機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~ 作:Pledge
自分でも、これほど短期間で更新できるとは予想外でした。
急ぎ足で仕上げたので誤字・脱字があるかもしれませんが、明日またチェックします。
今日はもう寝ます。すみません、眠いんです。
では。
月も変わり五月に入ると、レオハルト開発のMSも完成に近付いていた。それと並行して、レオハルトはすでに完成した新型二機、
すでに完成して搭載されていたOSがあったのだが、改良点を見つけてレオハルトがハインラインに話を通して改良を加えた。自分が乗る予定の機体のOSも、あとは細かい調整を残すのみである。
そんなある日、レオハルトは新たに【プラント最高評議会議長】に就任したパトリック・ザラに呼び出された。パトリックが就任してからすでに一ヶ月以上経過しているが、それ以来【プラント】は急速に軍備拡大を進めていた。
それに対し、前議長だったシーゲル・クラインは議長だけでなく評議会議員の職も辞してしまった。
レオハルトがパトリックの元に到着すると、パトリックの険しい視線がレオハルトに向けられる。だが、それで怯むレオハルトではないため、平然とその視線を受け止める。
「リベラント。四日後の五日に、【オペレーション・スピットブレイク】を実行する。貴様も作戦に参加しろ」
「ついに、ですか」
【プラント】にとって非常に重要な作戦を前に、パトリックも神経を尖らせているようだった。それが、険しい視線に表れていた。
「ああ。それと、貴様には事前に教えておく。スピットブレイクの目標はパナマではない。直前でアラスカに変更する命令を出す」
「……評議会はご存知なので?」
「いや、知らん。事前に諜報部がパナマに攻撃するという情報を流したことで、アラスカの主戦力はパナマに集中している。予定通りだ」
「……了解しました。作戦の準備に移ります」
評議会が知らないということに眉をひそめるも、レオハルトは敬礼をし踵を返す。だが、パトリックは背を向けて歩き去るレオハルトを呼び止める。
「リベラント。機体の方はどうだ」
「事前に報告した通り、性能評価実験も問題ありません。近日中にロールアウト可能です」
レオハルトは先日、統合三局の人間と共に完成した新型機の性能評価実験を行った。その際に発揮されたスペックは申し分なく、むしろ高性能と言えるほどだった。
「報告書は読んだ。統合三局と同様、強力な機体を生み出してくれたようだな。他の三機同様、我ら【プラント】勝利のための大きな剣となるだろう」
「はい。では、失礼します」
その後、レオハルトは【新特別開発区】に向かい、途中だった自身の新型のOSを完成させると、命令に従い【オペレーション・スピットブレイク】に参加するため動き出した。
もっとも、他の人間は本来の目標がアラスカだということを知らないため、向かう先はパナマに降下する地点である。
レオハルトが部屋で待機していると、再びバルドリッヒから通信が入る。
「どうした、バル」
「作戦前の激励をと思ってな」
「暇なのか、バル?」
「そりゃヒデェな。まぁ、激励っていうのも本当だが、本題は別だ」
「……頼んでおいた件か?」
「ああ。……大丈夫だとは思うが、盗聴は無いよな?」
「事前に調べてある。大丈夫だ」
ここ最近、レオハルトは開発に従事していたため内部事情に疎くなってしまっている。だが、それもバルドリッヒを始めとした、レオハルト個人の情報ネットワークにより解決されている。
その中でも、バルドリッヒは特別である。バルドリッヒは表向き、隊長として隊を率いているが、それとは別に裏の顔も併せ持っている。
【プラント】情報部の人間でもあるのだ。そのため、彼独自の情報網を駆使して表裏問わず、情報収集を頼んでいるのだ。
そして、レオハルトは先日、そんなバルドリッヒに密かに頼んでおいたことがあったのだ。
「ダンナの言う通りだ。クライン前議長が、裏でちょくちょく動いていたようだ。“何か”をジャンク屋を使って輸送したようだ」
「それは?」
「苦労したんだぜ、突き止めるの。……輸送したのは、解体されたMSだ」
「(解体されたMS?……まさか)」
「クライン前議長はそれで、地球のエネルギー問題を何とか言ってたらしいぜ」
バルドリッヒのその言葉を聞き、レオハルトは直感する。あの機体だと。同時に、レオハルトに怒りが湧きあがってくる。
その行動を、命じた本人がするのかと。シーゲルにすれば、だからだったのかもしれない。だが、その行動は【プラント】にとって大きな危険も孕んでいる。
