ハインラインから依頼されたOSは、現在も開発中である。一般的なOSならば一日で終わったのだが、ドレッドノート(勇敢なる者)には特別な武装が装備されているため、その武装関連のOS開発に時間を取られている状況である。

 

だが、それも後一日もあればある程度は形にすることは出来るのだが、シーゲルの呼び出しが来たことでレオハルトはOS開発を一旦中止している。

 

「特務隊レオハルト・リベラント、出頭しました」

「来たか。さて、今日わざわざ来てもらった理由だが」

「例の件ですね?」

「うむ。イザーク・ジュールに下される処罰が決定した」

 

レオハルトはわずかに居住まいを正し、シーゲルの言葉を待つ。

 

「民間人の殺害、及び【FAITH】からの命令無視。状況を冷静に判断出来なかった事実は、周囲に危険を及ぼすものである。評議会は同人物に二週間の監視付きの謹慎、さらに一週間のMSへの搭乗禁止を言い渡す」

「はっ」

「そこで、君にはイザーク・ジュールにこの決定を伝えるため、地球に降りてもらいたい」

「地球へ?……何か、任務ですか?」

 

地球には地中深くに打ち込まれた【Nジャマー】によって、通信状況が悪くなっている。だが、まったく出来ないわけではない。

 

処罰を伝えるだけなら、地球に降りる必要は無い。ましてや、レオハルトは【FAITH】だ。レオハルトが自らの口から伝えることを望んだとはいえ、いささか疑問が残る。

 

となると、残る可能性は国防委員会直属部隊【FAITH】として下される特務である。

 

「そのとおりだ。君が【FAITH】に昇進してから、初の特務だ」

「何をすればよろしいのですか?」

「ユーラシア連邦領にあるリスボン基地攻略だ」

「リスボン基地……。確か、ポルトガルの大西洋沿岸にある基地ですね。聞くところによると、巨大な軍港があるとか」

 

地球連合軍ユーラシア連邦所属リスボン基地。

ポルトガルの西に位置し、大西洋沿岸にあるポルトガルの首都でもある。同時に、巨大な軍港を有していることから、ユーラシア連邦でも有力基地の一つである。

 

リスボン基地の名を聞き、レオハルトは自身が知っている情報を口にする。シーゲルは小さく頷くと、両手を組みレオハルトに語り掛ける。

 

「そのとおりだ。先日、諜報部によってリスボン基地がジブラルタル基地へ大規模な爆撃攻撃を画策しているとの情報がもたらされた。ジブラルタル基地は、【プラント】にとって数少ない地球での重要拠点だ。失うわけにはいかん」

「先手必勝、というわけですか?」

「そうだ。とはいえ、リスボン基地とて容易く墜ちるわけでもない。現在、ジブラルタル基地では準備が急ピッチで進められている。君には、この作戦の指揮を執ってもらう」

「初任務にしては、責任重大ですね」

 

まさか指揮を執るようにと命令されるとは思っていなかったレオハルトは内心驚きつつも、それを表には出さず小さく笑みを浮かべる。

 

「君を信頼してのことだよ。君はイザーク・ジュールに評議会の決定を伝えた後、ジブラルタル基地にてリスボン基地攻略作戦に参加、指揮を執ってくれ。〇七〇〇時にジブラルタル基地へ降下してくれ。吉報を待つ」

「はっ!」

 

レオハルトはシーゲルから、イザークに下される処罰が記載された書類をアタッシュケースに収めると、議事堂を後にする。レオハルトはJUPPITER(ユピテル)と一緒に、哨戒任務に出るというホーキンス隊に同行することになった。

 

JUPPITER(ユピテル)を大気圏突入カプセルに入れ、ナスカ級の底部に収納。そして、レオハルトを乗せたホーキンス隊が出港した。

 

レオハルトがリフレッシュルームでコーヒー片手に読書をしていると、人の気配を感じ顔を上げた。そこに立っていたのは、レオハルトと同じ赤服を着たオレンジ髪の青年だった。

 

「お初にお目にかかります、ホーキンス隊所属ハイネ・ヴェステンフルスと申します」

「特務隊レオハルト・リベラントだ」

 

ハイネと名乗る青年の敬礼に応え、レオハルトは立ち上がると敬礼し所属と名前を名乗る。

 

レオハルトは再び腰を下ろし本へと視線を下ろすが、ハイネからの視線を感じレオハルトは視線を上げた。

 

「まだ何か用か?」

「申し訳ありません。【ZAFT】のトップエースにお会い出来たものですから、つい……」

「トップエースね……。ヴェステンフルスは」

「ハイネで結構です」

「ハイネは、前線に出て長いのか?」

 

レオハルトはハイネに座るように促すと、ハイネは礼を言いレオハルトの体面に腰を下ろした。レオハルトも本にしおりを挟んでテーブルに置くと、ハイネと向き合う。

 

「いえ、私はそれほど長くはありません。士官学校(アカデミー)を卒業してホーキンス隊に配属され、【グリマルディ戦線】が初陣でした。とはいえ、まともな活躍は出来ませんでしたが」

