異世界異聞録~生き残る努力をしたらチート化しました~ 作:閃狼姫
「この・・・バカモンがーーーーーー!!!」
族長で俺たちの育ての親の爺様の怒声と共に振り下ろされた杖の一撃を受ける俺。
「何すんのさ!?」
「あれほど勝手に遺跡に行ってはいかんと言うとるのにこのバカ孫が!!」
「いてぇ?!」
再び振り下ろされる杖に苦悶の声を上げるが別に痛くはない。気分的な問題だ。
「・・・怪我はしとらんな?お前もユーノも?」
ため息を吐いてからそういう爺様。俺はそれに頷く。ユーノもユイも俺が絶対に護るって決めてるからな。それに安堵したように頷くと視線を俺の後ろへとやる。
「それでそちらのお二人がお主と契約した魔導書かの?」
「はい。黒の書の管制管理人格クーリアと申します」
「私は赤の書の管制管理人格アリスです!」
爺様の問いに答える二人。爺様は少し考え。
「このバカ孫をよろしくお願いしますじゃ。見ての通り頭のネジが何本も取れてるバカ孫は目を離すと何をしでかすか分からんもので」
「爺様、それ酷くない?」
「事実じゃろ?」
ジロリと睨む爺様。まあ確かに物心ついたころから色々はっちゃけてた気はするけどね。遺跡の発掘なんて今までやったことなかったから新鮮だったし。
「お任せください。お爺様。マスターは私たちが責任を持って真人間にしますので」
「任せといて!私たちが来た以上お兄ちゃんに好き勝手させないから!」
「おお、頼りになりますの!」
皆がひどい・・・
「ゴホン・・・さて、早くユイにも会いに行きなさい。あの子も心配しとったからの」
「うん。そうするよ」
爺様に挨拶し俺の家族が待つ家へと向かうことになった。
「ユイ様ですか・・・どのような方なんですか?」
「ユーノと一緒で血は繋がってないけど、よくできる義妹だね」
「なんかその子も苦労人な気がしてきたよ」
俺の評価が本当に酷い件。
「「自業自得です(でしょ)」」
解せぬ。
そんなやり取りをしつつ家に戻ってきた。ユーノはすでに家に戻らせている。ユイに二人の事を伝えてもらわないといけないし爺様の説教を受けるのは俺だけでいい。
「ただ「このバカ兄ーーー!!」・・・げふっ?!」
ドアを開けた瞬間、渾身の一撃が顔に入る。腰も入っていていい感じに魔力も籠った拳だった。そんな一撃を繰り出してきたのは。
「ユーノに聞いたんだからね!お兄達また勝手に遺跡に潜ったって!!どうしていつもユイを置いてくの!?」
腰に両手を当て私、怒ってますアピールのユイ。昔は子犬みたいに懐いていたのに今はいい拳を持つようになった。その拳なら次元世界の覇者も狙えるだろう。
「・・・またアホな事考えているでしょ?」
「まさかぁ・・・・・・ねぇ?なんで拳に魔力を溜めてるの?」
右拳に淡い水色の魔力光が集まっている。それの魔力量は先ほどの一撃をすでに上回っている。さすがにそれで人は殴っちゃいけないと兄ちゃんは思うんだけど?
「決まってるでしょ?お兄にぶつける為よ!!」
「いや!?それおかしい!!」
「そう思うなら少しは自重しろー!!」
一瞬で距離を詰めてきたユイ。鳩尾に左ひじ打ちを決め、顔面に入る裏拳から右拳からの正拳突きと流れるようなコンボをまともに受けた俺はドアを破りながら外へと吹き飛んだ。
それ、俺が良く使う技じゃん。そんなことを吹き飛ばされながら思う俺でした。
◆◆◆◆◆◆
「いいか?ユイ。その技を突っ込みで使っていいのは俺だけだぞ?俺だから無傷で済むけど普通の奴に使ったら重症だからな」
「お兄以外に使わないよ」
「なんで無傷で済むのか僕には分からないよ」
ユーノの呟きは軽くスルーしておく。あの後、結構遠くまで飛ばされた俺が部族の皆に色々からかわれながら戻ってくるとユイ達が夕飯を作っていた。なおまったく心配されていなかったことに対して俺は文句を言うべきか?いや、どうせ誰も聞いてはくれまい。うん。俺、知ってた。
「ユイ。これはおいしいですね」
「へへ。クー姉が作ったこれもおいしいよ!アリスはどう?」
「うん!おいしいよ!ユイも料理上手だよね?」
「お兄に比べるとまだまだだけどね」
意気投合した三人の会話を聞きながらユイが作った料理に目をやる。その料理はみんな俺やユーノの好物ばかりだ。いつの間にか料理がうまくなったなぁとしみじみ思いながら改めて見れば俺の家族がいる。体はまだ九歳でしかないが精神年齢はもういくつになったか分からない。孤児だった俺たちを拾ってくれた爺様に部族の皆がいたから俺たちは今を生きていられる。流石に俺は親に甘えたいとは思わないがユーノやユイはどうなんだろ?二人は七歳。まだ親には甘えたいだろうし俺じゃ変わりはできない。むしろ心配ばかりかけてるしな。幸いにもクーリア、アリスと合流できたおかげで今まで以上に力を行使することもできるだろう。もし力が必要な事態が出来たら俺はためらいなくこの力を振るおう。
まず、ユーノとユイを鍛えるかな?
