機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~ 作:Pledge
更新です。
そして、活動報告でさせて頂いた質問に答えて頂いた方、ありがとうございます。
内容は同じく、定期的に更新して欲しいとのことでした。
他にお言葉も無かったので、それが当小説をご覧頂いている皆様の総意だと考えさせて頂きます。
定期的に更新できるよう、努力させて頂きます。
わずかながらも休暇を終えたレオハルトは、パトリックに呼び出された。何の用かと思い向かうと、統合三局と共に新型機開発に関われと言うものだった。
パトリックから最重要機密だと聞かされ、そんな気体を開発する計画に自分が関わっていいものかと考えてしまう。だが、命令は命令である。
レオハルトは気を取り直すと、許可証を受け取りマイウス市に向かった。レオハルトが向かうのは、
この【新特別開発区】は旧と違い、非常に大きい。旧の四倍はある広さだ。この中で、統合三局はパトリックから直々に命じられた四機の開発が進められている。
【新特別開発区】につながるゲートには旧より多い保安兵が警戒していた。レオハルトは途中にも大勢配置されている人間を横目に入り口前までやってくると、ハインラインが立っていた。
「ハインライン局長」
「来たかね、リベラント隊長。待ちくたびれたよ。仕事に取り掛かる前に、君のパーソナルデータを登録しなければいかん。毎回、誰かに案内させるのも面倒だからな」
「確かに」
レオハルトはハインラインの言葉に従い指紋・静脈・網膜をデータバンクに登録を終えると、ハインラインに連れられ第四区に案内された。
「聞いたと思うが、我々は四機の新型機の開発を命じられている。そのうち三機のコンセプトはすでにある。が、四機目のコンセプトがまだ無くてな。リベラント隊長に任せたい」
「そんな重要なことを俺に任せていいのか?」
「ザラ委員長から命じられたのは、ただ強い機体だ。それさえ達成すれば、ザラ委員長も何も言わんだろう。人員は貸すから、好きに使え」
「責任重大だ。だがまあ、専門じゃない俺が開発メンバーに加えられたんだ。それも期待されてのことだろう。やるしかないか」
「そういうことだ。では、私は失礼するよ」
レオハルトは近くにあった椅子を掴み引き寄せると、腰を下ろし思案する。
「ただ強い機体か。さて、どうしたものか」
レオハルトがメンバーに加わってから三週間。
レオハルトはどんな機体を造るか考えた時、レオハルトはまずあらゆる機体の情報を取り寄せた。【ZAFT】の機体はもちろん、奪取した連合の機体データ。
さらには、
レオハルトがハインラインから聞いた話によると、その二機は四月のロールアウトを目指しているらしい。トリコロールの機体と、真紅の機体の二機である。
残りの一機については、四本のビームサーベルを装備した格闘戦仕様の機体にする予定だったが、急きょパイロットがクルーゼに決定。クルーゼの能力を考えた結果、
それらの情報を踏まえ、レオハルトは派遣された統合三局の人間と共に機体の設計に取り掛かった。機体の設計までに時間が掛かりすぎてしまったため、他の三機よりロールアウトはかなり遅れそうだった。
だが、それで欠陥のある機体になっては本末転倒なため、レオハルトはじっくりと開発を進めていく。
「それで、情報は?」
「ああ。ザラ委員長のお坊ちゃんは、【足つき】とやらを逃がしちまったみてぇだ。で、あるところに逃げ込んだらしい。どこだと思う?」
開発の合間の時間、レオハルトはある人物と通信していた。男の名はバルドリッヒ・ゲヴェール。クルーゼと同じ、白服をまとう隊長である。
ホログラムに映し出されるバルドリッヒは、子どもが見たら泣いて逃げ出すであろう凶悪な笑みを浮かべた。本人に自覚は無いのだろうが、どう見ても凶悪犯の顔である。
「オーブか?」
「……かーっ!何だよ、ダンナには何でもお見通しだな!」
