桔梗SIDE
愛媛奪還も大詰めになってきて、僕たちは訓練をしている中、新たな神託が来たということで部室に集まっていた。
「新たな超大型バーテックスの進軍、神託では愛媛奪還後に出現予想が立てられています」
「ここに来て新しいバーテックスか……」
赤嶺は愛媛を捨て、次の場所で決着をつける気なのか?だとしたらかなり厳しいことになるかもしれない
「神樹様はなんて言ってるの~」
「進軍という神託ではないので、堅守に徹するべきと思います」
「なぁ、ひなた。ちょっと待ってくれないか?」
珠子が何か気になることがあったのか、話を遮ってきた。
「神樹様って、四国全土を守れるってわけじゃないんだろ。無理な範囲は見捨てるって……言い方はおかしいけど、超大型が動き出せば愛媛を奪還しても破壊されちまう可能性があるってことだよな」
「え、えぇ、そうなります」
「それだったらさ……攻め込まないか?確かに守りに徹するべきかと思うけど、今は戦力も充実してるんだ。そう簡単に負けることはないって」
「珠子の言うとおりだな。出来る限りのことをしておくなら、今のうちに超大型を潰しておくべきかと思う」
珠子の意見に若葉も、他のみんなも賛成だった。確かに今の戦力なら堅守ではなく攻めに入るべきだけど……
「若葉、一応聞いておくけど……」
「桔梗、驕っているつもりはない」
今更だったな。ここにいるみんなは驕ってるような奴らはいない。
ひなたも若葉の言葉を聞き、ため息を付いた。
「わかりました。ですが条件付きで今回攻め込むことに賛成です。退ける時に退くようにして下さい。撤退することもまた勇気です」
「あぁ、わかった」
さて、今後の作戦も決まった。僕たちは早速超大型がいる場所へと向かうのであった。
樹海の奥へと進んでいくと繭に包まれた超大型バーテックスの姿を発見した。
「流石にでかすぎだろ」
「見て、動いてる」
「成長途中ということは、まだ大きくなるということでしょうか?」
須美がそういう中、僕は銃を取り出した。
「さっさと倒しておくべきだな」
「そうね」
「それじゃ、行くわよ」
みんなで繭に眠るバーテックスを攻撃していく。攻撃が通っていく以上続けていけば、破壊できるはずだ。
そう思いながら、攻撃を続けていった瞬間、何故か攻撃が防がれた。
「刺激したせいか。目覚めてきたのか?」
「ちょっと待った!!」
どこからともなく赤嶺が現れた。様子を見る限り慌てているとうことは今回の作戦は赤嶺からしてみても予想外のことだったみたいだな。
「てっきり堅守するものかとおもってたのに、攻め込んでくるなんてね。予想が外れちゃったよ。海くん、会う時はちゃんと事前に連絡して……」
「連絡すれば破壊してもいいのかよ」
「それはそれ、これはこれだよ」
「というかわざわざ連絡するような奴がどこにいるんだよ!!」
海が赤嶺に向かって、白月を振り落とすが、赤嶺はその斬撃を受け止めた。
「みんな、こいつは俺が止めるから……超大型の方を!!」
「させないよ。他の子達、来ちゃって、それに君も目覚めなさい」
赤嶺の指示に応えるかのように超大型の一体が繭を突き破り出てきた。そして他のバーテックスもかなりの数が出現してきた。
「戦う以上は本気でやるしかないな。全てを燃やす尽くせ!!天神刀!!」
僕は天神刀を取り出し、迫り来るバーテックスを焼き払い、更に超大型に向かって炎纏った斬撃を放った。だが超大型に当たる寸前、何かに遮られ、放った炎が僕の方に迫ってきた。僕は咄嗟に避けるが、急に身体に力が入らなくなった。
「うぐぅ……これは……」
「桔梗くん!?」
美森が声をかけてくるが、どうにも動けそうにない。超大型がゆっくりと僕に狙いを定め、ビームを放ってきた。僕は避けるすべがなく、諦めかけた瞬間、珠子が僕の前に出て、ビームを防いだ。
「おおおおおおおお!!どうだ!!その程度の攻撃……防げるんだよ!!」
「珠子……」
「桔梗、大丈夫か?」
「少し休んだおかげか……少しは楽になった」
「それだったら……」
「あぁ」
僕と珠子の二人で超大型に向かっていった。超大型は攻撃を仕掛けていくが、僕は炎で攻撃を全て焼き尽くし、距離を詰めた珠子は武器を思いっきり振りかざした。
「これで終わりだァァァァ!!」
珠子の一撃をくらい、超大型は苦しみだした。さっきは攻撃を反射したのに……もしかして近接系の攻撃を反射できるけど、遠距離の攻撃は……それだったら……
「トドメだ!!」
炎の形を変え、巨大な炎の鳥に変え、超大型を焼き尽くした。超大型は苦しみながら消えていった。
「これで一体!!もう一体は……」
僕がもう一体の方を見ると、すでに姿がなく赤嶺もいなくなっていた。
「悪い。逃した」
「いや、深追いしなくてよかったかもな。とりあえず一旦作戦完了だな………とはいえ……天神刀はやっぱり……」
長時間の使用で身体への負荷が大きいせいか僕はそのまま倒れ込むのであった。
赤嶺SIDE
「やれやれ、危ないところだったな……」
「だが、お前のおかげでよくわかった」
「……天神刀の使い方を?それは良かったね」