【登場人物】
♪あおい
人間不信で恋愛にトラウマがあり当分恋愛をしていない
♪ゆま
彼氏がいるけどもう別れたいと思っている
♪きりと
彼女がいるけどもう好きではない
私はあおい。人と話すのも人と仲良くなるのも苦手。ましてや恋愛なんて…もう嫌だ。もうこれ以上私が傷つくなんて、誰かを傷つけるなんてしたくないから。
夏休みのある日、私に春が来てしまった。…遅めの春が。
「どうしよう…」
気づいてないフリをして、迷いに迷った。
────私、きりさんが好きになっちゃった
私は仲のいいゆまにそう伝えた。でも頭の中はまだごちゃごちゃして、真っ暗で…何も手繰り寄せていない。
だってあの人には…彼女がいる。好きになっちゃいけない。分かってる、でも…ダメだ。
私は認めてしまった。
それからは本当につらかった。たった2日間だったけど。
でもね、私は恋愛より友情を選ぶ。ゆまに迷惑かけたり心配させたりなんてできない…。
そして私はきりさんと電話で話していた。薄々気づいたいたんだろう。私の好きな人を伝える代わりに今までの、関わり始めた頃からのことを教えるって言われた。
私は答えに気づいていた。きっとゆまが好きなんだろうって。きりさんは気づいてないと思うけど、ずっとゆまの話してたんだよ?
「あおいの好きな人は…────?」
「ごめん、聞こえなかったからもう一回言って?」
聞こえてたけど答えるのが怖かった。これで関係が終わってしまうのかなって。
もう一回、もう一回…そう思ってもきりさんは言わなかった。
私が言うしかない、終わらせるしかないって思った。
「私の好きな人はきりさん」
「あー…うん」
終わった。分かってた。なのに…なんで涙が止まらないの?胸が苦しくなるの?
「話せること話して?私に教えて」
泣いたまま震えた声でそう伝えた。
きりさんは迷ってるような声で、
「俺は傷つけることしかできないんだね」
と言った。
「私は大丈夫だから、話して…もう落ち着いたし」
そう言ってもほんとは苦しくて泣きたくて、答えが分かってるからゆまに嫉妬した。悔しかった。でも初めから知ってた。それなのに好きになったのが悪いんだよ。…そうやって落ち着かせた。
「俺は揺れてる」
私は分かっていたから何も言わずに続きを待った…ううん、その天秤に私がかけられていることを心の奥底では願っていたのかも。
「ゆまが好きか彼女が好きか…」
…やっぱり私に勝ち目はないんだ。分かっているのにまた涙が溢れた。
「ゆまも俺のこと好きって言ってくれて、彼氏と別れることができたら付き合う約束をしてる」
「…うん」
最低限の返事しかできなかった。
苦しい…なんで…やっぱり私じゃ無理なの?
「そっか…でも彼女のこと好きなんじゃないの?」
「好きじゃないと思う」
…私は何をしてるんだろう。こうやって優しくアドバイスして支えたら私に傾くかな、なんてやましいこと考えてる。最低だ。
────ゆまは好きな人いる?
────ん!?なんで!?
どうしてすぐに否定しないの…?怖い…私の大切な友達なのに…なんだか信頼できなくなりそう。
私はきりさんと話しながらゆまに聞いていた。
────ゆまはきりさんが好き?
────なんで笑
ほら、どうして否定も肯定もしないの…あ、そっか私も最低だ。何も言わずに聞き続けるなんて迷惑だよね。ども、理由なんて言えない。
────そうなのかなってなんとなく
────そっか!
…私はもう友達だと思えないのかな。大切なのに信じられなくなりそうになる自分が嫌だ。
それでも……答えは知りたい。知っておきたい。
────最後に聞かせて…きりさんが好き?
────好き!
あ…。
心の中の鉛が一瞬でなくなった気がした。
やっぱりゆまは、私にとって大切な人だ。裏切ったりなんかしてない。
でもゆまは私のことを気遣って言えなかったんだ。つまり私がひどい人なんだよね。
まだ前のようには信じられないしテンション高くいられないけど、さっきより心が軽くなってた。
────ありがとうゆま。それだけで十分だよ
私は気づいたらそう送ってた。もうこれで苦しくない…はず。
────私の分も幸せになってね
これは私の本心。そして私は奪わないという自分への戒め。