機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~   作:Pledge

3 / 35
今回も4000文字とちょっとです。

ある程度のことはご都合主義で理解して頂きたいのですが、さすがにおかしいという点はご指摘をお願いします。


Mission - 2 戦乱の予兆

 ヤキン・ドゥーエでの戦闘を終えたデュッフェルは本国からの命令を受け、プラント本国へと帰還した。

 

 デュッフェルを旗艦としたハークス・ハルングを隊長とする隊に下された命令は、休息。

 

 ハルング隊は先週から哨戒任務や敵の襲撃の警戒などをこなしていた。それに引き続き、先日の戦闘である。疲労は溜まっていると言っていいだろう。そのための措置である。

 

ちなみにハルング隊は艦を三隻有しており、ナスカ級で旗艦のデュッフェル。僚艦にはローラシア級のグラツィエ、コッカルダが同任務に就いていた。

 

 休暇2日目のある日、レオハルトはクルーゼと共にプラント首都アプリリウスにて食事のために一軒のレストランに入った。

 

レオハルト、クルーゼ共に当然ながら軍服ではなく、私服を着ていた。

 

 二人の着ている服は似ており、どちらもシックな感じの服装だった。クルーゼも仮面はしておらず、サングラスをかけているだけだった。

 

 この店はよく二人が利用する店であり、入口近くにいた店員が目立つレオに気が付くと、黙って奥の個室へと通してくれた。

 

椅子に座ると、二人はメニューを見ながら他愛のない話を始める。

 

「昨日は休めたか、レオ」

「ああ。お前はどうだ、ラウ」

「私か?私は友人と飲み明かしたよ。お陰で少々、二日酔いだ」

 

 クルーゼはそう言うと、やってきたウェイターに二日酔いに良い食べ物とコーヒーを注文する。

 

レオハルトはペペロンチーノとシーフードピザ、コーヒーを注文する。

 

「よく食べるものだな、レオ」

「午前は訓練をしていたからな。腹が減っている」

「休暇だというのに訓練か?真面目なことだ。私には真似できんな」

 

 クルーゼは笑みを浮かべると、サングラスの両端を親指と薬指で押し上げズレを直す。

 

「コーヒー、お待たせしました」

「ああ、ありがとう」

 

 クルーゼはウェイターに礼を言うと、コーヒーにミルクを入れると口をつけた。

 

「ミルクを入れるのか?お前、ブラック派じゃなかったか?」

「コーヒーは二日酔いに良いらしい。胃腸に負担を掛けないため、ミルクを入れるのが良いとのことだ」

「なるほど。俺も覚えておこう」

 

 レオハルトはそう言うと、ブラックのコーヒーを口にする。レオハルトは、昔はブラックがダメだったらしいが、今では問題無いらしい。

 

 彼曰く、慣れたとのこと。今では、1日1回飲まなくては体調が悪くなるらしい。

 

「ふふっ。君は酒を飲まないではないか」

「可能性の話だ」

「では、飲む時が来たら声を掛けてくれ。私の行きつけのバーに案内しよう」

「そうしよう」

 

二人は互いに運ばれてきた料理を食べながら、会話に花を咲かせる。

 

 レオはペペロンチーノを食べ終え、ピザへと手を伸ばす。ピザから漂う匂いに釣られたのか、クルーゼもピザへと手を伸ばした。

 

「美味いな。もっと早く食べるべきだったな」

「二日酔いはいいのか?」

「細かいことを気にするな、レオ」

 

 クルーゼは笑みを浮かべると、2枚目のピザに手を伸ばした。どうやら、二日酔いはもういいらしい。

 

 レオハルトは小さく溜め息をつくと、自身も二枚目のピザを手にする。

 

「レオ。明日は何の日か知っているか?」

「バレンタインだろう?それがどうした」

「君のことだ。明日は大忙しではないかと思ってね」

 

2月14日、バレンタイン。

 

 女性が男性にチョコを与えると共に、自らの想いを打ち明けるビッグイベントである。

 

 レオハルトはその容姿から、女性軍人からは絶大ともいえるほどの人気があった。それはクルーゼも同様なのだが、仮面を付けている異様さからか話しかける者は居なかった。

 

 だからと言って、レオハルトが話しかけ易いというわけではない。むしろ、全身から出ている雰囲気に気後れしている者が多い。

 

 その独特のオーラを乗り越えた者のみに、チョコを渡すという偉業が成し遂げることが出来るのだ。

 

だが、レオハルトにはチョコレートを食べることが出来ない理由がある。

 

「知ってて言っているだろう。俺は甘い物が苦手だ」

「安心したまえ。その情報は、私が事前に流布しておいた。恐らく、甘さ控えめの君好みのチョコレートが贈られることだろう」

 

 おかしくてたまらない、という表情を見せるクルーゼの言葉に、コーヒーを飲んでいたレオハルトの手が止まる。

 

 苦々しい手でカップを置くと、レオハルトはクルーゼを睨む。だが、レオハルトの睨みも付き合いの長いクルーゼに通用するはずもなく、笑みを浮かべて受け流されるだけだった。

 

「お前、俺に何か恨みでもあるのか?」

「そんなことはないさ。友人に幸せになって欲しいという、私の小さな願いだよ」

「……」

「良いではないか。甘いチョコを貰って捨てるより、好みのチョコを貰って食べる方が良いだろう?」

 

 レオハルトの額の青筋が浮かび上がる。結構、イラッと来ていることだろう。

 

「余計なことをしてくれたな、ラウ……」

 

