機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~ 作:Pledge
今度もそれなりに早く更新できたかなと思います。
そして、今回はレオハルトにとって大きな変化のある回ではないかと思います。
では、次の更新をお楽しみに。
【オペレーション・スピットブレイク】後、【プラント】は大幅な【ZAFT】地上戦力の縮小を迫られた。レオハルトの判断により被害は軽減させることが出来たものの、その被害は【プラント】にとって小さくは無いものだった。
パトリックにとっても苦渋の決断ではあったが、【プラント】本国が墜ちることは負けを意味する。地上基地を失ったとしても、本国さえ無事ならまだ戦うことは出来る。
パトリックは戦力を喪失し立て直しの最中の本国への攻撃を恐れ、新たな作戦を立案・提案する。提案された作戦は満場一致で可決。
作戦内容は連合軍が所有する最後のマスドライバー、【ボルタ・パナマ】の攻略。さらに、ジブラルタル基地から四割の兵力をパナマ攻略作戦に投入。そのため、今作戦のためにアフリカ戦線の戦力をジブラルタル基地へと異動させた。
主戦力はジブラルタル基地の戦力で補い、カーペンタリア基地からは母艦が提供されることになった。作戦にはイザークやクルーゼも参加し、指揮権はスピットブレイクでも指揮を執った男に任されている。
そして、五月二十五日。
パナマ攻略作戦が発動された。
パナマ攻略作戦が行われている中、レオハルトは特命を受けて出撃していた。
ここ最近、ある宙域で哨戒任務中の部隊が謎の敵から襲撃を受け全滅した。それを受け、調査隊を派遣したが、再び全滅。
事態を重く見た評議会は、トップエースであるレオハルトを派遣。一時的に部隊を預け、原因究明のため向かわせた。
レオハルトは艦長席の隣に腰掛け、攻撃を加えてきた敵について考えていた。
「(ただの海賊とは考えにくいな。ただの海賊に簡単に全滅させられる部隊ではない。付近に連合の基地は無いから、連合の線も薄い。さて、どこの誰だろうか)」
「レーダーに反応!マーク39アルファ、チャーリー90に熱源!」
「現れたか!MS隊、発進せよ!!」
「……」
レーダーが一時の方向に熱源を捉えると、一気に艦内は慌ただしくなる。艦長の命令で、格納されているジンが出撃。謎の敵の排除に向かった。
「我が部隊は、他の部隊とは違うのです。リベラント隊長の出番はありませんよ」
「……だといいのだが」
【ZAFT】にいる人間すべてが、レオハルトを快く思っているわけではない。まだ若いレオハルトに嫉妬心から、敵対心を抱く者も多い。
この艦長も、その一人である。
レオハルトは小さく呟くと、敵へと向かっていくジンを見送る。そんなレオハルトに気分を良くしたのか、艦長はフフンと嬉しそうに笑みを浮かべた。
だが、それから数分後。艦橋には、出撃したMS全機撃墜の報が入る。
「ぜ、全滅だと……?我が隊が……」
「私が出る。準備させろ」
「は、はっ!」
愕然とする艦長を横目に、レオハルトはオペレータにそう指示し格納庫へと通じるエレベーターへと歩いていく。
念の為にレオハルトはパイロットスーツに着替え、
「レオハルト・リベラント、
宇宙へと出撃し、レオハルトは敵機へと接近していく。モニターに敵機が映し出され、レオハルトは拡大し敵機を観察する。白にカラーリングされた機体で、注目すべきは背部にある大型の物体。
CAT1-X1/3
この機体はユーラシア連邦がMSを開発するため計画した、【X計画】に基づき【アクタイオン・インダストリー社】と共同開発した機体。
【X計画】は初めてMSの独自開発に成功した大西洋連邦への対抗手段として実行され、【ZAFT】戦後の地球連合内での発言力を維持するための国家プロジェクトである。
この計画で開発された
「該当機は無しか。一応、所属を聞くか」