「わかった。もう一つは?」
「ああ、そっちか。そっちの方も、ダンナの予測通りだ。まったく、ダンナは超能力者か何かなのか?」
「だったら楽だよ」
「そりゃそうだ。ダンナの言っていた通り、ラクス・クラインを中心とするクライン派と呼ばれる人間が増え続けている。上から下までな。宗教みてぇだよ」
父であるシーゲルを凌ぎ、現議長であるパトリックをも上回るカリスマ性を持つラクス・クライン。そんな彼女を中心とした一派が、クライン派と呼ばれる手段である。
無論、そのようなものが以前からあったわけではない。パトリックが議長に就任したことで【プラント】は軍備を増強し、連合との戦争に決着が付くまで続けるつもりでいる。
だが、ラクス・クラインを始めとしたクライン派は戦争反対派である。どこかで折り合いをつけ、戦争の早期停戦、早期終戦を求めている。
長く続く戦争に、【プラント】にも戦争に疲れている人間が存在するということだ。誰もが、パトリックに賛同しているわけではない。
「俺の勘ではそのうち、何かやらかしそうだな」
「その可能性が高いだろうな。それほど彼女に同調する人間がいれば、決起する気が起きても不思議はない」
「力を持てば、人間は変わるってことかねぇ。まぁ、それはザラ議長も同じな気もするがな。それで、ダンナはザラ派とクライン派。どっちにつくんだ?」
「……俺は【プラント】を護る。それだけだ。派閥に興味は無い」
「ダンナならそう言うと思ったぜ。だが、周りはそうもいかないぜ。それじゃ、報告は以上だ。作戦の成功を祈ってるぜ」
真面目な顔から一転。バルドリッヒは最後に野生的な笑みを浮かべると、画面から消える。レオハルトは天井を仰ぎながら、バルドリッヒの言葉を反芻する。
「バルの言う通りだな。……面倒なことだ」
「どうだ?」
「すべてにおいて、高い数値を叩き出している。成功だな」
「最大の欠点を除けばな。それさえ無ければ、最強のコーディネイターと言えるだろう」
「……本人の前だ。そのような物言いは止めてくれ、ユーレン。では、失礼する」
「……その優しさは、罪滅ぼしのつもりか?私とお前は、同じ穴のムジナだ。貴様に批判する権利があると思うなよ、フォード」
「……十分承知しているさ」
その瞬間、レオハルトの意識が覚醒する。レオハルトが周囲を見渡すと、
「(眠ってしまったか……。作戦前だというのに。だが、懐かしい夢だな……)」
事前に通達された【オペレーション・スピットブレイク】の開始時間を前に、レオハルトは
その際、眠ってしまっていたようだった。パトリックの作戦開始の号令が下る前に目が覚めたのは、不幸中の幸いと言える。
そして、ついにその時は来た。
遠く離れた作戦司令室で、パトリックはついに全軍に作戦開始の号令を出す。
「この作戦によって、戦争の早期終結が叶うことを願う。真の自由と、正義が示されんことを。【オペレーション・スピットブレイク】、開始!!攻撃目標、JOSH-A!!」
「【オペレーション・スピットブレイク】、開始。攻撃目標、JOSH-A。アラスカ!」
パトリックの号令を受け、多くの管制官が作戦に参加する全部隊に作戦開始と、目標の変更が伝えられる。
それはレオハルトが乗る艦にも同様に、作戦開始と目標変更の命令が下された。だが、目標が突然パナマから
その後、降下部隊は急いで移動を開始。パナマへの降下ポイントから、JOSH-Aの降下ポイントに移動。
作戦開始の号令が下されたのは五月五日。だが、移動に時間が掛かり作戦が実行されたのは五月八日。
連合軍の最重要拠点、JOSH-Aに対して【ZAFT】の猛攻撃が始まるのだった。
地球へと降下したレオハルトは、地上部隊から射出された“グゥル”に乗りJOSH-A攻撃に合流。
だが、
敵艦に関しては、水中部隊のグーンやゾノによって着実にその数を減らしている。機械のように引き金を引き敵を撃破していると、レオハルトはある違和感に気付く。
「(やけに歯応えが無い。主力が不在とはいえ、この程度なのか?敵がユーラシア連邦所属ばかりというのも気になる。何か裏があるのか?)」
レオハルトが拭えきれない不安に襲われつつも、確実な証拠があるわけでもない。これはレオハルトの勘に過ぎないのだ。
「リベラント隊長」
不安を抱えつつも敵の掃討に動いていると、サブモニターに銀髪の少女が映る。その少女は以前、レオハルトに勝負を挑んできたラミリア・オリンベルだった。
「ラミリア、だったか?参加していたのか」
