戦姫たちのヒーローアカデミア   作:文月 夏樹

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 お気に入り登録をしてくださった、19名の方ありがとうございます。

 そしてMSTSM様、ゴルゴム様感想ありがとうございます。

 さて、今回は作者の苦手な戦闘回となっていますが、頑張って書いてみました。楽しんでいただければ幸いです。



ヒーローの頂点

 オールマイトは走った。己の限界を超え、少女を止めるために。

 

 

 そして、ついに少女の姿を視界にとらえたのだ。少女の一撃はとてつもない威力だったのだろう。敵が水平に数百メートルにもの距離を、森の木々を薙ぎ倒しながら吹き飛ばされていた。

 そんな威力の攻撃を受けた敵がまだ生きているのか、オールマイトには判断できない。しかし、もし先の少女の攻撃を受け、瀕死ながらも生きているのであれば、まだ助けられる。

 だが、もう一度あの威力の攻撃を受けてしまっては、あの敵は確実に死んでしまう。あの少女の攻撃はオールマイトですら、受け切れるか怪しいほどの威力なのだ。

 

 しかし、遠すぎた。あまりにも遠すぎた。このままでは自分がたどり着く前に少女の一撃があの敵の命を確実に刈り取るだろう。 

 今の全力疾走ですら、通常の限界を超えて出している。これ以上は自分の命を縮めることになるとオールマイト自身感じていた。それでも、オールマイトは止まらない。いや、さらに加速していく。目の前に救える命があるのに、諦めるなどあり得ない。オールマイトをオールマイトたらしめる、その信念が許しはしない。

 

 

「ヒーローはいつだって命がけ!!」

 

 

 その言葉とともに彼の体はヒーローとしての姿へと変身する。それにより、オールマイトはさらに限界を、いや音を超えた。空気の壁をぶち破り、衝撃波によるダメージも気にとめず走った。

 

 そして、ついに追いついた。すでに体はボロボロで、気を抜けば今すぐにでも気絶してしまいそうなほどだ。だが、止まらない。一息で少女の横を通り過ぎ、敵との間に回り込む。

 

「な!!」

 

 そんなオールマイトの行動に驚く少女。それもそうだろう、少女としては正体不明の怪物に襲われていた男性を助け、襲っていた怪物を倒そうとしていたのだ。それなのに、突然目の前にボロボロの姿の大男が立ち塞がったのである。

 しかし、少女は止まれなかった。追撃の一撃をすでに放たれていた。。脚部のパワージャッキによる加速と腰についているバーニアのさらなる加速によって生み出されたエネルギーを腕部のパワージャッキを利用してパイルバンカーの要領で相手に叩きつける少女の十八番である。

 その一撃が放たれる瞬間を見たオールマイトは自身の危惧していたことが正しかったと悟る。少女から放たれる一撃は敵の命を摘み取るにたる一撃であると。

 さらに、オールマイトは少女の拳が突き出されるまでの刹那の間に考えていた。どうすれば少女を無傷で止められるのかを。

 

 ついに、少女の拳が放たれる。たくさんの修行によって身につけたということがよくわかる拳だった。だからこそ、いくつもの死線をくぐり抜けてきたオールマイトにはよく観えた(・・・)

 少女の拳に対して、回り込む際にうまれた遠心力を利用し、己の右拳を突き出した。

 

『SMASH』!!

 

 ゴッッ!!!

 

 

 少女とオールマイトの拳が激突した。その威力は凄まじく、二人の周囲には衝撃による力場が形成されていく。だが、少女の一撃を完全に相殺できた。

 しかし、少女の攻撃は終わらない。腕部のパワージャッキが収縮し、さらなるエネルギーを叩きつけてくる。

 

 その追撃に対して、オールマイトは神域の絶技をもって応えた。

 

 完全に威力が相殺された右拳を引き、続けざまに左拳を突き出したのである。オールマイトは何気ないようにやっているが、一歩間違えれば少女かオールマイトのどちらかに重大なダメージが行く方法なのだ。

 もしも、パワージャッキの収縮よりもオールマイトの一撃が早ければ、攻撃後の無防備な少女の腕を破壊することになり、逆に遅ければパイルバンカーの直撃を受けることになるのである。

 そんな危険な綱渡りすらも、オールマイトにとっては普通のことでしかない。そして、少女の追撃に対しても相殺を成功させたのだ。

 

 

自分の攻撃を完全に相殺されて呆然としている少女に対して、彼はその大きな胸を張り、告げた。

 

 

「落ちつきなさい。私が来た!!」

 

 

 

 

 

 

 突然の出来事に響は唖然としていた。自分の目の前にいる大男は全力ではないとはいえ、ガングニールによる一撃を相殺したのである。そんなこと同じ装者たちでも難しいだろう。唯一できるとすれば、彼女の師匠である風鳴弦十郎くらいである。

