機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~ 作:Pledge
活動報告で申し上げた通り、PCが不調なのでVitaで仕上げました。
大体は出来ていたのでなんとかなりましたが、一からやるとなると骨が折れそうです。
非常にやりにくいです。当然ですね。
今回はグリマルディの予定でしたが、予想以上に説明が長くなってしまいました。中途半端になりそうだったので、一旦切ります。
次はちゃんとグリマルディだと思います。
そろそろ主人公以外の視点も必要だと思うので、番外編的なものが先になるかもしれません。
申し上げた通り、後半部分はVitaでやりましたので、気付かなかったミスがあるかもしれませんが、ご理解をお願いします。
C.E70年3月15日。
この日、【Nジャマー】散布を主目的とする、【オペレーション・ウロボロス】の最終的な採決が行われた。結果は無論、賛成多数で可決。
未だに【ユニウスセブン】での悲劇、【血のバレンタイン】を彼らは忘れてなどいない。いや、忘れ去ることなど出来るはもない。あれほどの悲劇、惨劇を。
採決と同時に、【プラント】はプロパガンダの意味合いも込めて、各MS設計局がこの日のために開発していた新型MSを発表した。
発表した新型は五種類。
UMF-4Aグーン。【ZAFT】が開発した、初の水中専用MSである。海洋補給線の寸断や沿岸拠点への揚陸作戦を目的に設計され、巡航形態に変形することも可能となっている。
海だけでなく、地上専用MSも開発している。TFA-2ザウート、TMF/A-802バクゥの二種類である。どちらも地上戦を想定して開発されたMSで、ザウートは高い火力を有しており、バクゥはその四足歩行式から繰り出される高い機動性に期待されている。
宇宙ではジンの後継機として、ZGMF-515シグーがロールアウト。ジンの特徴である高い汎用性を受け継ぎつつ、スラスターの増設、高出力化により宇宙空間での機動性、運動性の大幅な向上に成功した。
大気圏内では、単独での飛行能力を持つAMF-101ディンが開発された。基本設計はシグーをベースにしており、前述の通り大気圏内での単独飛行が可能。だがその半面、飛行能力を高めるため軽量化を追求したため、耐弾性は脆弱と言わざるを得ない。
そしてC.E70年4月1日。【オペレーション・ウロボロス】――別名、【エイプリル・フール・クライシス】が――実行された。
対戦国中立国に関らず、無差別に散布され地中深くに埋め込まれた【Nジャマー】の影響から、以後ザフト、地球連合軍の双方のみならず全地球上で核分裂装置の使用不可能となった。
この影響で核分裂炉の原子力発電をエネルギー供給の主としていた地球上の各国家は、それが使用不可能となり、地球全土で深刻なエネルギー不足が問題になった。
後にこの【Nジャマー】の影響で陥ったエネルギー不足解消までの被害は、二次被害・三時被害を合わせると地球の総人口の一割近くに達した。
そして翌C.E70年4月2日。
前日のエイプリル・フール・クライシス】の混乱に乗じ、【ZAFT】はオーストラリアのカーペンタリア湾に軌道上から基地施設を分割降下させ、48時間でカーペンタリア基地の基礎を建設。
作戦上は制圧戦だが、実際には大洋州連合側から無償で土地が提供されていた。この時、地球連合軍の太平洋艦隊が迎撃に出たが【ZAFT】の新型機の前に大敗、基地は翌月の20日に完成した。
C.E.70年4月17日。
地球連合軍第5、第6艦隊がプラント本国を目指し月面プトレマイオス基地より侵攻する。プラント管理下の資源衛星ヤキン・ドゥーエ付近にて、迎え撃つ【ZAFT】と交戦を行った。
この戦闘においても、【世界樹】での戦闘でその有用性を認識させた【Nジャマー】を使用。【ZAFT】は大きな損害を被ることもなく、勝利を得ることとなった。
