インフィニット・デスゲーム   作:ホラー

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第106話

 ジリリリリリーーーー!!!

 

「「!!?」」

 

 刹那、学園全体にある全ての室内に非常ベルが鳴り響く。これには、集中治療室に居て、一夏を心配そうに見ていた簪と、俯いていた楯無は音に反応し、顔を上げる。

 何か遭ったのかを知ったのと、どこかで異変が起きた事さえを物語らせていた。しかし、どこから発生しているのかは誰にも判らない上、もぐ目撃者でもないからだ。

 そんな中、簪は不意に心配そうに一夏を見る。彼は瞼を閉じているが無表情に近いように気を失っている。眠っているのかもしれないが一抹の不安が簪を襲っていた。

 彼が気を失っている間に学園は大変な事態に陥っている。ジェイソンは愚か、彼と良く似た体格の大男が学園を襲撃してきた。同時にジェイソンが助けにきてくれたが彼はブギーマンを足止めしている。

 今もなお、鳴り響く非常ベルの音と供に殴る音が何度も耳に響き渡る。それでも簪は不安を感じていながらも目に涙を浮かべ続けていた。出来るとなら一夏に目覚めてほしい。この状況をなんとかしてほしい、簪はそう思っていた。

 しかし、それは一夏に頼っている事を意味していた。さっきの会話を矛盾させるような思いさえもする。が、この状況では致し方ない。この学園を守れるのは自分の姉、自分のクラスがいる担任と数名の教師。

 簪は己の無力を自身が一番理解している。が、今の自分には何も出来ないのだ。憤りを感じているが彼女は彼しかいないと思っていた。

 この学園を守れる存在は右腕を失い、ジェイソンを引き連れていながらも未だに気を失っている想い人、一夏だけだ。簪はそう考えながらも彼の左腕を包む両手に力を入れ、口元を震わせながら強く目を閉じる。

 が、彼女の目に溜まっている涙が頬を伝っていた。怖い思いをしているが懇願しているのだ。

 

「織斑さん……おねが、い……私た、ち……助けて……!」

 

 簪は泣きながら一夏に問い掛けた。彼からの反応はない。未だ気を失っているがそれが簪を追い詰めるには充分過ぎる物であった。残酷でもあった。

 が、彼が目を覚ますかどうかは、彼にしか判らない。彼が目を覚ますのは、いつになるのかは判らない。彼自身の自由だ。簪にはつらいだろうが簪は彼に懇願し続ける。

 

「お願い……お願い……!」

 

 簪は一夏に問い掛け続ける、思いよ届け、そう意味させていた。そんな簪に楯無は俯きながら下唇を噛みながら震えていた。が、彼女の頬に一筋の涙が伝う。

 楯無自身も気づいていた。彼は自分を守る為に右腕を失ったのだ。彼の右腕を奪ったのは自分であり、言い訳出来ない。が、簪の言葉は彼女自身を追い詰めさせているようにも思えた。

 出来る事なら謝りたい、今までの非礼を詫びたい、そう思ってしまった。

 

「キャァァァァーーーーッ!!」

「ウワァァァァーーーーッ!!」

 

 刹那、通路の方から女性の悲鳴が聞こえた。その悲鳴に楯無と簪は反応し、扉の方を見やる。何の変哲もない扉だが違和感があった。非常ベルは鳴るのに殴る音は聴こえない。

 いや、さっきの悲鳴の直後から、ピタリと止んだのだ。

 

「っ!?」

 

 楯無は戦慄した。まさか……楯無は胸騒ぎを感じつつも嫌な予感をしつつも簪を見る。彼女は何かに戸惑っているが同時に嫌な予感をしているのだろう。それでも楯無は叫んだ。

 

「簪ちゃんはここに居なさい! 出てきちゃダメよ!」

 

 楯無は簪にそうは言い放った。簪は楯無の言葉にビクッと反応するが楯無は扉の方へと駆け寄ると、部屋を出た。

 

「さ、更識姉!!」

 

 通路を出るや否や、楯無を呼ぶ者がいた。彼女が出てきた直後でもあるが楯無は声に反応し、声がした方を見る。

 

「織斑先生に山田先生!?」

 

 楯無は驚きを隠せない。そこにいたのは千冬と真耶であった。が、千冬は驚いているが、真耶は腰を抜かしながら泣きじゃくっていた。が、どちらも恐怖で顔を歪ませている。

 彼女達が何故来たのかは判らないが彼女達は何かに怯えていた。それは、ある大男達を見たからであった。それは、ジェイソンと、そのかれに馬乗りされながら何度も顔を殴られているブギーマンであった。

 が、ブギーマンは兎も角、ジェイソンは腕を振り上げたまま彼女達を見ていた。いや、自分を目撃した直後に悲鳴を上げた為に殴る手を止め、二人を見る為に顔を上げたのだ。

 ジェイソンは千冬と真耶を見ているが真耶は泣き続けていた。が、千冬は怯えながらも楯無を見て叫んだ。

 

