機動戦士ガンダムSeeD~Another SeeD Story~   作:Pledge

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お待たせしました。後編です。
ちょっと短いかもしれません。

スラスターとバーニアの使い方について疑問なのですが。
調べたら、スラスターは主推進用、バーニアは副推進/姿勢制御用と書いてあったのですが、これでいいのでしょうか。

以前から、自分の使い方に疑問を持っていました。
ご存知の方が居ましたら、教えてください。


Mission - 7 グリマルディ戦線 後編

時間は開戦直後に遡る

 

レオハルト side

 

ラウの部隊に先んじて出撃して戦場に飛び出すと、俺は戦場を大きく迂回して敵部隊へと向かって行く。正面は他部隊に任せ、俺は単身でこの機体に備わっている能力を活かして敵を強襲する。

 

最大全速を出せばさすがにエンジン音が出るので察知されるが、半分程度のスピードであれば備わっている静音性と機体カラーである漆黒の宇宙との迷彩効果により、ステルス性を発揮する。

 

だが、一番のステルス性を発揮する機能は別にある。

 

そもそもレーダーとは、レーダーによって飛ばした電波によって発生した反射波を拾うことで位置の特定を可能としている。ならば、その反射波を出す原因の電波を何とかすればいいのだ。

 

そのため、ジンHM量産型試作機には電波を発生しにくい物質が使用されている。つまりこの機体には、エンジンの静音性・機体カラー・物質の三点により高いステルス性を発揮している。

 

とはいえ、この機能はあくまで実験的に導入されたもので、未完成の部分も多く存在している。

 

ある程度距離を詰めたところで、友軍が敵部隊と接敵。敵の注意は友軍に注がれている。頃合いだな。行くか。

 

俺は操縦桿を最大まで奥に押し込みフットペダルを踏み込む。瞬間、ラウの量産型1号機よりも増設されているスラスターやバーニアが勢いよく噴射し、猛スピードで敵部隊へと向かう。

 

「方位02、マーク80チャーリーに敵MS!!距離70!!」

「何だと!?何故、今まで気付かなかった!!」

「ステルス性能を有していると思われます!」

「とにかく迎撃だ!!CIWS起動!照準、敵MS!!」

 

敵の慌てふためく声が聞こえてくるようだ。その証拠に、今まで起動すらしていなかったCIWSが起動して、俺に銃口を向けている。その努力が、無駄だということも知らずに。

 

俺は五〇%程度に抑えていたスピードを七〇%にまで上げ、敵艦との距離を一気に詰めていく。量産型よりも増設されている各部のバーニアにより、俺の身体はシートに押し付けられる。

 

だが、この程度のGに耐えられないヤワな身体はしていない。敵艦のブリッジに近付いたところで機体を横に向け、突撃銃を構え引き金を引く。

 

発射された弾丸は悲鳴を上げるブリッジに着弾。ブリッジの爆発によって艦の至る所で爆発が起こり、本日最初の敵艦を沈めた。

 

敵艦撃沈の余韻に浸ることもなく、俺は次なる敵へと向かって行く。敵の主力であるMAを叩くことも重要だが、指示を出しているのは艦に居る士官だ。指揮系統を分断させ、数的不利を覆す。

 

次の艦に狙いを定めるが、さすがに奴らもそこまでバカではない。隊列を組んだメビウス3機が向かってくる。

 

「【青き清浄なる世界のために】!!」

 

……通信機から【ブルーコスモス】の謳い文句を聞き、自然と両手に力が入り目つきが険しくなる。俺たちコーディネイターを宇宙の化け物と呼び、憎悪する一派。

 

貴様らのことなど眼中になく、今まではただの敵と思い討ってきた。だが、そういうわけにはいかなくなった。今となっては、貴様らを討てることに感謝する。

 

「【ブルーコスモス】に、死を」

 

ペダルを踏み込む力を強めると、それに比例してさらに速度が加速する。さらに強いGが俺を襲うが、今の俺には気にならない。貴様らと同様、目の前に憎悪の対象がいるのだから。