「そうか。このまま戦争が拡大すれば、お前もさらに前線に出ることになるだろう」

「リベラント隊長の初陣というのは?」

「【プラント】周辺に出没する海賊の鎮圧が初任務で、初戦闘だった。今でこそトップエースなんて言われているが、俺も初めての戦闘ではたいしたことなかったさ」

 

レオハルトの言葉が予想外だったのか、ハイネは目を丸くして驚いている。レオハルトはコーヒーを飲もうと手にするが、空だということに気付きコーヒーメーカーで注ぎ直す。

 

「無理な話かもしれないが、あまり固くならずにやるといい。緊張感を持ちすぎても、逆に良くない」

「アドバイス、ありがとうございます」

「アドバイスになったか?それならいいが」

 

その後、ハイネと他愛も会話をして時間を潰していると、ついに降下地点に到着した。

 

レオハルトは着慣れないパイロットスーツを着込み、大気圏突入用カプセルに収納されたJUPPITER(ユピテル)のコックピットシートに座る。

 

「現地の気候、晴れ。西北西の風、微風。気温一五℃、湿度五十九%。視界、良好。突入角、誤差修正。左三〇℃に0コンマ7修正。降下まで六〇秒」

 

管制官が口にする言葉を聞きながら、レオハルトは降下まで考え事をしながら静かに待つ。

 

「(【足つき】は【ZAFT】勢力圏の、バルトフェルド隊長の管轄区域に降下したはず。恐らく、すでに奴らの戦力調査のために攻撃を仕掛けただろう。しばらくは、散発的な戦闘が続くか)」

「降下まで四〇秒」

 

普段は陽気な性格をしながらも、バルトフェルドは頭のキレる男。クルーゼのことを嫌っているからと言って、実力を認めていないわけではない。敵のことを舐めてかかるような真似をする男ではない。

 

そのため、バクゥを使った戦力調査のために軽く攻撃を仕掛けたことは確実。その上で、作戦を練っていることだろう。

 

レオハルトは、そう確信している。

 

「降下まで二〇秒」

 

レオハルトが次に考えるのは、シーゲルから命じられたリスボン基地攻略についてだ。

 

MSの実戦配備が進んでない連合とはいえ、他の兵器が多数配備されていることだろう。数を売りにしている連合である。その数は相当なものだろう。

 

それに、MSとて無敵ではない。実弾兵器を無効化するPS装甲(フェイズシフト)を備えていないMSにとって、実弾兵器とはいえ脅威となる。その数が多いならなおさらである。

 

「降下まで、一〇秒。カウントダウン開始。十、九……」

「(どれだけ考えても、推測の域を出ないか。実際の報告を聞くまでは分からないな)」

「三、二……。カプセル射出。降下」

 

その言葉と同時に、ナスカ級の底部ハッチが開きレオハルトを乗せたカプセルが地球へと落下していく。

 

カプセルのスピードはどんどん速くなっていき、あっという間にマッハに達してしまう。

 

大気圏に突入し降下していく衝撃で、コックピット内が激しく揺れる。大気圏の高熱によってカプセルが融かされないよう、自動で強制冷却システムが作動する。

 

「第一外装、パージ。減速4マッハ。突入角、異常無し。強制冷却システム、オールグリーン。第二外装、パージ。大気圏内に突入。減速、0コンマ9マッハ。強制冷却システム、停止。姿勢良好。降下点、座標追尾固定」

 

JUPPITER(ユピテル)のモニターには、小さくではあるがすでに目標であるジブラルタル基地を捉えていた。

 

徐々に近付く地上を前に、レオハルトは最後となるカプセルの第三外装をパージ。JUPPITER(ユピテル)がその姿を見せる。

 

レオハルトは手を伸ばすと、自分が来たことをジブラルタル基地へと通信をつなげる。

 

「こちら、特務隊レオハルト・リベラント。ジブラルタル基地、応答願う」

「こちら、ジブラルタル基地管制塔。連絡は受けています。ようこそ、ジブラルタル基地へ。歓迎します、リベラント隊長」

 

レオハルトは操縦桿を手前に引き戻し、背部スラスターを噴射するとジブラルタル基地にゆっくりと着地する。

 

「こちら、ジブラルタル基地管制塔。リベラント隊長、MSは三十三番ハンガーにお願いします」

「了解した。三十三番ハンガーに向かう」

 

レオハルトは管制塔からの指示通り、三十三番ハンガーにJUPPITER(ユピテル)を格納すると左手にアタッシュケースを持ち右手でワイヤーを掴んで地上へと降りる。

 

「本国からお疲れ様です、リベラント隊長」

 

地上に降りてレオハルトを待っていたのは、黒服を着た男だった。

 

切れ長の瞳に眼鏡、知的という言葉がこれほどまでに似合うかといった感じの男だった。見た限り、年齢はそれほど上ではない。二〇代半ばといったところだろう。それだけに、その実力の高さがうかがえる。

