桔梗SIDE
赤嶺の企みを打ち破った僕らとツキカゲ一同。
神樹からの神託で、ツキカゲたちはもう少しで帰るとのことで、各々遊んでいた。
僕はというと一人で絵を書いていた。
「やっぱり渡したほうがいいか……」
記念ということでツキカゲメンバーの絵を書いたけど、前に雪華からある話をされた。
記憶や持ち物は帰還した際に持って帰れるのかどうかということを……
「さてどうしたものか……」
一人で悩んでいると不意に誰かに声をかけられた。
「こんな所で何をしているの?」
「モモさんこそ」
てっきり夏凜たちと模擬戦をしている雪さんを応援していると思ってたんだけど……
「ちょっと休憩時間になったんで、外を見に行こうと思ったら見かけたの」
「そっか……」
モモさんは興味深そうに僕のスケッチブックを見ていた。
「絵を書くの好きなの?」
「まぁリハビリに始めたのが、今は趣味になってるくらいだから……」
「リハビリ?」
「諜報活動が得意な割には気が付かなかったのか?」
僕は義手を見せた。てっきり人とは違う音がするとか感じ取れると思ってたんだけど……
「う~ん、言い訳をするなって師匠に怒られちゃうけど、まだまだ未熟だから……」
未熟とか関係あるのか?まぁいいか
「そういえば東郷さんたちから聞いたけど、桔梗くん、海くんは特殊な方法で勇者になったんだっけ?」
「まぁそんな感じかな?僕はある人が願ったおかげで……」
海の場合は一度死んでからなってるっていうのは言えないけど……
「そっか……でも桔梗くんたちはみんなのためにがんばれているんだね」
「モモさんだってそうじゃないのか?町の人達のためにってツキカゲとして頑張ってるんじゃないのか?」
僕がそう告げると、何故かモモさんは嬉しそうにしていた。
「そうだよね」
海SIDE
僕は何故か初芽さんと話をしていた。初芽さん曰く何故か僕の名前に惹かれるものがあるらしい。因みに東郷は声に惹かれてるとか……
「なるほど、海くんの世界ではスキルというものがあって、いろいろと覚えられるんですね」
「まぁそうなりますね。魔法とかもそういった感じで……」
「魔法ですか……何だか興味が尽きません。一度でいいからそちらの世界に行ってみたいですね」
何だか楽しそうにしている初芽さん。本当に興味があるんだな……
「でも僕の場合はちょっと変わってるから……諜報活動に向いているのは盗賊職とかですけど……」
「なるほど……でも海ちゃ……くんは身体能力とかいいので、ある程度指南すればすぐに対応できますよ」
何だかいま『ちゃん付け』しようとしてなかったか?でもそういった技術を覚えるのは良いことかもしれないな
「それじゃちょっと指南、お願いできますか?」
「いいですよ」
僕は初芽さんからスパイの指南を覚えることになるのであった。
それからみんなでカレーを食べたり、お別れ会を開いたりとして、ツキカゲのメンバーの帰還する時間となった。
「モモさん、帰ったらでいいけど……」
「はい、ちゃんと渡しますね」
モモさんは桔梗さんから何かしらの封筒をもらったみたいだけど、もしかして絵かな?
「ある程度の指南をしましたけど、海くんなら大丈夫そうですね」
「ありがとうございます。活かせることができたら活かしてみせます」
僕らもそれぞれお別れを告げる中、モモさんは友奈に何か耳打ちをし、帰っていったけど……
「あれ?何で私達こんな所に?」
何故かみんな、ツキカゲの人たちのことを忘れていた。これって……
「桔梗さん……」
「多分だけど忘れてしまうようになってるんだろうな。僕らの場合は……」
特殊な勇者だから覚えているって言うことでいいのかな?
コラボ回はここで終わりです。
また機会があったら更新するので、お楽しみに
因みに海の名前に初芽が惹かれたのは、あの作品ネタです