 

いきなり速度が上がったことに驚いたのか、敵の反応がワンテンポ遅れる。素早く抜いた重斬刀で縦に斬り捨てると、離脱していく敵を追いかける。

 

メビウスがジンHMの機動性に勝てるはずもなく、難なく追い付くと上から突撃銃で撃ち抜き撃墜。最後の1機が大きく旋回して正面を向いた瞬間、誘導ミサイルを放った。

 

俺は後方へと距離を取りつつ突撃銃でミサイルを撃ち落とすと、爆煙で姿を隠す。無論、こちらからも敵の姿は見えない。

 

だが、不思議と分かる。そこにいるということを。俺は突撃銃を左八〇度に向けると、七〇度の方角に向けて斉射。放った銃弾は命中し、残ったメビウスも撃墜。

 

連合の得意とするのは、その数を利用しての人海戦術。倒しても倒しても途切れることは無く、俺は機体を操り敵を撃墜していく。戦っていると、次第に俺の中から思考というものが欠如していく。

 

ただ目の前に現れ、自分を攻撃してくる敵を倒すことだけに集中する。あらかじめプログラムされた機械のように、ただ敵を倒す。

 

その時、俺がいる宙域とは逆の戦場で一際大きな爆発が起こる。ここからは何が起きたのかを窺い知ることは出来ないが、連合のMAやドレイク級が撃沈されたようではない。恐らく、連合のアガメムノン級だろう。

 

あそこの宙域で戦っているのは、ラウとホーキンス隊長の部隊か。ホーキンス隊長は前で戦うより、指揮が得意と聞いている。そう考えると、やはりラウか。

 

「レオハルト」

「はい」

「クルーゼが単独で第3艦隊を壊滅状態に追い込んだ」

 

サブモニターにハルング隊長が映し出されると、ラウの戦況を教えてくれる。やはりな。他にいないというのも事実だが。

 

「やはり、ラウですか」

「クルーゼは現在、敵の精鋭部隊のMAと交戦中だ。敵も中々のやり手だな。クルーゼも手こずっているようだ」

「手こずっている?興味深い敵ですね」

 

ラウが手こずるほどの敵。手を抜くような奴じゃない。敵の技量か。連合にもそれほどのパイロットがいるということか。

 

「戦況はわずかにこちらが有利だ。このまま頼むぞ」

「了解」

 

ハルング隊長がモニターから消えると、俺はこの戦闘のさらに先の未来を考える。このまま終わってくれるといいんだが、嫌な予感がするな。……余計なことか。俺に出来るのは、敵を撃つだけ。

 

その時、機体のアラームが煩いほどに鳴り始める。レーダーを確認すると、再びメビウスの編隊が近付きつつあった。まったく、しつこい奴らだ。

 

俺は操縦桿を握り直すと、敵に狙いを定める。その俺の意思に反応してか、ジンHMのモノアイが鈍く光を放つ。

 

「ひっ……!!」

 

鈍く光るモノアイに恐怖を覚えたのか、連合のパイロットが小さく息を飲む。戦場では、無用な感情だ。敵への恐怖。その一瞬の気の迷いが、機体の操作を鈍らせる。

 

俺は瞬時に敵との距離を縮めると、コックピット部分を蹴り上げて撃破。メビウスのリニアガンをわずかに機体を引いて回避すると、突撃銃で穴だらけに。

 

重斬刀を構えると、距離を取ろうとする敵にあっという間に追い付くと、上から重斬刀を突き刺す。

 

「うわぁああああ!!」

 

敵の断末魔が響く。すでに聞き慣れたものだ。最初こそ違ったが、今では何の感情も感じない。まさに機械。だからこそ、俺を色々な言葉で揶揄する奴がいるのだろう。だが、俺は思う。ただ敵を屠る。己の敵を。これが戦場に立つ戦士の姿。