今回の戦闘を機に、【プラント最高評議会】は本国防衛の点から、ヤキン・ドゥーエを防衛要塞に改装する事を決定。以後、防衛要塞【ヤキン・ドゥーエ】と改名された。
この戦闘ではハルング隊は出撃しておらず、本国防衛部隊として【プラント】に駐留していた。
C.E70年5月29日
【ネビュラ勲章】を授与されたことによって晴れて名実共にエースパイロットなった、レオハルトとクルーゼ。
二人はこの日、上層部からの命令を受け【ハインライン設計局】へと向かっていた。
案内人が運転する車に乗り込むと、二人は事前に渡された小型端末のデータを確認していた。小型端末には一機のMSが表示されており、読み進めていくとさらに詳細なデータが表示されていく。
「ZGMF-1017Mジン
「【ネビュラ勲章】のお陰だろう」
二人はデータを見ながら短く言葉を交わす。クルーゼを見ると、明らかに変化があった。
先日までは赤服だった軍服が、今は白服。隊長クラスである。クルーゼは【世界樹】での功績により、勲章と同時に昇進したのだ。
「そういえば、まだ言ってなかったな。ラウ、昇進おめでとう」
「ああ。君のお陰でな」
「……」
クルーゼの切り返しの言葉に、レオハルトは外へと視線を外した。そんなレオハルトを、クルーゼは視線で追いかける。
実は先日、レオハルトはハルングに呼び出されていた。その時の話しが、レオハルトかクルーゼのどちらかへの白服への昇進の話だった。
正直、レオハルトはまだ昇進したいとは思っていなかった。以前からレオハルトは、自身が指揮官の器ではないと思っていた。自分は後ろにいるよりも、前線にいる人間だと思っている。そう考えレオハルトは辞退。レオハルトが辞退したことで、自動的にクルーゼが昇進対象になったのだ。
その時、レオハルトは先日のチョコの好み流布事件の意趣返しとして、ハルングにクルーゼが昇進したがっているということを話した。ハルングがこのことを素直に受け取った瞬間、レオハルトは内心、してやったりの笑みを浮かべた。
「昇進したがってなかったか?」
「…分かっているのに、よく言う。何かの意趣返しのつもりかね?」
「…この前の、俺のチョコ好み流布事件のお返しだ」
「根に持っていたのかね?」
「自分でも驚いている」
「ほう…」
レオハルトは再び小型端末のデータへと目を移すと、クルーゼはニヤリと笑みを浮かべる。
「それはつまり、シアのチョコだけで良かった、ということかね?」
「…今となってはな」
「おや、素直に認めるのかね?からかい甲斐の無いことだ」
「言ってろ」
互いに軽口を叩きながらも、二人の口元には笑みが浮かんでいる。クルーゼもデータへと視線を落としたその時、目的地へと到着した。
二人は目的地へと到着すると、目的の物が置かれている場所へと案内される。案内人が格納庫の明かりを点けると、格納庫に置かれていた二機のMSがその姿を見せる。
「これがZGMF-1017Mジン
「データを見る限りでは、そうみたいだな」
二人は自分たちの何十倍も大きなMSを見上げる。向かって右には、シルバーグレーにカラーリングされたジン
二人の後ろでは、案内人としてついてきている【ハインライン設計局】の技術者がデータの情報に捕捉を付け加える。
「クルーゼ隊長は、右の量産型一号機を。リベラントさんは、左の量産型試作機を。今日はお二人に合わせるため、最終調整のためにお越し頂きました」
「では、始めるとしよう」
「そうだな」
二人はキャットウォークを渡りコックピットに飛び乗ると、キーボードを引っ張りキーを叩いて行く。素早く手が動き、次々と既存のOSを書き換えていく。
「なるほど。加速性能、航続距離、旋回性能がジンより大幅に強化されている」
「ええ。お二人の機体はこれから量産される機体に比べ、高機動化のために各部のスラスターの増設、各部関節強度も一般型に比べ約30パーセントほど強化しています」
