夕暮れ時、車の往来があまりないこの道に、肩を並べて歩道を歩く男女。その二人は笑顔で、恋人のように仲良く見えた。
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「んー!今日も疲れたなぁ~!」
大きく背伸びをする有希と同じ歩幅で歩く。
「疲れたとか言ってるにしては、全く見えないんだけどねぇ?」
「疲れたと言っても私は元気いっぱいだよ~。」
ニッコリと笑うその横顔は、夕日に照らされてなのか・・・いや、夕日に照らされて尚一層美しく見えた。
「元気だ元気だって言ってるけどさ、ひとつだけいいか?」
「ん~?な~に~?」
「まず、お前は体育のある日は勉強しないだろ?」
「うん。」
「それで、今日体育があったわけだ。つまり今日は勉強しないつもりだよな?」
「うん。」
何を当たり前のことをと言わんばかりで首を傾げてる有希。あー、コイツ忘れてるな。
「前に生物の課題多く出されたろ?」
「・・・うん。」
だんだんと表情が固まっていく有希。忘れてた上に予想通りなことになりそうだ。
「提出日は明日。勿論終わってるよな?」
「・・・・・・・・オワッテルヨ?・・・・・・・」
「目泳いでるぞー?こりゃ本当に終わったな。」
「タカえもん!タカえもん!私に秘密道具を!」
「誰が青狸だバカ。やってないお前が悪い。ってか頭いいんだからすぐ終わるだろ。」
「あんなの終わんないよ!徹夜してギリギリだよ!ゲーム出来ないよ!」
「ならゲームをするなよ。」
「貴様!裏切るつもりか!?」
「ボケてる暇あったらとっとと帰ってやれよ。」
「・・・認めたくないものだな・・・・若さ故の過ちとやらを・・・。」
「お前はどこの彗星だっ。」
「アイテッ」
有希の頭にチョップを食らわす。が、やっぱり諦めない。
「お願いだよ~。」
「嫌だ」
「ケチ!運動音痴!」
「関係無いだろ!」
「べ~だ!手伝ってくれなきゃ言い続けるもんね~だ!」
「・・・ハァ~・・・ちょっとだけだからな?」
「流石だよ!それじゃ早く帰ろ!」
自分の甘さにも色々呆れつつ、競争だ~とか言ってる有希の後を追う。甘やかしすぎても駄目とはわかってるんだけどなぁ。
「早く~!」
と後ろ向きで走りながらニッコリ有希。コイツ・・・・・運動音痴なのわかってるのに、走らせやがって。と手伝うの辞めようかと思うが一度言ったことは曲げるつもりはない。じいちゃんの教えだしな。
そんなとき有希よりも奥からトラックが走って来る。車の行来なんて当たり前のことを誰が気に止めるだろうか。
その当たり前に何故気を付けなかったのだろうかと後に後悔することになる。
そう。あと十秒程度で自分達の横を過ぎるという時だ。気付いたのだ。そのトラックの運転手が寝ているということに。気付いたのその刹那、そのトラックは歩道に入ってきた。そこからの時間は1秒だったのかもしれない。けれどその時間が長く感じられた。大きな音と共に歩道に入ってきたトラックに気が付いた有希はトラックを見たまま動けなくなっていた。このままでは有希が死んでしまう。運動音痴な俺でも反射的に体は動いた。目の前で失った両親を思い出し、振り払う。あんな思いは、可能なら二度としたくない。人はいつか死ぬ。
だからこそ
その死を
今有希に
させたくなかった。
しかしあと数歩で届くと言うとき、まるで時間が止まったかのように体が動かなかった。そう。本当に時間が止まったように動かなかった。片足を付いたまま絶対に自身の体だけではたてないようなバランスで止まったのだ。そう、走っていたとき新たに片足を地面に着く瞬間に空中で止められている。何故と考えてもトラックは迫り来る。
動けよ!と思い体を動かそうとしては激痛が走る。何故など考えることなく叫ぶ。
「動けええええええええ!!!」
