花結いのきらめき・二人の勇者の章   作:水甲

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今回は誕生日イベントになります。誰の誕生日かはもちろん


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海SIDE

 

赤嶺友奈と僕との関係を調べているときのことだった。突然端末から聞いたことのない音が鳴り響き、見てみると緊急招集と書かれていた。

コレは一体何が起きたんだ?

 

僕は慌てて部室に行くとみんながすでに集まっていた。

 

「何が起きたんですか?」

 

「海、私達にもわからない」

 

「ひなたと水都は何か聞いてないの?」

 

「いえ、何も」

 

「神託もないですし……」

 

「その件について私の方から説明します」

 

遅れて入ってきた東郷がそんな事を言いだした。東郷はこの場にいない友奈以外を確認し、

 

「今回皆さんを集めたのは緊急会議を開くためです」

 

「緊急会議?一体何が……」

 

杏さんがそんな事言う中、僕と先輩はあることに思い当たった。もしかして……

 

「海、今月って3月だっけ?」

 

「はい、それに東郷のこの暴走は……」

 

「今回の議題は今月21日に友奈ちゃんの聖誕生日です」

 

やっぱりか……もしかしてこの緊急招集も東郷がハッキングかなにかしたのか?よく怒られないな……

 

「結城の誕生日か。それだったらいつもどおりサプライズとかでいいんじゃないのか?」

 

「若葉さん、却下です」

 

却下されて落ち込む若葉さん。落ち込まないで下さい。今の東郷は思いっきり暴走していますから

 

「友奈ちゃんの誕生日ですよ。ここは盛大な祭りにしないと」

 

祭りに昇格されたよ。僕としては普通にパーティーを開くっていうのは良いかもしれないけど……

それに気がついてないけど今月って友奈だけじゃないんだよな……

 

「美森、ちょっといいか?」

 

「桔梗くん、何か案があるの?」

 

「いや、案というか今月は友奈だけじゃなくって海も今月じゃないか?」

 

桔梗さんの言葉を聞いて、全員が僕の方を見た。いやだって、言いにくいから言わないでおいたんだけど……

 

「パパ、お誕生日おめでとう」

 

「友海、ありがとうな。僕の場合はもう過ぎてるし気にしなくても……」

 

「駄目よ。海くん」

 

却下されたよ。東郷の中では今回の主役は友奈だし、気にすることないのにな……

 

「海くんの誕生日を祝わないって知ったら、友奈ちゃんはとても悲しむわ。だったら海くんも含めて盛大にやらないと」

 

う~ん、本当に気にしなくていいのに……

 

「というわけで海くんには悪いけど、少し出ていってもらうわ」

 

話し合いに参加することを許されず、僕は部室から追い出されるのであった。何というか暴走東郷は本当にすごいな……

 

「さてどうしたものか……友奈でも足止めしたほうが良いか?」

 

とりあえず友奈のところへ行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈に居場所を聞くと教室にまだ残っているみたいだ。僕は教室に行くと友奈は何かを作っていた。

 

「友奈」

 

「あれ?海くん、どうしたの?何か御用?」

 

「いや、用ってほどのもんじゃないけど、姿がなかったから探しに来たんだよ。何作ってるんだ?」

 

「あっ、えっと……あのね、こうして二人っきりの所で渡すのって何だか恥ずかしいけど……」

 

顔を赤らめている友奈。どうしたんだ?まさか僕の誕生日のこと知ってたのか?

 

「海くんって私と同じ21日だよね。だからちょっと早いけど……」

 

おずおずと友奈が僕にプレゼントを渡そうとした瞬間、突然後ろに衝撃を受けた。

 

「うーみーくん」

 

「あれ?赤嶺ちゃん?」

 

「赤嶺!?何しに来たんだ!?」

 

こいつ、突然姿を現すから、気配とか読めないんだよな。というか邪魔しに来たのか?

 

「何って、海くんに会いに来たんだよ」

 

「あ、もしかして赤嶺ちゃんもプレゼント渡すの?」

 

「あら、結城友奈、そういうあなたは……何だか邪魔しちゃったね」

 

「ううん、大丈夫だよ。折角だから一緒に渡そう」

 

「いいの?」

 

「うん」

 

何というか敵だっていうのに、友奈はそんなの関係なしって感じだな。まぁそこが友奈の良いところだけど……

 

「「はい、海くん」」

 

僕は二人からプレゼントを貰った。友奈からは沈丁花の押し花で作った栞を、赤嶺は水色の宝石がはめ込まれたペンダントをくれた。

 

「栞と……ペンダント?」

 

「海くんが勇者に変身した時に、沈丁花の花の紋章だからいいかなって」

 

「3月の誕生石はアクアマリンだからね。それのプレゼントだよ。あと結城友奈にはこれ」

 

赤嶺は友奈にあるものを送った。それは花の種?

 

「貴方が作る押し花はすごく素敵だから……」

 

「わぁ、ありがとう。赤嶺ちゃん。大事に育てて、綺麗な押し花を作るね」

 

「ありがとう。それじゃ、私はこれで」

 

赤嶺はそう告げて、姿を消すのであった。それにしてもあいつは本当に僕にプレゼントを渡しに来ただけみたいだな。

 

「何だか普通に話しちゃったけど、いい子だったね」

 

「そうだけど……」

 

というか僕はある事を思い出した。友奈の誕生日プレゼント買わないと……普通だったらみんなと一緒に企画したから良いと思っていたけど、今回は外されたし、個人的に送らないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思い出さないか……仕方ないよね。海くんは、私が知っている海くんじゃないし……でももしかしたら記憶が継承してくれたら……いいのに」

 

 

 

 




次回も誕生日イベントです。

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