―― 二年後 ――
あれからまたいくつかの遺跡の発掘の為に土地を転々としていた俺たち。ユーノは大人たちに交じって勉強を頑張りついに遺跡の発掘調査を任されるようになった。俺は遺跡発掘中の護衛や発掘品の輸送の護衛など何故か戦闘が予想されるような場面ばかりに駆り出されていた。いや、大事なんだけど大体一撃で片付くか、ちょっと殺気を出すだけで相手が倒れるのであまり達成感がない。そんな中、先が楽しみなこともある。それは・・・
森の奥にある開けた場所で俺と相対しているのは動きやすさを重視した服に身を包んだユイ。俺が教えた魔力での身体強化を行うとそこから一瞬で距離を詰め繰り出す拳の連撃。それを最小限の動きでかわす。まあ、悪くはないんだけどね?機神拳のみで覇皇拳の足技を組み込んでない今の状態では俺に一撃を与えるのは難しいだろ。そんな中ユイの動きが変わる。
「機神拳・焔!」
その拳へ炎を纏ったユイの得意技。この二年で一番の使用頻度を誇るがその技は俺の使う技の劣化版。故に。
「機神拳・守式・弐の型・流水華!」
流れる水が如く両手を動かしその攻撃を受け流す。そのまま勢いを殺さず独楽のように回転しユイの背中に掌を押し付け。
「はっ!」
「きゃああああっ!?」
本来は衝撃を相手の内側に直接叩き込む一撃だが今回はあえて放出した。その衝撃に耐えきれず見事にユイが宙に舞った。
やっぱりまだまだだね。さて、今日はここまでかな?
まだ構えは解かないがいつもの感じからしてこの辺で終了の声がかかるはずだ。
「はい!そこまで~!」
思った通りアリスの合図がかかり俺は構えを解いた。吹き飛ばされたユイはアリスが先回りし捕獲していた。クーリアたちと合流した後、本格的に俺の技を覚えたいと言ってきたユイと一緒に機神覇皇流の修行をするようになって二年。筋がいいのか様にはなってきているんだけどね。ちなみに機神覇皇流とは深界で戦ってきた色々な戦士の技を俺が使いやすいように改良し昇華してきたもので本来なら他人に教えられるようなものではないんだけど。
「いや~凄いね。ユイ。お兄ちゃんから指南を受けていたとはいえ、二年で機神拳をそこまで使えるようになってるんだもん」
「まだ基礎しかできてないよ・・・焔以外にうまく使えないし・・・」
ユイの言葉に悩む。そもそも機神覇皇流は主に二つの技から成り立っている。拳が主体の機神拳と足技の覇皇拳。(これは元になった武術の影響もあるのだが本当にそうなのか今では分からないので説明はしない)この両方を使えるようになって初めて奥義などが使えるようになる・・・筈。いやね?奥義とか言ってるけどその場のノリで使っているのもあるしね・・・まあユイがこの先、機神覇皇流を極めていけば自ずと自身の技へと昇華されるはずだ。
「まあ、お前は確かに成長してるし頑張れ」
「うん!頑張るよ!」
「じゃあ今度は私の授業だね」
「お願いします!アリス先生!!」
「うん!」
魔法はアリスが教えている。そのおかげで魔力による身体強化とかも使えているんだが・・・実は黒の書も赤の書も俺が新たに得た知識、技術は自動で書き込まれ常に新しいページが増えている。そして管制管理人格である二人はそれをもちろん使える。さらに二つで一冊という二冊な為か、互いに書の内容を共有している。ちなみにこれを知ったのは二人と合流してからである。そういえば転生してから初めてそういう細かなところを気にしたな。深界の頃は読み切っただけで満足してそれ以外はあまり気にしてなかったし。最近物事に対して熱を感じず、すぐに醒めてしまうことが多くなった気がする。
「それよりお兄?そろそろミッドチルダに行かなくていいの?」
「あぁ、そうだな。流石に航空便に間に合わなくなるな」
爺様の依頼で時空管理局へ行くことになっていたのを思い出した。ユーノが新たに見つけた遺跡の発掘調査の許可証。それをもらってこないといけないんだっけ?しかし管理世界とか本当に面倒だよな。つか次元世界を丸々人間が管理しようとかどう考えてもおかしいでしょ?まあそれが規則なら従うけどさ。
「んじゃ行ってくるわ!」
「「いってらっしゃい!!」」
ショルダーバッグを背負い俺は時空管理局の地上本部へと向かう為、空港へと向かうことにした。それにしても何時になったらスノードロップと雪華は合流できるんだろう?スノードロップがあれば次元航空も余裕なはず。クーリアやアリスも分からないって言ってたし・・・
ま、分からんものはしょうがない。いずれ合流できるでしょう。
『ふむ?しかし半身よ。よいのか?赤の精霊も黒の精霊も連れて行かずに』
「ん?創星龍か。大丈夫でしょ?お前もいるし」
はい、この二年で漸く創星龍が調整を終えたと出てきたのだがやっぱり覚醒イベントがありました。創星龍に案内された先で属性龍たちに会うことになったのだがやっぱり簡単に力を貸してくれるはずもなく、それぞれの試練を乗り越えた結果、力を宿していった。以下、その属性龍になる。
光の属性龍『聖皇剣龍(シャイニング・セイバー・ドラゴン)』
最初に目覚めた属性龍。性格は割と冷静そうで物静かだったのだがあまりにも人を見下す態度を持っていたので思いっきり顔面をぶん殴ってやった。
そういう舐めた態度はよくないよね?