 

「ジブラルタル基地総司令補佐官ハーヴィッツ・レーベルと申します。よろしくお願いします、リベラント隊長」

「特務隊レオハルト・リベラントだ。よろしく頼む」

「総司令のウォンがお待ちです。こちらへどうぞ」

「ああ」

 

ハーヴィッツに連れられ、レオハルトはジブラルタル基地総司令ハディール・ウォンの待つ部屋に向かった。

 

すれ違う人間一人一人に驚いた表情で敬礼をされ、レオハルトは廊下を歩き続ける。その様子を見ていたハーヴィッツは、レオハルトへと視線を移す。

 

「さすがに有名人ですね、リベラント隊長」

「居心地が悪いだけだ」

「エースの宿命でしょう」

「(……どいつもこいつも)」

 

レオハルトとしては、他人からエースと呼ばれるのが好きではない。むしろ、嫌いな部類に入る。エースと呼ばれると、他人から依存されている気がするのだ。

 

エースだから何とかしてくれる、エースだから助けてくれる。これは依存だ。頼られるだけならまだしも、依存されるというのはマズい状況である。

 

レオハルトへの依存心が強くなり増していけば、それが【ZAFT】全体の弱体化につながる気がしてならないからだ。【ZAFT】の弱体化イコール、【プラント】の敗北。

 

だからこそ、レオハルトはエースという言葉を嫌う。

 

「この部屋です。ウォン総司令、リベラント隊長をご案内しました」

「入ってくれ」

「失礼します。どうぞ、リベラント隊長」

 

ハーヴィッツが扉を開け先に入ると、扉を開けたままの状態でレオハルトを部屋の中へと迎え入れる。

 

部屋の中で待っていたのは、クルーゼと同じ白服の男。短く刈り上げられた髪に日焼けした肌。いかにも現場からの叩き上げといった感じの男だった。

 

この男が、ジブラルタル基地総司令ハディール・ウォンである。

 

「遠いところをようこそ、リベラント隊長」

「クライン議長の命令とはいえ、割り込む形で指揮を執ることになり申し訳ない」

「いやいや、とんでもない。優秀な者に指揮されれば、死亡率も下がるでしょう。それに、リベラント隊長が指揮するとなれば、兵の士気も上がることでしょう」

「善処する。早速だが、状況について聞きたいのだが」

「もちろんです」

 

そう言うと、ウォンは部屋の電気を消した。同時に窓からの光を遮る遮光カーテンも下り、部屋は完全に暗闇に包まれる。すると、部屋の右側の壁に映像が映し出される。

 

レオハルトはウォンに促され椅子に座ると、それに続いて二人も椅子に座った。

 

「これが、今回の作戦の目標となるリスボン基地です。配備されているのは、既存の兵器である戦闘機に戦闘ヘリ、対MSミサイルなどが多数配備されています。戦闘機・戦闘ヘリだけでも、その数は有に二〇〇を超えるかと」

 

映像には、事前に無人偵察機などを飛ばして収集したであろう画像が次々と映し出されていく。だが、近付きすぎると撃墜される恐れがあるため比較的遠目から撮られているが、画質の良さが遠目というハンデをカバーしている。

 

「二〇〇か。他の兵器と併せて考えれば、面倒な数になるな」

「出撃する前に、可能な限り潰すことが大事。スピードが重要ですな」

「こちらの戦力はどれくらいだったか、ハーヴィッツ?」

「ボズゴロフ級五、ディン六、ジン六、グーン八。総数、二〇です」

 

ウォンの問いにハーヴィッツは手元の資料に目を落とすと、今回の作戦に参加する総数を答える。

 

「どうですかな、リベラント隊長」

「充分です」

 

レオハルトはウォンの問いに不敵な笑みを浮かべながら答えると、立ち上がり映し出される映像に近づいていく。

 

「まずは、グーンを先行させ沿岸部の迎撃システムを攻撃。さらに、単独飛行が可能なディンでハンガーを破壊。その後、ジンを上陸させ攻撃。出撃してきた部隊は、ディンで対応。ジンとグーンについても、出来る限り対応」

「大筋は問題無いでしょう。あとは、細かい調整だけですな」

 

レオハルトは映し出された映像に指を差しながら説明し、ウォンとハーヴィッツはその説明に頷きながら説明を聞く。

 

説明を終えレオハルトは椅子に座り直すと、ウォンはその説明に大きく頷き肯定した。

 

「準備の方は?」

「残念ながら、今しばらく時間が。明日中には完了するかと」

「では、2400に出発。翌0500に攻撃開始とする。以上」

 

レオハルトがハーヴィッツから聞いた準備完了の予定時刻を聞くと、即座に新たな指示を出す。二人は敬礼をして了解の意を示すと、レオハルトは次の目的に取り掛かる。

 

「レーベル補佐官。クルーゼ隊所属のイザーク・ジュールを呼んでもらえるか?」

「了解しました。少々お待ち下さい」

 

