復活! 赤生@ちゃんねる   作:聖杯(狂)

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キャス狐の苦悩

「――ギルガメッシュよ、頼もうっ!」

 

――む?

 

「だから何で自分から危地に突っ込んでいくんですのよっ! 私は逃げますわよ!?」

「逃げるな、其方も一緒に来るのだっ」

 

我が協会の屋根に腰掛け、優雅な一時を過ごしていると、|我が宝具が反応し、外からそんな声が聴こえて来る。

協会前の階段に目を向けると、千里眼で何時かの未来で視た二人組の姿が――

 

……あ奴ら、平行世界の未来から一体を何しに来たのだ。

 

「貴様ら、此度の聖杯戦争で召喚された訳では無さそうだが――何故顕現している?」

「うむっそれは余にもよく分かっては居らぬが、この時期に顕現したという事は、少なくとも聖杯が関与しておるのだろう」

「……聞くまでもなかったな、まぁあの穢れている聖杯の事だ。珍事件の一つや二つ起きてもおかしくはないが」

 

元々欲望と悪意で穢れている聖杯なのだ、出来栄えは確かに素晴らしいものだったが、中身がアレではな。

 

「穢れているって……そういえば前にそんな事も言っていましたわね」

「アレは世に災いを齎す為だけに造られた器だ。しかしよりにもよって貴様らを召喚するとはな……して、(オレ)に何の用だ?」

「何、少しアレを貰おうと思うての」

「……はぁ、あの金ぴかがそう簡単にくれるわけ無いでしょう」

 

……どうやら、奴は態々(オレ)にエリクサーを得に来たらしい。まぁ此の全世界を探しても我しか持って居らんだろうから態々来たのだろうが。

 

「……ふむ、エリクサーか。貴様らが飲むのなら、まあやらん事も無いが」

「おぉっ! 其方、やはり気前が良いのぉ」

「えぇ!? かの英雄王が人……ではありませんですけれど英霊に!? 夢じゃありませんわよね!?」

「その代わり、貴様らがやろうとしているその余興に(オレ)も混ぜろ」

「うむっ、よいぞっ、其方は特別にゲストとして向かい入れるとしよう。――アチャ男(無銘)はまた暇な時にでも呼べば良かろう」

「……戦闘にならなかったのは良かったですけれど、まさか一緒に生放送する事になるなんて、予想外にも程がありますのよっ!!」

 

女狐めが此処でも中々に良い"ツッコミ"役として機能しているようだ。

こ奴(皇帝)が自らやろうというのだ。"生放送"とやらも、我を楽しませてくれるものに違いあるまい。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

赤王邸にて、

 

「……んんん? 何で私、座から出ているワケ? ていうか此処何処かで見た事がある部屋ね……何々?」

 

私は点きっぱなしのパソコンを何とか操作して、此の部屋の主を理解する。

 

「あかなまあっとちゃんねる……宿敵(とも)セイバーの部屋ねっ! こんな所にアイドルである私を放置するなんて許せないわ! 生放送で歌配信勝手にしーちゃおっと♪」

 

そう思い、パソコンを弄っていると、私の洗練された耳が、家の外からよく知る者の声を聴き取った。

その声が家へ段々と近づいてきて、家の扉が開く――

 

「ただいま帰ったぞ我が根城よっ!!」

「でも何か英霊の気配するんですけど、また誰か呼び出されてますわよ」

 

廊下を通り、家の主が自室の部屋を開けると、

 

「むむっ!」

「これはっ!!」

「誰も居ないっ!!?」

 

予想通りの二人が目に入ったので、私はコッソリと裏に回り、あたかも一緒に帰ってきたかのように混ざり込む。

 

「いえ、そんなさっきから一緒に居たみたいな感じで言っても分かりますから、エリザベートさん?」

「あら、バレちゃったわ。でも、やっぱり貴女達だったのね!」

「やはり其方も呼ばれたのだなっ! ドル友よ!!」

「え、えぇっ、此の業界では大先輩とはいえ、貴女に生放送で先を越されるワケにはいかないからねっ!」

 

ドル友は、う、嬉しいけど、アイドル候補生としていずれは貴女を越えるんだからっ!!

 

 

 

あれから数分が経ち落ち着いた私達は、キャス狐(玉藻の前)による状況の説明を聞くことにした。

 

「では、まず今現在分かっている情報を整理しますわ。この世界は以前の月の聖杯戦争が起こった世界とは異なる平行世界、アチャ男さんが生前居た世界である事が分かりました」

「へぇー、……あのヘンタイに聞いたの?」

「いいえ、A・U・Oですわ」

「っ何でアイツも居るのよ! ってかあの露出魔ほんっと何処でも居るわね!」

「まぁ聖杯戦争の半分以上に出てきてますからねあの人……っと話を戻して、此の世界に呼び出された理由は不明、英雄王さんによると、聖杯が私達を呼び出した可能性が高いそうです」

「聖杯ってムーンセルみたいなものよね? 何で聖杯が私達を呼び出すのよ」

「そこまでは詳しくは聞いていませんわ。元々エリクサーを貰いに行っただけでしたし」

 

キャス狐の視線の先は、セイバーの左手に下がっている白い袋に向けられていた。

 

「エリクサーって確かあれよね、すっごい美味しかったジュース。それってアイツのだったのね」

「そうだぞっ! 余も生前あれ程甘美なものは飲んだ事が無かった故、つい欲しくなるのだ」

「……貴女達前々からジュース扱いしてますけど、それ凄く貴重なモノなんですからね」

「それぐらい分かっておるっ! さて、キャス狐の瑣末な話はさておき、生放送をするぞっ!」

「……あ、そういえばセイバー達が来る前に放送開始したんだった」

「何をして居るのじゃこの戯けっ! 復活第一回目の放送が放送事故になってしまったではないかっ!」

「いーじゃない別に、復活前も何だかんだグダグダ雑談してただけじゃないっ!」

「……そういえばそうだったな。エリよ、怒鳴って済まんかった」

「え、い、良いわよ、頭なんて下げなくても、分かったわ」

「そうかっ! 其方は優しき竜に生まれ変わったのだな!」

「でも人は食べるわよ」

「食らう人を選べば良いだけの事――

 

 

 

 

 

「……やっぱりこの二人が来ると疲れますわ。あ~あ、喉も乾きましたし冷蔵庫にあるジュースでも飲んできましょう」

 

 

――何処に行っても、この二人はやっぱり煩かった。

 

 




筆者はFate/シリーズはstay nightぐらいしか余り知らないので、
wikiと赤生@ちゃんねるから情報を得ながら書いています。
そのせいで一話書くのに何時間も掛かってます。
更にやる気が出ないときは全く書きません。
ですので次話も本当にいつになるか分かりません。










キャス狐「どんだけ予防線張ってるんですか。そんなに書くのが大変なら貯めて、纏めて一気に出せばよろしいでしょうに」
エリザベート「どうせ投稿しないと書くモチベが上げられないんでしょ。そのくせ、投稿するのにも躊躇するほどのチキンだし、私が食べてやろうかしら」
ネロ「うむ、食べてよしっ!」
主「やめてぇぇえ……」


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