暗殺教室の戦闘員 〜異世界からの侵略×超生物の出現~   作:汐音 アイリ

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思い浮かんだら、いてもたってもいられず書いてしまいました。


話は変わりますが、太刀川さんの目を見て、視力に関するサイドエフェクトを疑った人は多いと思います。
そんな思いもちょっと詰め込んだお話です。


Chapter-1 Assassin
001-prologueの時間


私、太刀川 (ゆき)は、中学3年生になる前の春休みに唐突に司令に呼び出された。

はて、最近(・・)は特にお叱りを受けるような行動はしていないと思っていたが?と疑問を抱きつつ司令室を訪れ、そこで調査任務を命じられた。

 

私の生まれ育った、ここ、三門市は3年ほど前に異世界からの侵略者、近界民(ネイバー)によって壊滅的な被害を受けた。

そこに現れたのが界境防衛機関・ボーダーであり、現在は三門市の防衛を一手に引き受けている。

 

私は大規模侵攻のあと、ボーダー本部が設立されてすぐに兄と共にボーダーに入隊した。それ以来、三門市の平和を守る一員として努力してきた。遠征に行った経験もあるし、今更どんな任務でも驚かない。……はずだった。

任務の内容が過酷すぎるとか、そういうことではない。一般常識的には調査任務を中学3年生の女の子に命じるなど正気の沙汰ではないが、ここはボーダーであり、私はA級の戦闘員である。外では大人の庇護を必要とする私は、ここでは一人前とみなされる。そのため、命じられた任務が、いかに成功確率が低い任務であろうと、心身に負担がかかる任務であろうと、問題はない――のだが。

私には、その任務がどういう意図をもって命じられたものなのか、理解できなかったのだ。

 

「あの、司令。申し訳ないのですが、もう一度仰ってもらえますか?」

「君には、政府が秘密裏に関わっているという椚ヶ丘中学校3年E組の調査を命ずる、と言った」

 

思わず、変な顔をしてしまっても仕方が無いと思うんだ、うん。

心の中で自分の行いを正当化しつつ、任務内容が一句たりとも先ほどと変わらないことを理解して、私は内心頭を抱えた。

 

ボーダーは民営組織だから、そのテクノロジーを盗もうという動きが政府内であることは知っている。

きっと、政府内にはボーダーのスパイがいて、ボーダーには政府のスパイがいるのだろう。

だから、政府が隠れてコソコソしだしたら、その内容が知りたいのはわかる。

だが、なぜ中学の1クラスをピンポイントで指定するのか。

 

ちなみに、転入や編入の心配はいらない。なぜなら私自身が椚ヶ丘中学校3年E組の生徒だからだ。

E組行きの理由は成績不振なんかではなく、素行不良だ。私は兄を反面教師として成績はそれなりに上位をキープしているが、主に防衛任務が理由で、仮病で保健室に行ったり、遅刻早退を繰り返したりと──要はサボっていた。E組行きは、きっとそのせいだろう。というか確実にそれが原因だ。

授業を聞かなくても、ボーダーの先輩に頼れば最悪なんとかなるだろうという楽観的な考えのため授業に出る気も起きなかったことで、余計にサボりが増えたが、そこら辺は誤差の範囲である。

 

それが、突然政府が関わってくるなど、三門市周辺は呪われているのかもしれない。

……いや、確か私が椚ヶ丘中学校を選んだ理由はクジ引きの結果だった。ここまでくると、三門市というよりは私がいろいろ(・・・・)引き寄せているのかもしれない。

 

司令は、相変わらずの厳しい顔で私の返答をじっと待っている。

返事はもちろんYesだ。

 

「太刀川 幸、承知いたしました。あ、でも防衛任務は調整してくれますよね?」

「……定期的な任務のローテーションからは外そう。時間があるときに、混成部隊に組み込む」

「わかりました」

 

さて、一体何があるのやら。

波乱に満ちているだろう新学期に思いを馳せた。

せいぜい私なりに楽しませてもらおうじゃないか、なんて珍しくカッコイイ独白と共に。

 

 

 

◇◆◇

 

 

そうは思っていたが、これは予想外かもしれない……。

 

教壇には、触手をうねらせる黄色の巨大タコ。

そして、防衛省の烏間(からすま)と名乗る男性。

一瞬烏丸(とりまる)の親類かと思ったが、漢字が違うので他人らしい。

 

タコは緊張感の欠片もない声で言った。

 

何の前置きもなく、緊張感もなく、ただ普通に。

まるでそれが、何でもない日常の1つだとでも言うように。

 

「初めまして。私が月を()った犯人です。来年には地球も()る予定です。君達の担任になったのでどうぞよろしく」

 

まず、5・6ヶ所突っ込ませてほしい。クラスメイトもそう思ったに違いない。

突っ込みどころしかなくて、現実を直視できそうになかった。

 

10日ほど前、3月のある日に突然月はその7割ほどを失った。空を見上げても、見えるのは常に三日月。新月から満月、上弦の月や下弦の月など、日本の風流にも貢献してきた月は、大部分を蒸発させた姿になってしまった。

さまざまな番組や本でその原因が推測されたが、宇宙人の仕業であるだの、月の内部で起こった爆発事故だの、とにかく真偽の怪しい情報ばかりで、結局、理由はわからないまま。

……それが、このゲームのエネミー的存在の仕業だと?

 

混乱するクラスを見かねてか、男性が前に進み出る。

 

「防衛省の烏間という者だ。まずは、ここからの話は国家機密だと理解頂きたい。

単刀直入に言う。この怪物を君達に殺して欲しい!!」

 

余計に混乱した。みんな、目が点だった。もちろん私もだ。

簡潔でわかりやすい依頼内容ではあったが、諸々の説明をすっ飛ばされたために疑問点が多すぎた。

もうちょっと情報をくれてもいいんじゃないのか。

 

一人が思わず、といった感じで言う。

 

「……え、何スか?そいつ攻めてきた宇宙人か何かスか?」

「失礼な!生まれも育ちも地球ですよ」

 

タコは即座に真っ赤になって反論した。……あの皮膚(?)、色を変えられるんだ。なんて、どうでもいいことに目がいく。

典型的な現実逃避だが、いくらボーダーに所属して長く、無茶ぶりに慣れた私とはいえ、ここまでの変化球には驚いた。

 

そうして依頼された暗殺任務には2つの条件があった。

一つ、成功報酬は100億円。

二つ、秘密の口外を禁止し、もしもの時は記憶消去の措置を受ける。

 

……記憶消去、という点でボーダーと似たものを感じたが、それくらいだった。

私以外は「記憶消去」という言葉に驚き、緊張しているようだが私には聞き慣れた言葉だ。

だからといって全く気にしないとまではいかないが、他の人よりも冷静だった。

 

今一番気にしているのは、政府の調査力だ。

いくら国家機密だから口外するなと言われても、私はボーダーに報告するつもりでいる。

しかし、それが政府に知られてしまえば記憶消去の措置を受けることになるだろう。

政府の技術力が未知数である以上、今までの人生の記憶すべてを消される可能性も否定できない。

烏間さんやその部下を見ながら、どうしたものか、と思考を巡らせた。

 

 




今回はちょっと短め。


名前は、主人公と関連の深い原作キャラと似た名前をつけています。
幸は、漢字1文字、読み仮名2文字縛りです。



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