異世界異聞録~生き残る努力をしたらチート化しました~ 作:閃狼姫
第四話 俺、再誕!
拝啓 お父様、お母様。私が亡くなってからどれ位立つのかわかりませんがお元気でしょうか?私の方は無事に転生でき、元気に新しい生を満喫しております。具体的には現在進行形で遺跡を守る蜘蛛型のガーディアンたちに襲われ抵抗しているぐらい生を実感しております。ところで数が多く面倒になってきたのでそろそろメギドラオンをブッパしたくなりました。
「というわけでやっちゃってもいい?」
「何がどういうわけなのさ!?兄さん!!」
「気にすんな。お前は自分の身を守ってろ!」
「う、うん」
俺の後ろで防御魔法の一つ『ラウンドシールド』を展開させたのはハニーブロンドの髪を持つ義弟のユーノ。対し俺は両手を向ける。メギドラオンはさすがに冗談だが広範囲で攻撃できる魔法はそれこそ掃いて捨てるほどあるんでね!
《マハラギ》
《マハブフ》
《マハガル》
《マハジオ》
《マハエイガ》
《マハコウハ》
《マハサイ》
《マハフレイ》
《メギド》
《ミラーリング》
各属性全体攻撃魔法で呪文連装を組む。敵の群れを炎の波が焼き、氷の塊が降り注ぎ、風の刃が襲いかかり、無数の雷撃が落ち、黒い霧が包み、光が吹き飛ばし、念導波がつぶし高密度の熱量を持った球が降り注ぎ、光の熱波が消滅させていく。ミラーリングによって繰り返される全体攻撃呪文に敵が完全に沈黙したのを確認し俺はユーノに振り返る。
「どうよ?(ドヤッ)」
「・・・兄さんはやっぱりおかしい」
解せぬ。
まあいいや。先に進むか。アイテムボックスから取り出すのは深界で大量に発掘したオリハルコンで作り上げた一振りの刀。これはただ頑丈にひたすら頑丈に鍛えた刀。乱暴に扱っても大丈夫なようにしている。だからと言って下手に扱えば折れるのが刀だから気を付けないとね。鞘から抜いて軽くふるってから収刀する。少し違和感を覚えた。やっぱり今の俺にはすこし扱いにくい気がする。でも何とかなるかな?違和感も誤差の範囲内だし。
「んじゃ行こうか!ユーノ!」
「そだね。行こうか・・・」
だから何で諦めたような顔をするのさ?
「で?この先なんだな?」
「うん。構造からしてこの先に祭壇があるはず」
ユーノが見つけたこの遺跡には古代ベルカ時代の何かがあるらしい。遺跡を発掘して新たなる何かを発見することが夢と語るユーノだけに普段の倍のテンションで話してくれるがちっともわからん。とにかくお宝が見つかるってことでいいんだよな?
「もう、それでいいよ・・・」
ごめんね。兄ちゃん、脳筋で・・・とにかく進もうか?
ユーノを促し進む俺。途中、先ほどの蜘蛛型ガーディアンたちが襲ってくるが俺のなんちゃって抜刀術で切り捨てていく。その光景を見て「刀を抜く瞬間が見えないんだけど」とか「きれいに真っ二つとかおかしい」とか「物理障壁ごと斬るなんて」とか聞こえるけど別にたいそうなことはしていない。普通にできるでしょ?あのサモナーさんだってこれくらいできるし。本当に後衛ってなんだっけ?まあいいや。向かってくる敵に容赦なし、慈悲はない!
「兄さん。この扉の向こうが祭壇だよ」
ようやくか。もうガーディアンたちは出てこないし全滅させたかな?ひとまず刀をアイテムボックスへと放り込むと今度はオリハルコン製の突撃槍を取り出す。これも今の体で扱うには少し重いが問題はない。むしろ問題なのはこの扉の先から感じる気配。間違いなくボスがいるね。俺が武器を変えたことにユーノが不思議そうに首をかしげる。
「兄さん?」
「なぁユーノ。扉が開いてもお前は中に入るなよ」
「ッ!う、うん・・・」
それだけで察したようでユーノが離れる。んじゃ、久しぶりに身体強化スキルも使って開幕ブッパしますか!
