機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~   作:Pledge

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当小説の終わりが近付いています。
恐らく、あと一話か二話。長くて三話で終わると思います。

やっぱり終盤の見せ場は戦闘シーン、レオハルトの謎という部分になりますね。

では、簡潔まで気を抜かず張り切っていきます。
温かい目で見守ってください。


Mission - 28 出撃の時

パトリックの言葉通り、連絡があってすぐにパトリックは【ヤキン・ドゥーエ】に現れた。レオハルトはパトリックを出迎えるため港に向かうと、一緒にやってきたクルーゼを一瞥する。

 

「お待ちしておりました、ザラ議長閣下」

「準備は完了しているな?」

「もちろんです」

「貴様の準備はどうなのだ?」

「問題ありません。今回の戦闘では、完成した新型で出撃致します」

「うむ」

 

レオハルトの返答にパトリックは満足気に頷くと、レオハルトの横を通り過ぎていく。その後ろを、レオハルトとクルーゼが追いかける。

 

「君の新型、完成したのだな」

「ああ」

「一騎当千の活躍を期待出来そうだな」

「全力を尽くすだけだ。お前も、いつの間にか【FAITH】に昇進したみたいだな。おめでとう」

「君と同じ立ち位置ということになるな」

 

レオハルトは口元に笑みを浮かべるクルーゼにそう言うと、クルーゼの左胸に光る【FAITH】の証である徽章を一瞥し、徐々に早足になるパトリックを追いかける。

 

レオハルトの言葉通りクルーゼは先日、レオハルトと同じ【FAITH】へ昇進。クルーゼ隊はイザークに引き継がれ、ジュール隊として残っている。

 

「(ブレない男だな、君は。だが、この世界は終わるのだよ。欲に塗れた者たちと共にな)」

 

歩き去っていくレオハルトの背を見ながら、クルーゼは狂気の笑みを浮かべる。クルーゼの視線を背中に受けながら、対照的にレオハルトは厳しい表情を浮かべていた。

 

「(…………)」

 

その厳しい表情の内で、レオハルトは何を思うのか。

 

 

 

 

パトリックが指令室に到着してすぐ、両軍の間で戦闘の火蓋が切って落とされた。敵は新型の三機を筆頭に、Strike(ストライク)のデータを元に開発したストライクダガーを大量に投入。

 

【ZAFT】に正式配備され始めたGuAIZ(ゲイツ)を主戦力としたジンやシグーの混成部隊と互角に渡り合い、一進一退の攻防を続けていた。

 

戦闘を見守りながら、レオハルトはクルーゼと共にパトリックの後ろに控えていた。

 

「【ジェネシス】のパワーチャージは?」

「現在、40%です!」

「守り切れよ、必ず!守り切れば、我らの勝ちだ!」

 

【プラント】の最終兵器【ジェネシス】。前線の兵が踏ん張っている間も、着々と進む【ジェネシス】のパワーチャージ。チャージが完了し発射されれば、核と同等の死を生み出す光となる。

 

「マーク91チャーリー、アルファ10に別働隊を確認!!核を所持していると思われます!」

「部隊を向かわせろ!すべて撃ち落とせ!!」

 

オペレータの核攻撃部隊の発見の報が告げられると、パトリックはすべて撃ち落とすように指示を出す。

 

核を発見したのは、前線で奮闘するイザークも同じだった。イザークも核を確認すると、核を撃たせまいと撃墜するよう声を張り上げる。

 

「あのミサイルを落とせ!【プラント】をやらせるなぁーっ!!」

 

イザークの呼びかけで他の兵も核に気付き撃墜に動くが、連合の新型三機。Calamity(カラミティ)Forbidden(フォビドゥン)に阻まれる。イザーク自身も、Raider(レイダー)との交戦で動けない状況だった。

 

そしてついに、【プラント】に向けて数十発の核が放たれた。だが、核が【プラント】に命中することは無かった。

 

【プラント】と核の間に割り込んだ二機のMSによって、すべての核が撃ち落とされた。

 

「(……来たか。キラ、アスラン)」

 