 そして、目の前の大男はそんな不可能に近いことを、さも当然のごとくやってのけた。

 

 本来であれば、そのような相手が突然現れれば警戒の一つでもするべきなのであろうが、いかんせん、立花響という少女にはそういった警戒心は無いに等しい。

 彼女元来の性格がそうであることに加え、専らそういったことは親友である小日向未来が担当していたためでもある。

 人を疑わないということは、人生において不利になることが多い。しかし、今回に限っては彼女の性格が幸いした。

 

「あ、はい。」

 

 気の抜けたような返事とともに、響は拳を降ろした。

 大男はそんな響の様子に大きく息を吐き、安堵したようだった。

 

「さて、どうしてこんなことをしたのかなど、いろいろと聴きたいところであるが、まずはお互い自己紹介をするとしよう。まずは私から、知っているかもしれないがね。

 私の名前はオールマイト。ヒーローだ。」

 

「オールマイトさんですか。すみません、聞いたことないです。」

 

 響の知らないという言葉にオールマイトは内心落ち込みながらも、話しを続けた。

 

「それでは、少女よ。君のこと教えてもらえるかな?」

 

 オールマイトの質問に響は元気に返事を返すのだった。

 

「はい!立花響、16歳。誕生日は9月の13日で、血液型はO型。身長は157㎝で、体重は恥ずかしいので秘密です。趣味は人助けで、好きなものはご飯アンドご飯!あとは・・・彼氏いない歴は年齢と同じ!!」

 

 相変わらず必要ないことまで言うのは、響らしいというべきなのだろうか。

 オールマイトはそんな響の自己紹介に多少面食らっていたが、すぐに持ち直し笑い始めた。

 

「HAHAHA!元気がよくて大変よろしい!」

 

「はい、元気の良さだけが取り得だってよく言われます!」

 

(それは、ほめ言葉なのだろうか?まあ、こちらの会話に乗ってくれるだけありがたいが。さて、どう切り出すべきか。)

 

 オールマイトは響の素直を少し心配しつつも、響の行いを窘めようとしていた。

 

「とりあえず、お互い自己紹介を終えることができたな。さて、本題入らせてもらいたいんだがよろしいかね、立花少女よ。」

 

「はい、大丈夫です。あっ、そうでした!オールマイトさん!私も質問したいことがあるんです!」

 

 オールマイトはこじれることなく事情を聴くことができそうで、安心しつつも、響からも質問があるという言葉に違和感を覚えていた。

 

 

 ミシッ

 

 話しを始めようとしたそのとき、オールマイトの後ろから木の軋む音が響いた。

 

「うっ、俺、何でこんなとこで寝てたんだ?それに体が痛い。」

 

 それはオールマイトに襲いかかろうとして、響に吹き飛ばされた少年が目を覚ました音であった。

 少年が目を覚ましたことに気づいたオールマイトは少年の元に歩み寄った。

 

「よかった。少年、目を覚ましたようだな。」

 

 少年の寝ぼけた頭は、オールマイトを認識した瞬間完全に覚醒する。そして、自分が先ほど行ったことも思い出したのだった。その、記憶に少年は顔をうつむかせ、罪悪感を感じていた。

 

 そんな少年の姿を見たオールマイトは十分に反省していることを感じていた。

 

「少年。君が何を思ってあんなことをしたのか、私は聴かない。だが、一つだけ言わせてもらうなら君にこの言葉を贈ろう。『Plus Ultra』。人生はまだ長いぞ、諦めるにはまだ早すぎる。」

 

「はい、・・・オールマイト。」

 

 オールマイトの言葉を聴いた少年は顔を涙で濡らしていた。

 

「さ、今日はもうお家に帰りなさい。」

 

 再び、オールマイトは優しい声色で少年に声をかけた。

 少年は涙で濡れた顔を腕でぬぐい、まっすぐオールマイトを見据えて口を開いた。

 

「ありがとうございます、オールマイト。俺こんな姿だけど、頑張ってあなたみたいな立派なヒーローになります。」

 

 少年の誓いを聞き届けたオールマイトは無言でサムズアップする。少年もそれにならい、サムズアップした。

 そして、そのまま後ろを向き、走っていったのだった。

 

 ここでオールマイトに助けられた少年がこれから何をなしていくのか、それを語るのはまたいつかの話。

 

 

 そして、響は話について行けず、置いてけぼりになっていた。

 




 如何だったでしょうか。

 これにて、響とオールマイトの出会いの話は終わりです。

 次回から世界観のすり合わせのための説明回になる予定です。

 ・・・どうしよう、まだ大枠しか作ってない。
 とりあえず、ゆっくりお待ちいただければ。
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