賢者の石拾って、超能力が使えた件   作:MrM3

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2話

私、高町なのはには悩み事が沢山あります。

勉強のこと、塾のこと、人間関係のこと。色々な悩みがあります。

そんな悩みの中でも、特に気にかけているのが"ジュエルシード"について。

 

ジュエルシードは青色の石で、サファイアのように綺麗な石です。

何も知らなければ、宝石に見えてしまうかもしれません。

しかし、外見とは裏腹にジュエルシードはとても危険なものでした。

 

内部に膨大な魔力を含んだジュエルシードは、持ち主の願いを間違った方向で叶える石。

それがジュエルシードの正体でした。

私はそのジュエルシードを集める魔法少女、ユーノ君曰く魔導師というらしい。

 

ユーノ君は、魔法の世界にいたフェレットです。

危険なジュエルシードを安全に保管してくれる場所に運送中、事故にあってこの海鳴市に21個のジュエルシードとともにやって来たのが、全ての始まり。

 

ユーノ君は町にジュエルシードを撒いてしまったのを悔やんでいました。

それこそ『僕1人でもやらなきゃいけない』と思いつめ、危険な事に1人で立ち向かおうとしていたのです。

 

―――見捨てては置けない。

 

ユーノ君の話を聞いて、そう思いました。

幸い、私はユーノ君が持っていた"レイジング・ハート"というデバイスと契約し、魔導師になっていました。

手伝える力を持っていて、それを使わないなんてこと、私にはできない。

私は決断し、ジュエルシードの回収を手伝うことにしました。

 

私の決断は、人として正しいと思う。

町に危険が及ぶジュエルシードを回収する。それは、結果的に多くの人を救う行為です。

人知れず危険なことをし、誰かの為に力を使う。それは、まるでヒーローのようなもの。

だから……だからこそ、心の奥底でこう思ったのかもしれない。

 

―――楽しい。

 

回収する作業は大変だったけど、楽しんでいた。まるで、ゲーム感覚のように。

自分が得た魔法という力、現実とは思えない非現実を体験するのを楽しんでいました。

そして……楽しんでいたから、油断してしまった。

 

最近、町で起きた災害。

『大樹事件』と呼ばれたこの災害は、町に大きな大樹が突如現れた、というモノです。

軽傷者128名。重傷者12名。死亡者4名。あの災害で多くの人が傷つきました。

その事件の元凶はあるサッカー少年が持っていた、ジュエルシードが原因です。

 

でも、責任の一旦は私にもあります。

何故なら、私はあの少年がジュエルシードを持っていることを知っていた。

なのに、私は『たぶん、見間違いだ』と決め付け、調べることを怠った。

 

その結果があれだ。

 

悔やんでも悔やみきれない。

私は後悔し、そして決めた……ゲーム感覚では絶対にしない。

町の人達の為に、怪我をした人の為に、もう帰ってこれなくなった人の為に。

 

―――ジュエルシードを真剣に回収する!

 

私はこの言葉を胸に刻み、ジェルシードを真剣に回収するようになりました。

それが今、私が魔法少女である理由。

もう、どんなことにだって負けない!

 

「は~い。沁みるけど我慢してね」

 

「にぁぁああ!?」

 

でも、消毒液には勝てなかった。

突如膝に訪れた刺激に、私は思わず叫び声をあげ、膝を見ないように目を堅く閉じた。

さながら、注射器が刺さる瞬間から目を離すが如く。私は現実逃避中をするのでした。

 

―――がらがら。

 

「先生、大変です。鼻血が出ました」

 

「そんなのいつものことでしょ、花園君」

 

私が現実逃避をしてる間に、誰かがこの部屋にやって来ました。

名前は花園というらしい。声のトーンと先生が"君"をつけていることから、男の子のようです。

 

私は除々に引いてく痛みに比例し、まぶたを開けました。

このまま堅く目を閉じても意味ないし、何より、初めて会う男の子に『消毒液が怖くて目を瞑ってる』という印象を与えたくなかった。お子様だと、笑われたくなかったからです。

 

私は目を開けた後、足音のする方向に目を向けました。

この部屋に来るということは、何かしらの負傷か体調不良者であるのは間違いない。

"鼻血"という単語が聞こえたので、恐らく前者の方。つまり、私と同じように怪我をした子ということです。

 