現れたのは、Freedom(フリーダム)Justice(ジャスティス)、アークエンジェル。そして、先日逃亡したアスランを援護したクライン派の旗艦エターナル。

艦長には歴戦の戦士アンドリュー・バルトフェルドを擁する艦である。

 

そして現れたFreedom(フリーダム)Justice(ジャスティス)は、巨大な兵装を装備していた。

 

あれはM.E.T.E.O.R(ミーティア)。Mobilesuit Embedded Tactical EnfORcerの略称で、モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機と命名されている。

 

現在はFreedom(フリーダム)Justice(ジャスティス)に装備されているが、理論上はクルーゼやレオハルトの機体が使用することも可能である。

 

M.E.T.E.O.R(ミーティア)は、MSに戦艦並みの推力と火力を付加する事を目的としており大口径ビーム砲、大量のミサイル、長大な艦船破壊用ビームソードなどを備え、MSでありながら強力な戦略兵器として活躍することが見込まれている。

 

そして、ラクス・クラインによる全周波放送による地球軍の攻撃停止要請。だが、核まで放った地球軍。核を再び放たれた【プラント】。

 

止めろと言われて、はいそうですかと止めるわけが無い。突然の乱入者に驚くも、前線では戦闘が激化していく。

 

「ザラ議長閣下!アルファ90マーク85デルタに艦影!【足つき】、及びエターナルです!さらに、Freedom(フリーダム)Justice(ジャスティス)です!!」

「何だと?……放っておけ。【ジェネシス】のチャージは?」

「【ジェネシス】パワーチャージ、60%です!」

「よし。【ジェネシス】、最終段階に移行しろ。全部隊に入電。射線上から退避させろ」

「【ジェネシス】、照準用ミラー展開。起動電圧確保。【ミラージュ・コロイド】解除」

 

パトリックの指示で【ZAFT】全軍に【ジェネシス】発射の旨が通達。同時に【ジェネシス】の射線が表示され、その周囲から退避するよう通告する。

 

そして、【ヤキン・ドゥーエ】後方にて【ミラージュ・コロイド】で隠していた【プラント】最終兵器、【ジェネシス】。核エネルギーを利用した巨大なガンマ線レーザー砲である。

 

【ミラージュ・コロイド】を解除したことで、ついにその姿が大勢の前にさらされる。

 

「この一発が我らコーディネイターの勝利の光となり、ナチュラルに正義の鉄槌が下されんことを。発射ぁーっ!!」

 

パトリックの発射の合図で、ついに【ジェネシス】が火を噴いた。発射されたガンマ線のレーザーは、地球軍の主力艦隊を貫きその戦力を根こそぎ奪っていく。

 

「(これほどの威力とは……)」

 

【ジェネシス】の光が消えた時、その光が向けられた地球軍の惨状たるや悲惨なものだった。大艦隊を送り込んできた地球軍だが、その半数近くが消滅したのだ。

 

予想以上の【ジェネシス】の威力を目の当たりにし、レオハルトは苦い表情を浮かべる。対照的に、クルーゼは薄く浮かべていた笑みがより一層深くなっていた。

 

「さすがですな。【ジェネシス】の威力は」

「ふん。戦争は、勝って終わらねば意味が無かろう」

「確かに。やはり、地球を撃つので?」

「二射目で月基地を叩く。それでも抗うならば、撃つとも。どちらにしろ、次の二射目が重要だ」

「なるほど。では、私も出撃()ましょう」

 

クルーゼはそう言うと踵を返すが、パトリックが呼び止める。

 

「失敗は許されんぞ、クルーゼ。障害はすべて排除しろ」

「承知しております。ところで、障害とはアスランも含まれるので?討っても?」

「っ……!……構わん!」

「了解しました」

 

【プラント】を離れ、反逆者となったラクス・クラインと行動を共にするアスラン。クルーゼの意地の悪い笑みを浮かべた問いに、言葉に詰まりながらも討つ許可を出す。

 

隣で苦い顔をするレオハルトを横目に、クルーゼは指令室を後にすると出撃準備に向かうのだった。

 

「ザラ議長閣下。では、私も出撃します」

「頼んだぞ、リベラント」

「はっ」

 