レオハルトはオープンチャンネルを開くと、友軍を撃墜した敵機に呼びかける。
「こちら【ZAFT】軍特務隊レオハルト・リベラントだ。貴官の所属と、我々に攻撃を加える理由を問う」
「……レオハルト・リベラント?待っていたぞ!」
敵のパイロットはそう叫ぶと、右手に持つ〔RFW-99 ビームサブマシンガン ザスタバ・スティグマト〕を向け発射してきた。
レオハルトは機体に急制動を掛けると、横へと回避する。だが、それを追って敵も攻撃を続けてくる。
「俺を待っていた?どういう意味だ」
「俺はカナード・パルス!貴様と同じ存在だ!!」
「(……カナード・パルス?……なるほど)俺に何の用だ」
「俺と同じ存在に興味を持った。お前は、何を糧に生きている!」
カナード・パルスと名乗った青年は、機体の背部に背負っていた大きな二門ある〔ビームキャノン フォルファントリー〕を発射する。
「ちっ!」
迫ってくる巨大なビームにレオハルトは舌打ちをすると、上へと進路を取る。上を取り攻撃を仕掛けようとビームライフルを向けた瞬間、発射された“ザスタバ・スティグマト”が迫ってくる。
レオハルトは攻撃を中止し回避行動をとると、激しい攻撃を続ける敵を見て思わず笑みを浮かべる。
「中々やる。だが!」
レオハルトは大きく回り込み、敵機に迫る。正面から撃たれる“ザスタバ・スティグマト”にも臆せず、レオハルトは〔
「さあ、答えろ!お前は何を糧に生きている!」
「そういうお前の糧は何だ」
「俺自身の存在意義のためだ!キラ・ヤマトなどより、俺の方が勝っている!優れている!俺こそ、真のスーパーコーディネイターだ!そのために、キラ・ヤマトを殺す!」
「なるほど。どうやら、俺たちは分かり合えることは出来ないようだな」
「何故だ!お前は俺と同じだろう!」
「言っている意味が分からないな。俺は、お前と同じではない!」
カナードはレオハルトの振り下ろされた〔
対するレオハルトも、間断なく放たれるビームを難なく回避しつつ、逆にビームを撃ち攻撃を加えていく。
「同じだ!高い能力を持ちながら、評価されなかった!何より、俺たちは同じ場所で生まれた!」
「意味の分からないことを……。貴様は俺の敵。それだけだ!」
そう叫ぶと、レオハルトはリスボン基地での戦闘を教訓に開発していた、
この武装は以前からビーム兵器技術検証機として稼働しているシグーディープアームズの武装、〔JDP8-MSY0270 試製指向性熱エネルギー砲〕の改良型になっている。シグーディープアームズでは一〇mある巨大な砲だったが改良の末、半分以下の三mまで縮小された。
シグーディープアームズでは冷却剤タンクを装備して砲身を冷却する必要性があったが、統合三局の奮闘とこれまでに蓄積されたデータと技術により解消されている。
だが、
レオハルトはカナードに向けた“ゲイ・ボー”を撃つと、すぐに“ゲイ・ボー”を二つ折りにして背部に収納。フットペダルを強く踏み込み、カナードとの距離を詰める。
距離を詰めつつ、レオハルトはビームライフルでカナードを追いつめていく。あっという間にカナードとの距離を0にすると、レオハルトはエネルギーを供給しビーム化した〔
だが、カナードは軽やかに〔
「!」
だが、レオハルトの反応は早かった。レオハルトは右手にしていたビームライフルを放すと、右手で〔
「お前の実力はこの程度か!」
「余計なお世話だ」
「それなら、お前の調子が上がるまで昔話でもするか!?懐かしい研究所での話を!」
「研究所……」
カナードのその言葉を合図に、レオハルトの心臓が激しく脈動する。早鐘のように脈打ち、呼吸も荒くなり脈も速くなる。
そして、フラッシュバックするかつての記憶。
『成功?失敗だよ。私の求めたものではない』
『お前は私たちの息子だ。誰が何と言おうとも』
『お前は戦うための存在だ。そう創った。それを忘れるな』
『私の分まで生きてくれ。わずかでもお前の父になれて、幸せだった』
