桔梗SIDE
僕らは樹海でバーテックスの群れと戦っていた。何でいきなりこんな事になったかというと遡ること数十分前
「邪魔ばっかりする子だね~ここで私を倒すっていうのかな?」
「そうだよ。勝ってもうパパに近づかせないから」
「いいね。でもここじゃ狭いからちゃんとした場所で戦おうか」
赤嶺が指を鳴らした瞬間、樹海化警報が鳴り響いた。造反神の勇者だからバーテックスを操れるっていうことなのか?
「ここにいるみんな、対人戦闘になれてないみたいだし、折角だからルールを設けるよ。ルールは簡単、私が負けを認めたらあなた達の勝利、色々と気になってるだろうし質問に答えてあげるけど、そう簡単に私と戦わせないから」
赤嶺は笑顔でそう告げ、姿を消した。そして僕らは樹海に訪れると同時にバーテックスの群れが迫ってきていた。
「前哨戦に勝利すれば戦ってあげるっていうことか」
「それにしては数が多すぎない?」
先輩の言うとおり、数が多すぎる。僕らを弱らせるのが目的か?とはいえ……
「勇者パンチ!!」
友海が迫り来るバーテックスを殴り倒していく。このまま全滅させることも可能だな
「上里くんは大丈夫かしら?」
千景が敵を倒しながらそう言う。未だに固まったままの海は部室に置いてきたけど、どんだけショックだったんだよ。
「あいつ、女の子にキスされて固まるってどうなのかしら?」
「意外と純粋なんですね」
「純粋なのか?」
樹が言う純粋と僕が思っている純粋はちょっと違う感じがするな。というかあいつの場合彼女に似ている女の子にキスされて、浮気してしまったとか思ってるだろうな
「………妙だな」
「若葉も感じた?」
若葉と雪花の二人が何かを感じ取っていた。何だ?なにかおかしなことでもあるのか?
「ふたりとも感じたんだね。敵の動きがおかしいってことに」
「姫野……あぁ、どうにも敵は私達を倒そうとしていると言うより……」
「足止めしてるって感じよね」
足止め……ということは赤嶺の目的は……
「やばいぞ!?赤嶺の狙いは………」
園子SIDE
「皆さん大丈夫でしょうか?」
「きっと無事戻ってきますよ」
「何だか戦えないって一番辛いよ~」
私は未だに固まったままの海くんの様子を見ていた。どれだけショックだったんだろうか?でも女の子にとってはこういう反応は結構傷つく
そう思っていると突然突風が部室内に吹き、気がつくと赤嶺友奈ちゃんがいた。
「やっほ~みんな思ったとおり出払ってるね~」
「赤嶺友奈さん!?まさか……」
「そう上里ひなたさん。貴方の思っている通り、私の狙いはあなた達巫女だよ。挑発に乗せやすい子がいて助かったよ」
「それじゃみんなは……」
「今頃気がついてるだろうけど、私が放ったバーテックスに足止め喰らってるよ」
赤嶺友奈ちゃんはゆっくりと私達に近づいてきた。ここはやっぱり私が頑張るしかない。
私は赤嶺友奈ちゃんの前に出た。
「何?勇者に変身できないくせに出しゃばるの?」
「実はそうじゃないんだよね~変身」
私は勇者に変身し、槍を赤嶺友奈ちゃんに向けた。
「あれ?出来るようになってたんだ。まぁいいか。一番の目的の海くんを連れ去るのを優先しようかな」
「させないよ!!」
私は槍で攻撃をするが、ひらりと赤嶺友奈ちゃんは避け、海くんに近づいた。
「会いたかったよ。海くん。貴方に……」
海くんに触れようとした瞬間、赤嶺友奈ちゃんの身体がワイヤーで縛り上げられていた。
「ふぅ、捕縛完了」
「あれ?気がついてたの?」
「あぁ、少し前からな。人にいきなりキスするなよ」
「だって好きだから……」
「悪いけどお前のことは全く知らないんだが……」
海くんはそういった瞬間、赤嶺友奈ちゃんは悲しそうにしていた。
「そっか、まだ出会ってないんだね。ううん、出会うことはないんだよね」
「どういうことだ?」
「海くん、私はね」
「見つけた!!」
突然部室の扉が開き、ゆうちゃんがワイヤーに縛られた赤嶺友奈ちゃんを殴り倒した。
「ひなた!?」
「みーちゃん、無事?」
「若葉ちゃん」
「うたのん、それにみんな……」
「たくっ、倒すのに苦労したわよ。まさか狙いが巫女だなんてね」
「ありゃ、もう追いついちゃったか」
いつの間にかワイヤーを抜け出した赤嶺友奈ちゃんが指を鳴らした瞬間、世界が樹海に変わった。
「パパに近づけさせない!!師匠直伝!!爆裂・勇者パンチ!!」
まばゆい閃光とともに爆発が起き、赤嶺友奈ちゃんが包まれた。何だかやりすぎな気がするけど……
「友海、やりすぎよ」
たんちゃんが注意する中、ゆうちゃんは険しい表情をしていた。この子、こんな顔できるんだ
「外れた……」
「ふふ、流石は未来の勇者だね。でも未来の勇者だけの特権じゃないんだよね。その魔法は……あと外れてないよ」
あの爆発の中、無傷の赤嶺友奈ちゃん。まさかと思うけど……
「お前、まさか……」
「海くん、貴方の思っているとおりだよ。私はあの世界に来て、自身の勇者システムを改造して……扱えるようになったんだよ。でも今回は引き分け。またね」
赤嶺友奈ちゃんはそう言い残して、姿を消すのであった。あの子は本当に何者なのだろうか?
「……出会うことがない……まさか」
かいくんは彼女が言った言葉を聞いて、何か思い当たっていた。
「次は負けないんだから」
友海ちゃんは悔しそうにしながら、彼女が消えたほうを見つめるのであった。
赤嶺友奈のことは追々やるつもりです。
次回からの誕生日イベントの話をやる予定ですので、お楽しみに