「ええ。リベラント隊長も参加されていたのですね」
「ザラ議長の命令だからな。断ることは出来ない」
「ザラ議長も慎重ですね。主力を欠いた連合相手に、リベラント隊長を投入するとは」
「それほど重要と言うことだろう。ザラ議長の覚悟を表している」
会話しつつも、お互いに戦場から目を離すことはしない。ラミリアは紫に塗装された指揮官用ディンを操り、敵艦を撃沈していく。
「確かにそうですね。ですが、この戦力差だと何事もなく終わりそうですね。……計画通りに」
その時、水中部隊がJOSH-A中枢部の入り口を発見。滝の裏側に造られた入り口を破壊すると、ジンやディンが続々と中に入り込んでいく。
「どうやら、入り口を発見したようですね」
「そのようだな。……パナマの主力部隊も間に合わないだろうな」
「間に合ったとしても、やることには変わりありませんが」
「ああ。残るは……“アレ”の撃沈か」
そう言うと、レオハルトは海面ギリギリを航行する【アークエンジェル】に視線を向ける。
攻撃が直撃したのか、右舷のカタパルトがむき出しになってしまっていた。艦体は所々が黒く焦げ、大分攻撃を受けたことが想像出来る。
そんな時、敵基地から一機の戦闘機が飛び立つと、むき出しになっているカタパルトに突っ込んでいった。
「(無茶をするものだ。だが、そうまでしてあの艦に乗りたいということは、余程の理由か)」
「連合の新造艦ですね。私が墜としてきましょうか?」
「いや……。あの艦は因縁のある、あいつに討たせてやってくれ」
レオハルトが横へと視線を向けると、“グゥル”に乗って猛スピードで【アークエンジェル】に迫る機体を見る。
「クルーゼ隊のイザーク・ジュールですか。なるほど。確かに、因縁があるようですね。では、彼に譲りましょう。私は別に行きます」
「ああ」
サブモニターからラミリアが消えると、レオハルトは【アークエンジェル】に攻撃を仕掛けるイザークを見る。
だが、そこで不思議なことに気付く。【アークエンジェル】が、布陣の薄いところを狙って離脱をするような動きを始めたのだ。
イザークはそれを追い、背後から攻撃を仕掛け追いつめていく。
「(離脱する?何を考えている……)」
「今日こそ墜とす!奴らの分までな!!」
イザークは鬼気迫る表情でそう叫ぶと、右手に握るビームライフルの引き金を引く。同時に、右肩にある武装、“シヴァ”も同時に発射。続けてミサイルも発射。
“シヴァ”は外れ、ビームは【アークエンジェル】の特殊装甲【ラミネート装甲】に阻まれるも、撃墜し損ねたミサイルが直撃する。
【アークエンジェル】に攻撃を仕掛けるのは、イザークだけではない。正面からも、ジンやシグーの混成部隊が攻撃を仕掛ける。
これまでの攻撃で、【アークエンジェル】は瀕死。撃沈する寸前である。さらに、イザークや何十機ものMSが狙っているのだ。
「(……終わりだな。今まで生き延びたあの艦も。……っ!何か来る……!)」
一機のジンが【アークエンジェル】の迎撃攻撃を突破し、【アークエンジェル】の艦橋に銃口を突きつけた。
【アークエンジェル】の終わりを確信したその時、レオハルトの頭に何かが奔る。その瞬間、レオハルトは何かが来ると直感し空を見上げた。
レオハルトが空を見上げた瞬間、ジンが手にしていた重突撃銃が爆発する。そして次の瞬間には、そのジンも撃墜されてしまった。
「(何!?)」
一瞬の出来事に、レオハルトは驚愕する。先ほどまでいたジンはすでに居なくなり、代わりにトリコロールの機体が【アークエンジェル】を護るように立ちはだかっていた。
「バカな……!」
その機体を見て、レオハルトは思わず驚きを口にする。
本来なら居るはずの無い機体。ここに居てはならない機体。レオハルトはモニターに映る機体を見ながら、拳を振り上げた。
「何故、ここに居る……!!」
本来ならば、【プラント】本国で眠っているはずの機体。先月、【プラント】によって開発され完成した新型機ZGMF-X10A
その時、レオハルトの元に暗号電文が届く。
『
「(強奪だと……?外部の人間が入り込めるセキュリティじゃない。……内部に裏切り者がいる)」
情報提供者は、本国に居るバルドリッヒ。彼がいち早くこの情報を手に入れ、レオハルトへと伝えたのだ。だが、彼とて強奪された機体がまさかJOSH-Aに居るとは夢にも思わなかっただろう。
レオハルトを断続的に襲う頭痛。チクチクと痛む頭痛をわずらわしく思いながらも、レオハルトの視線は
「(その機体に乗っているのは、お前なのか……!)」