機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~   作:Pledge

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少々遅くなりましたが、更新します。
今回もちょっと短めです。

小説も終盤に近付き、いろいろなことが分かっていくと思います。
どんでん返しを狙っているので、読者の皆様を驚かしたいものです。

狙ったら上手くいきませんかね……。


Mission - 27 疑惑の眼差し

L4宙域 コロニー【メンデル】

 

かつて起きたバイオハザード事故によって、廃棄されたコロニー。それが、L4宙域に存在する【メンデル】である。

 

【メンデル】にある一棟の研究施設の入り口に、MSがあった。一機はZGMF-600 GuAIZ(ゲイツ)

 

本来ならばもっと早く実戦に配備されるはずだったのだが、奪取したGAT – Xシリーズの技術を導入することになり配備が遅れた。今は正式配備に向け少数が生産され、隊長やエース級に配備し実戦データ収集の目的も兼ねている。

 

【メンデル】の入り口には、頭部と両足を失くした新型のGuAIZ(ゲイツ)。他にもStrike(ストライク)Freedom(フリーダム)の姿があった。

 

バイオハザード事故以来、人の手など入っていなかった研究所の一角に、彼らの姿はあった。

 

GuAIZ(ゲイツ)のパイロット、ラウ・ル・クルーゼ。Strike(ストライク)のパイロット、ムウ・ラ・フラガ。そして、Freedom(フリーダム)のパイロット、キラ・ヤマト。

 

クルーゼからの銃撃を避けるためムウとキラは台の陰に隠れているが、キラの様子はおかしくその目はどこにも向けられていなかった。

 

「私は貴様の出来損ないの父、アル・ダ・フラガのクローンなのだからな!!」

「なっ!?」

「違法と知りつつ、ヒビキ博士は私を造ることを了承した!当然だな!!奴らは同時に進めていた別の研究によって、資金難に陥っていた!その研究の結果、“彼”が生まれた!!」

「戯言を!!」

 

ムウは物陰から飛び出すと、傷の痛みに耐えつつ銃の引き金を引く。だが、クルーゼも素早く物陰に身を隠し銃撃を回避する。

 

ムウは再び銃撃されることを避け、自らもすぐに身を隠す。

 

「だが!ヒビキ博士は“彼”にさほど興味は無かった!何故か!?欠点が見つかったからだよ!身勝手な理由で造りながら、無情にも切り捨てる!理不尽だとは思わないか、ムウ!」

「何の話をしてんだ、お前は!!」

「ようやく完成した“彼”も完璧では無かった!そこでヒビキ博士は、予てより考えていた【人工子宮】の研究に力を注ぐようになった!!数多の犠牲の上に君は生まれたのだよ!【最高のコーディネイター】、キラ・ヤマト君!!」

 

普通の人間には訳の分からない話。だが、キラの様子は変わらずおかしかった。何も映らさない虚ろな瞳。

 

ムウがキラの肩をゆすり呼びかけるが、キラの反応は無い。

 

意味が分からないというのに、クルーゼの言葉の一つ一つがキラの心をかき乱す。

 

「人類の進歩のためにその身を捧げたヒビキ博士も、次第に我欲に囚われていった!それを責めるつもりはない!目の前の目的のために、どこまでも非情になれる!それがヒトなのだから!だからこそ、私たちのような存在が生まれた!!」

 

クルーゼはそう叫ぶと、天井からぶら下がる照明を吊っている部分を撃ち抜く。落下した照明は、下にあった診察台を押し潰す。

 

熱弁するクルーゼ。その額には汗が浮かぶ。クルーゼの叫びは本当にキラとムウに向けられているのか。クルーゼはただ、自身の内にある負の感情をまき散らしているようにも感じられる。

 

「私たちにはあるのだよ!この世界で唯一の存在として、すべての人類を裁く権利がな!!」

「ふざけるな!この野郎!!」

「間もなく最後の扉が開く!私が変える!この手で!!そしてこの世界は終わる!狂気を胸に秘めた者たちの思いのままにな!」

 

物陰に隠れるムウに向けられるクルーゼの意識。その瞬間、同じく陰に潜んでいたキラが飛び出すと、落ちていた破片を拾い部屋を駆ける。

 

「そんなこと!!」

「キラ!!」

 

駆けるキラを追いクルーゼも引き金を引くが、銃弾はことごとく外れ後ろの機材に命中する。だが、最後の一発が腕を掠めキラが持っていた破片がクルーゼへと飛んでいく。

 

同時に、キラを助けようとムウが撃った銃弾もクルーゼの服を掠める。その瞬間、破片がクルーゼの仮面に当たり、レオハルトも知らない素顔が晒される。

 

その素顔を見て、驚愕の表情を浮かべるムウとキラ。顔の至る所に不自然なほどに多い皺。そして何より、ムウは驚いた。自分の父親にそっくりではないかと。

 

「ふん!!何をしたところでもう遅い!貴様らがどう足掻こうと、滅びの未来は変えられんさ!」

 

クルーゼは最後に吐き捨てるように言い残すと、踵を返し走り去る。

 

別の場所にいたイザークに帰投する旨を告げ、自らの機体は使えない状態になってしまったため迎えを要請する。クルーゼは入り口に放置してきたGuAIZ(ゲイツ)へと走る。

 

「(そうだ。もう止まらんさ。あの“データ”が連合の手に渡り使用すれば、パトリック・ザラも“例の兵器”の使用を躊躇すまい。最後の時は近い!)」

 