「奴らがアフリカ大陸から太平洋に行ったことは聞いていた。太平洋で奴らを匿う国など、オーブしかない」
バルドリッヒは【グリマルディ戦線】の際、謎の大爆発によって撤退する際に敵の追撃を受け、逃げ遅れてしまった男である。
それからしばらくはお互いに任務などで会わなかったのだが、レオハルトが【FAITH】になってすぐに偶然会ったのだ。レオハルトより一〇歳は上だが、その時からバルドリッヒは恩からレオハルトをダンナと呼んでいる。
当初は止めるように言っていたが、すぐに無駄だと悟りレオハルトは諦めた。
「なるほどな。しかし、そこまで分かってるなら教える必要あったのか?」
「あくまで推測だ。確証が欲しかったから頼んだんだ。【オペレーション・スピットブレイク】の準備の方は?」
「順調だ。いつ命令が下されるのかは知らんが、着々と準備は進んでるよ」
【プラント】では現在、【オペレーション・スピットブレイク】に向けた準備が着々と進められている。
訓練の他にもMSの増産も進められており、普段通りの哨戒任務に偽装し作戦当日の降下ポイントの予定候補地の下見なども行っている。他にも、予定降下ポイント周辺の海賊の掃討などを行っている。
「その準備のために、クルーゼが地球に降りたんだろ?で、クルーゼの野郎が忙しいから、クルーゼのクソ野郎の部下共が隊を結成して、【足つき】の追撃に行ったんだろ?まぁ、初戦は良いとは言えないみたいだったが」
「そういえば、バルはラウが嫌いだったな」
「ああ、嫌いだ!何だってダンナは、あいつと付き合いがあるんだか」
「養成課程の時からだからな。もう腐れ縁だ」
「腐れ縁ねぇ……。まあいいさ。さて、こんなもんでいいか?そろそろ出港でな」
「ああ、すまない。十分だ」
バルドリッヒは最後に二カッと笑みを浮かべると、レオハルトとの通信が切れる。
バルドリッヒとの通信を終え、レオハルトは椅子に背を深く預けながら頬杖をつき思案する。その表情から何を考えているのかは読み取ることが出来ない。
「どうかしたかね?」
「ハインライン局長。いや、何でもない」
「ならいいが。それより、ようやく開発が始まったようだな」
「ああ」
そう言うと、二人は特殊ガラスの向こう側にあるまだ機体の下半身が完成しただけのMSが鎮座している。
あれこそ、レオハルトが設計し開発を主導している、【ZAFT】新型MS四機目である。
「開発計画書を読ませてもらったよ。まあ正直、正気かと思ってしまうスペックだよ。完成間近の二機より上ではないか?」
「あくまで計画ではな。計画した通りの物が必ず出来るわけではない。それに、戦闘はMSの性能だけで決まるものではないだろう」
「よく言う。噂で聞いたぞ。あの機体のパイロットに決まったそうじゃないか。君が乗れば、敵などおらんだろう」
「……それはどうかな」
ハインラインのニヤリとした笑みを浮かべながらの言葉に、一瞬レオハルトから表情が消えると小さくそう呟く。
それはハインラインの耳に聞こえることは無かったが、その真剣な表情からレオハルトには確かな敵が見えていたということだろう。
「名は決まったのかね?」
「ああ。まだ言わないがな」
「勿体付けることだ。完成予定はいつ頃かね?」
「五月を予定している。だが、今後次第では遅くなることもあるだろう」
「それは仕方あるまいな。何はともあれ、頑張ってくれ。ではな」
ハインラインが踵を返し立ち去っていった後も、レオハルトは進められる開発状況の観察を続ける。レオハルトが出来るのは設計やOS開発などである。実際の開発は専門外のため、そこは専門の人間に任せている。
レオハルトはおもむろに机の上に置いていた開発計画書を手にする。そこには想定されるスペック表が詳細に記されていた。
ハインラインが言っていたように、この機体のスペックは非常に強力と言わざるを得ない。並のコーディネイターが乗る機体でもない。
だが、レオハルトは“知っている”。自分なら、この機体を乗りこなすことが出来ると。