レオハルトはアタッシュケースに収められているイザークへの処罰が記された書類を渡すため、ハーヴィッツにイザークを呼んでくるよう頼む。

 

ハーヴィッツは部屋の電気を点けると、すぐに部屋を退室していった。

 

「突然宇宙(そら)から降ってきた来訪者に、何か急用かね?」

「ええ。評議会からの命令を伝える必要があります」

「評議会から?……どうやら、良いことじゃなさそうだ。私は準備の指揮に向かう。部屋はここを使うといい。それじゃ」

「ありがとうございます」

 

ウォンが部屋を後にしてから間もなく、部屋がノックされる。

 

「リベラント隊長。イザーク・ジュールをお連れしました」

「入ってくれ」

 

ドアが開けられると、銀髪をきれいに切り揃えたイザークが立っていた。だが、目立つは眉間から右目の下に向かって伸びる傷跡。

 

【ストライク】の攻撃によって出来た傷。だが、【プラント】の技術ならば傷跡を消すことは容易い。だが、それをしていないということは、イザークなりに何か理由があるということなのだろう。

 

「イザーク・ジュール、出頭致しました」

「来たか」

「お久し振りです、リベラント隊長。何故、リベラント隊長が地球に?」

「クライン議長から特務を受けて、地球に降りてきた。それと、お前にこれを渡すためにな」

 

レオハルトはアタッシュケースを開くと、中に入っていた命令書をイザークに手渡す。それを受け取り読み進めていくうち、イザークの表情が一変していく。

 

「バカな!!罪状は民間人殺害、及び命令無視!二週間の監視付きの謹慎に、一週間のMSへの搭乗禁止!?」

「そうだ。その命令は、【最高評議会】から正式に下された命令だ。【FAITH】として、イザーク・ジュールに通知する。イザーク・ジュール、本日よりその命を執行するものとする」

「リベラント隊長!!何故、私が!!民間人殺害とは何のことですか!?」

 

評議から下された命令を理解し、イザークは予想通り激しく激高しレオハルトに詰め寄った。レオハルトは片手でイザークを制すと、静かに話し始める。

 

「先の低軌道での戦闘の際、お前が降下直前に撃墜したシャトル。あれに乗っていたのは、ナチュラルの民間人だった。民間人の殺害など、認められるはずがないだろ。さらに、俺の制止の命令を無視し、【ストライク】との戦闘を強行した」

「民間人!?違う!!俺は敵を、ナチュラルを討ったまでです!それを!!」

「イザーク・ジュール!!」

 

再び口にされてしまった禁断の言葉。その言葉を口にしたことにより、レオハルトの顔に怒りが浮かぶ。

 

「貴様もそれを言うのか。何もわかっていない奴が、よくもそんなことを言える」

「リベラント隊長……」

「貴様のその言葉が、【ユニウスセブン】に核を撃ち込んだ奴らと同じというのが分からないのか!」

「違う!俺は、あんな奴らと!!」

「同じだ!ナチュラルだろうと、貴様は民間人を討った!奴らは、コーディネイターだから民間人だろうと殺した!何が違う!違わないだろう!何一つ!」

「俺は……!」

 

二人しかいない総司令室に、普段は冷静なレオハルトの怒声が響き渡る。その普段は冷静なレオハルトのその迫力に、イザークはどんどん圧倒され言葉を失っていく。

 

レオハルトの怒りと迫力が増していくにつれ、少しずつ崩れていくレオハルトの口調。

 

「敵が誰なのかも判らず、ナチュラルだからと闇雲に討つ!そんな奴は、ただの殺人者だ!知らなかったでは済まされないぞ!貴様の思っている以上に、命は重いんだよ!!」

 

その言葉を最後に、部屋には沈黙の時間が訪れる。それがどれだけの時間だったのかは分からないが、イザークには何十分にも感じられた。

 

「道を誤るな、イザーク。後悔した時には、もう遅いぞ」

「…………」

「評議会からの通告は以上だ。本日より罰を執行する。戻れ」

「……はっ」

 

 

意気消沈した様子で立ち去るイザーク。その暗い雰囲気を漂わせるイザークを見送り、レオハルトは溜め息を吐いた。

 

溜め息を吐いた自分に気づき、レオハルトは苦笑を浮かべた。

 

「溜め息が多くなったな、俺は」

 

レオハルトは気を取り直し部屋を後にして外に出ると、ハーヴィッツと話しているウォンを見つけ近付いていく。その近くでは【ZAFT】輸送機へのMSの搬入作業が行われていた。

 

「おおっ、リベラント隊長。お話は終わりましたかな?」

「ええ。何をされているのですか?」

「バルトフェルド隊長から、MSを融通して欲しいと要請がありまして」

「(バルトフェルド隊長からか。MSの増員を要請したということは、【アークエンジェル】の戦力を危険視したということか?あるいは、念には念をということか)」

 

バルトフェルドは現在、ザフト軍北アフリカ駐留部隊隊長という地位にある。そして、【アークエンジェル】が降下したのも、バルトフェルドの管轄下。

 

