異世界異聞録~生き残る努力をしたらチート化しました~ 作:閃狼姫
主人公の愛機デモンベイン・グランレギウディアの誕生秘話(?)です。
それはマスターが転生ルームに入ってから一年ほどたったある日でした。
「「「暇ですね(だね)」」」
そうマスターが旅立ってからすぐに追いかけられるのかと思ったら転生が終わるまでかなりの時間がかかることが分かりました。具体的には百年くらい。さすがに百年も待つのは退屈ですね。
「そういえば、クーリア?」
「なんですか?アリス」
「私の鬼戒神なんだけどさ~」
アリスの?というとグラン・ディ・レギオンのことでしょうか?
「それがどうしたんですか?」
「うん。お兄ちゃんとクーリアが作ってくれたのは分かるんだけど、いるのかな~って」
「そうですね。確かにパイロットもいませんし・・・」
「だよね~。それでさ。どうせならデモンベインと合体できない?」
どうしてそんな考えに行きついたんでしょうか?
「ほら、お兄ちゃんの記憶にあった勇者ロボや戦隊ロボって一号ロボと二号ロボがいたら合体するじゃない?」
合体するじゃない?と言われましても・・・そもそもあれは合体前提で作られているのであって流石に今の二体を合体させることはできません。
「だったら一回分解して組みなおしたらどうですか?」
「「それです(だ)!!」」
雪華さんの言葉に私たちは思わず叫んでいた。そうですよ!別に今のまま合体させる必要はないんです!ふふふ。久しぶりに血が騒ぎますね。黒の書の知識を総動員して新しい鬼械神を創りましょう!
この時の私たちは思った以上の暇な時間故にテンションが可笑しかったのかもしれません。
そんなわけでアリス、雪華さんと共に工房へ移動。整備用ハンガーに置かれているデモンベインを見上げる。静かに佇むその姿は力強さを持ってはいますが何かが欠けているそういう風に見えました。まあマスターは満足していましたが・・・
「この子ってさ。動力部が壊れていたんだよね?」
「ええ。調べてみたところ完全に壊れていました。多分、限界以上の力を引き出した故に壊れたのでしょう。見つけた時も上半身以外は大破していましたから」
「ふ~ん・・・でもこの子には“想い”が残ってる。よっぽど前の主人たちの事が大事だったんだね」
デモンベインの装甲に触れながらアリスが何処か感慨深そうに言った。確かにこの子にはわずかではあるが魂と呼んでいいものが宿っている。それを感じたからこそマスターに付き合って修理をしてわけなのですが・・・
「そのせいでしょう。マスターと動かした時にこの子の動きが悪いんですよ。まるで新しい操縦者を拒むかのように。最初は修理がうまくいかなかったのだと思っていたのですが」
「なるほどね。きっとこの子は戻りたいんだ。前の主人たちの元に」
「でも、それは難しいですよね?この子は深界で見つけたのであって前の持ち主が分かるものはありません。正直言って戻すのは無理ですよ」
雪華さんのいう事も分かります。あの女神が娯楽で作った深界は女神が自由に弄れる。この子があったのも女神が無造作に放り込んだからというのもありますし、この子が“オリジナル”なのかということもあります。
「お願いします。貴方が自身の心臓ともいえる部分を壊してまで守りたかった人たちがいるのは分かります。ですが貴方をその人たちのところへ戻してあげることはできません。だから今度は私たちに力を貸していただけませんか?」
「私からもお願い。お兄ちゃんに力を貸してあげて一緒に戦う剣になって欲しいの」
アリスと一緒に頭を下げました。この子に宿っている魂はかなり稀薄になっています。いずれ消滅してしまうでしょう。別にそれでもいいのかもしれませんが深界で共に戦ってきた仲間でもあります。そんな仲間が消えるのを黙って見ているのもどうかと思います。だから彼に自分で選んでほしかった。共に戦うのか、消えるのかを。
力が・・・
「「「!!!」」」
力が欲しかった・・・
そんな声が聞こえました。それは彼の声なのでしょう。
自身が“最弱”でなければあんな最後にならなかったと。昏き者共に渡り合える力があれば彼らを守れたと。
「それは違いますよ。貴方は決して最弱ではない。本当に最弱ならば貴方は宿らない。誇りなさい。そして最弱であるならば無敗を目指しなさい。もし貴方が力を貸してくれるのならば、この私“黒の書”と」
「“赤の書”が持つ叡智を持って貴方を無敗の機神へと至らせてあげる!」
その時、誰も乗っていないデモンベインの目が開きこちらを見据える。
ならば、今度こそ守ろう。“魔を断つ剣”の名の下に我は彼らの想いを継ぐ。邪悪が蔓延る世界を切り払う為に!