クルーゼからやや遅れて、レオハルトも出撃するため指令室を出て格納庫に向かう。だがその途中で、レオハルトはバルドリッヒに呼び止められる。

 

「ダンナ、ちょっと話がある」

「……急ぎか?」

「ああ、緊急だ」

「……わかった」

 

いつもとは違うバルドリッヒの様子に、急ぐ足を止めバルドリッヒはレオハルトが休憩の際に使っている部屋へと連れ出す。部屋に入ると、バルドリッヒはその重い口を開いた。

 

「ダンナも疑問に思っているんじゃないか?連合が核を使ったということに」

「ああ。【Nジャマーキャンセラー】の技術が流出した」

「そうだ。俺は独断で、さらに極秘裏に流出元を調べたんだ」

「分かったのか?」

「ああ。……驚くなよ?犯人は、ラウ・ル・クルーゼだ」

「!?」

 

自らの親友の名が出たことで、普段は冷静なレオハルトの表情が一変する。【ボアズ】を消滅させ、今まさに【プラント】を脅威にしている核。その原因が、自分の親友にあるというのだから。

 

レオハルトは驚きながらも多少は冷静さを取り戻すと、バルドリッヒにその考えに至った根拠を問う。

 

「奴には以前から不審な点があった。奴の通信履歴を洗ったが、特に異常は無かった。だが、それに反して通信回線の使用状況が合わない。明らかに、秘密にしたい人間と通信し、意図的に隠蔽している」

「……」

「それに、【オペレーション・スピットブレイク】の作戦も漏洩させた疑いがある。諜報部が調べた限り、作戦目標がJOSH – A(ジョシュア)ということは議員はもちろん、クライン前議長も知らなかった。知っていたのは、ザラ議長とクルーゼだけだ」

「俺が知ったのも、作戦の寸前だったからな」

 

内容が内容だけに、堂々と口にするわけにもいかないためだろう。周囲を気にしながら、早口で話すバルドリッヒ。

 

「とはいえ、これだけでは根拠としては弱い。だが、俺たち諜報部は極秘でクルーゼをマークしていた。そして俺たちは、奴が【Nジャマーキャンセラー】を受け取る密会現場を確認した。変装してたが、間違いない」

「渡したのは誰だ」

「……悪いな、ウチのやつだ」

 

クルーゼと謎の人物との密会現場。それは、クルーゼが行きつけにしているバーで公然と行われた。堂々とした方がバレない時もあるという、良い例である。

 

レオハルトの謎の人物が誰かという問いに、バルドリッヒは言葉を濁すもハッキリと答える。

 

「諜報部の人間か?」

「ああ。だが、そいつは【ブルーコスモス】に心酔しちまってる。理由は分からん」

「そいつはどうしたんだ?」

「生かしておいても得は無ぇからな。秘密裏に処分したさ。公的には、クライン派に殺されたことになってる。元の同僚だ。名誉の戦死って扱いにしたよ」

「なるほど」

「クルーゼの奴がこんなことをした理由は分からんが、このままじゃ泥沼だ。あいつは【プラント】にとって害悪だ。討つしかない。今のザラ議長には言っても仕方ねぇ。今のザラ議長は、ナチュラルを討つことしか見えてないみてぇだしな」

 

だから、バルドリッヒはこのことを誰にも言わず、レオハルトにだけ話した。他にも、どこにクライン派の目や耳があるかも分からない。クライン派は、予想以上に浸透しているのだ。

 

それは、【砂漠の虎】ことアンドリュー・バルトフェルドがクライン派に鞍替えしたことから容易に想像出来る。ヘタな人間は信用できないのだ。

 

「そのことが分かったのはいつだ?」

「疑いを持ったのはスピットブレイクの後だ。確信に変わったのは、地球軍が核を使った時だな」

「…………」

 

真剣な面持ちで語るバルドリッヒ。その表情を真剣に見るレオハルト。レオハルトはわかったと言うと、バルドリッヒの肩に手を置く。

 

「クルーゼのことは俺が何とかする。討つときは、俺が討つ」

「悪ぃな。嫌な役回りで。俺が行っても、死ぬのがオチだからな」

「気にするな」

「じゃあ、頼んだぜ」

 