MSの増員要請があったということは、幾度かの戦闘で失ったのか。あるいは、念の為ということなのか。

 

それは分からないが、バルトフェルドがMSを必要としていることは疑いようのない事実だった。

 

「送るMSは?」

「ザウート一五です。それと、クルーゼ隊の二人も」

「あの二人を送ったところで無駄だ。機体が良くても、あいつらは砂漠戦を知らない。砂漠を知り尽くしたバルトフェルド隊長の部隊にしたら、邪魔でしかない。少しでいいから、バクゥを送ってやってくれ」

「ううむ……。確かに、リスボン基地攻略ではバクゥは使えない。五機送るとしよう。ハーヴィッツ」

「了解しました」

 

ハーヴィッツは小走りでどこかへと走っていくと、搬入するMSの変更を知らせに走った。輸送機は二機あり、それぞれにバクゥとザウートを送るということになる。

 

「ウォン総司令。作戦開始の準備で、私に何か手伝えることはあるか?」

「そうですな……。特にありませんな。時間までゆっくりしてください」

「そうですか。……バルトフェルド隊長には、今日?」

「第一陣は今日の予定です。時間になったらすぐ飛び立てるようにと思って、第二陣も今日中に積んでしまおうと思いましてな」

 

ハーヴィッツともう一人の男が話しているのを見ながら、レオハルトとウォンが言葉を交わす。

 

「良ければ、バルトフェルド隊長への輸送に同行させてもらえませんか?」

「構いませんが、バルトフェルド隊長に何か御用でも?」

「ここに居ても作戦時間まですることが無いようですから、バルトフェルド隊長にご挨拶でもと思いまして」

「では、お気を付けて。あの辺りは、【ブルーコスモス】が騒がしいですから」

 

その後、バルトフェルドに送られるMS増員の第一陣が出発。それに同行する形で、レオハルトもバルトフェルドの元へと向かった。

 

午後にはバルトフェルドが居を構えるバナディーヤに到着。レオハルトは共にやってきた男に輸送機の補給・整備、さらに休憩として一時間の時間を与える。

 

男は輸送してきたMSの受領手続きに向かう中、レオハルトは近くにいた男にバルトフェルドの居場所を問う。

 

「バルトフェルド隊長は現在、外出中です」

「外出?どこにだ」

「恐らく、いつものように街にいらっしゃるかと」

 

レオハルトは礼を言うと、バルトフェルドを探しに街へと足を向けた。だが、ここはレオハルトにとって右も左もわからない場所。

 

レオハルトはすぐに探しにいくことを考え直し、待つことに決め建物へと足を向けた。

 

すれ違う兵士にたまに驚いた表情で敬礼をされもしたが、ここではレオハルトの名前は知られていても顔までは浸透していないらしい。

 

そんなことをレオハルトは欠片も気にすることなく、途中で捕まえた男に案内してもらうことにする。

 

「こちらでお待ちください。バルトフェルド隊長も、じきに戻られると思います」

「ありがとう」

 

レオハルトが通されたのは、広い客室だった。部屋の中央にテーブルと横長のソファーが二つあり、左側にはかつて大発見となった物のレプリカの石版が置かれていた。

 

「これは……」

 

【エヴィデンス01】。その姿はクジラ。だが、その背には羽が生えており、どう考えても地球には存在しない生物である。

 

ファーストコーディネイター、ジョージ・グレンが木星探査中に発見した明らかに地球のものでは無い生物の化石であり、地球外生命体の証拠とされている。

 

レオハルトは部屋にあったコーヒーを勝手に飲みつつ、部屋に置いてあった本を読んでバルトフェルドを待つのだった。

 

 

 

 

街の中で【ブルーコスモス】の突然の襲撃を難なく退け、バルトフェルドは偶然遭遇した客人二人と基地に帰還する。

 

その客人とは、地球連合軍【アークエンジェル】所属のMS【ストライク】パイロット、キラ・ヤマト少尉。

 

本来は民間人でありながら、【ヘリオポリス】の友人たちと共に軍に志願。正式に軍人となった。

 

そしてもう一人は、現在【アークエンジェル】と協力関係にあるレジスタンス組織、【明けの砂漠】に所属するカガリと呼ばれる少女である。

 

そんな二人が何故、バルトフェルドと共に【ZAFT】のど真ん中に向かっているかというと、【ブルーコスモス】襲撃の際、バルトフェルドが盾にしようとして蹴り上げたテーブルにあった、ケバブにかける二種類のソースを頭から被ってしまったのだ。

 

オマケに、お茶付きである。

 

カガリの恰好がソースでぐちゃぐちゃ。さらに、キラはバルトフェルドを狙っていた【ブルーコスモス】に銃を投げつけて窮地を救っている。

 

この二つの理由により、バルトフェルドはお礼の意味も込めて二人を基地へと招待したのだ。

 

「バルトフェルド隊長、お耳に入れておきたいことが」

「ん?何かね、ダコスタ君。今、新しいコーヒーの配合のシミュレーションで忙しいんだけど」

 