「いいでしょう。その想いに答えて見せます!」
こうして新たな仲間を経たことによって当初の目的である最高の鬼戒神作りがようやく始まりました。最初に始めたのはフレーム作りです。前にも言った通りデモンベインは上半身以外は大破。動力部も完全に使い物になりませんでした。深界で拾った半壊状態のラフトクランズが二体あったのでその動力部であるオルゴン・エクストラクターを解析し再生した物を動力源に無理やり動かしていましたが今回はアリスもいるので魔術サイドも取り込んでみようと思います。
「そうだね。まずは魔力を通すために必要な機構を作らないといけないね。一番いいのは水銀だけど・・・」
「なら、マスターが手に入れた霊血<イーコール>を使いましょう。人間の心臓のように循環させればいいのです」
「え?そんなの何処で手に入れたの?」
「深界で」
「あ・・・(察し)」
ではさっそくフレーム作りです。使う材料はヒヒイロカネ合金にルーンで再生を刻んでおきましょう。魔力が流れるたびに関節部が再生すればフレームにダメージが行ってもすぐに再生されて戦えるはずです。アリス。魔術的防御も施しておいてください。そしてフレームの各所に魔力やエネルギーを蓄積できる結晶体『マナタイト』をはめ込みます。これは蓄積した分を放出することで機体の出力を上げられるようにするための機構です。外部にさらすことで周囲からも取り込み還元する性質があるので魔導師の皆さんにはぜひ使ってもらいたい鉱石ですね。まあ加工できればの話ですが。さてこれで大体フレームはいいでしょうか?
では次に守護の護符を燃やして溶かした水『符水』に護符を浸して複合装甲を作りましょう。人界の守護者たる超機人にも使われている装甲ですし、私に再現できない筈はないのです。これをフレームに取り付けていく予定です。この符装は柔軟性に長けているのでフレームの可動を妨げることもなく衝撃も吸収してくれます。さらにこれにも自己再生の能力があるので便利です。そしてその上にヒヒイロカネ合金にオリハルコン、ミスリルなどを使って多重装甲を作りそこに幾層にも重ねた防御魔術を施した物を符装に重ね頑丈に仕上げていきます。
「クーリア?ここまで頑丈にする必要あるの?」
「どうせなら今できる技術を全てつぎ込みたいんですよ。アリス、イーコールはどうです?」
「問題ないよ。むしろ魔力の伝導率が凄過ぎてちょっと引いてるくらい。流石は“神の血”とも呼ばれるだけあるね。せっちゃんと一緒に循環するための炉も作ったよ」
「では組み込んでください。私は動力部に取り掛かります」
そう最大の問題点は動力炉だ。魔術も使うことを考えるとデモンベインの本来の動力機関である『獅子の心臓』を蘇らせたい。しかしここまで破損していると流石に解析にも時間がかかる。そこで思いついたのは高純度の魔力を内風しておりさらに周囲の魔力だけでなく並行世界の魔力も集め力に変えられる結晶体。これは深界の奥地でまだ実体を持っていた創星龍様の心臓で創星龍様がマスターと融合された後、結晶化しました。これを使って獅子の心臓いえ獅子皇の心臓として甦らせます。こちらはアリスと一緒に作らないといけませんね。代わりに私は新型のオルゴン・エクストラクターを作りましょう。サイトロンやオルゴンといった粒子は必ず存在することが分かりました。なのでこれを抽出しエネルギーとして変換できるオルゴン・エクストラクターにグレートゼオライマーから手に入れた次元連結システムを組み込みます。こうすれば別次元にある粒子も集め、さらに無尽蔵にエネルギーも集められます。これは最後の方でデモンベインに積んでいたのもあったのでデータはあります。・・・ついでに魔力も集められるようにしましょう。
試したい技術がいっぱいあって困りますね。どうせ時間はたっぷりあるので色々試してみましょう。
待っててくださいね。マスター。貴方が思いつきで修理、改修したデモンベインをより完成度が高く至高の存在に私が仕上げてみせますので。
ああ、どうせですからグランゾンや八卦ロボの武装も使えるようにしましょうか?ファンネルとかも面白そうですね。そうだ。彼の望みをかなえるためにまずはデモンベインの武装も再現しないと・・・やることがいっぱいで困ります。もう暇なんていえませんね。
「さあ!みなさん頑張りましょう!!」
「「おー!」」
マスター!私、今最高に楽しいです!!
色々ツッコミどころのある内容ですね。
色々なところで怒られそうな設定だと思っています。
反省はしますが後悔はしません!
本編も頑張りますので応援よろしくお願いします。