「真降魔闘法!」「ヒートマイザ!」「ゴッズブレス!」「リミッターカット!」「ブーステッドパワー!」「覇気解放!」「エンチャントブレーカー!」
使える強化スキルと魔法で強化を終えると突撃槍を構えた上で普段は使わない武技スキルを発動させる。
「マキシマムチャージ!」
突撃槍の武技スキルの中で最上位の技。このスキルは単純に突撃するだけだが発動と同時に加速もするので直線状の敵を一掃するには十分。さらにこのスキルは貫通効果も持っている。例え相手が強固な防御スキルを持っていても意も介さずに貫通できる。今回、これを使うのは完全に奇襲をする為。まさか敵もドアの前から襲撃してくるとは思うまい。
全身から闘気が上ると手に持った突撃槍が白く輝く。そのまま駈け出し槍を突き出すのと同時に何かを置き去りにした轟音と共に一瞬にして加速しボス部屋の扉をぶち抜き、そのまま奥で待ち構えていたであろうボスをなんの抵抗も感じさせずあっさりと貫通。・・・・・・そのまま勢いが消えずついでに祭壇も破壊。その背後の壁に突撃槍が根元まで突き刺さり衝撃によって壁が崩れた。
「あ!」
やべ、やっちゃった・・・・・・
慌てて突き刺さった突撃槍を引き抜くが同時に肩を掴まれ振り返るとそこには無表情のユーノがそこにいた。
「座れ」
「アッハイ」
アカン。これは逆らっちゃいけない奴や・・・・・・
◆◆◆◆◆◆
「で?兄さん、何かいう事ある?」
「俺、悪く…いえ・・・何もございません」
声のトーンが一段低くなったユーノのお説教を正座しながら聞いています。いや確かにね。今考えれば過剰な強化だったとは思うよ?
『真降魔闘法』は全ステータスを五倍に上げ、『ヒートマイザ』は全ステータスを五十パーセント上昇。『ゴッズブレス』は魔法攻撃力、魔法防御力を二倍にし、さらに自身にかかるステータス低下効果を無効にする。『リミッターカット』は一定時間全ステータスを十倍まで引き上げるが効果が切れると全ステータスは最低値で固定されてしまう。『ブーステッドパワー』は魔法攻撃力を半減する代わりに攻撃力に減少分上乗せできる。『覇気解放』は生命力を現状の半分に減らす代わりに攻撃力をその分上乗せ。『エンチャントブレーカー』は相手の能力上昇効果、武器の属性を破壊し無効化する。これらのスキルは重複しても平気なので総合的なステータスはかなりのものになる。ただし魔法も使って戦う場合は使わないほうがいいのもあるけど。
・・・うん。ごめん。はっちゃけすぎたね。本当にごめんなさい。あ、ステータスの低下はゴッズブレスの効果で相殺され体力の低下はスキル『勝利の雄叫び』の効果で全快している。それがなかったらこんなスキルは使わないし使えない。これを覚えた当時は使用後に殺されることもよくあったな~。『勝利の雄叫び』が手に入った時は思わず小踊りしてしまった。
「はぁ~・・・せっかく見つけた遺跡だったのに・・・ユイも連れて来れば・・・いや、過保護な兄さんの事だからまた過剰な攻撃をしかねない」
がれきを撤去している横でぶつぶつ言っているユーノに申し訳ないと思いつつ探査魔法であたりに敵対反応がないことを確認。生命反応もなし。ただ気になったのは・・・
「おい。ユーノ。この台座の下、階段あるけど?」
「え!?」
驚くユーノに場所を変わり階段を見せる。
「隠し階段?」
「お宝のにおいがしてくるねぇ~」
「兄さん!行こう!!」
「あいよ!」
頷き先に入っていく。階段の先にあったのは思ったよりも狭い通路。罠などの類はなさそうだけど喰らってもいいように俺が先頭で進む。しかしさっきから懐かしい感覚がするんだけどな・・・
通路の先に合った小部屋は中央に台座がありその上に二冊の魔導書が置いてあった。ユーノはそれを見つけると普段見せないようなスピードで台座に行くと罠を確認もせずに取った。
おい。あぶないだろうに・・・まあ、罠があるかないかはすぐにわかるけどさ。
「・・・・・・」
「こ、これは!古代ベルカの魔導書!!しかも二冊!!」
はい。確定。ここは古代ベルカとやらの遺跡じゃないね。だってユーノが手に取っている魔導書は俺の魔導書『黒の書』『赤の書』だからだ。
「ユーノ・・・ごめん。それ、俺の本だわ」
「え?何言って??」
ポカンとするユーノをよそに俺は二つの書を取る。そして声をかけた。
「さっさと起きてくれ。クーリア、アリス」
それと同時に変化が起きた本体を覆っていた金の鎖と銀の鎖が砕け、ページが勢いよく捲られていく。そこに手をかざし魔力を流しながら。
「アクセス」
二つの魔導書に魔力が一気に吸い取られていくって生命力も吸われている気がするんだけど?
