機動戦士ガンダムseedサンシャイン!!~the another world of Love Live!~ 作:Niku-ROM
「うわぁ、緊張するなあ。」
私は今日、軍で開発されたアクアという名前の新型艦、その艦長就任式の為にとある中立プラントに来ていた。
本来艦長はもっと上のクラスの白服の人がやる職で、新入りの私なんかが任される職じゃないんだけど軍の人員不足もあってアカデミーで艦長職コースを選択していた私が臨時で艦長をやることになった。
新人の私は艦長という仕事とこれから預かる艦のクルー達の命の重さに押し潰されそうになっていると、馴染みのある声が聞こえてきた。
「あれ、曜?久しぶりだね。どうしたの?こんなとこで」
「あっ!果南ちゃん、久しぶり。渡辺曜、本日新型艦の艦長就任式なのであります!」
幼馴染みの松浦果南ちゃんは私よりも少し前に軍に入った2年上の先輩で、もう一人の同級生の幼馴染み、千歌ちゃんと一緒に仲良し3人組として地元では有名だった。
私から新型艦の艦長になるという報告を受けた果南ちゃんは一瞬暗い表情を浮かべたように見えた。でも、すぐに何時もの表情に戻して
「そっかー、曜が艦長か。良いかもね、頑張りなよ!」
「うん!ありがとう!頑張る!」
「じゃ、また後で!」
また後で?艦長就任式のあとはそのままオフだった気がするけど...どういう意味だろう?
私が心に少し引っかかったものに思考を巡らせていると上官の急いだ声が聞こえた。
「ヨウ・ワタナベ!そろそろ式が始まる。」
「は、はい!すぐ行きます!」
「うぅ、緊張したぁ。」
式が終わると私の上に伸し掛っていたものが少し軽くなった気がした。でもまだまだ気は抜けない。始まりが終わっただけでこれからが本番なんだ。
「曜ちゃーん!...じゃなかった!渡辺艦長!艦見に行かない?ほら、挨拶回りもしなくちゃでしょ?」
私の心配なんて気にもしていないような元気な声が聞こえてきた。
私のもう一人の幼馴染みの千歌ちゃん。アカデミーでは同級生でパイロットコース選択。成績は...悪くないけど良くもない、いわゆる普通って本人は言ってる。でも本人は気づいていないようだけど人を引きつけるような、小隊長とかリーダーの素質がある。
「千歌ちゃん!えっと、敬語じゃなくてもいいんじゃないかな?ほら、うちの軍階級ないし。なんか落ち着かないし。」
「そうだね!じゃあ今まで通り、曜ちゃん!いこう?」
「うん!」
私達は挨拶回りに(千歌ちゃんはただ艦を見たいだけかもしれないけど)艦のあるドックへ向かった。
「うわぁ、すごい!曜ちゃん、これが私達の乗る艦?」
「えっ?いま、私達のって言った?」
聞き間違いじゃない、そうわかっていたけれど信じられなかった。私は聞き返してしまった。
「うん!新型艦所属パイロット高海千歌であります!」
「嘘じゃないよね?」
「うん!」
驚きが1割、嬉しいという気持ちが4割、千歌ちゃんの命も預かるという心配5割という感じだった。
「そんな事よりも!曜ちゃん時間大丈夫なの?自由に見られる時間って決まってなかったっけ?」
「あ、いけない。あと1時間も無いや。急ごう!千歌ちゃん」
私達はまず艦のブリッジに行くことにした。
「やっぱり緊張するなあ。」
「何言ってるの!曜ちゃんはもう艦長さんなんだからね!ちゃんとしてなきゃダメじゃん!」
そうだ。私は艦長になったんだから艦長らしくもっとしっかりしていないと。
私はドアを開けると元気よく、
「この艦の艦長に就任しました!ヨウ・ワタナベです!よろしくお願いします!」
「あらあら。随分とシャイニーな艦長さんね!」
私の挨拶に一番に反応したのは金髪の、果南ちゃんと同じくらいの歳の女の人だった。
「よろしく!小原鞠莉よ。マリーって
呼んでね!」
「あ、よ、よろしくお願いします。」
「鞠莉さん、なんですの?その挨拶は。しっかりしたあいさつをした方がよろしいんじゃなくて?相手は年下とはいえ艦長ですわよ。」
ハイテンションでフランクな挨拶に異を唱えるのは黒髪の日本人形って感じの綺麗な人だった。
「黒澤ダイヤですわ。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。もしかしてこの艦には日本人が多いんですか?」
日本人が多いというのはなんとなく感じていた疑問だ。
「ええ、名簿見ましたの?」
「いや、まだですけど...」
「貴女艦長としての自覚がありますの!?艦のクルーの名簿も見ていないなんて、ありえませんわ!」
ダイヤさんのお説教は途中までしか聞くことができなかった。
大きな音、それから規則的な人工の音、赤色の光。
それらが敵襲によるものだと気がつくのに少し時間がかかった。
『新型艦、聞こえますか?今すぐ宇宙へ出てください!』
ダイヤさんが応える。
「でも、まだテストも何もやってないじゃありませんの!そんな状態で飛ぶなんて無謀すぎます!」
『それでも軍の機密が敵に渡す理由には行かない!それにその艦はカタログスペックでは飛べるはずだ!』
「わかりました。やってやろうじゃありませんの。曜さん、艦長席に!操舵は私が!鞠莉さんは艦内にアナウンスを!」
『艦内に居るクルーは全員どこかに捕まって!』
私は艦長席に着くと、
「Aqour、前進微速!」
と掛け声をかけた。
突如襲撃されたプラント、その時はまだ小さな火種で。
次回第二話「出航」
敵隊の攻撃を切り抜けろ!Aqour!