隣で車を運転していた赤い髪に短髪、緑服を着た男に話しかけられバルトフェルドは気の抜けた返事を返す。

 

だが、話しかけた本人、マーチン・ダコスタはそんなことは一切気にすることなく言葉を続ける。

 

「リベラント隊長がお待ちだそうです」

「……彼が?何で地球に居るんだろうね~。僕に会いに来たわけでもないだろうに」

「それは知りませんけど」

「まぁ、何はともあれ、急ぐとしますか。【ZAFT】のトップエースを待たせるのも悪いからね」

「はっ」

 

バルトフェルドはいつもと変わらぬ口調でそう呟くと、ダコスタはアクセルを踏む足に力を込めた。

 

そして、この会話を後部座席で聞いていたキラは、ある考えで頭がいっぱいだった。

 

「(【ZAFT】のトップエース?そういえば、フラガ少佐が前にそんなことを……。確か名前は……“レオハルト・リベラント”)」

 

基地に到着すると、バルトフェルドはぐっちゃぐっちゃのカガリを恋人であるアイシャに任せ、バルトフェルドはある部屋のドアを開けた。

 

「部下から聞いてはいたが、実際に見ると驚くね。何故、君がここに?」

 

バルトフェルドはソファーに腰掛けてコーヒー片手に本を読みふけるレオハルトを見て、分かってはいても驚いてしまうバルトフェルド。

 

「【FAITH】の特務で地球に来ましてね。時間が出来たので、バルトフェルド隊長にご挨拶をと思いまして」

「おやおや、忙しいだろうに」

「バルトフェルド隊長ほどではありませんよ。それで、どちらに行かれてたんですか?」

「ちょっと街に散歩にね。面白い発見があったよ。ああ、早く君も入りたまえ」

「どなたかいらっしゃる……っ!?」

 

バルトフェルドはレオハルトににこやかな笑みを浮かべながら部屋に中に入ってくると、一直線にコーヒーメーカーへと歩いていく。

 

バルトフェルドはコーヒーをカップに注ぎつつ、部屋の外にいる誰かへと話しかけた。誰がいるのかと気になり視線を向けると、レオハルトはそこに居る人物を見て言葉を失った。

 

「(……!?)……バルトフェルド隊長、彼は?」

「彼かい?……ふむ、僕の命の恩人かな」

 

内心の動揺をひた隠しにし、レオハルトは入ってきた少年の素性をバルトフェルドに問いかける。バルトフェルドはコーヒーを淹れ終えると、レオハルトの隣に腰を下ろしながら答えた。

 

対照的に、レオハルトは立ち上がり窓へと近付いていく。そんなレオハルトを見て、バルトフェルドは肩をすくめて見せた。

 

「【ブルーコスモス】の襲撃が?」

「ほぉ、察しがいいね。その通り。その時、彼に助けられてね」

「…………」

 

思いもがけない人物、立っていたのはキラ・ヤマト。軍人の性か、レオハルトは自らが持っている銃を確認した。

 

そんな様子を横目で確認したバルトフェルドは、小さく笑みを浮かべる。

 

「立っていないで、君も座りたまえ。コーヒーでもどうぞ。僕はコーヒーには少々うるさくてね。これは、僕の自信作だよ。リベラント君、どうかな?」

「ええ、非常に美味しいです」

「おっ、分かってるねぇ~」

 

キラはバルトフェルドとレオハルトの二人に露骨な警戒心を抱きつつ、二人の対面に座りコーヒーを口にした。

 

だが、すぐに苦い顔をするとカップをテーブルへと置いた。

 

「おや、口に合わなかったかね?ふーむ、君はまだ早いか」

「いえ、そんなことは……」

 

そう答えるキラだが、その言葉とは対照的に顔はそうは言っていない。

 

その時、女性の声がすると部屋に一人の少女が入ってくる。ショートカットの金髪に、ドレスを包んだ少女だった。

 

バルトフェルドの賞賛の言葉も、レジスタンスに所属しバルトフェルドを敵視しているカガリには嫌味にしか聞こえず、乱暴な口調で言い返した。

 

「喋らなきゃ完璧」

「(この少女、どこかで……)」

 

言い合いをして軽口を言うバルトフェルドとは対照的に、レオハルトの表情は険しい。その厳しい視線はドレスに身を包んだ少女、カガリに向けられていた。

 

「で、誰なんだそいつは。お前の部下か?」

「そいつ?ああ、彼かね?う~ん、誰と言われても……。少なくとも、僕の部下ではないね」

 

カガリは自分たちには見向きもせずコーヒーを飲むレオハルトに気に障ったのか、イラついた口調でバルトフェルドに問いかける。

 

だが、バルトフェルドは相も変わらず普段通りの陽気な口調で返すと、カガリの目付きはさらに険しくなる。

 