怪我を治しに来た、という目的を持っている。

自分と同じ目的を果たそうとしている子を見てみたかった。芽生えた同属意識から、彼に目を向けました。

 

「おや、先約がいたのか」

 

彼を最初に見た時の印象は……鼻血という言葉しか見つからない。

鼻血が出ていることは知っていた。しかし、いざ目の前にその光景が映ると、顔の特徴よりも先に鼻血の方に目がいってしまった。

ティッシュで鼻を塞いでるとはいえ、真っ赤に染まったティッシュが、より鼻血の印象を強くしてしまっている。顔の情報など、一目ではほとんど頭の中に入ってこなかった。

それほどまでに、彼の鼻血は強烈な印象でした。

 

そう、彼に対する最初の印象は"鼻血"というものでしかなかった。

しかし、この時の私は知らなかったのです。彼がどういう存在なのか。一体、何者なのか。

 

私がそれを知ることになるのは、この後直のことでした……。

 

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             :

             :

             :

 

私は、怪我の報告を担任の先生にしなければならなかった。

その報告の際は保健室の先生、赤野先生が同伴するのがこの学校のルールです。

普段なら何気なく、このまま担任の先生に会いに行って、怪我の報告をすれば終わるはずでした。

 

「―――ッ!?」

 

私が保健室を出て直のこと。

あの保健室から信じられないモノを感知しましした。

まさかと疑いながら、今度は集中して保健室に意識を向け……最初に感知したものが、間違いではないことを理解しました。

 

私の足は自然と保健室に向かっていました。

背後から赤野先生の声が聞こえるが、それは頭の中に入りませんでした。

何故なら今、私が感知したのは僅かなジュエルシードの魔力。

 

完全発動はしていないが、その力が発動してしまえばこの学校は無事ではすまない。

学校は崩壊し、クラスメートも先生も、親友の2人も傷つくことになる。

それが解かっているから、私の足は止まらない。

 

―――ガラガラ。

 

私は保健室の前に到着した瞬間、いきよい良くドアを開けました。

ドアが壁に当たり、バンッ、という耳障りな音がこの部屋に響いた。

そんな音を聞きながら、私は部屋のある一点を見た。

 

それは微かに残る、ジュエルシードの魔力発生元。

そこにいたのは、花園君。今日、初めて会った男の子だ。

 

―――間違いない、この子が持ってる!

 

私は直にそう判断した。

そして、ある2つの事を思った。それは安堵と疑問。

まだ完全発動していない、ジュエルシードへの安堵。

何故、僅かではあるが、発動したジュエルシードが大人しくなったのか、という疑問。

 

―――うんん、今は安心する時でも考える時でもないッ。

 

状況は少し違えど、今の状況は大樹事件が起こる前に似ている。

何も知らない男の子が、ジュエルシードを持っている。その事だけでも、あの事件を彷彿させてしまう。

 

あんな事件、もう起こしちゃいけない。

その為には、彼からジュエルシードを回収しなければならない。

『私の友達が落としたもの』と言って、返してくれればそれで良いが……。

もし、返してくれないのであれば……。

 

―――強引にでも、回収するしかない。

 

間違いなく、嫌われるだろう。

しかし、そうしなければ、多くの人が傷つく。無論、彼自身も傷つくことになる。

そんなことになるぐらいなら……私1人が彼に嫌われるぐらいで済むなら、安いものだ。

 

「何て罪深い男なんだ……」

 

「え?」

 

突然語りだした彼に、思わず声を出してしまった。

先ほどまで抱いた決意は、一瞬にしてどこかに消え、私は彼の話に耳を傾けていた。

『罪』という言葉を言った以上、何か悪いことをしたという自覚を持っているのでしょう。

 

一体何の罪を……。

私は気になってしまったのです。彼がどのような罪をしたのかを。

 

「奪ってしまったのだから……」

 

「ッ!?」

 

私は彼の言葉を聞き、どのような罪を犯しているのかを理解した。

そして、彼が何故こんなことを語っているかを、薄々感づいてしまった。

 

「花園君が奪ったものって……」

 