この後無茶苦茶殴った。そしたら泣いて謝ってきたのでそこで許してやった。俺を主と認めたのかその場には光り輝く大剣が突き刺さっていた。それを掴み抜いたことで漸く光龍は俺の一部となったんだそうで。どうやら属性龍に認められると神器が残るみたい。しかし内の中でもまだ泣き止まない光龍。ちょっとウザい。
闇の属性龍『闇皇逆襲龍(ダークネス・リベリオン・ドラゴン)』
二番目に目覚めた属性龍。いきなり攻撃してきたので思いっきり蹴りぬいてやった。この後の展開は光龍と一緒でした。
気に入らないからって暴力振るっていい理由にはならないよね?お前が!謝るまで!殴るのを!やめない!!
それをどれくらい続けたか忘れたけど気が付けば紫と黒の大鎌が残っていたのでそれを回収。闇龍もゲットしました。なんか光龍に慰められていたけどお前らが悪いんだからな?
炎の属性龍『紅皇魔灼龍(スカーレット・タイラント・ドラゴン)』
三番目に目覚めた属性龍。性格は外見に似合わず大人しかったです。まさか俺の体を心配されるとは・・・勝負はお互いに全力の一撃を放つこととなった。俺の一撃は炎龍の御眼鏡にかなったようで地面には両刃の戦斧が残っていた。それを回収し炎龍を一部とした。
水の属性龍『水皇蘇生龍(アクア・ライフストリーム・ドラゴン)』
四番目に目覚めた属性龍。他の龍より細身で女性的な姿をしていた。性格も慈母的だったのだが試練として一戦することになった。しかし問題が一つ。物理攻撃が全く効かない為、魔法戦となり久しぶりに最上級の魔法を使う羽目になった。呪文連装も駆使し切り札も切ったところで漸く俺を認めると水の槍が突き刺さっていた。それを手に取ると水龍は小さく笑って主がただの脳筋じゃなくてよかったと言われた。失礼な。
風の属性龍『風皇結晶龍(クリスタル・ボルテックス・ドラゴン)』
五番目に目覚めた属性龍。とてもノリのいい性格をしており試練は普通に試合した。常に高速で飛び回る風龍に最初苦戦したが、ショートジャンプとグレイプニルで捕獲し無理矢理地面に引きずりおろすことで試合は決着がついた。残った神器は透明な刃を持つ双剣。これで残りはあと二体。
土の属性龍『地皇核熱龍(グランド・アトミック・ドラゴン)』
六番目に目覚めた属性龍。他の属性龍よりも一回り大きいその龍は出会ってただ一言。「戦え」だった。迫りくる大量の生態ミサイルを掻い潜りながら接近。拳を叩き込むが対して効果がなかった。そこでアイテムボックスからメイスを取り出し強化魔法と合わせてぶん殴ることでダメージを与え続けなんとか勝利した。手に入れた神器はハンマー。これで後一体。
雷の属性龍『雷皇壊滅龍(ライトニング・クライシス・ドラゴン)』
最後に目覚めた属性龍。こいつが一番やっかいだった。まず言葉が通じない。常に暴走している状態だった。羽ばたく度に雷撃が落ち身を焼かれそうになったが何故か途中からダメージを一切受けなくなった。あとは一方的な戦いになってしまい最後は作業になってしまった・・・崩れ落ちる瞬間の悲しそうに鳴いた声に申し訳ないように感じた。神器の刀を手に入れこれで全属性龍は全て手に入れた。
この七属性龍を取り込んだことで創星龍も完全な力を取り戻している。
本人いわく創星皇龍(セイヴァー・クェーサー・ドラゴン)という究極体になったんだとか・・・ところですべての龍の名前がなんか中二病っぽいんですが?そこはつっこんだら負けなんだろうな・・・
「ようやくこれで俺の力も完全に戻ったってことだよな・・・」
『ふむ。さすがに全力を出すには体が出来上がっていないからな。もし全力を出すときは言え。我が鎧を与えてやる』
「鎧?」
『まあ、楽しみにしておくがいい』
どこか楽しそうな創星龍に肩を竦め、ミッドチルダに向かう為の空港へと向かった。
時間軸はここから原作へ。といってもまだアレが見つかってませんからもう少しですかね。