「おぉ、怖い怖い。喋らなきゃ完璧だったけど、怒らなくて喋らなかったらもっと完璧だ」

「……いいだろう。名ぐらいは名乗っておこう。特務隊所属、レオハルト・リベラントだ」

「特務隊……?」

「(レオハルト・リベラント……?)」

 

レオハルトは飲み終えたコーヒーを台の上に置くと、二人に向かって名乗った。カガリは特務隊という聞き慣れない言葉に思わず聞き返し、キラは覚えのある名前に引っ掛かりを覚えた。

 

「特務隊のことが知りたければ、上官に聞いてみるんだな」

「……!お前、どうして……!!」

「カガリ!!」

「あっ……!」

 

レオハルトの上官という言葉から、二人は自分たちがレオハルトの敵だということに気付かれたことに即座に気付いた。

 

カガリは立ち上がって問い返すが、キラに名前を呼ばれ自分の失態に気付く。だが、レオハルトは慌てた二人に何かをするでもなく、壁にもたれ二人に視線を向ける。

 

「よく分かったね。何故かな?」

「ただの一般人が、軍人を助けられるとでも?武装した【ブルーコスモス】から?」

「ははははっ!!これは一本取られたな!確かにその通りだ!」

 

レオハルトの指摘に、バルトフェルドは豪快に笑い声を上げる。それとは対照的に、キラとカガリの中でレオハルトへの警戒心が一気に高まる。

さらに、キラの中にあった引っ掛かりが解けたことも、その警戒心を高める要因となった。

 

「(レオハルト・リベラント……!フラガ少佐が言っていた、【ZAFT】のトップエース!どうしてここに!)」

 

だが、不意にカガリはレオハルトから視線をそらし、バルトフェルドへと厳しい視線を向ける。

 

「おや、何か言いたげな目だね」

「お前は、いつもあんなお遊びをしているのか?私にドレスを着せたのも、お遊びの一つか?」

「ドレスを着せたのは僕じゃないんだけど……。お遊びとは?」

「住民だけ逃がして街を焼き払ったり、ふざけた格好で街を歩き回ったりってことさ」

 

カガリは薄ら笑いを浮かべるバルトフェルドから視線を外さず、バルトフェルドを真正面から見据える。そんな二人を、レオハルトは静かに見つめる。

 

「良い瞳だね、真っ直ぐで。実に良い瞳だ」

「ふざけるな!!」

「君も死んだ方がマシなクチかね?」

 

依然として崩さないバルトフェルドの軽い態度に、カガリの怒りが頂点に達し怒声を発する。だが、それも目付きが鋭くなったバルトフェルドに睨まれ口を閉ざした。

 

「そっちの彼、君はどう思う?どうしたら戦争は終わると思う?MSのパイロットしては」

「お前、どうしてそれを!!」

 

バルトフェルドの問いにカガリは再び正直な反応をしてしまい、キラが連合の軍人でさらにはMSのパイロットということがバレてしまう。

 

キラは悲痛気な表情でバルトフェルドから顔をそらすが、レオハルトはその表情を見逃すことはなかった。

 

「はははははっ!!真っ直ぐ過ぎるのも考え物だぞ。戦争にはスポーツのような明確なルールも、競技時間も存在しない。なら、どうやって勝ち負けを決める?」

 

バルトフェルドは立ち上がると、レオハルトの横を過ぎサイドチェストへと歩いていく。その間も投げかけられる、戦争に対する疑問。

 

戦争はスポーツではない。明確なルールが存在しているわけでもない。審判がいるわけでもない。あえて審判する者がいるとすれば、自分たちだ。要は、セルフジャッジである。

 

軍資金、軍事力、クーデター。諸々の理由によって、戦争をしている当事者たちは限界だと審判を下すだろう。

 

だが、それらに問題が無ければ、戦争は止まることを知らない。そもそも、【プラント】と連合にあるのは相手への憎しみと怒りである。戦争が続くほど、それらの感情はさらに膨れ上がっていくことだろう。

 

キラは突然動き出したバルトフェルドに警戒心を露わにすると、カガリの手を引き部屋の隅へと歩いていく。

 

投げかけられる疑問。つい最近まで普通の民間人と暮らしていたキラ。さらに、今のキラにそんな先のことを考える余裕などなく、その日を生き抜くだけで精一杯の状況。

 

だからこそ、バルトフェルドが問いかけたどこで終わるのか、どうやって終わらせるのか。今まで考えたことなどなかった問題に、キラは言葉を詰まらせる。

 

「どう……やって……?」

「敵である者を滅ぼして、かね?」

 

ならば、戦争が止まる理由はただ一つ。バルトフェルドの言葉通り、敵である者を滅ぼすしかなくなる。その先に待つのは、絶望だけである。

 

バルトフェルドはサイドチェストに入れていた銃を取り出し、カガリを背にしてかばうキラに銃口を向けた。

 

突然の状況の悪化に、キラの額から流れ落ちる冷や汗。視線が忙しなく動き回り、脱出の糸口を探す。

 