二人は最後に握手を交わすと、バルドリッヒは部屋を後にする。通路をしばらく歩くと、バルドリッヒは振り向き今出て来た部屋を一瞥すると、再び前を向いて歩き出した。

 

「よろしく頼むぜ、【ZAFT】のエースさん」

 

バルドリッヒを見送り、レオハルトは考えを整理するため椅子に座っていた。今この時も戦闘は激しさを増しているが、レオハルトは動かない。

 

「…………疑念は尽きないな。あいつにも奴にも。何故、俺の部屋を知っていたのか……」

 

レオハルトがそう呟いた時、こんな時だというのに通信回線がつなげられる。レオハルトはわずかに迷ったが、回線を開く。

 

「誰だ」

 

レオハルトのその問いに返ってきた声に、レオハルトは純粋に驚く。レオハルトは警戒心を露わにし、用件を問いかける。

 

「…………」

「こちらも忙しい。下らない昔話をしている暇は無い。したいなら、壁にでも話してくれ」

「…………」

 

予想外の人物の声に驚きつつも、レオハルトは頭を切り替える。レオハルトの強烈な皮肉も、謎の相手は小さく笑い声を上げ本題を切り出した。

 

「……!見返りは?」

「…………」

「……なるほど。この回線も、その筋からですか?」

 

謎の人物から取引を持ち掛けられ、レオハルトは相手への警戒心がさらに深まる。だが同時に、そんなことを言ってきた理由も気になる。

 

相手が欲しい情報と引き換えに提供される情報を聞き、レオハルトは驚く。その情報は、レオハルトの以前からの懸案事項でもあった。その情報を知ることが出来れば、レオハルトの不安の種が減ることは確かだ。

 

「…………」

「……私に、【プラント】を裏切れと?」

 

だが、問題はそこにある。その情報を得るには、【プラント】の極秘情報を渡さなければいけない。だが、情報は必要である。その情報は、確実に【プラント】のメリットになる。

 

「…………」

「……わかりました、取引成立です。一応言っておきますが、偽情報だった場合は徹底的に追い詰めます。その上で、殺します」

 

迷った末、レオハルトは取引を受け入れることにした。レオハルトの宣戦布告も、声は軽口を最後に通信は終了した。

 

レオハルトは両手を上げ身体を伸ばすと、PCのキーボードへと両手を伸ばすのだった。

 

そして、見返りに得た情報にレオハルトは驚きを隠すことが出来なかった。

 

 

 

 

 

最後の戦闘を前にレオハルトは、新型機開発の際に渡された専用の漆黒のパイロットスーツに袖を通す。宙に浮いていた漆黒のヘルメットを掴み、レオハルトは機体へと急いだ。

 

「リベラント隊長、出撃ですか?」

「ああ」

「理論は大丈夫ですね?」

「問題無い」

「了解です。ご武運を」

 

レオハルトは整備員と短い会話を交わすと、灰色の機体のコックピットへと飛び込む。シートに座りベルトを締めると、レオハルトは手際よく機体を起動させていく。

 

「パワーフロー、正常。各部チェック、異常無し。全システム、オールグリーン!」

 

レオハルトは正面にある小さなスイッチを押すと、灰色だった機体が全身漆黒のカラーに染まっていく。

 

レオハルトが設計し統合三局の協力の下、完成した新型機。Freedom(フリーダム)Justice(ジャスティス)同様、核を動力にしている機体。この機体で、レオハルトは【ヤキン・ドゥーエ】の戦場を駆ける。

 

「(ラウ、待っていろ。そしてキラ。【SEED】を持つお前は、【Origin】を持つ俺が!)」

 

機体の上部にある天井が左右にスライドして開くと、その先に宇宙が。レオハルトはフットペダルを踏み込むと、機体はわずかに屈み出撃体制を取る。

 

「ZGMF - X99A Finis(フィニス)。レオハルト・リベラント、出撃する!」

 

レオハルトが操縦桿を倒した瞬間、フィニスはスラスターが勢いよく噴射すると宇宙へと飛び出す。

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