今回僕アカとシンフォギアを見ていて思いついたアイデアを遅筆で文才なき身でありますが、小説にしてみたいと思い筆をとらせていだたきました。
楽しんでいただけると幸いです。
この世界には『個性』と呼ばれるものがある。
かつて中国で光る赤ん坊が生まれた事件以来、世界中で常識ではあり得ないような能力や姿を持って生まれてくる子供が後を絶たなかった。本来であれば、そのような特異な存在は異物と見なされ、社会から排斥されるはずであった。
しかし、現実は大方の予想を裏切りそのような特異な力、後に『個性』と呼称されるそれらを持った子供が年々増加していった。そのため、世間もその存在認めざるを得なくなっていったのである。時を経るにつれて『個性』を持つものは増え続け、現在では全人口の九割以上の人間が能力の大小はあるが『個性』を持つまでに至った。
大多数の人々に『個性』が発現するようになり、政府は増加し続ける『個性』への対応に追われることになる。そんな中で作られたのが『個性』の使用を禁止する「個性対策基本法」である。これにより政府は人々の『個性』を制御しようとした。だが、人間とは得てして愚かなものである。禁じられれば使いたくなるのが人の性とでもいうのか、法が施行されて以降『個性』を用いた犯罪が増加していった。
さらに、法の中で「個性の一切の使用を禁じる」とあるために警察が『個性』を用いた犯罪に対処する際に犯人は捕まるまいと『個性』を使用するのに対し、警察側は法で禁止されているため使用できないという不利を抱えることになってしまった。
そんな状況を打破したのが、ヒーローの存在である。
ヒーローの始まりは「個性対策基本法」の違反者であった。自分が犯罪者になろうとも、自分の『個性』が泣いている誰かを救うためになるのならば、そんな思いのもと戦い続ける者がいた。そんな彼の孤独な戦いは、多くの仲間と賛同者を得ることで終わったのだ。彼の賛同者たちによって、彼のために作られた「ヒーロー基本法」によって。『個性』の使用を国家資格とすることで、『個性』の乱用を防ぎ、犯罪の取り締まりや災害救助において『個性』を活用できるようにしたのである。
しかし、光があれば同時に闇も生まれるのは必然であった。今までの『個性』の乱用は若者の若気の至りのようなものが多かったが、取り締まる側が『個性』を使用するようになり、それに対抗するかのごとく殺人や強盗といった重犯罪においても『個性』が使用されることが多くなっていった。
そのため、ヒーローたちが己の『個性』を用いて犯罪者を取り締まることが主な活動となるのに時間はさしてかからなかった。そして、犯罪者たちはヒーローに敵対する者ということから
ヒーローとヴィランの戦いが続いているとはいえ、大半の一般人たちは犯罪に巻き込まれることもなく平和を謳歌していた。あるときまでは・・・。
それが現れたのは突然だった。
その日はとある敵が銀行強盗を行い、銀行内に人質を取り立てこもる事件が起きた日だった。そんな敵に対し警察やヒーローが銀行を取り囲み、人質解放のために懸命の交渉を行っていた。
ところが交渉を行っている中、受話器から銀行内の怒声と断末魔のような悲鳴が聞こえてきたのだった。
あまりの異常事態に警察とヒーローたちは銀行内への強行突入を決断したのである。ヒーローの一人の『個性』により、銀行のシャッターを破壊し雪崩込むように突入した彼らが見たのは、大量の炭であった。立てこもっていたはずの強盗犯や人質たちの姿は一切なかったのだ。しかし、人はいないにもかかわらず壁や床の破壊痕がここで戦闘が起きていたことを如実に語っていた。そうなると不可解なのは床一面にある大量の炭である。警察やヒーローたちは炭の存在に疑問を抱きながらも強盗犯の確保と人質の救出のために捜索を開始した。だが、どれだけ探しても銀行内には人っ子ひとりいなかったのである。
捜索の手がかりを求めて警察が監視カメラの映像を確認した際にそこに映っていたのは、半透明な生物のような何かが強盗犯も含めて銀行内の人々を次々と炭に変えていく瞬間だった。その生物のような何かは体を引き伸ばしたような形になり、強盗犯や人質たちに一直線に飛びかかっていった。それらに体を貫かれた人々は体がどんどんと黒ずんでいき、最後には崩れてしまったのである。常規を逸した光景に映像を見た者は大半が顔をしかめ、中には口を押さえて部屋を出ていく者もいた。
銀行内の悲惨な映像を見終えた警察とヒーローたちは生物のような何かについて議論を行った。その議論の中では様々な推測や憶測が飛びかっていた。曰く誰か別の敵の『個性』である、曰くどこかの国で開発された生物兵器である、曰く増えすぎた人類を粛清するために神が使わした天使である、曰く悪魔である、などなど謎の存在の正体についてあれこれと議論していたが情報があまりにも不足していたため何も進まなかった。そんな中、映像の中に謎の存在の正体についてつながるヒントがないかと、映像を見ていたヒーローの一人が突然立ち上がったのである。
人が炭に変えられるという衝撃的なことにばかり、意識が行ってしまい気づくのが遅れてしまったが、謎の生物の恐るべき特長はもう一つあったのである。そのことに気づいたヒーローはあまりの動揺に立ち上がってしまった。他のヒーローや警察の注目を集めてしまったが自分が気づいたその生物の悪夢のような特長について説明するのにちょうど良いと、彼は自分を無理矢理納得させ映像を見せながら自分の推測を話し始めた。そして、彼の推測は他のヒーローや警察を絶望の淵に追い込むのに十分な力を持っていたのだ。その内容とは言葉にするととても簡単なものであった。それは「謎の生物にはどんな攻撃も通用しない。」ということである。銀行内の映像で強盗犯はもちろん、人質の人々もそれぞれの『個性』を用いて攻撃を行っていた。炎や石を飛ばす、高速で近づき殴るなど本当に様々な攻撃をである。しかし、炎や石は謎の生物をすり抜け後ろの壁や床を傷つけるばかりで、近づいて殴った者に至ってはそのまま炭にされてしまっていた。
改めて思い知らされた謎の生物の異常とも言える力を前にしてヒーローたちは何もできない自分の無力さに打ちのめされていた。会議室の中を絶望と諦めが覆い尽くそうとしていたそのとき、会議室のドアが力強く開かれた。ドアを開けて入ってきたのは日本のヒーローたちの中で最強にして平和の象徴とまで言われるヒーロー。
「諦めるな。私が来た!」
そう、No.1ヒーロー、オールマイトである。
いかがでしたでしょうか。
といっても冒頭の冒頭でしかないので、いかがもないかもしれませんが。
さて、ひとまずヒーロー側のプロローグである事件の始まりはこれにて終わりになります。
次話では戦姫側のプロローグをお送りしたいと思います。