桔梗SIDE
今日はみんなで温泉旅館に来ていた。その話を聞いたときはてっきり勇者部の依頼かと思ったけど、話を聞く限り、度重なる戦いや勇者部の活動で疲れた身体を癒そうとのことだった。
「それにしても、よくこんな旅館見つけましたね。先輩」
「私が見つけたわけじゃないわよ。大赦が用意してくれたのよ」
「お姉ちゃん、何度も大赦に連絡して頼み込んでましたから」
何というか大赦も変に拒否していたら、ストでも起こされるだろうと思ったんだろうな……
「あの、お父様。本当に旅行とかいいのでしょうか?」
「牡丹、休める時に休まないと大変だから……」
「そうですね……」
それなりだけど牡丹と仲良くなれてよかったかもしれない。まぁずっとギクシャクしているよりかはマシだけど……
「ん?何かしら?神宮くん」
僕が見つめているのに気がついた姫野。この人との関係もな……でも、あんまり似てないし……
「いや、知り合いと同じ名前で……」
「知り合い?お互い別世界の人間なんだから同じ名前の人がいるんじゃない?あんまり気にしない方が良いわよ」
姫野の言うとおりだけど……でもな……
「それよりあっちどうにかしたら?」
姫野が指差した方を見ると、何故か風先輩が怖がっていた。何でまた……
「あの、ただこの山に伝わる話をしただけなんですけど……」
「この山の紅葉は、昔とある恋人同士が心中した時に出た血で染め上げられたものっていう伝承が残ってるんだよ~」
「ロマンチックなお話なんですけどね……」
まぁ受け取り方次第ではロマンチックには聞こえるし、ホラーにも聞こえるな……というか本当の話なのかちょっと気になるけど……
「先輩、とりあえず今日はのんびりしましょう」
「そ、そうね。せっかく来たんだから怖がってたら駄目よね。よーし、温泉楽し……」
突然みんなの端末から樹海化警報が鳴り響いた。何でタイミング悪いんだ……仕方ない。がんばりますか
襲ってきた敵は星屑のみだった。特に中型や大型、キキョウたちの姿はなかった所、大きな目的はないみたいだな。
「とはいえ、数が多いな」
僕は大鎌を振りながらそう言う中、姫野はポケットの中から手鏡を取り出した。
「面倒ね……杏ちゃん、東郷ちゃん、須美ちゃん。鏡に攻撃を当てて」
「えっ?どうして……」
「いいから、他の子達は下がっているように」
「よくわかりませんが……」
「やってみます」
三人が姫野の言うとおり鏡に攻撃を当てると、当たった攻撃を鏡が反射した。反射した攻撃は敵を貫き、更に現れた鏡に当たり、また反射した。三人の攻撃が反射を繰り返し、無限に続いていった。
「鏡の反射を利用した攻撃よ。ある程度の敵ならコレで殲滅できる」
鏡が消えると同時に周辺に集まっていた敵を殲滅し終わっていた。何というか本当にすごい攻撃だけど、姫野って何者なんだ?
「姫野のおかげでなんとかなったわね」
「あれ?夏凛ちゃんの姿なかったけど……」
友奈の言うとおり、夏凛の姿がなかった。確か敵が来る前にトレーニングに行くって言ってたけど、合流できなかったのかな?
「戻ったら探してみよう」
樹海化も消え、僕らは夏凛を探すことになった。旅館周辺には姿はなく、山の方を探すと夏凛が倒れているのを発見した。
「夏凛ちゃん!?どうしたの!?」
「結城ちゃん、待った。動かさないで……」
夏凛を抱き起こそうとした友奈を止める姫野。姫野はそっと夏凛の体に触れると……
「息はしている……特に命に別状はないけど……とりあえず頭を打った様子もないから、運びましょう」
「う、うん」
僕らは夏凛を一旦旅館に運ぶのであった。