瞬間、レオハルトの中で“何か”が割れる。それに呼応するかのように、
レオハルトは目の前にあるカナードに“ゲイ・ボー”を向け射撃。カナードはすぐに後方へと距離を取るが、レオハルトは右手の〔
息つく間もなく、レオハルトは動く。レオハルトは手を放して浮遊していたビームライフルを手にすると、操縦桿を倒しフットペダルを踏み込みすかさず距離を詰める。
「(速い!?)」
カナードは一瞬呆気にとられるが、距離を詰めてくるレオハルト。さらには、投擲された〔
発射された“ファルファントリー”は投擲された〔
「(いない!?どこに!)」
いつの間にか消えていたレオハルトに、カナードは周囲を見渡す。その時、カナードは本能的に後方へと下がった瞬間、すぐ目の前をビームが通り過ぎる。
「左か!」
カナードは“ザスタバ・スティグマト”を左に向けるが、そこにレオハルトの姿は無かった。カナードが再びレオハルトを探そうとした瞬間、“ザスタバ・スティグマト”が縦に切断される。
「(何っ!?)」
カナードはスラスターを噴射し距離を取ろうと試みるが、目の前にレオハルトの
レオハルトは〔
「ぐあーっ!!」
カナードは蹴られた衝撃でコックピットシートに押さえつけられる。だが、レオハルトの攻撃は止まらない。再び“ゲイ・ボー”を展開し発射。
素早い攻撃にカナードは反応出来ず、放たれたビームはハイペリオンの左脚を貫く。
「ぐうぅ……!くそがぁーっ!!撤退する!!」
カナードは最後に“ファルファントリー”を撃つと、機体を反転させ撤退を始める。レオハルトは撤退を許さず、追撃を試みる。
だがその時、機体のアラーム音が鳴り響く。レオハルトが下部のモニターに視線を下ろすと、機体の関節部分の異常を示していた。
「……逃がしたか」
レオハルトはどんどん離れていく
帰投してレオハルトは整備員に機体を見てもらうと、関節部分がイカれてしまっているためオーバーホールする必要があるとのことだった。
だが、ナスカ級の中で行うのは難しいため、本国に帰投することになった。カナードがレオハルトに会うことが目的だったような口振りだったことから、もう現れることは無いと考えた。
レオハルトは機体をアプリリウス特別ドックに預けて修理を頼み、パトリックへの報告を終え自宅に足を踏み入れた。
レオハルトは中に入ると、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し棚から白と青のカプセルを取り出す。カプセルを一粒口に含むと、ミネラルウォーターで一気に流し込む。
レオハルトは自室に向かうと、自身の特製PCの電源を入れる。
起動させると、高速でキーを叩きレオハルトが得意とするハッキングを仕掛ける。まずは大西洋連邦。大西洋連邦の首都ワシントンD.Cにある、メインコンピュータへ。
所属する兵士の中から、カナードの名前を検索する。
「(……違うか。所属は大西洋連邦ではない。なら、ユーラシアか)」
だが、答えは外れ。引き続きレオハルトはハッキングに動く。今度はユーラシア連邦首都ブリュッセルのメインコンピュータへ。
片っ端から検索を掛けていくと、ついにカナードの名前がヒットする。
「(見つけた。カナード・パルス、所属は【特務部隊X】か)……なるほど、似ているな」
画面にはカナードの情報が表示されると共に、顔の画像も表示される。それを見て、レオハルトは思わず呟いてしまった。
似ている、と。
レオハルトは欲しかった情報は手に入れたので、痕跡を消し回線を切断。ハッキングを止める。
「……」
PCの電源を切り、レオハルトは天井を仰ぐ。
「……全員が、戦争に身を投じることになったか。俺も、カナードも。そして、キラも……。俺たちの持つ力が、戦争と引き合うということか」
レオハルトは一人、自分たちがこうして戦争に身を投じ、戦うということに運命を感じてしまった。
それは、皮肉な運命だった。