クルーゼは胸中でそう呟くと、最後の扉を開くため一手を行うためヴェサリウスへと急ぐのだった。

 

 

 

 

数日後

 

機体の完成を終えたレオハルトは、パトリックの命令を受け【ヤキン・ドゥーエ】の防衛部隊の配備状況の確認や、【プラント】の最終兵器の最終チェックを行っていた。

 

「【ミラージュ・コロイド】散布状況、異常無し。PS(フェイズシフト)、異常無し。第二、第三、第四ミラーブロック、準備完了。命令があれば、いつでも撃てます」

「守備隊の配備はどうだ」

「完了済みです」

 

【ヤキン・ドゥーエ】司令官とオペレータの会話を聞き流しながら、レオハルトの視線は巨大モニターにくぎ付けになっていた。

 

「【ボアズ】の戦闘状況は?」

「敵は完成したばかりのMS部隊を投入し、さらにクルーゼ隊より報告のあった新型三機に押され気味とのことです」

「数では我らが不利か」

 

巨大モニターに表示されている、【ボアズ】と侵攻する連合の分布図。

 

現在、【プラント】所属の宇宙要塞【ボアズ】が地球軍と交戦状態に入ったという情報が入ったのは三〇分前だった。

 

【ボアズ】は元々、東アジア共和国がL4宙域に所有する資源採掘用小惑星【新星】だった。だが、かつて起きた【新星攻防戦】において【ZAFT】の侵攻を受け降伏・放棄された。

 

その後、施設は【ZAFT】が接収、自軍の防衛用軍事衛星として改装。その後、【ボアズ】と改名されL5に移送された。

 

「どう見るかね、リベラント隊長」

「そうですね……。正直、不気味です」

「不気味?」

「【ボアズ】の戦力が並大抵のものではないことは、連合も承知しているはずです。だが、連合は攻撃に踏み切った。何か理由があるのではないかと」

「なるほど。確かに、君の言うことも尤もだ。だが、我らにそれを確かめる術はない。【ボアズ】守備隊の力を信じて待つしかないさ」

「……そうですね」

 

だが、現実は無情なものだった。

 

【ボアズ】は連合の核攻撃を受け、完全に消滅。【ヤキン・ドゥーエ】に向け、侵攻を開始したとのことだった。

 

「……核。それが、侵攻した理由か……」

「ナチュラル共め!まさか、再び核を撃つとは……!!」

 

司令官の怒りの声を聞きながら、レオハルトは不思議でしょうがなかった。【ZAFT】の【Nジャマー】によって核運動を封じられ、核は使えないはず。

 

だが、実際に核が撃たれ、【ボアズ】は消滅してしまった。これの示す意味を理解し、レオハルトの眉間に皺が寄る。

 

「(【Nジャマーキャンセラー】の技術が連合に流出した……。クライン派か?それとも、真のスパイか?【ボアズ】が墜ちたということは、次はここ【ヤキン・ドゥーエ】。正念場だな)」

「ザラ議長より入電!!」

 

レオハルトが脳内で思案していると、オペレータの一言で現実へと引き戻される。司令官がすぐにメインモニターに出すように言うと、メインモニターに怒り心頭と言った感じのパトリックが映し出される。

 

「リベラント!【ジェネシス】を使う!準備は出来ているな!?」

「はっ、問題ありません」

「すぐにナチュラル共が来るぞ!戦闘準備を急げ!私もヤキンに向かう!」

「はっ!」

 

【ジェネシス】。

 

パトリックの指示の下、最悪の状況を想定して建造を開始した【プラント】の最終兵器。その威力は非常に強力で、核と同等の威力を持つ強力な兵器である。

 

手に入れた経緯はとにかく、連合が核を持ち出して以上、対抗手段として【ジェネシス】使用に踏み切るしか道は無い。

 

「リベラント隊長。戦闘が始まれば、君の出番が来ることだろう。それまでは、休んでいたまえ」

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせて頂きます」

 

レオハルトは司令官に敬礼をすると、踵を返し司令室を後にする。

 

そのまま仮部屋に向かうと、椅子に腰を下ろし深く息を吐く。

 

「(これが最後の戦闘になる。すべてが、終わる)」

 

迫りくる戦闘に思いをはせるレオハルト。ヤキンが墜ちれば【プラント】の敗北。【ジェネシス】の発射まで護りきり、連合の戦力を削れば【プラント】の勝利。

 

どちらが勝つにせよ、戦争は終わる。だが、戦争の終わりが意味するのは、生か死。存続か滅亡の二択。

 

レオハルトはただ、【プラント】の勝利のために戦うだけである。

 

その時、レオハルトが持ち込んだ専用PCの通信回線がつなげられる。通信回線を開くと、予想通りバルドリッヒからだった。

 

「ダンナ、久し振りだな!」

「バル、どうした」

「【ボアズ】が核攻撃されたって聞いてな。ついにヤキンまで来る。ダンナの出番も近いと思ってな」

「そうだな。戦争終結も近いだろう」

「大丈夫だとは思うが、討たれないようにな。宇宙だからまだいいが、討たれて爆発したらエライことになる。じゃあな」

 

バルドリッヒとの通信を終え、レオハルトは椅子の背にもたれかかる。その時、レオハルトは突然身体を起こす。

 

「(どういうことだ?何故知っている。パイロットであるキラ、アスラン。そして俺。それ以外は統合三局とザラ議長、極一部の人間しか知らないはず。一体どこから……)」

 

レオハルトの中に、一つの疑念が生まれた瞬間だった。

 

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