「諦めた方が賢明だな。いくら君がバーサーカー(狂戦士)でも、無事で脱出できるものか」

バーサーカー(狂戦士)……?」

「ここにいるのは皆、君と同じコーディネイターなんだからね」

「えっ!?お前……」

 

バルトフェルドの口から飛び出した衝撃の言葉に、驚いたカガリはキラへと視線を向ける。だが、キラの視線はバルトフェルド向けられているが、横目でレオハルトにも向けられる。

 

だが、レオハルトは壁に背を預けた状態から動こうとはしない。とりあえずは安心し、キラはバルトフェルドに視線を戻す。

 

「君の戦闘は二回見た。砂漠の接地圧、熱対流のパラメータ。君は同胞の中でも、かなり優秀な部類らしい。何故君がそちら側にいるのかは知らんが、君があのMSのパイロットである以上、私と君は敵同士ということだな」

 

向けられる銃口、張りつめた空気、蔓延する緊張感。これらがキラを焦らせ、冷や汗がキラの頬を伝っていく。

 

「バルトフェルド隊長。お遊びはもういいですか?」

 

不意に響く低く、それでいて不思議と響く声。それに反応し一斉に視線が、声の主へと向けられる。

 

そこには、銃を構えたレオハルトの姿があった。

 

「どういうつもりかな、リベラント隊長」

「敵を討つのに、理由が必要ですか?」

 

キラに銃口を向けるレオハルトに、バルトフェルドは厳しい視線を向ける。だが、レオハルトはキラたちから視線を外すことなく逆に聞き返して見せた。

 

「ここで彼らを討つつもりはない。ここは戦場ではない。それに彼は、今日に限って言えば僕の命の恩人でもある。銃を下ろしたまえ」

「あなたの個人的感情に何の意味が?今ここで討てるのならば、討つべきだ。彼によって、どれだけの同胞が命を落としたお思いですか」

「いくら【FAITH】とはいえ、この地域は僕の管轄下にある。緊急時でもないのに、君の命令に従えというのかね?【FAITH】ならば、何をしてもいいと?」

「…………」

 

バルトフェルドの言葉にレオハルトは沈黙すると、静かに銃を下ろしホルスターへと戻した。その行動にキラとカガリは胸を撫で下ろすと、バルトフェルドは改めて二人に顔を向ける。

 

「さて。少々問題は起きたが、帰りたまえ。言った通り、君たちをここで討つつもりはない。話せて楽しかったよ」

 

バルトフェルドは二人に背を向けると、銃を片付けながらそう告げる。キラはまだ警戒しつつも、部屋を出て仲間の元に帰るのだった。

 

二人がいなくなった後、レオハルトは部屋にある掛け時計に目を向ける。間もなく、一時間が経とうとしていた。

 

「……それでは、私もジブラルタル基地に戻ります」

「おや、もう戻るのかね?それは残念。……ところで、一つ聞いてもいいかね?」

「何でしょう」

 

レオハルトはそう言うと、扉に近づいていた足を止め振り返った。

 

「あの少年と君。どこか雰囲気が似ている。何か関係が……っ!!」

 

バルトフェルドがそこまで言い掛けた時、響き渡る一発の銃声。バルトフェルドの頬から、一筋の血が流れ落ちる。

 

収納していた銃を一瞬で抜き、バルトフェルドの頬を掠めるギリギリに撃ち、能面のような顔で銃を構えるレオハルトの姿。

 

「アンドリュー・バルトフェルド、一つ忠告しておこう。詮索が過ぎると、早死にするということをな」

「…………っ」

「知る必要の無いことだ。余計なことに首を突っ込むものじゃない。……彼を生かしたこと、後悔するぞ。貴様は負ける」

 

レオハルトは一方的にそう告げると、踵を返し足早に部屋を出て行ってしまった。すると、部屋の電話が鳴りバルトフェルドが応答する。

 

「バルトフェルド隊長!今の銃声は!?」

「ああ、何でもない。警戒解除だ」

「しかし……!」

「何でもないよ。解除だ」

「……了解しました」

 

不審がる副官のダコスタを強引に言いくるめると、バルトフェルドは流れ落ちる血を拭う。すると、血を拭った右手が震えていることに気付き、バルトフェルドは苦笑する。

 

「久しく感じる恐怖だよ……。…………何なんだ、“アレ”は。あの瞳は……」

 

バルトフェルドは見た。銃口の先に見てしまったのだ。

普段は美しいルビーの瞳が、金色と紅が混ざり合い不気味に光り輝く様を。

 




どうでしたでしょうか?

レオハルトの瞳に関しては、OOの刹那っぽくね?と自分でも思ってしまいました。
が、妖しさを出すならやっぱり金かなってことで、金にしました。

ちょっと時間軸がおかしいところがあるかもしれませんが、そこは私の原作改変ということでお願いします。

若干、最後はやりすぎたような気もしますが、強調したかった部分なので問題無いでしょう。

次は、本編で言っている攻略作戦になります。
前後編になるかもしれません。

とにかく、頑張って書きます。
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