完成予定は五月。その時、この機体にレオハルトが乗り戦場を蹂躙する。圧倒的な力を手に、敵は屈服するしかないのだ。
計画書の先頭にはZGMF-99Aと、短く記されていた。
レオハルトが新型機の開発に着手してから、早一ヶ月が経っていた。
四月も半ばを過ぎ、四機の新型機のうち二機は完成。だが、パイロットがまだ決まっていないため、両機とも格納庫で主を待っている状況である。
だが、クルーゼの専用機に決まった機体とレオハルトの機体は、まだ開発途中である。クルーゼの機体の主武装、分離式統合制御高速機動兵装群ネットワーク・システム。
通称、ドラグーン・システム(Disconnected Rapid Armament Group Overlook Operation Network・system)。
個々にビーム砲と多数の推進・姿勢制御用スラスターを備え、高い攻撃力と機動力を持つ強力な武装である。
だが、この武装を操作するには特別な適性が必要とされており、それがクルーゼに見つかったため【ドラグーン・システム】が搭載されることになった。
少しずつ出来上がる機体を前に、レオハルトはOS開発に励んでいた。
現時点では、レオハルトが書き上げた開発計画書通りに事は進んでいる。だが、楽観は出来ない。完成してから、さらに実際に動かしてみなけれ分からないこともあるだろう。すると、その時初めてわかることもあるかもしれない。
ロールアウトされるまでは、完成したとは言えない。
他の誰かが見たら驚くであろうスピードでキーを叩いていると、レオハルトの元に通信が来る。通信をつなげると、画面に映ったのはバルドリッヒだった。
「よう、ダンナ!元気そうだな!」
「バルか。どうした?」
「ザラのお坊ちゃんの続報だ。いろいろと頑張ったみたいだが、一番年下の坊主が戦死。お坊ちゃんは、自分の機体を自爆させて【ストライク】とやらを撃破。痛み分けってところだな」
アスラン率いるザラ隊は、オーブから出国してすぐの【アークエンジェル】を強襲。だが、これまでの戦闘でキラの技量も上がり、スカイグラスパーを使ってのストライカーパックの空中での換装。
これまでにない戦闘でキラはアスランたちを圧倒。アスランの
イザークも戦闘不能に陥り、ディアッカは【アークエンジェル】に投降。激闘の末、アスランは
「【足つき】は?」
「追撃のディンが向かったそうだが、すでに逃走していたそうだ。坊ちゃんは、駆け付けたオーブ軍に救助された。右腕骨折だそうだ」
「(オーブに救助?……なるほど。オーブに匿われていた際に、縁が出来たか。その縁で救助要請をしたか。だが、それだけでは理由が弱いか?他に何かあるのか?)」
オーブに居た際、縁が出来た。それは容易に想像できる。だが、果たしてそれだけだろうか?何か秘密の交渉があったとも考えられるが、命からがら逃げる【アークエンジェル】に交渉材料になるものが出せるのだろうか。
レオハルトがそう思案していると、あることに思い至る。
「(……オーブ。そうか、オーブには……)」
「どうした、ダンナ?」
「いや、何でもない。【足つき】はアラスカか?」
「だろうな。重要のはずだったMSを失ったとはいえ、奴らはアラスカに行くしかねぇ」
「わかった。十分だ。助かった」
「気にすんな!たいしたことじゃねぇよ!じゃあな!」
レオハルトの感謝の言葉にバルドリッヒはややテンション高めに画面から消えると、レオハルトは深い溜め息を吐いた。
「(皮肉なものだな。別れたというのに、再び巡り会うとは。これも、運命か)俺たちが敵対することも運命だとでも言うのか、ヒビキ博士。……だが、俺は生きます。あなたの分も。それが、約束ですから。……ヒュバーノ博士」
レオハルトは内ポケットから一枚の写真を取り出す。そこにはアッシュブロンドの髪の男性と、プラチナブロンドの髪の女性。その間には、にこやかに笑う金髪の少年が映っていた。