賢者の石拾って、超能力が使えた件   作:MrM3

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5話

■なのは

 

花園君からジュエルシードを取るつもりだったけど……転移で逃げらてしまった。

今は肩に乗せたユーノ君と一緒に、花園君の転移した場所へと飛行して向かっているが、私の気は優れない。

花園君から浴びせられた言葉が、今も私の頭から離れないからだ。

 

――お前たちのやっている事は逆効果だ、誰も喜ばない。

 

解っている。

解った上で私は彼からジュエルシードを取ろうとした。

事情を知る人がいれば、私の行動は正しいものだと評価してくれるだろう。

だが、今の私の心を支配するのは罪悪感しかない。

 

「なのは、あと少しすれば彼がいるポイントに着くはずだよ」

 

「……うん」

 

「なのは……」

 

覇気がない私の返事に、ユーノ君は心配そうに見つめている。

ダメだな……私。

子供の頃からいつも塞ぎ込んで、周りを心配させてしまう。

お父さんが大怪我から退院した事やアリサちゃんやすずかちゃんと友達になった事で、直ったと思ったんだけど……直りそうもないかも。

 

「なのは、こんな時に言うのもなんだけど……彼は危険かもしれない」

 

「え?」

 

ユーノ君の言葉を聞き、思わず出る自分の声。

それも当然の事、彼が危険な状況なのは当然なのだから。

 

「確かに、花園君はジュエルシードを持っていて危ないよ?

だから私達が花園君から――」

 

「違うんだ」

 

ユーノ君のキッパリとした言葉に唖然とするしかない。

ジュエルシードが危険ではない……まさか、花園君自身が危険ということ?

 

「ジュエルシードは本来の願いを捻じ曲げ、異質に叶えてしまうモノなんだ。

なのに、彼は僕のチェーンバインドから逃れる為に転移した……ジュエルシードの力を使ってね」

 

そうだ。

よくよく考えてみると、おかしい。

ジュエルシードは願いを叶えると暴走する。

なのに彼は学校でジュエルシードを使ったときも、さっき使った時も暴走していない。

まさか――。

 

「そう、僕の仮説だけど……彼はジュエルシードをコントロールできる。

多分特殊なレアスキルを持っているんだと思う」

 

「――じゃあ」

 

無理に取る必要はないの?

と、少し弾んだ私の声をユーノ君は首を振って否定した。

 

「ジュエルシードは彼から早く回収しないといけない。

彼自身がジュエルシードの力を悪用するとか、そう言う事よりも彼が"ロストロギアであるジュエルシード"をコントロールできるのが問題なんだ」

 

「えっと……どういう事?」

 

ロストロギアが魔法でも再現不可能なモノなのは知っている。

ジュエルシードのように危ないモノから安全で社会に役立つモノまであるとユーノ君から聞いた事があるけど……。

 

「つまり、彼はジュエルシードよりも危険なロストロギアを使える事ができるかもしれないんだ。

一度使えば何千・何万人でも殺すことのできるロストロギアを」

 

「――っ!?」

 

私はユーノ君の言葉にぞっとした。

言われみれば確かにそうだ。もしユーノ君が言うように彼にロストロギアをコントロールできるレアスキルがあったら、ジュエルシードよりも危険なモノを使える可能性はある。

……でも。

 

「もし、そうだとしてもそう簡単にロストロギアは手にはいらないんじゃないかな?

それに、そんな危険なモノを花園君が好んで使うのかな?」

 

「なのはの言う事はもっともだよ。

でも、彼の意思とは関係なく無理やりロストロギアを使わせる人たちだっているんだ。

過去にも同じようなレアスキルを持った人がいたらしいけど、犯罪組織に誘拐されて最後は……」

 

ユーノ君の首を振る仕草に、私は事の顛末を悟った。

そして、知らず知らずの内に自分のデバイスであるレイジングハートを握りしめていた。

その理由は簡単だ、許せないのだ。

自分のお父さんだって、犯罪組織の爆発テロが原因で大けがをしたので、まったくの他人事とは思えなかった。

 

それに、もしかしたら花園君自身がそうなってしまうかもしれない。

それは絶対に避けなければならない事だ。

その為にも、花園君からジュエルシードを回収して、元の魔法と関係ない日常に戻ってもらはなければならない。

 

「もう、見えるはずだけど……なのは、アレ!」

 

「っ!? 花園君!!」

 

ユーノ君が指指す場所へ視線を向けると、そこにはバインドで拘束された花園君の姿が薄っすら見えた。

しかも、それだけではない。花園君以外にも1人……あれはもしかして、魔導士?

 

何で、どうしてという疑問が浮かぶ中、状況は刻々と変わっていった。

なんと、何かを叫んだ花園君めがけ、魔導士の子が手に持つ何かを思いっきり振りかぶったのだ。

 

――危ない!!

 

そう思ったとき、彼の体は寸前の所で粒子となって消えていた。

幸い、彼は私達にやったように転移して逃げられたようだが……もし、彼の転移が間に合わなかったら? そう思うと私は手に持つレイジングハートを強く握りしめた。

 

「なのは! もしかしたら彼はもう狙われているのかもしれない!」

 

「――っ!」

 

何に? と聞くまでもない。

あそこで彼を襲っているのは、私が嫌う犯罪組織の人間であると。

あれは自分とは相容れない存在なのだと。

 

 

 

 

 

 




感想ありがとうございました。
返信はできないですが、ちゃんと拝見してます <(_ _)>


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