 レオハルトの恨み事にもクルーゼは涼しい顔で受け流すと、素知らぬ顔でコーヒーを飲んでいる。

 

レオハルトは小さく溜め息を吐くと、最後の一切れのピザへと手を伸ばす。

 

「そういえば、レオ。シアには会ったかね?」

「ああ。午前中に会ったぞ。午後と明日は休暇らしい。これからの本格的な戦闘の前に、【ユニウスセブン】の両親に会いに行くそうだ」

 

フィシア・クリアーナ、愛称はシア。年齢はレオと同じで二十歳。

 

 金髪に端正な顔立ちをしており、誰が見ても美人、あるいは美少女と答えることだろう。スタイルは非常に整っており、グラビアアイドルのようなスタイルをしている。

 

 そんな外見をしていることもあり、多くの男性からアプローチを受けているが、すべて断っているらしい。

 

 レオハルトやクルーゼとは建軍当時からの付き合いで、二人とはウマが合い非常に仲が良い。

 

「彼女からもチョコを貰うのではないか?」

「…会った時に貰ったよ。シアとは付き合いが長いから、甘いのが苦手なのも知ってるし料理も上手いからな。見ず知らずの相手より、安心して食べられるよ」

「ふむ。おめでとう、と言っておこうか?」

「どういう意味だ」

 

 二人は注文した料理をすべて食べ終え席を立つと、クルーゼを先頭にして個室を出る。

 

クルーゼは黒の財布を取り出すと、レジへと歩いて行く。

 

「私が払おう」

「すまない」

「構わんさ」

 

 レオハルトは先に店の外に出ると、プラントの作り物の空を眺めた。空が薄暗いことに気付くと、レオハルトは午後から雨だと言うことを思い出した。

 

 プラントは気温・室温・天気をすべてコンピュータで管理し、可能な限り地球と同じような環境にしている。

 

「そういえば、雨だったな。急いで帰るとしよう」

「そうだな」

 

 会計を済ませたクルーゼが出て来ると、同様に空を見上げた。離れた場所から積乱雲のような雲が迫っていた。

 

「さて。では、私はこれで失礼する」

「ああ」

「楽しい食事だったよ」

「ああ。また時間があったら行こう」

 

レオハルトはクルーゼと別れ、自宅に向かって歩き出した。

 

 レオハルトは両親をすでに亡くしており、今は一人暮らしをしている状況である。親と住んでいた家でそのまま暮らしているのだが、一人で暮らすにはかなり広い間取りの家である。

 

 自宅の近くまで来たところで雨に降られ、濡れてしまったレオハルトは急いで帰りシャワーを浴びることにした。

 

シャワーから出ると、シアに貰った丁寧にラッピングされたチョコを手にする。

 

 包装を解きケースを開けると、中には王道ともいえるハート型のチョコが入っていた。しかも、チョコにはキレイな字で、『大・本・命』と書かれていた。

 

 レオハルトは文字が書かれていない端の方をわずかに割ると、口へと運んだ。その味は、ほのかに甘みのあるチョコ。レオハルト好みのチョコだった。

 

「美味いな……」

 

 レオハルトは普段からは想像できないほどの柔らかい笑みを浮かべた。その笑顔は、クルーゼが見たら目を丸くして驚き、フィシアが見たら泣いて喜ぶであろう程だった。

 

 レオハルトはチョコを可能な限りキレイに包装し直すと、冷蔵庫に入れて就寝するのだった。

 

 

 

 

 レオハルトが目を覚めると、時計の針は午前10時を指していた。今までの任務や午前の訓練の疲れが残っていたということだろう。

 

「寝過ぎたか…」

 

今日レオハルトは、議事堂でハルングと会うことになっている。

 

 レオハルト自身は否定しているが、戦闘の際には前線のMS部隊の指揮を執ることが多い。そういう立場にあるため、隊長であるハルング以上にパイロットのことを分かっている部分もある。

 

 ハルングも隊長と言う地位にいるため忙しく休暇でないとゆっくり話も出来ないので、一時間程休暇を返上してもらい、話をすることになっている。

 

 クリーニングしたばかりの、いつも袖を通している赤の軍服に袖を通し、自宅を出た。自分でエレカを運転し、十分ほどで議事堂に到着すると中に入っていく。

 

 中に入って気が付いたのは、人が忙しなく走り回っているということ。何かあったのかと思いつつも、約束の場所へと歩いて行く。

 

「レオハルト!」

 

名前を呼ばれ振り返ると、そこには白い軍服を着たハルングが立っていた。

 

 その顔には今まで見たことも無いほどの焦りが浮かんでおり、レオハルトにわずかに緊張が走る。

 

「隊長、何かあり…「レオハルト、大変だ!」……?」

「ユニウスセブンに…核が撃ち込まれた…!」

「!?」

 

 【ユニウスセブン】は、何の変哲もない農業用プラントである。そんなところに核を撃ち込む理由があるだろうか。

 

 確かに、食料の供給源を立つことは有効だ。だが、それよりも兵器開発している場所を潰す方が効果的だろう。

 

レオハルトの心にあるのはただ一つの疑問だけ。

 

何故……!

 

それだけだった。

 

 

 C.E.70年2月14日。農業用プラント【ユニウスセブン】に、地球軍の放った核ミサイルが命中。たった一発のミサイルにより、24万3724名もの命が失われた。

 

 この事件により、コーディネイターのナチュラルに対する敵意と憎悪は頂点に達し、戦乱はさらに混迷を極めることになる。

 




本来なら、ユニウスセブンの死者数は24万3721名ですが、オリジナルのキャラとその両親がいるので、3人プラスしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。