暗殺教室の戦闘員 〜異世界からの侵略×超生物の出現~   作:汐音 アイリ

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ボーダーに焦点をあててみた話です。


005-弟子の時間

唐突ですが、弟子ができました。

 

「加古さん、この子は……?」

「黒江双葉。 加古隊の新しいメンバーよ」

「ああ、近距離の子が欲しいっていってましたね。 攻撃手(アタッカー)なんですか?」

「ええ」

 

身長は低め。

腰には『弧月』。

ツインテール。

目はちょっと鋭く、挑戦的にも見える。

 

「か、可愛い……!」

「そうでしょう?女の子だし、実力はあるし、イニシャルはKだし。すぐに勧誘したわ」

 

私は思わず彼女──黒江双葉の手をとった。

ドン引きされた気がするが、気にしない。

可愛いは、正義。

 

「でも、どうして私に?」

「この子、幸ちゃんと同じスピード型だから、そこら辺を教えてくれないかと思って」

「『テレポーター』とか『グラスホッパー』を、ですか?」

「いいえ。 『韋駄天』っていう、試作トリガーがいいらしくて」

 

ああ、確かにこの前最終調整の段階に入ったトリガーに、そんな名前のものがあった。

そんなことを思い出しながら、可愛い子を前に妙な使命感が芽生える。

 

「わかりました。この子を、立派な戦闘員に育て上げます!」

「お願いね」

 

加古さんは、話を終えると美しい髪を揺らしながら去っていった。

それを見送って、目の前の弟子に向き直る。

 

「……さて、これからよろしくね、黒江ちゃん」

「……よろしくお願いします」

「まずはー……私の隊室に行こうか」

 

そう言って歩き出すと、黒江ちゃんは慌ててついてきた。

うん、可愛い。

 

「あ、あの、太刀川先輩」

「兄さんと紛らわしいし、幸でいいよ」

「えっと、幸先輩は、太刀川隊ですよね?」

「違うけど」

「……えっ」

 

彼女に限らずよく勘違いされるが、私は太刀川隊ではない。

勘違いされる原因は色々あるが、主には……

 

「で、でも、太刀川隊の隊服を着てましたよね。ちょっとアレンジしてましたけれど」

「あれ? エンブレムは見えなかった?冬島隊(・・・)のエンブレム」

「……いえ」

 

所属部隊を勘違いされるのはよくあることだ。

太刀川隊だとか、風間隊だとか、三輪隊だとか。

私が隊室に入り浸っているせいではあるが。

 

中でも一番よく言われるのが太刀川隊。

それは、黒江ちゃんが言っているように私が太刀川隊の隊服をアレンジしたものを好んで着ているからだ。

 

「兄さんリスペクトだから。太刀川隊にも冬島隊にも許可はとったし」

「それって……いいんですか?」

「そもそも、うちの隊長が隊服を着てないから。

冬島隊の隊服も時々着るし、いいかなって。……さ、着いたよ」

 

室内のソファには当真さんが寝っ転がっていた。

それを無視し、隊長のオペレーターデスクに腰掛ける。

 

「とりあえず、戦闘スタイルとかを見せてほしいんだけれど、いいかな?」

「わかりました。……トリガー起動(オン)

 

一瞬光が溢れ、黒地に紫を基調とした隊服を纏う少女が現れた。

その色彩は望さんのセクシーさを強調するイメージが強かったのだが、彼女が着るとまた違ったよさ(・・)を感じる。

ショートパンツスタイルが、若さの象徴のようだった。

デザインしたのが誰かは知らないが、実にいい働きをした。

 

 

◇◆◇

 

「と、いうわけで、早速、といきたいのだけれど……。

トリガーの構成を教えてもらってもいい?」

「『弧月』、『旋空』、試作の『韋駄天』です。

あとは、『シールド』と『バッグワーム』。

他にも試作トリガーを入れるかもしれませんが……」

 

射手(シューター)銃手(ガンナー)用トリガーはない。

つまり、攻撃手(アタッカー)一本でいくのか。

 

「最初の訓練で、近界民と戦ったでしょう?何秒だったの?」

「……11秒でした」

「……それって、すごいよね?」

 

黒江ちゃんは首を横に振る。

私がボーダーに入ったときは、まだシステムも組織も発展途上だったので、自分を比較対象にできないのがちょっと悲しいところだ。

一番自分にとってわかりやすいのは、自分との比較なのに。

 

「4秒と9秒がいたので」

「初心者は1分切れれば上出来だって言われているのに……。今期の新人は豊作だね」

 

トリガーを起動する。

纏うのは漆黒に赤いラインが走ったノースリーブのコート。

コートと同色のアームカバーには、冬島隊のエンブレム。

 

「さあ、始めましょう」

 

 

 

 

 

感想。

筋は悪くない。ただ、まだ隙が多い。

 

「慣れるまでは、素振りをした方がいいかもね。

そうでなくても、『旋空』と『韋駄天』はしばらく禁止。『弧月』に振り回されている感じがする」

「……すみません」

「そこは、謝るところじゃないよ。 最初はできないのは当たり前なんだから。

強くなるために、私が指導するんだよ」

 

ふわふわと、周囲に『バイパー』の弾を浮かべながら告げる。

黒江ちゃんが『弧月』を握ってからそう経っていないのを考えるとかなり上出来といえるが、私の理想は結構高かった。

 

「あとはやっぱり慣れ、かな。というわけで、『弧月』と『シールド』だけで私の『バイパー』を避けてみようか」

「えっ、確か、幸先輩って屈指の『バイパー』使い……」

「はーい、行っくよー」

 

 

……訓練の終了を告げたら、あからさまにほっとされたのはちょっと納得いかない私であった。

スピード型なら回避能力を上げなきゃいけないし、手っ取り早い方法なのに……考え直すべき?

 

そんな小さな悩みを私に抱えさせ、初日の指導は終了した。

 

 




黒江ちゃんの正確な入隊時期がわからないのでアレですが、たぶんもうちょっとあとなんじゃないかなー……とは思ったり思わなかったり。

いや、そんなことない、そんなことない。


幸ちゃんはそれなりに機械に強めという設定。
隊長さんの経歴を考えれば、理由はだいたい想像つくかと……。(つまり、立派なお弟子さん)

幸を冬島隊にした理由はいくつかありますが、1番はこれです。
「兄妹でNo.1,2っていいよね!」
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