 

再び鳴り響くアラート。レーダーには接近中の二機の熱源反応。拡大すると、メビウスとは違う。照合すると、あのMAはTS-MA2mod.00メビウス・ゼロ。連合の、虎の子の部隊。それが二機か。

 

……面白い。俺はメビウス・ゼロ二機を撃破のために向かって行く。

 

瞬間、ゼロ本体に取り付けられている【ガンバレル】が一斉に分離される。二機いるから、全部で八基。俺を襲う【ガンバレル】の雨のような銃撃。俺はスラスターの急発進、急制動で銃撃を掻い潜っていく。

 

「バカな!この弾幕を掻い潜るだと!?」

「くそっ!化け物め!!」

 

どれだけの弾幕であろうと、単調な攻撃ならば恐れることなど無い。すべての射撃が精確に俺を向けられている。腕はあるのだろう。だが、それ故に避けやすい。来ると分かっている攻撃を避けることなど、造作もない。

 

情報によると、【ガンバレル】は一定時間しか分離出来ない。それを過ぎると、一度本体に戻さなければいけない。しかも、分離した時も同じ。弾幕を張るのは出来ないはず。そこを狙う!

 

そう考えていた直後、一機が【ガンバレル】を戻した。ならば、残りの一機も限界のはず!その時、もう一機のゼロが減速した。その瞬間を俺は見逃さない。俺は即座にペダルを踏み込み加速する。

 

「! こいつ!!」

 

もう一機のゼロが近付かせないためにリニアガンを撃ってくるが、その程度では障害にもならない。減速することで回避すると、再び加速。

 

そして、ついに【ガンバレル】が本体に戻った瞬間には、俺は奴の目の前にいた。

 

「!?」

 

重斬刀を突き出し、ゼロの機体を串刺しにする。引き抜くと、すぐに離脱。レーダーから消えたのを確認すると、怒りに燃える残りのゼロに向かう。

 

「死ねぇーっ!!宇宙(そら)の化け物!!」

 

化け物か。くだらない。俺に言わせれば、民間人に核を使った貴様らの方が化け物だ。狂っているとしか思えない。だが、貴様らはそれを正義だと考えている。正義の形は人それぞれ。だが、そんな正義が認められるものか!

 

怒りに身を任せた行動ほど愚かなものはない。狙いはめちゃくちゃ。今の奴に俺は見えていないだろう。見えているのは、コーディネイターという存在だけだ。

 

【ガンバレル】も使って攻撃してこようと、意味を為していない。奴に恐怖や無力感を煽るように、邪魔な【ガンバレル】を一つ残らず破壊していく。あえて、本体は攻撃しない。

 

「うわぁあああああああ!!」

 

重斬刀を突き刺すと、敵の鼓膜を痛めそうなほどの絶叫に眉を顰める。ゼロが爆発すると、俺は小さく舌打ちをする。

 

「……最低なのは、俺も同じか」

 

敵を痛め付けるような戦い方。敵をいたぶり、恐怖させる。自然と浮かぶ、自嘲の笑み。我ながら、吐き気がする。

 

気を取り直して前を向いたその時だった。状況が一変したのは。

 

レオハルト side out

 

 

 

攻撃部隊旗艦デュッフェル艦橋

 

「隊長!敵施設の地下から高エネルギー反応!!」

「何だと!?」

 

その瞬間、連合が守り続け【ZAFT】が攻め続けた場所が大爆発。爆発範囲はどんどん拡大していき、敵味方問わず巻き込んで行く。

 

「被害範囲、さらに拡大!」

「いかん!!全軍に後退命令!!」

「は、はっ!こちら旗艦デュッフェル。敵基地で謎の爆発が発生!至急、後退せよ!!」

 

オペレータの命令により、【ZAFT】の部隊は次々と交代を始める。だが、爆発が迫っているにも関わらず、一部の連合軍は後退する【ZAFT】に攻撃を仕掛けていく。

 