「さ、更識姉、逃げろーーーーっ!」

 

 彼女は楯無に対してそう言った。しかしそれは、生徒を守るため後冬が教師としての咄嗟の言動でもあった……。

 

 

「ふふっ。どうやら死んだ、かな?」

 

 その頃、食堂の真上の階では夢見一彦が下の階の食堂を見ながら笑っていた。彼の足下には大きな穴が出来ていた。それは一彦自身が破壊したからであった。

 床は下の階の食堂に出来ている瓦礫の山と化している。が、その瓦礫の山の中には一也やチャッキー、ティファニーの人形夫婦がいる。彼等がどうなったのかは誰にも判らず、一彦自身も判断出来ない。

 圧迫死かそれとも四肢がバラバラかも判らない。しかし、それを行った一彦から見れば関係ない。彼はゲームを行なったに過ぎない。チャッキーは兎も角、一也を殺せば問題ない。

 一也がゲームから脱落すれば、残りは自分を含めた四人になるのだ好都合かつ、ブギーマンがいなくなれば、後はジェイソン……いや、それ以上に危惧している敵がいるのだ。

 ソイツを倒せば後は楽であるが倒せるかどうかが問題だった。一彦は内面はそう思いながらも外面は笑っている。愉しんでいるようにも思えるが快楽殺人者としかも思えなかった。

 ゲームを愉しんでいるとしかも思えなかった。一彦は瓦礫の山を見続けていたが動く気配はないと感じていた。チャッキーとティファニーはプレイヤーが死なない限り、脱落しない限り、死なないだろう。

 あの人形達如き、自分とフレディ、それにあれもあるから、敵ではないのだ。彼はそう思いながらも軽く鼻で笑う。

 

「……ん?」

 

 刹那、一彦は後ろから気配を感じ振り返ろうとした。刹那、一発の破裂音が響き渡る。同時に一彦は後ろへと吹っ飛ばされるが穴の方へと吸い込まれていくように落ちていく。

 刹那、大きな音が穴の方からしたが一彦が瓦礫の山に直撃した音でもあった。

 

「っ……!」

 

 そして、そんな彼をそうさせたのは一也であった。手にはショットガンを持ち構えているが銃口からは硝煙が微かに漂っている。が、さっきの破裂音はショットガンから弾が放たれたからであり、一彦が吹っ飛ばされたのはショットガンの弾を至近距離で受けたからであった。

 が、一也はショットガンを持ちながらも疲れているのか、肩で息をしており、顔を引き攣らせている。身体中には微かだがボロボロであり、所々、血が滲んでいた。

 その理由は、彼は瓦礫の山を微かに受けた後に風のように消えたからだ。しかし、数分くらい別の所に居た。理由は瓦礫の山の中にいさせる錯覚をさせようとし、体力の回復を図っていたのだ。

 そして、微かに回復すると、一彦の後ろへと風のように現れ、ショットガンで彼を撃ち殺したのだ。功を奏したが一也は一抹の不安を覚える。

 彼は死んだのか? そう思ったのだ。が、至近距離とはいえ助からないだろうと思っていた。同時に彼には怨みもある為、一也は舌打ちすると、穴の方へと近づこうとした。

 刹那、大きな爆発音が食堂から響き渡る。

 

「なっ!?」

 

 一也は驚くが後ろへと吹っ飛ばされる。彼は宙を舞うが近くの床に俯せで叩き付けられる。

 

「あがっ!」

 

 一也は激痛で声を上げる。ショットガンは吹き飛ばされた反動で手放してしまうが遠くにある。

 

「ッうう……!!」

 

 一也は激痛を感じつつ起き上がろうとした。が、身体が言う事を聞かなかった。まだ回復していないのも原因であるが限界にも近かったからだ。

 一也はそれに気づき下唇を噛む中、声が聴こえた。

 

「ああ〜〜危なかった〜〜」

 

 呆れたようにも思え、微かに危機感を抱いているような口調でもあった。一也はその声に反応し、目を見開きながら声がした方を見る。穴の方からであるが誰かが姿を晒すように現れた。

 その声の主は一彦であった。一彦は微かに惚けているが胸を軽く擦っている。微かだが撃たれた痕があったが一也が撃ったショットガンの物である。

 しかし、彼は何ともないようにピンピンとしているが一也が驚いているのはそこではなかった。一彦はISを纏っていたのだ。黒く禍々しいが騎士の鎧と貴族の服を合わさった機体の様にも思えた。

 が、所々顔のようなシミがあるが悲痛で歪んでいるようにも感じられた。一也はそのISを見て戦慄するが一彦は一也を見てキョトンとしながら教えた。

 

「どうしたの? 僕が無事なのに驚いているの? それとも僕のIS・ジルドレを見て驚いているの?」

 

 一彦は平然とそう言っているが彼がどうやって穴を開けたのかはISで開けたからであって……そしてそれは、そのISの出所は不明であるが、そのISが、ある人物の名を借りた物であるがそれは、ある殺人鬼でもあった……。

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