「「魂魄、魔力共に確認。登録されている情報と一致。汝を契約者と認めます」」
本から声音の違う女性の声が流れ二冊はそれぞれ分解、大量の用紙へと変わると俺の周囲を回り再構成されていく。見覚えのある少女たちに。
「お久しぶりです。マスター」
外見は大体十八歳頃の少女。腰まで届きそうな青紫の髪をポニーテールにしその頭には狐科の動物のような耳をつけている。服装が着物を改造したかのような巫女服で肩から胸元にかけて大きく開いている為、その大きな胸が強調され、腰あたりから一本の尻尾が生えている。そんな彼女は黒の書の管制管理人格。あらゆる科学知識をおさめた本で彼女自身その知識と技術を持って俺を助けてくれた。そんな彼女“クーリア”は静かに頭を下げ微笑んでいた。
「お兄ちゃーん!待ちくたびれちゃったよー!!」
外見は十五歳頃の少女。紅く燃えるような髪をツインテールにし赤いゴシックドレスを纏っている。その両腕には黒と金の無骨なガントレットが装備され足にも無骨なバトルブーツを装備している。なお幼い外見とは裏腹なスタイルを持っているって本人が言ってた。そんな彼女は赤の書の管制管理人格。あらゆる魔術をおさめた本で魔術・魔法の専門家。俺にとっての魔法の師匠みたいな存在。彼女“アリス”は笑顔でこちらに向かって手を振っていた。
「久し振り。二人とも」
あの深界で共に生き抜いた最高の相棒たちの復活に俺も自然と笑みが浮かんでいた。
「え?ど、どういうこと??」
さて、無事にクーリアとアリスと今世でも合流できたわけだがユーノを置いてきぼりにしていることに気が付いた。
「マスター?こちらの方は?」
「ああ。俺の弟」
「ユ、ユーノ・スクライアっていいます!」
おや?ユーノの顔が赤いがやっぱりクーリアみたいな知的美人が好みなのかな?
「へ~お兄ちゃんの弟なんだ・・・ん~まあ、別にユーノ君でいいよね?」
「あ、はい!」
違う。美人に弱いんだ・・・ユーノよ。今からそんなんだと利用されるぞ?ちょっと弟の未来に不安がよぎった。
「で、兄さん。俺の魔導書ってどういうこと?」
「それなんだが・・・俺の目を見ろ」
「え?」
ユーノが俺の方を向いたのを確認したところでユーノには悪いが俺の平穏の為に魂へ直接干渉できる『外道の魔眼』という魔眼シリーズの一つで記憶をいじらせて貰った。
「え・・・?それ使う?身内に?」
「やっぱりマスターはおかしい」
それを見た魔導書組はドン引きしていたが気にしない。この外道の魔眼でかけた暗示は絶対に解けない・・・・・・多分。
「よし。帰るか」
「・・・うん。帰ろうか・・・」
よし成功!
ひとまず問題ないことを確認し帰路に就いた。そんな中一つの真実が発覚することになる。
「やっと、やっと新しい遺跡が見つかったと思ったのに・・・」
「ユーノ様、本当に申し訳ありませんでした」
「ごめんね?悪気はなかったんだよ?」
ユーノが自分で見つけたと思っていた遺跡はなんと二人が俺と合流する為に作ったものだということが分かりユーノが激しく落ち込んでしまった。遺跡から出た途端、景色が歪んで只の洞窟になった時は二人して驚いた。そんな俺たちにアリスがネタばらししたのだった。
しかしなんでそんなことをしたのさ?
「決まってます!様式美という奴です!!」
胸の前で両拳を握って力説するクーリアさん。あれ?こんなキャラだったっけ??
「あ~・・・お兄ちゃんがいない間に私たちも色々やってたからね・・・」
苦笑するアリスは少し大人しくなった気がする。何をしていたのか気になるがまあ悪い事ではないだろう。それよりも自分たちの部族がいるキャンプ地に戻って爺様に話さないと。
「そうだね。でも兄さん?族長にはクーリアさんたちのことどう説明するの?」
「ん?俺がユーノの制止を無視して魔導書に触れたら契約しちゃった。で納得すんべ?爺様なら」
「・・・兄さんの普段の行いのせいだね。間違いなく」
「まぁ行いが良いとは言えないね!」
笑う俺に対しユーノはため息をつく。そんなユーノに同情の視線を向ける二人。なおユーノには転生者云々の話はしていない。その話をすると俺の隠しているスキルや魔道具などもバレるからだ。
「マスターが相変わらずで呆れるべきか諦めるべきか・・・」
「まあ私はお兄ちゃんが変わっているなんて一欠けらも思ってなかったけどね!」
相変わらずの二人で俺も安心したよ!・・・畜生。
そんなやり取りをしながら漸くキャンプ地が見えてきた。俺とユーノは入口が見えてきた所で互いに頷くとクーリア、アリスへと向き直り。
「「ようこそ!スクライア一族へ!!」」
笑顔で新たな家族を迎えた。
この章ではユーノの義兄として転生。ここから彼がどんな人生を歩むのか・・・楽しんでいただければ幸いです。