「これなら、ジン以上の働きが出来そうだ」
「ええ。国防委員会は、お二人の働きに非常に期待しているようです。では、最終調整を始めます」
それから数時間後。
最終調整が何事もなく完了すると、二人は設計局を後にした。出撃の時が迫っていた。
C.E70年6月
ハルング隊、及び新設されたクルーゼ隊はお互いに隊を率い、グリマルディ・クレーターに向かっていた。
【ZAFT】は地球連合軍の月面プトレマイオス基地を目標に侵攻を開始し、月の裏側にあるローレンツ・クレーターに橋頭堡となる基地の建設、部隊を展開した。その結果、反対側に居る連合とはグリマルディ・クレーターを境界に月を二分し、幾度となく小競り合いを繰り返しているのだ。
そんな時、いよいよ【ZAFT】はエンデュミオン・クレーターに展開する連合軍への攻撃を決定。そこで【プラント】上層部は、エースパイロットを擁するハルング隊・クルーゼ隊に命令を下したのだった。
ちなみに、クルーゼ隊はローラシア級三隻で構成されており、旗艦はクルーゼ自らが艦長を務めるガルバーニである。
クルーゼが昇進で隊を離れ親友がいなくなったレオハルトは一人、先日搬入されたばかりのジン
最終調整は先日完了させたが、あの時は気付かなかった点があるかもしれない。そう考えたレオハルトは念には念をいれているのだ。
「リベラントさん!」
名前を呼ばれレオハルトがコックピットから顔を出すと、赤服の女性が見えた。
彼女はクルーゼが抜けた代わりに配属された新人で、名はレイン・エルミーラ。背中でまとめた艶やかな黒髪のスレンダーな女性である。
歳は18なのだが大人っぽい雰囲気と外見から年齢より上に見られることが多く、自分は老けているのか、というのが今一番の悩みらしい。
「(確か…)」
「本日から配属されました、レイン・エルミーラであります」
レオハルトが名前を捻り出すより早く、レインは改めて名乗った。レオハルトは瞬間的にとはいえ名前を忘れてしまったことを詫びると、レインは勢いよく首を左右に振った。
「そんな!謝られることは!リベラントさんは、我々【ZAFT】のエース。私とは全然!」
レインはそう自分を卑下するが、彼女の実力はその身にまとう赤服が証明している。これまでのことからも分かるように、ハルング隊は前線に派遣されることが多い。
そんな部隊に実力の無い人間を派遣しないだろう。【ZAFT】は数が少ないため、そのような人員の無駄をするとは考えにくい。
「エルミーラ、レオでいい。みんなそう呼ぶ」
「で、ですが…」
「俺たちに上下関係は無い。気にするな」
【ZAFT】には数種類の軍服の色が存在するが、基本的に赤服と緑服には上下関係は存在しない。これはあくまでも、養成過程卒業時の成績を示したものでしかない。
無論、これら以外の黒や白は例外である。
「で、では、ハルと呼んでいいでしょうか?」
「!?」
レインの予想もしていなかった言葉に、レオハルトは動揺し心臓が激しく鼓動を始める。レオハルトをそう呼んだのは、一人だけである。
「他の方々と違う呼び方をすれば、私のことも覚えて頂けると思いますので…」
レオハルトの脳裏に、かつて同じことを言って自分のことを『ハル』と呼んでいた彼女のことが浮かび上がる。誰にでも好かれそうなヒマワリのような笑顔を浮かべていた、彼女のことを。
「どうかしましたか?」
「! いや、何でもない…。それで構わない」
「はい!これからよろしくお願いします、ハル!私も自分のMS、見てきます」
レオハルトは片手で顔を押さえながらコックピットシートに背を預けると、消え入りそうな声で呟いた。
「全然似てないのにな……。情けないな、俺は……」
レオハルトは息を吐き深呼吸をすると、MSの調整作業に戻るのだった。
ジンHMを開発した設計局ですが、イマイチ分からなかったのでシグーやディンを開発した、ハインラインにしました。
違う場合は、ご指摘をお願いします。