「こんな時に!」

 

同様に後退をしていたレインは、自身も後退しつつ友軍に攻撃を仕掛ける敵MAを撃破していた。

 

「早く逃げなさい!死にたいの!!」

「愚問だ!コーディネイターを滅ぼす。それこそ、我らが使命なり!!」

「【ブルーコスモス】……!!」

 

最初はわずかだった【ブルーコスモス】の思想も、今では地球軍全体に凄まじい速度で浸透。軍上層部だけでなく、この思想は連合の末端にまで浸透している。

 

レインは唇を強く噛みしめると、引き金を引いた。余計なことに時間を取られるわけにはいかないが、【ブルーコスモス】には何を言っても無駄だというのはレインも承知している。

 

レインが目の前に敵に気を取られていた瞬間、横からリニアガンを構えたメビウスが接近。その照準は、確実にレインを捉えていた。

 

「くっ……!!」

 

回避を試みるが、敵の方が早い。今にも発射される瞬間、メビウスが爆発した。爆煙から現れたのは、漆黒のジンHM。レオハルトの乗機だった。

 

「ハル!?」

「急げ!」

「は、はい!!」

 

二人は全速力で安全宙域まで向かうが、後ろからは逃げ遅れた連合の艦やMAが次々と爆発していく。その中には、【ZAFT】のジンも含まれていた。

 

その時、横を走っていたジンの右腕が吹き飛ぶ。

 

「!」

「ちっ!」

 

レオハルトは急速反転すると、友軍に攻撃を加えた敵を見据える。

 

「【青き清浄なる世界のために】!!同志のために、一人でも多く!!」

 

【ブルーコスモス】の叫びが、レオハルトとレインに届く。だが、どれだけ叫ぼうとそれを受け入れるつもりなど毛頭ない。

 

レオハルトは重斬刀で斬り捨てると、友軍の左腕を掴み離脱を開始する。だが、いくら最新鋭機のジンHMのスラスターといえど、2機分となると思うようにスピードが出ない。徐々に迫りくる爆発に追い付かれ、ジンの両脚がさらに吹き飛ぶ。

 

「お前まで巻き込まれる!離れろ!!」

「仲間を見捨てるつもりはない!」

 

友軍パイロットにそう返すと、レオハルトはさらに強くフットペダルを踏み込む。レオハルトのジンHMが悲鳴を上げ始めるが、レオハルトが足を緩めることは無い。

 

そしてついに、【ZAFT】の安全宙域までの離脱が完了。レオハルトは助けた友軍を同じ部隊の人間に引き渡すと、デュッフェルに帰還。無事に着艦した。

 

【プラント】本国と連絡を取った結果、現在の戦力で月を保有するのは不可能と判断。【ZAFT】は月を放棄。生き残った部隊は、本国への帰還を余儀なくされた。

 

それから二日後。部隊からの報告を受けた【プラント】は、敵である【ZAFT】を討つために友軍を犠牲にするという作戦を取った連合を痛烈に批判。だが、連合は報道規制を掛けると同時に今回の件は偶発的な事故だと釈明。

 

結果、【ZAFT】は今回の戦闘では何も得ることは出来なかった。件の爆発と戦闘での被害も合わせると、作戦に参加した半分超という犠牲を出すという散々な結果になった。

 

後にこの戦闘は、【グリマルディ戦線】と呼ばれるようになった。

 




今、続きに迷っています。

このまま原作に突入させるべきか、さすがに原作まで時間が空きすぎているのでもう1~2話挟むべきか。

正直、皆さんも早く原作に入って欲しいと思っている方もいらっしゃると思うんですよ。
ですが、今回の話の時点で6月。原作は1月25日に始まりますから、5ヶ月以上の空白が出来ることになる。

主人公をアカデミーに放り込むという話も考えたのですが、微妙に思えてきました。
前話で出てきたムウの話にでもするか?

どうしましょ。
何かご意見等がありましたら仰ってください。
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