彼が奪ったもの……それに関し、ある仮説を立てた私は、自然と口を開いていた。

私の立てた仮説は、当たってほしくはない。願わくば、彼に否定してほしいものだ。

だから、問い掛けていたのかもしれない。

 

「私はコレを奪ったのさ」

 

彼が……ジュエルシードを故意に持ってるなんて…。

そんな仮説、はずれてほしかった……。

しかし、皮肉にも私が立てた仮説は当たってしまった。

 

何故なら彼は自分の胸を指し、自分で奪ったと宣言したのだ。

胸ポケットに入っているジュエルシードを……。

 

 

私は彼女の質問に答えた。

自分の心臓を指し、心を奪ったと宣言をした。

先ほどの私の行動は、まるでプロポーズのように思えるセリフと行動だ。

だが、勘違いしてはいけない。私は会って20分しか経ってない子を口説くほど、女たらしではない。

というより、私はお姉さん系が好きなのだ。子供に興味はない。

 

そう、子供には興味がないのだ。

だから高町さん……そんなに此方を見つめないでほしい。

君がどんなに望もうと、私は君とは付き合えない。せめて友達からだ。

 

「花園君はどこでそれを……うんん。

それがどういうものなのか、知ってるの?」

 

(コレ)がどういうものか、だと?

表現は難しいが……例えるなら"自分の欲望を映す鏡"だ。

そして、その欲望を実現させるもの……と、いったところか」

 

心は人間の行動そのものだ。

そして、その行動は自分がしたいこと、やらなければならないことを実行するもの。

"あの人と友達になろう""あの人に告白しよう""あの子のスカートを捲ろう"それら全ては、自分がしたいこと、願ったこと、叶ってほしいこと、つまりは欲望だ。

 

我ながら、なかなか良い表現が出来たと思う。

高町さんなんて、目を見開いて驚いている。目をゆらゆらと揺らしながら、口を少し開けたその姿を見れば、どれほどの衝撃を受けたのかが解かる。

『そ、そんな表現があったとは!!』と、今頃思っているに違いない。

 

「違う……それは違うよ!

それはそんな都合の良いものなんかじゃない。

願いを叶えるどころか、周囲に災厄を起こす危険なものなのッ!」

 

何故だろう、高町さんがヒートアップした。

まさかとは思うが、高町さんは高町さんなりに"心"についての考えを持っており、それを私が否定したように見えたのだろうか。

 

もしそうなら、高町さんがこうなったのも頷ける。

自分の考えを否定されれば、誰だって反発するものだ。

 

「だから、早く私に渡して!

それを持っていたら、花園君だけじゃなくて、花園君の大切な人も傷つくの!」

 

「……どれだけ私の心は汚れているんだ」

 

持っているだけで不幸になるとか、どれだけ汚れた心なんだ。

というより、そんな汚れた心が欲しいとか、高町さんは何を言っているんだ。

もしかして、プロポーズのつもりか? 私に対するやり返しか?

私はちょっとやそっとじゃあ、落とせないよ。

 

「そんなに欲しければ、私がやったことと同じようにすればいい。

そう、奪い取れば良い……キミでは無理だろうけど」

 

私の心はお姉さんにしか落とせない。

高町さんが私の心を落とす可能性など0%に近い。

 

「そんな……どうして…」

 

高町さんは絶望的な表情をしている。

私が否定的な事を言ったのが、よほどショックだったのだろうか。

 

―――ガラガラ。

 

「高町さん! 急にいなくなったらダメでしょ!」

 

保健室のドアが開き、赤野先生が戻ってきた。

その表情はお怒りモード。原因は高町さんにあるようだ。

 

「あ、赤野先生……」

 

「膝を怪我してる状態で走ったら、治りが遅くなるでしょ!

このことは高町さんの担任にも報告するから、早く職員室に行くわよ!」

 

「あっ、ちょ、ちょっと待って下さい!

私、まだ花園君に話しが――」

 

高町さんは必死に先生に頼んいるが、聞いてもらえず、そのまま先生に引っ張られ保健室から出て行ってしまった。

急にやって来て、直に居なくなる彼女に対する印象は、嵐のような子。

そんな印象を私は抱いた。

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