そして体が動き出す。もうどうでも良かった。体が動いた。これで助けられる。そう考えた・・・というより本能的に感じたのだろう。有希の肩と両足を持ち、斜め後ろにあった家の門の上に飛ばす。人様の庭に入らせてしまうのと、怪我をさせてしまうことに少し不快を感じるが死ぬことはないだろう。上手く投げれたものだ。人間の馬鹿力とはすごいなと思うのと同時に、後ろからの衝撃と共に目の前が暗闇になった。
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「・・・・・」
目を開けるとそこには一面白い床、白い壁、白い天井。立方体のような場所に立っていた。何故と思いつつも段々と意識が覚醒していく。
「!?・・・有希は!?おい!有希!どこだ!?」
辺りには誰も居ない。あぁひょっとして死後の世界ってやつか?と思うが、箱のなかに入れられたまんまのというのは些か奇妙に感じた。そんなとき後ろから不意に
「おい、人間よ。」
「!?・・・誰だ!?」
「うるさい奴だ。少しは静かにしろ。」
後ろを振り返るとそこには白髪混じりの40代位の男性が立っていた。
「・・・だったら説明してくれるでしょうね?。」
「ほう。理解が早いな。まぁいい、座れ。」
言われるがままに正面に座る。
見た目的に歳上なのはわかるが、警戒を解くかと言われたら全く別問題だ。
「ま、警戒すんのは仕方ねぇか。」
「取り敢えず説明してくれませんか?」
「そうだなぁ・・・。お前さん、何処まで覚えてる?」
「トラックに轢かれたところまでです。」
「それならいい。単刀直入に言う。お前は死んだ。」
「・・・はい。」
「意外だな、嘘だ!とか言わねぇんだな。」
「それより有希は?無事なんですか?」
「・・・まぁ軽い擦り傷とか程度だな。」
「・・・良かった、無事なんだ・・・。」
有希の無事に安堵のタメ息を溢す。しかしその安堵が疑問へと変わる言葉を言われる。
「まぁ擦り傷でも死んでねぇから無事か。お前のせいで。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
「そのまんまの意味だよ。」
「そのまんまですか?何故そこに自分のせいだと罵られるのか理解でないんですが?」
そうだ。目の前の男はお前のせいでと言ったのだ。何故有希は死んでいないのに、あたかも死ななかったことを悔しむような言い方なのだろうか。
「まぁ聞け、まず俺の正体から教えてやるよ。まなんだ、お前らが言うところ神ってやつだよ。」
「ますます理解できませんが?」
「まぁその反応が普通だわな。良かった。どうやら人間ようだな。流石に疑わなかったら精神を疑うな。」
「で?そんな大層な身分の貴方は、神様は何故罵るのでしょうか?早急に教えていただけますか?」
皮肉混じりに伝えると神は、まぁ証明するしかねぇかな?と呟き手を叩く。すると周りの景色が一変し宇宙になった。神様と名乗る男の後ろには太陽。そして自分の後ろには地球。驚きを隠せなかった。
「ま、これで神って認識しなくても、人間じゃねぇのはわかったよな?」
そんな問いかけに頷くしかなかった。
「で、続けるぞ?」
「はい。」
「由依崎 有希は本来、あの場所であの時間、トラックに轢かれ死ぬはずだった。それをお前が変えたんだよ。変えてしまったの方が正しいな。」
「どういう事ですか?」
「これはお前、孝也の居た島に関係するんだよ。あの島は・・・・・っといけねぇ忘れてた。」
また神様が手を叩くと今度は目の前にちゃぶ台とその上にお茶請けとお茶が出される。
「話が少し長くなるからな。ゆっくり聞いてくれや。」
先程までとは違い笑みを浮かべる神様。
「で、あの島の名前はなんだ?」
「神遊島です。」
「その名前の由来は?」
「神様が遊び作るかのように短期間で出来た島・・・・・・だったと思います。」
「あってるあってる。確かに由来はそれだ。但し人間ではの話だ。」
「・・・・・・どういうことです?」
「あの島の本来の、本当の由来はな
ー神が人で遊ぶために作った島なんだよー
ありがとうございました。