『☓月☓日、今日はあの人のために料理を作った。普段はレトルトとかそういうので何とかしてみたいけど、上里さん曰く男子は手料理を作ってあげると嬉しいものだと言う。なので頑張って作ってみたけど………味見してわかった。これは失敗だ。こんな失敗したものを彼に上げるというのはどうなのだろうかと思っていると、彼が帰ってきた。彼は私の料理をつまみ食いすると、笑顔で「おいしい」と言ってくれた』
『☓月☓日、今日は彼に一緒に寝たい。でもそれを伝えるのはかなり恥ずかしい。だけど彼は帰ってくるやいなや突然私を抱きしめ、押し倒してきた。何でこんなことをするのか聞くと私のぬくもりを感じたいらしい。私は彼にもっと……』
千景が日記を途中で閉じ、思いっきり壁に投げつけた。これは確かに投げつけたくなるけど……
「えっと……千景」
「何!!」
顔を真赤にさせながら怒ってる。いや、これはなんというべきか……やっぱりここは……放っておくべきか……
「な、なんでもない」
僕と千景の間になんとも言えない空気が流れていた。本当にこういう時ってどうすればいいんだよ。というか僕のご先祖様はどんだけイチャイチャしてるんだよ
「………桔梗」
「な、何?」
「貴方と私の関係はこれでわかったわね」
「う、うん。僕は千景さんの子孫でもあったんだね。ただ……千景さんの……」
未来に残っていないのだろうかと言おうとしたけど、僕は言うのはやめた。きっとこれは千景さんからしてみれば、未来の出来事が関係しているんだ。だからこそ言うべきではない。
「まぁいいわ。貴方の世界での私があんな日記を残したということは、私は幸せだったって言うことでいいのね」
「そうですね。未来に僕がいるんですから……」
これから先の事はまだわからないけど、僕として千景には幸せになってほしい。
千景は投げつけた日記を拾い、土を払った。
「これは上里さんに返しましょう」
「そうですね」
僕らはそう言って部室に戻ろうとした瞬間、端末から樹海化警報が鳴り響いた。僕らは頷きあい、樹海に向かうのであった。
樹海へと行くとそこには千景のバーテックス、チカゲが待ち構えていた。
「久しぶりね」
「ずっと赤嶺友奈が出張っていたから……」
チカゲと千景は大鎌を構えると、僕は二人の間に立ち、大鎌を構えた。
「チカゲ、あんたはどんな未来を迎えたんだ?」
「私がむかえた未来……」
「赤嶺は海の世界の未来から……ウミもだ。どちらも大切な人を救えなかった未来から来たはずだ。お前はどんな未来から来たんだ?」
「………」
チカゲは黙り込むと千景がゆっくりと近づき、手を握った。
「いずれ来るかもしれない未来だって言うなら、私は聞いても構わない。だって未来は変えられるから……」
「未来を変えられる……」
「えぇ、変えられる。ううん、変えてみせる」
「………この世界の私は強いね。もしもこの世界に来なかったら貴方は、私と同じ未来を歩んでいたかもしれない。だからこそ……」
チカゲはそっと自分の首筋に大鎌を当て、
「変えてみせて」
首に刃を突き刺すのであった。
僕らはただそれを見届けることしかできなかった。彼女は消滅し、僕と千景は元の場所に戻ると
「行きましょう。そして頑張りましょう。彼女が願った未来にするために……」
「協力しますよ。千景……いや海達にならってお姉ちゃんって呼んだほうがいいか?」
「それはやめて……普通に今までどおりでいいわ」
「そうですね。あいつはよく普通に呼べるよ」
海はどんだけすごい神経をしているのやら……
「……戻りましょうか。きょう」
「ん?今……」
部室に戻るとものすごい荒れていた。部室の中にはひなた、若葉、四葉さん、海の四人がいた。
「千景さん!?桔梗くん!?あの、もしかして……」
「えぇ、読ませてもらったわ。私ときょうの関係がよくわかったわ」
「そ、そうですか……隠すつもりは……ただ刺激が……」
「気にしなくていいわ。私も覚悟は決めたから……」
「さっき樹海化していたが、何かあったのか?」
「あぁ、何とかチカゲは倒したけど……いや倒したと言うより」
わかりあえたと言うべきだな。
「ん?千景さん、さっき桔梗さんのこと……」
「貴方みたいに姉呼びするつもりないわ。子孫と認めた上で彼のことを『きょう』と呼ぶことにしただけよ」
「そうですか……」
「というかお前はよく姉呼び出来るな。普通に恥ずかしいぞ」
「大丈夫です。慣れれば何とか……」
「そういう問題なのか?」
こうして僕と千景の関係が明かされ、僕らの距離が縮まるのであった。
次回はイベントか花結いどちらかにするつもりです。